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冬場の農閑期に多くの地域で作られた和紙。三条市の大谷地集落で、一時は途絶えたその伝統を復活させた担い手さん達がいます。
大谷地集落
山に囲まれのどかな大谷地集落は、現在約40世帯100人が住む地域です。この地域では、かつて年貢として納めるほど和紙作りが盛んでしたが、終戦後にナイロンや洋紙といった化学製品の普及で生産規模が縮小し、昭和35年には生産を停止してしまいました。
大谷地和紙保存会の小柳正道さん
「私たちの父親世代が『伝統を絶やしてはならない』と立ち上がって活動を始めたのが大谷地和紙保存会の始まりです。当時まだ道具はそのまま残っていましたし、和紙作りを昔実際に行っていた方も元気でいらっしゃったので製法を教えてもらうことも出来ました。」
そう話すのは、大谷地和紙保存会の小柳正道さんです。小柳さんは数年前に退職した後、米農家の仕事に従事する傍ら和紙作りにも携わっています。
集落で管理する楮(こうぞ)の畑
収穫後の楮(こうぞ)
和紙作りに使う楮(こうぞ)の畑を年に一回、集落に住む人たちで草刈りするなど、集落全体で協力して和紙作りの活動を行っています。
実際に紙を漉くのは11月~3月中旬の冬場の間のみ。この時には、体験の受け入れも可能なのだそうです。
紙漉きの作業場
「毎年期間限定にはなってしまいますが、文化の継承や大谷地和紙を知ってもらいたいという思いから、学校などの団体だけでなく個人の方の受け入れも行っています。」
収穫した楮の皮を剝ぎ取ります
県伝統工芸品に指定され、更なる品質の向上に繋げたいと気持ちを新たにしたという小柳さん。
「畑で育てる楮(こうぞ)には限りがあるので、大谷地和紙は大量生産が出来ません。だからこそなおさら、ひとつひとつの出来を大切にしたいと考えています。県指定の伝統工芸品になったことで、その責任感が大きくなりました。」
そんな小柳さん達の思いがこめられた大谷地和紙を手に取ると、和紙独特の温かみにどこか懐かしさを感じることが出来ました。
集落の方々の手によって一度復活した大谷地和紙が、これからも人々の思いを乗せて作られ続けると良いですよね。
道の駅しただやいい湯らてい(温浴施設)で購入可能。
大谷地和紙保存会
新潟県三条市大谷地617
TEL 0256-47-2191
取材日:2022年6月28日