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3年ぶりに開催が決定した長岡まつり大花火大会は全国的にも有名で、大迫力の花火を見に県内外から多くの方が長岡市へ訪れます。
過去の長岡まつり大花火大会の様子
「花火は一瞬で揚がりますがワンシーズン分造るのに10か月はかかります。派手そうに見えて、実は繊細さや緻密さが求められる仕事なんですよ。」
そう教えてくれたのは、小千谷煙火興業の瀬沼輝明さんです。
瀬沼さんは同社の4代目で、19歳の時からアルバイトで花火造りに携わっていたそうです。
ニット製品の静電気など、ちょっとした刺激で発火する火薬を扱う仕事はまさに命がけ。日々の作業にも気を使います。
火薬が発火してしまった場合、他に飛び火すると危険なため作業場は1つ1つ独立し、分厚いコンクリートの壁に囲まれています
「火薬の扱いはとにかく丁寧に。そういう意味では気苦労の絶えない仕事ですが、花火を見た観客の大きな拍手を聞くのはやりがいに繋がりますね。本当に感動した時に、拍手は出るものですから。」
昔は町内ごとに花火担当がいて、地域の神社などへの奉納花火を毎年造っていました。火薬を扱う作業は危険もあるため、それを一手に引き受けたのが現在の煙火工業の始まりなのだそうです。
花火玉のレプリカ。中身はこうなっています
「音楽に合わせて花火が揚がる『ミュージックスターマイン』ですが、実は事前にデジタルソフトを使って打ち揚げのタイミングに狂いがないようプログラミングしているんですよ。」
デジタルが導入されている部分があるのは驚きですが、花火の製法自体は昔ながらの手作業です。最新技術も活用しながら、見る人を感動させる打揚花火が出来上がるのですね。
打ち揚げる際に立てて使う筒。なんと昔は竹を使用していました
県伝統工芸品の指定を受けて、気が引き締まったという瀬沼さん。
「ゴールではなくてスタート地点に立ったような気持ち。『これからだな』と思いました。火薬は横に向ければ人を傷つけてしまう物ですが、上に向ければ人を喜ばせることが出来る物でもあり、その感動に国境はありません。」
花火を点検する瀬沼さん
現在、国内で揚がる打揚花火の多くは安価な海外製です。今回県に伝統工芸品として認められたことで、県産打揚花火の技術力や素晴らしさを国内外にアピールする良い1つのきっかけとなることを、瀬沼さんは期待しています。
「全国的にも5号(直径約15センチ)以上の大きい花火は新潟県産が多いのですが、その技術は雪国に住む人々の真面目さや勤勉さが生んだもの。今後もこれまで築いてきた高い技術や伝統は絶やしてはならないと考えています。」
この夏、打揚花火を見る時は、これまでの歴史や担い手さんの不断の努力に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。
完成した花火玉。打ち揚がる時が楽しみです
個人向けの商品もオーダー可能。詳しくは事業者にお問い合わせください。
小千谷煙火興業
新潟県小千谷市山谷3265
TEL(0258)82-2065
HP<外部リンク> YouTube<外部リンク>
匠の手を巡る旅<外部リンク>(『新潟のつかいかた』インタビューページ)
取材日:2022年6月14日