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県内でも積雪の多い地域の一つである長岡市小国町では、製造工程の中で雪を活用して小国和紙が作られています。
「雪を利用した和紙作りは他県でも行われていますが、その地域によって目的は様々。小国和紙は、漂白や保管のために工程の中で雪を利用しています。昔は農閑期の冬場の生業として、家族のうち男性は酒蔵で酒造りを、女性と子供は紙作りを行っていたそうですよ。」
そう教えてくれたのは、小国和紙生産組合の今井宏明さんと今井千尋さんです。
漉いた紙を重ねた「紙床(しと)」
紙床を雪の中で低温保存する「かんぐれ」
雪の上で乾燥させることで漂白する「雪上天日干し」
このように豪雪地域の特色を活かして、白く光沢のある和紙が作られてきたのですね。自然と共存しようとする昔の人の工夫が垣間見えます。
小国和紙の原料は楮(こうぞ)という植物の皮ですが、小国和紙生産組合では一部自家栽培することにこだわりを持っているそうです。
楮は人よりも大きくなるため作業も大変
「畑づくりから行うので、皆さんの想像よりも和紙作りの仕事はかなりの肉体労働。実際に紙を漉く時間よりも、畑仕事の時間の方が長いくらいです。」
雪が溶けた後、5月から11月頃にかけて楮を栽培していきます。より良い製品を作るには原料が高品質であることが必須の条件となるため、手入れには細心の注意を払います。
収穫の様子。材料となるのはこの植物の皮の部分です
楮の皮を冬の晴れた日に晒すことで漂白を行う「雪さらし」
楮は繊維が長く、繊維同士の絡み合いが強いため、出来上がる和紙もしっかりとした強いものになるのだそうです。
楮の皮を叩き繊維状にしたもの。その長さがよくわかります
こうして作られた小国和紙は、お酒のラベルや着物の札紙(ふだがみ)に使われるほか、海外へも版画アーティスト向けや文化財の修復用等に輸出されています。
こちらの組合の工房では、紙漉き体験や工房見学など、若い世代に向けた小国和紙の継承にも力を入れています。
工房では実際に作業風景を見学したり、体験ができます
「小さい頃に紙漉き体験をした子が、成長して『その時のことが思い出に残っていたから』とまた工房に遊びに来てくれた時はとても嬉しかったですね。その子の中で当時の体験が大切な思い出になっていたと思うと、こうやってPRしてきた甲斐があったなあと。」
最近では国内だけではなく海外にいる子供たちに向けて、オンラインでのセミナーも行ったとか。
「縁があってアメリカの日本語学校の生徒向けにリモート授業を行いました。オンライン上で一緒に和紙の折り紙をしたり、切り絵をしたり。以前のように自由に動きにくい昨今ですが、いろいろなやり方でPRしていますので、小国和紙について知りたい・学びたいと思う方は気軽に工房へお問い合わせくださいね。」
その場で和紙を使った切り絵を披露してくれました
あっという間にリクエストした馬とクマが完成!
小国和紙の魅力が、世界に向けて更に広がっていくと良いですよね。
工房内や組合のネットショップで購入可能です。
ネットショップ<外部リンク>
小国和紙生産組合
新潟県長岡市小国町小栗山145
TEL 0258(41)9770(工房)
HP<外部リンク> Facebook<外部リンク> Instagram<外部リンク> YouTube<外部リンク>
紙漉き体験等のワークショップへの参加や、工房見学も可能です。(※要予約)
詳しくは「じゃらんnet<外部リンク>」をご覧ください。
取材日:2022年6月14日