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森試験研究課題は、関連産業の関係者や森林・林業行政の担当者等からの要望にもとづいて、県農林水産技術会議研究企画委員会等で必要性や緊急性等の観点から審査されて決定されます。令和6年度の試験研究課題は15課題(そのうち新規課題が2課題)です。
花粉症対策やカーボンニュートラルの実現のため、スギ人工林の主伐・再造林が進められています。雪害が多く発生する多雪地等では、再造林時の樹種としてコナラやブナが選択される例が多くみられます。しかし、スギ人工林から広葉樹林への更新・育林技術に関する指針はなく、更新の確実性を高める施業技術の確立が求められています。そこで、主伐後のコナラやブナの造林地の実態調査を行うとともに、多様な手法(苗のサイズ、植栽密度等)による植栽試験や前更作業(主伐の数年前に前もって植栽すること)の効果検証を行います(写真1)。
県内には広葉樹資源が豊富に存在しますが、荒廃した広葉樹林も多くみられます。コナラやブナなどの高木性広葉樹は天然更新が難しいことが知られており、更新の可能性を高める施業技術の開発が求められています。このため、更新の支障となるササ等の競合植生の管理手法を開発します(写真2)。あわせて、前生稚樹の成長に与える伐採の影響を調査し、実生更新技術を確立します。
写真1 前更作業で樹下植栽されたブナの生育調査
写真2 ササの近くで芽生えたブナ
循環型林業の確立に向けて、コスト低減に有効とされるコンテナ苗等を用いた主伐・再造林一貫作業システム等について作業工程やコストの分析を行っています。引き続き、筋刈り等による下刈り省力化の効果検証にも取り組みます。
スギ人工林の長伐期化に伴い大径材の生産が増えています。太い丸太は心持ち平角材に加工されることが多いですが、周りの部分の利用率を高めることが重要です。このため、大径材から得られる幅広板を集成材用ラミナとして活用するための研究を行っています。あわせて、板材を木塀等の外構材として利用する技術の開発も行っています。
付加価値の高いきのこの生産が求められていることから、比較的高価格で取引される大粒ナメコの収量安定化や、有機栽培技術の確立に向けた研究を進めています。
きのこ・特産課 岩崎 昌一