ページ番号を入力
本文
松くい虫防除を適期に実施するために、当所ではマツノマダラカミキリ(以下カミキリ)の発生消長を調査しています。調査は県内で最大の被害量となった平成二十五年度から継続しており十数年分の結果が蓄積されました。今回、調査結果の概要を紹介します。
当所構内には高さ・幅約二メートル、長さ五・四メートルの網室が設置されています。壁及び天井はステンレスメッシュ貼りで四室あり、ここにカミキリ幼虫の潜入木を入れ、羽化脱出したカミキリの数を測定するとともに、カミキリに若いマツの枝を与えて後食させて成熟を促し、伐倒直後のマツの幹に産卵させて次年度調査に備えることとしています。
今年度は構内の被害木(産卵木)も入れたことから、脱出頭数は調査開始から最大となる六五四頭でした。カミキリの発生は六月に四二〇頭、七月に二三四頭で七月までで脱出は終了しました(図1)。

図1 マツノマダラカミキリの発生状況(令和7年度)
カミキリの発生を予測するには有効積算温量(日平均気温からカミキリが発育可能な温度(発育限界温度)を引いた差の合計値)が用いられています。当県では発育限界温度十一度を使用しており、一パーセント発生日の有効積算温量は三三五日度です。今年度の一パーセント発生日の有効積算温量は、二九一日度で例年より低い傾向がありました。また、一パーセント発生日は六月一六日と平年より六日早く昨年よりは五日遅くなりました。昨年は四月から五月の気温が平年よりも高かったことが影響していると考えられます。
各年の調査結果は表1のとおりです。初発日はばらつきがあるものの六月中旬前後となっています。また、一パーセント発生日の有効積算温量は低くなり、早まっている傾向があります。
表1 各年の調査結果

この結果は、当所構内の気象データをもとにしていることから、当所以南の県内のマツ林ではより早くカミキリの発生が始まっていると考えられます。このため、松くい虫の防除は、従来から指導されているように薬剤散布については六月上~中旬に、伐倒駆除については五月末までに行うことを遵守する必要があります。
気候変動の影響により今後もカミキリの発生消長は変化することが考えられます。効果的な防除を実施するために今後も調査を継続したいと考えています。
森林・林業技術課 菅原 弥寿夫