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湛水直播栽培における酸化鉄粉衣法の出芽・苗立ち促進効果

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0526057 更新日:2022年12月12日更新
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直播栽培の利点は、育苗や移植に係る施設や労力を削減できること、作業の効率化や作期の分散により経営規模を拡大できること、それに伴って経営体の収益向上を期待できること、などにあります。

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しかし、新潟県における直播栽培の取組は、2000ha程度に留まっています。
普及が進まない主な理由は、育苗法より出芽や苗立ちが不安定になりやすいためです。
そこで、より速く、より旺盛な、出芽と苗立ちが求められています。

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直播栽培の方法にも様々のものがありますが、その一つに還元鉄を粉衣する方法があります。
この還元鉄粉衣法では、粉衣後に酸化放熱工程が必要、酸化熱により発芽率が低下しやすい、未催芽籾を使用するため出芽が遅い、といった欠点がありました。
今回紹介する酸化鉄粉衣法では、粉衣後の酸化熱の発生がないため、酸化放熱工程が不要であり、出芽の速い催芽籾も安全に粉衣できます。

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5月中旬播種後5日頃の出芽状況を比較すると、酸化鉄粉衣法の出芽の速さを確認できます。

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5月中旬播種後1か月頃の生育状況を比較すると、酸化鉄粉衣法の旺盛な初期生育を確認できます。

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酸化鉄粉衣法の粉衣作業に必要な機材は、還元鉄粉衣法と同一です。作業工程は大幅に簡略化できます。
2割程度が芽切れした初期催芽籾を用いることで、出芽の速さと保存性を両立できます。
粉衣後の種籾は、一昼夜陰干しすれば、すぐに播種することができます。
酸化熱が発生しないため、熱害による発芽障害もなく、放熱管理も必要ありません。
粉衣籾を一時的に保存する場合は、十分に陰干します。

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粉衣籾の発芽試験の結果を図示しました。
還元鉄粉衣法では、発芽揃いまでに10日以上を要しましたが、酸化鉄粉衣法では、5日で揃いました。
また、還元鉄粉衣法では、最終発芽率が、70%に低下しましたが、酸化鉄粉衣法では、粉衣前の種籾と同等の、90%以上を維持しました。

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粉衣後の種籾を室内または冷蔵庫で保存し、一定期間ごとに前項と同様の発芽試験をしました。
その発芽試験の5日目の発芽率を発芽勢として、粉衣後の保存日数に応じた発芽勢の推移を図示しました。
室温保存では、2か月頃から発芽勢が低下しましたが、冷蔵保存では4か月を過ぎても発芽勢の低下は僅かでした。
酸化鉄粉衣籾を室温保存した場合に発芽勢が急落する理由は、初期催芽籾の呼吸消耗と考えられます。
なお、籾水分が高い状態で保存すると、保存中に芽が伸びたり、カビが発生します。

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試験水田に播種した粉衣籾の苗立揃いまでの日数を図示しました。
酸化鉄粉衣籾の出芽は迅速で、苗立揃いまでの必要期間は、早播では還元鉄粉衣籾よりも5日、晩播では2日短縮されました。
特に、酸化鉄粉衣籾の晩播は、播種後2週間で苗立ちすることから、除草剤散布適期幅の拡大や鳥害を受けやすい期間の短縮、に有効と考えられます。

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酸化鉄粉衣法の収量性や精玄米外観品質は、還元鉄粉衣法と同等でした。
酸化鉄粉衣法では、還元鉄粉衣法よりも、初期生育が旺盛であり、茎数・穂数が多くなる傾向にあります。
品種や栽培条件を加味した上で、還元鉄粉衣法よりも播種量を減らすことも可能と考えられます。

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技術効果としては、粉衣資材による発熱がないため、酸化放熱工程が不要であるとともに、熱害による発芽率の低下がありません。
また、熱害が発生しないため、出芽の速い催芽籾を使用できます。
さらに、気温の高い時期になってから播種することにより、播種後2週間で苗立ちが揃います。
導入効果としては、春作業の更なる省力化、迅速な出芽・苗立ちに伴う除草剤散布適期幅の拡大や鳥害を受けやすい期間の短縮を期待できます。

農業総合研究所 作物研究センター

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