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平成26年6月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0004342 更新日:2019年1月17日更新

平成26年6月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

(6月25日 知事説明要旨)

 平成26年6月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 まず、去る6月1日、天皇皇后両陛下のご臨席を賜り、第65回全国植樹祭を今年で10年の節目を迎える中越大震災の被災地を会場に開催いたしました。「未来へつなぐ森の力~復興から創造へ~」をテーマに、地震の際にいただいた支援への感謝と復興をアピールするとともに、緑豊かなふるさとの継承を全国に向けて発信いたしました。震災時にいただきました全国の皆様からのご支援に改めて感謝申し上げるとともに、今大会の開催にご協力いただきましたすべての皆様に心より感謝申し上げます。
 今大会を契機に、かけがえのない財産である緑豊かな森林を未来の世代に引き継いでいくため、県民参加の森づくり運動を一層発展させてまいります。 
 両陛下におかれましては、大会後に「おぢや震災ミュージアムそなえ館」や、7.13水害の被災地である見附市などをご視察され、それぞれの場所で被災地に思いを寄せる暖かいお言葉をいただきました。この場をお借りいたしまして、両陛下の深いお心遣いに心より感謝申し上げます。

 次に、安定ヨウ素剤未調達等の不正事務処理問題などへの対応についてであります。
 去る4月22日に、平成24年度に購入していたはずの安定ヨウ素剤132万6千錠が未調達だったこと等を公表し、副知事をトップとする調査チームを立ち上げ、調査を進めてまいりました。
 5月8日には中間報告として公表し、6月13日に最終報告として公表したところであります。
 今回の事案では、決裁文書に自分で調達した上司の印鑑を押印したり、他の文書の上司の印影をコピーして決裁文書を作成し、正規の決裁を受けずに事務処理を行うなど、極めて巧妙に不正行為が行われておりました。当人が感覚を徐々に麻痺させ不正を繰り返すこととなった背景には、組織としての対応にも問題があったと考えております。
 第一義的には、不正行為を行った当人が責めを負うべきものでありますが、個人の不正行為を組織として防止できなかったこと、安定ヨウ素剤の未配備を長期間チェックできなかったこと及び未配備の報告が遅れたこと、出納局でも歳入・歳出総額のチェックによる問題の把握ができなかったことなどについて、問題点を洗い出し、検証・評価を行ったところであります。
 その結果、組織においても、会計事務処理、組織管理、予算執行管理、物品管理、危機管理の面における問題点が明らかとなり、これらが複合的な要因となって今回の事案が発生したものであります。
 再発防止に向けては、様々な機会を捉えた重層的な対策を構築、実施し、二度とこのような事案が発生しないよう、万全を期してまいります。
 なお、代表監査委員に対しても、不正行為を覚知しながら、監査報告がなかったことから、業務の改善の検討等を行うよう要請したところであります。
 今回の調査結果を踏まえ、関係職員に対しては、6月13日に処分を行ったところであります。また、県政に対する信用を失墜させた責任として、私については給料を1か月間、20%を減額することとし、関係条例を今議会にお諮りしているところであります。
 県民の安全・安心を第一に県政を進めてきた中で、このような事案が生じたことに対し、改めて県民の皆様に深くお詫びをいたします。
 なお、今後の安定ヨウ素剤の備蓄・配布の進め方についてでありますが、備蓄については、30km以遠も含め計画的に配備を進めてまいります。
 ただし、配備するだけでは十分とは言えず、いざ事故が発生したときに住民が服用できるようにしておくことが必要であることから、事前配布及び分散配備については、市町村と連携しながら検討を進めてまいります。
 併せて、どのタイミングでどのように服用指示を出すのか、副作用のリスク管理をどうするのか等、実効性のある配布・服用のルールの明確化が必要であることから、国に対応を求めてまいります。

 次に、消費税率引上げによる影響と今後の対応等についてであります。
 我が国経済においては、懸念していた消費税増税に伴う駆け込み需要の反動の状況が徐々に各種指標に表れてきています。4月の2人以上世帯の消費支出は実質で前年同月比4.6%の減、小売業の販売額も4.3%の減となっています。また、鉱工業生産指数は季節調整値の前月比で2.8%の減となるなど、生産と消費は落ち込みがみられます。
 一方で、有効求人倍率は全国ベースで1.08倍と7年9か月ぶりの水準となっています。また、消費者物価指数は生鮮食品を除く総合で前年同月比3.2%の上昇で、消費税増税による押上げ分を除いても1.5%程度の上昇となっています。
 こうした状況に対して、政府や市場からは生産や消費の落ち込みは「想定内」との発言が多く聞かれます。しかし、もう少し慎重な見方も必要かもしれません。需要の下振れが予想を超え、企業の設備投資にブレーキが掛かることも懸念として残るところです。また、建設業や小売業など業種によっては人手不足が顕著になっており、企業活動の阻害要素になることも危惧されます。このように、現時点で経済状況についてのプラスとマイナスの要素を見極めることは難しいものと考えております。
 こうした状況の中、昨日政府がとりまとめた、いわゆる「骨太の方針」に、「もはやデフレ状況ではない」との記述が盛り込まれました。しかし、地方の中小企業においては、業績の回復や賃金引上げの動きが十分行き渡っていないのが実態であり、デフレ脱却は未だ道半ばという状況にあると考えております。
 政府・日銀においては、これまで申し述べているとおり、アベノミクスの柱の一つであるインフレターゲット政策などマクロ金融・財政政策の手綱を緩めることなく適切に実行し、デフレ脱却を確かなものとしていただきたいと考えております。
 県としては、引き続き県内経済の実態を見極めながら、金融面でのセーフティネットをしっかり張った上で、民間投資の促進に努めるとともに、人手不足が深刻な建設業における人材の育成・確保の支援を行うなど、可能な限りの対応に努めてまいります。
 同時に、将来を見据え、食やエネルギー、ものづくり分野など本県が持つ強みを活かしながら、投資の誘発、産業の高付加価値化を進めてまいります。
 特に、今後の本県の発展にとって、エネルギーは重要なテーマです。本年度は、太陽光発電の導入拡大を更に進めるほか、雪冷熱を活用したデータセンターの立地に向けた取組を進めてまいります。また、引き続き、海洋エネルギーやバイオマス等、多様な地域資源の利活用の可能性を積極的に追求してまいります。
 次世代の国産エネルギーとして有望視されるメタンハイドレートについては、上越沖において地質サンプル取得のための掘削調査が開始されたところであり、その結果に大いに期待しております。
 また、商業化に向けた採掘技術の開発や、資源を有する地元に経済的メリットが還元される仕組みづくりが課題であることから、先般、日本海沿岸の10府県で構成する日本海連合として、国に対し要望を行ったところです。
 加えて、エネルギー安全保障の観点からも有益な日本海横断パイプライン構想や日本海側へのエネルギー基地の整備など、将来を見据えた取組も進め、本県の発展可能性の更なる拡大に努めてまいります。

 次に、人口減少問題への対応についてです。
 先般、産業界や学識者で構成する民間会議において、2040年時点で将来消滅の可能性がある自治体が全国の約半数にのぼるとの推計結果が発表されました。県内でも18の自治体がここに含まれています。本県では、既に危機感をもって取組を進めてきたところですが、改めて、国全体の重大な問題として認識が共有される契機になったものと受け止めております。この推計は、若年女性の減少率という視点を取り入れたことが大きな特徴であり、地方から合計特殊出生率の低い都市部へ若年者の流出が現在の水準で続いた場合、地方の人口減少にとどまらず、国全体の人口減少を加速させることになると警鐘を鳴らしたものです。
 3人子どもが欲しいという夫婦の希望をかなえることが困難な都会に出て行くのではなく、若年者に地方にとどまってもらうことが、年金制度等を含めた社会制度を維持し、持続可能な社会づくりに不可欠です。危機感を国民が共有した上で、国として長期的な視点を持った大胆な施策を迅速に講じていく必要があると考えております。政府としても、昨日発表した「骨太の方針」において、初めて人口の目標を明示するとともに、第3子以降の出産・育児・教育の重点支援などの大胆な少子化対策を推進していくことを示したところです。
 こうした施策の財源は、国債によって賄うべきと考えています。生涯で一人の方が納める税金は平均で約4,300万円との試算もあります。そのことを考えれば、人口減・少子化対策はまさに「未来への投資」です。将来の税収を60年間の国債償還に充てるという中長期的な視点に立てば、次の世代へ負担を先送りすることなく、財源を確保することが可能と考えております。
 本県としては、そうした施策効果の検証のためモデル事業を実施することとしており、その結果を踏まえ、国債の活用による財源調達も含めて、有効な少子化対策を国に提言してまいりたいと考えております。現在、そのための検討委員会を立ち上げ、議論を開始したところです。今後、電子会議室などを通じて県民の皆様のご意見もいただきながら、制度設計を詰めてまいりたいと考えております。
 また、引き続き人口問題対策会議で議論を深め、その成果を国の動向も見極めながら適宜施策に反映してまいります。
 人口減少への対応は本県にとっても喫緊の課題です。今後とも若者に県内に残ってもらう、あるいは戻ってもらうための環境、そして子どもを産み育てやすい環境づくりを全庁的な視点で進め、悲観的な将来予測とは異なる新潟の未来を切り拓いてまいりたいと考えております。

 次に、TPPと農業問題についてです。
 TPPを巡っては、現在、年内の大筋合意を目指して、7月の参加12カ国による首席交渉官会合とその後の閣僚会合に向けて議論されているように報道されております。そのカギを握る日米二国間の交渉に関しては、去る4月25日の日米首脳会談の際の共同声明において「前進する道筋を特定した」とされましたが、これまでの交渉においてどこまで合意され、現在何が詰められているのか、詳細は依然不明なままです。
 本県としては、政府に対して早期に交渉内容等について十分な説明を求めるとともに、断固たる態度で国益にかなう戦略的な交渉を行うこと、少なくとも主食である米は関税撤廃の対象から除外し、いかなる譲歩も行わないこと、持続的な農業の発展のために国内対策を充実すること等について、重ねて国に要望しているところです。
 次に、農業問題についてです。
 農業が更に魅力的な産業となっていくには、所得をいかに増やしていくかが重要です。
 このため、今後10年間で担い手への農地集積率を9割とする目標を定め、農地中間管理事業を活用した農地利用の集積・集約化による経営基盤の強化を図ってまいります。また、企画・販売力の向上等による6次産業化を積極的に推進し、他産業並みの所得を確保する経営体の育成に取り組んでまいります。
 このたびの農政改革では、本県が重視してきた非主食用米への生産誘導の道筋が示されたものの、我が国の耕地面積の4割を占める中山間地域に対する施策は、十分なものとなっておりません。
 中山間地域の有する多面的機能を発揮する意味でも、生産条件が不利な中山間地域において農業を維持していくためには、十分な所得が確保できるよう公的なサポートを拡充することが必要です。このため、農業者が将来展望を持って安心して農業経営に取り組めるよう、地域の実情に即して効果的な支援が行われる制度の構築について、国に重ねて要望しているところです。
 県としても、中山間地域新規就農者確保モデル事業において、耕作放棄地等の再生も含めた非主食用米への誘導による所得確保を検証するため、5月にモデル地区を追加採択しました。今後、それらの成果も踏まえながら、引き続き国に働きかけてまいります。
 一方、非主食用米の生産の更なる拡大にとって重要な米粉の需要が低迷しております。そのため、食品産業における需要拡大が図られる仕組みの構築を国に要望しているところです。
 県としても、更なる需要拡大に向け、5月に米粉競争力強化検討会を立ち上げたところです。今後、製造コスト低減策や米粉利用を加速するための方法等について検討を行い、米粉の競争力強化を図ってまいりたいと考えております。
 また、このほど、新たな食品素材加工技術を有する民間事業者と連携協定を締結し、米粉を使用した商品の需要拡大に協力して取り組んでいくこととしたところです。

 次に、原子力発電所を巡る動きと本県の対応についてです。
 先に閣議決定されたエネルギー基本計画についてでありますが、基本計画に福島第一原子力発電所事故の反省が盛り込まれたことは、当然のこととはいえ評価できるものと考えております。
 基本計画では、原子力発電が「重要なベースロード電源」と位置づけられているものの、電源種別ごとの具体的な数値目標が示されておらず、極めて異例な計画となっています。これは、福島第一原子力発電所事故の検証・総括が行われていない中では、原子力発電のリスクとコストを評価できないため、当然のことです。数値目標を示せなかったことは、結論としては妥当なものと受け止めております。
 一方で、基本計画では、原子力規制委員会により規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を進める、とされています。しかしながら、従前から申し上げているとおり、この規制基準は一定の確率で事故が起きることを前提にしている基準であり、安全を確保するものではありません。原子力発電所の安全確保のためには、福島第一原子力発電所事故の検証・総括が不可欠です。
 このため、6月6日には、安全管理に関する技術委員会の中島座長と面談し、改めて、福島第一原子力発電所事故の検証をしっかり行っていただくようお願いしたところであります。
 なお、この際、現在東京電力が設置を進めているフィルタベント設備の検証に関連し、福島第一原子力発電所事故で起きたようなすべての冷却機能が停止した場合の事故想定についても、検討していただくようお願いいたしました。原子力防災について検討する上では、そうした事故想定も必要なものと考えております。
 また、原子力災害時の広域避難につきましては、先にも触れたとおり屋内避難者に対するヨウ素剤配付のルールがないなど、法制度や組織体制、財源措置等国レベルで解決が必要な課題があり、国に対応を求めております。県といたしましては、引き続き、市町村や関係機関と十分に連携し、具体的に取組を進めてまいりたいと考えております。

 次に、医師・看護師の確保についてです。
 本県の人口10万人当たり医師数は、平成24年末現在で約195人で、年々改善はしているものの、全国平均より43人ほど少なく、地域や診療科による偏在も深刻な状況にあります。
 こうした状況を改善していくため、今年度はこれまでの取組に加え、県外医学生に対する修学資金の貸与枠を大幅に拡大したところです。また、臨床研修後に引き続き県内医療機関で勤務する研修医を対象にした奨学金制度の創設や、県外から招聘した医師に対する勤務環境整備等への支援など、新たな取組も始めたところです。
 本県としては、地方政府としてできうる限りの努力を行っておりますが、現行の制度、枠組みの下では医師不足や医師の偏在を抜本的に解消するには限界があります。医学部の新設等に関する規制緩和や既設医学部の大幅な定員増を可能とするなどの医師養成数増加のための具体的対策が必要です。また、臨床研修後に医師不足地域で診療を経験させることなどの改革が不可欠です。そのため、先般も国に抜本的な制度改革を強く要請したところであり、今後も粘り強く働きかけを行ってまいります。
 県内でも最も医師不足の状況が顕著な魚沼地域で進めている新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院の整備は、平成27年6月の開院に向けて着実に進捗しております。
 医師については、昨年11月の教育センター長の就任に続き、新潟大学におけるセンター教員の公募及び県外大学等からの医師派遣要請を進め、核となる医師の確保には概ね目処がついたところです。
 また、看護師については、公募採用や病院局等からの派遣などにより、開院時に必要な人員の確保を進めております。
 外来の新患予約を一時休止するなどの対応を行っている県立精神医療センターについては、新潟大学から新たに非常勤医師3名の派遣を受けながら、診療体制の確立に努めているところです。センターには県内唯一の児童・青年期の入院機能や救急・急性期患者への医療の提供といった重要な役割が求められております。県内の精神科医療機関との連携を図りながら、必要な医療を提供できるよう医療体制の再構築に取り組んでまいります。
 現在、子ども病院を含めた小児医療体制について、新潟大学が中心となって「総合的な小児医療体制の在り方に関する研究会」が開催され、検討されています。県としては、医師不足の状況の中、医療水準の向上と地域における身近な小児医療の確保のバランスが重要であると考えております。今後、ここでの検討結果も踏まえ、本県における小児医療体制全体の充実に努めてまいりたいと考えております。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
 5人の拉致被害者が帰国され、その後、ご家族が帰国されてから10年が経過します。この節目の年に日朝政府間協議が1年4か月ぶりに再開され、先月の協議で拉致被害者と特定失踪者の方々を含めて、すべての日本人の包括的、全面的な調査の実施で合意に至りました。複雑な国際情勢の中で、拉致問題の解決に向けて動き出させた政府の努力を評価するところです。
 また、調査と引き替えに行う独自制裁措置の一部解除については、政府は万景峰号の入港禁止は解除対象に含まれないとしております。万景峰号については、本来の目的を逸脱した利用も指摘されているところであり、拉致被害者が帰国されるまでは、解除すべきではないと考えております。
 今後、政府には、北朝鮮が設置する特別調査委員会の組織・人員体制などを見極めるなど、調査の実効性をしっかりと確保し、拉致被害者の一日も早い帰国につなげていただけるよう期待しております。
 拉致問題の解決には、政府の取組を後押しする国民世論が重要であり、再会を願うご家族の熱い思いをしっかりと受け止めながら、決して風化させることなく取り組んでいく必要があります。
 県といたしましても、県民集会等により大勢の方からご参加いただけるよう、市町村や支援団体と連携を図りながら、様々な団体に呼びかけ、県民運動として多くの皆様の関心と理解が深まるよう取組を進めてまいります。
 なお、来年3月末に給付金の期限を迎える拉致被害者等支援法に関しては、まずは、帰国された拉致被害者とそのご家族の意向を十分に踏まえた制度としていただきたいと考えております。
 また、今後の帰国者のことも見据え、言葉や住居、仕事の問題など様々な状況に対してしっかりとしたサポートが可能となるよう検討を進めていただきたいと考えております。

 次に、水俣病への対応についてです。
 有機水銀中毒の影響を受けて病気になった方々は水俣病であるという基本原則に立ち返った昨年4月の最高裁判決から1年以上が経過しました。
 本県としては、この間、国に対して判決の趣旨に沿った患者救済制度全体の抜本的見直しを繰り返し求めるとともに、先般、新潟市とともに公害健康被害認定審査会を開催し、最高裁判決に沿って認定審査の手続きを進めることとしたところです。そのような中、国から制度の見直しは行わないとの回答が示されました。
 水俣病については、発生確認から50年を経過する過程において、水俣病患者と認めないまま政治解決や特措法などの接ぎ木を重ねるような対応が取られ、被害者間に差別・偏見や不公平感を生んでしまいました。今後、国が言うように制度の見直しをしないまま、一方で、最高裁判決の趣旨に沿って認定審査手続きが進められた場合、この不公平感やボタンの掛け違いが更に拡大することにならないか懸念されます。
 国は、最高裁判決を踏まえ水俣病の被害を受けた方々が等しく患者と認められ、いつでも名乗り出ることができるよう、患者救済の枠組み全体を一体的かつ恒久的な制度に見直す必要があります。
 本県としては、このことを今後とも国に対して強く要請するともに、すべての水俣病患者の方々が救済されるよう取り組んでまいります。

 次に、交流人口の拡大と広域連携の推進についてです。
 北陸新幹線の開業が、およそ9か月後に迫ってまいりました。本県としては、これを関西圏からの誘客を拡大する好機としても捉え取組を進めております。
 4月末に関西情報発信拠点を開設したほか、4月からのデスティネーションキャンペーンにおいても首都圏に加え関西圏からの誘客に官民一体で取り組んでいるところです。
 また、5月には上信越自動車道4車線化工事が着工されるとともに、北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業時期の前倒しについて検討の動きも報じられております。こうした交通インフラを最大限活用して交流人口を拡大し、地域の活力を生み出していくには、広域連携の視点も重要です。
 4月に本県で開催した新潟、群馬、埼玉の三県知事会議では、周遊ルートの海外への情報発信や関西方面での観光PR等に連携して取り組むこととしたところです。また、5月の新潟、山梨、静岡、長野の四県知事による初の「中央日本四県サミット」では、山岳観光資源の活用や広域交流圏をめざした連携強化に取り組むことを確認したところです。
 今後もこうした他県との広域連携を進め、旅行者等の多様なニーズに対応し、滞在や回遊の促進に結びつけてまいりたいと考えております。
 なお、北陸新幹線をめぐって残されている課題についてでありますが、「停車駅問題」については、去る3月に、国から関係JRに対して奨励及び助言が行われました。県といたしましては、この趣旨を十分踏まえたダイヤ設定がなされるよう、先般も沿線市と共に要請を行ったところです。
 また、優等列車等の存続や大糸線の活性化についても、沿線市や関係団体と連携しながら、JRに対して働きかけを行っているところです。
 今後とも、北陸新幹線開業が本県全体の活性化に資するものとなるよう取り組んでまいります。

 次に、地方分権改革についてです。
 先の国会で、自民党の道州制推進基本法案の提出が見送られました。道州制は国と地方の双方のあり方を根本から見直す大改革であり、その目的は、あくまでも地方分権を進め、地方の自己決定力を高めるものでなくてはなりません。
 今後とも、本来目指すべき本質を曖昧にしたまま、国主導の中央集権型の道州制や、効率化ありきの単なる都道府県合併に進むことのないよう、全国知事会等を通じて働きかけてまいります。
 一方、先の国会においては、地方分権につながる二つの法律が成立しました。いわゆる第4次一括法によって、国から地方への事務・権限の移譲が更に進められることは歓迎すべきことです。しかし、主要な権限は国に残したまま、一部の断片的な事務・権限を移譲するやり方では本質的な地方の裁量拡大にはつながりません。法律の実施規定を包括的に条例に委任する等の抜本的な改革が必要であり、その旨、国に対して繰り返し要請しているところです。
 また、改正地方自治法では、都道府県と政令市の二重行政解消のための「調整会議」の設置が義務付けられることとなりました。本県としては、「新潟州構想検討推進会議」を開催し、法律に先駆けて取組を行ってきたところです。今後、この会議を法律に基づく「調整会議」として位置付け、住民ニーズに、より効率的、効果的に対応するための的確な役割分担の実現に向けて先導的な取組を進めてまいります。
 なお、平成の市町村合併から概ね10年が経過することを受け、合併後の地域の変化を見つめ直すため、先月、「平成の市町村合併に関する懇談会」を開催いたしました。今後、年度内を目処に報告をいただくこととしております。
 合併には光と影の両面があると考えております。有識者の皆様から多角的にご議論いただき、今後の行政運営に活かしてまいりたいと考えております。

 続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
 第125号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額1億1,575万1千円の増額補正についてお諮りいたしました。
 今回の補正予算においては、豚流行性下痢の県内発生を受け、防疫体制の強化を図るための経費を計上するとともに、食や先端ものづくりの関連分野を対象に、新規事業展開・創業支援等を行い、新たな雇用を創出するための経費を計上いたしました。

 その結果、補正後の予算規模は、
 1兆5,686億575万1千円となります。

 次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
 第126号議案は、病院事業会計に係る補正予算でありまして、中央病院の増築・改修に係る債務負担行為を設定するものであります。

 次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
 第127号議案は、職員が外国で勤務等をする配偶者と生活を共にするための休業制度を創設するため条例を制定するものです。
 第128号議案は、現行条例の適用期間の終了に伴い、引き続き法定外普通税として核燃料税を課するため条例を制定するものです。原子炉が停止している状態であっても一定の防護・安全対策の財政需要が生じることから、従来の価額割に加えて出力割を導入した上で、税率については他県状況も勘案し、価額割換算で17%相当にすることとしております。
 第130号議案は、県が行う特定個人情報保護評価に係る第三者点検を行う組織及び事務について必要な事項を定めるため、
 第131号議案は、県立高校の生徒が自殺した案件について、引き続き調査委員会において調査・検証を行うため、
 第132号議案は、地方税法等の改正に伴い、法人県民税及び法人事業税の税率を改正するため、
 第133号議案及び第134号議案は、既設の基金の設置期間を延長するため、
 それぞれ、条例の所要の改正を行うものであります。

 次に、第143号から第146号までの各議案は、緊急を要するため、やむを得ず専決処分を行ったものについて、承認を求めるものであります。
 すなわち、第143号議案及び第144号議案はそれぞれ、平成25年度一般会計補正予算、平成25年度災害救助事業特別会計補正予算であり、歳入予算及び歳出予算ともに最終見込額又は確定額を計上したものであります。また、第145号議案及び第146号議案は、十日町病院改築工事に係る工事請負契約を締結したものであります。

 以上、主な議案の概要につきましてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

(7月11日 知事説明要旨)

 ただいま上程されました議案3件は、いずれも人事に関する案件であります。
 第149号議案は、人事委員会委員を選任するため、
 第150号議案は、監査委員を選任するため、
 第151号議案は、公安委員会委員を任命するため、

それぞれお諮りいたしました。
 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

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