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平成23年6月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0004190 更新日:2019年1月17日更新

平成23年6月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

6月29日 知事説明要旨

 平成23年6月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 はじめに、東日本大震災後の経済の状況についてです。
 我が国経済は、持ち直しの動きが見られていたものの、3月11日に発生した東日本大震災やその後の電力需給問題への対応などによる、生産活動の停滞、売上の落ち込みが、企業業績に大きな影響を及ぼしております。
 また、県内経済は、震災によりプラス、マイナス両面の影響を受けながら、まだら模様の中で、総体として弱い動きが見られます。
 具体的には、被災地向け加工食品や建築関連部材など、いわゆる震災特需により増産となっている業種がある一方で、機械関連産業を中心にサプライチェーンの毀損により稼働率が低下しています。
 こうした中、輸出型産業に影響を及ぼしている円相場は、震災による経済へのダメージにもかかわらず、震災直後に急伸し、一時最高値を更新いたしました。G7により協調介入されたものの、むしろ震災前より円高水準が定着している状況にあります。
 このたびの震災により多数の大手企業の生産拠点が被災しており、このまま行き過ぎた円高を放置すると、生産拠点の海外移転を加速させ、国内産業の空洞化と国内雇用の喪失を進め、地域経済に計り知れない打撃を与えることが懸念されます。
 また、我が国は、依然としてデフレ下にあり、経済成長に重要な設備投資や住宅投資などは依然として低調に推移しております。
 このところ、食料や資源・エネルギー等の価格は上昇基調にありますが、デフレの脱却は、経済全体の価格の変動を表すGDPデフレーターがプラスに転じる状態であります。すなわち、企業の売上や労働者給与の向上、資産価値の上昇など、全体の購買力が高まることが必要です。
 経済をしっかり回復経路に乗せ、未曾有の大災害で直面する国難から早期の復興を果たしていくには、円高是正とデフレ脱却が不可欠であります。政府の復興構想会議において、増税が提言されましたが、国には有効な政策により、きちんと責任を果たしていただきたいと考えております。現在の経済環境では、増税は論外であり、復興財源は、円高是正とデフレ対策の中で確保していくべきものです。
 このため、政府・日銀に対して、全国知事会としても、インフレターゲットを導入し、復興債の日銀引受等により思い切った政府支出を行うなど、適切なマクロ金融・経済財政政策を講じるよう要請してきたところであります。

 次に、長野県北部地震及び東日本大震災についてです。
 今冬の豪雪下に発生した長野県北部地震により、県内においても住宅や道路、農地、農業用施設などに大きな被害が生じました。県では道路等の公共インフラの早期復旧はもとより、可能な限り今春の作付けが可能となるよう、農地等の復旧に全力をあげて取り組んできたところです。
 被災地では、今なお100名を超える避難者が自宅に戻れない状況にあります。県といたしましては、「被災された方々の思い」を大切にして、きめ細かな対応を行い、一日も早く元の生活を取り戻すことができるよう、市町村と連携しながら支援してまいります。
 また、融雪とともにその被害の状況が判明したところですが、被害の大きい農地、公共土木施設については、冬を迎える前までに復旧作業が完了するよう、引き続き全力をあげて取り組んでまいります。
 次に、東日本大震災についてです。東日本大震災は我が国に未曾有の被害をもたらし、地震、津波に加え原子力災害、さらにはそこから波及する電力不足と、幾重もの災禍が重なり、東北地方のみならず国民全体の暮らしや経済活動に甚大な影響を及ぼしています。東北地方の太平洋沿岸地域は、大津波により壊滅的な打撃を受けており、復興まちづくりの基本的な方向が明らかにならなければ、住宅、商店、事業所・工場等は現地復旧、復興事業を進めることすらできない状況です。
 国は、それぞれの被災地域にふさわしい地域主体の復興計画が早期に策定され、それが速やかに実施できるようにするためのスキームと復興財源の確保を急ぐべきです。
 県といたしましては、先般、全国知事会が新たに設置した東日本大震災復興協力本部等を通じ、被災地の復興に向けた提言を国に対して行ってきたところです。今後も、全国の自治体と連携し、被災地のニーズを十分に把握の上、一刻も早い復興に向けた支援を実施してまいりたいと考えております。
 県では、この震災により県外から避難された方々を、県内各地の避難所及び民間宿泊施設等において、現在約7,800人受け入れております。これまで、避難されてきた方々への情報提供や健康相談、避難所の住環境の改善などを実施してきたところです。今後は、避難の長期化を見据え、被災者一人ひとりの気持ちに寄り添いながら、すべての方々が故郷へ戻れる日まで、引き続き支援に努めてまいります。
 こうした中で、他県から避難してこられた児童・生徒1,100名余りが、本県の小・中・高等学校で学んでおられます。これまで、被災した児童・生徒の皆さんの心のケアや、学用品給付、高校生向け奨学金事業等の就学支援等を行ってきたところです。今後とも、本県で学ぶすべての子ども達が安心して、一人ひとりの能力や個性に応じた教育を受けられるよう取り組んでまいります。

 この項目の最後に、原子力災害についてです。
 いまだに収束の兆しが見えない福島第一原子力発電所からは、現在も放射性物質の放出が継続しています。国と東京電力は、まずは早急に放射性物質の放出を止め、いまだに続く放射能への不安を解消していただきたいと考えております。先般、事故調査・検証委員会による事故の検証が始まりましたが、速やかに検証を行い、結果を公表するよう求めていきたいと思います。あわせて、国に対し現行法令の改正など適切な対応を速やかに実施するよう求めているところです。
 県といたしましては、こうした国の安全対策等の対応と並行して、原子力災害から県民を守るために、新潟県防災会議原子力防災部会の議論を踏まえ、まずは見直せるところから原子力防災計画を見直すこととし、その後、順次改定してまいりたいと考えております。
 現在の食品衛生法上の暫定規制値は、原子力災害時において一時的に大量に放射性物質が放出される場合の、緊急的な対応策です。しかしながら、事故の収束は不透明であり、現在も放射性物質の放出が続いて長期化しています。こうした状況を踏まえれば、放射性物質に係る規制値については、国際社会の信頼が回復されるよう、暫定規制値から可能な限り早期に3月16日以前の基準にもどすべきであり、先般、国に申し入れを行ったところであります。
 県では、環境モニタリングとして、県内全域で空間放射線量測定を実施し公表するとともに、河川水、水道水及び農林水産物等の放射性物質の検査を実施し公表しております。
 3月11日の福島第一原子力発電所事故発生から、5月25日までの間の新潟県への放射能の影響について、様々な分野の学識経験者の方々に評価していただきました。空間放射線量、水、食物、土壌、降下物などの観測、測定結果から「現時点では、新潟県において健康に影響が出る放射能レベルではない」「福島第一原子力発電所事故による放射能の放出が収束していない状況であり、半減期の長い放射性セシウムなどについて長期的な放射能監視が必要である」といった意見をいただいております。今後とも継続して県内における放射性物質を監視し、正確な情報を海外を含めて発信してまいりたいと思います。

次に、計画停電の回避に向けた取組についてです。
 東日本大震災により、太平洋側の発電所に甚大な被害が生じました。このため、電力の最大需要期である夏季においては、需要を満たす十分な電力供給に不安を抱えた状況となっています。電力不足による停電を回避するためには、ピーク時の電力使用量をシフトする取組が必要です。必ずしも電力の総需要を抑制するということではありません。
 計画停電は、生命を守る病院・施設の運営や県民の生活、経済活動に大きな影響を及ぼすとともに、東日本大震災からの復興を妨げることから何としても回避すべきです。
 このため県では、電力使用量が最大となる夏季に向けて「ピークカット15%大作戦」としてこれまでトライアルを重ねるとともに、その評価を踏まえ、先般、「夏季対策に関する行動計画」を策定したところです。
 取組に当たっては、過度の節電による熱中症の発生などの県民生活や経済活動に与える影響に最大限配慮する必要があると考えております。県といたしましては、県民への広報や取組への協力を積極的に進め、夏季の計画停電の回避に向けて、地域経済の活性化にもつながる対策を推進してまいります。

 次に、再生可能エネルギーの推進についてです。
 県では、これまでCO2の削減による地球温暖化防止や、次の時代の産業構造の転換を視野に、新潟版グリーンニューディール政策に重点的に取り組んでまいりました。すでに、国内初の商業用メガソーラー発電やバイナリー地熱発電等、再生可能なエネルギーの導入を積極的に進めてきたところであります。
 本県は、広大な県土、長い海岸線、豊富な水資源や温泉など、これまで活用されなかった再生可能エネルギーの源となる立地環境にあります。こうした優位性に加えて、東日本大震災で大規模エネルギー供給施設の被災が社会機能全体を麻痺させたことを踏まえれば、将来のエネルギー供給のあり方は、災害時に強みを発揮する分散型を視野に入れていくべきです。今議会においては、次世代に向けたエネルギーの選択肢を増やすため、家庭への太陽光パネルの設置を促進するとともに、東部産業団地で太陽光発電施設を増設する等、再生可能エネルギーの利用拡大を図るための予算を提案したところであります。
 県といたしましては、今後次の時代のエネルギー・産業施策の選択の幅を拡大させるため、新潟版グリーンニューディール政策の取組を加速させてまいります。
 また、分散型の電源を組み合わせ、最適化するためには、スマートグリッドが重要となります。今年度は東北電力と連携し、粟島においてスマートコミュニティ構築に向けた実証試験を実施してまいりたいと考えております。

 次に、日本海国土軸の構築等についてです。
 このたびの東日本大震災では、東北地方の太平洋側を中心に非常に広域的な範囲で甚大な被害が発生し、東北新幹線や東北自動車道、港湾施設などの公共インフラが寸断され、被災地への迅速な人的・物的支援に大きな支障を生じることになりました。
 このことは、首都圏を中心にした太平洋沿岸地域に偏った一極一軸型のインフラだけでは、圏域を越えた大規模な自然災害に迅速かつ有効な対応がとれないばかりか、被災地の背後地である日本海側地域の経済活動にも大きな影響を与える結果となることを示しました。
 今後、東北地方の復興を進めるに当たっては、こうした状況を十分に踏まえ、国としての公共インフラの代替・補完機能の確保が極めて重要であり、「日本海国土軸」をしっかりと国づくりの一つの柱として位置づけることが必要です。そのため、先般、東北地方の日本海側3県と共同で、国に対して太平洋側と日本海側の相互補完のための公共インフラの整備等について提案を行いました。今後とも、日本海沿岸東北自動車道のミッシングリンクの解消や磐越・上信越自動車道の4車線化、太平洋側の物流代替機能を担う新潟・直江津港の一層の機能強化等を強く求めてまいります。

 次に、並行在来線及び北陸新幹線についてです。
 北陸新幹線開通に伴い経営分離される並行在来線は、学生の通学や高齢者の通院など、日常生活に欠かせない重要な交通手段です。
 昨年11月に設立された新潟県並行在来線株式会社では、運行サービス等の具体の事業計画策定に向け、沿線3市において対話集会を開催し、地元の皆様からご意見を伺ったところであります。
 運行サービスなど住民の関心の高い事柄については、地元と対話を重ねながら理解を得られるよう努め、利便性の確保と合理的経営の両立を目指していくこととしております。
 県といたしましては、沿線地域の交通手段である並行在来線の経営が将来にわたって成り立つよう取り組んでまいります。
 なお、北陸新幹線に係る停車問題や新幹線貸付料の並行在来線赤字解消分の返還など、諸課題の解決に向けた国との協議につきましては、すでに国に対し、2月議会冒頭の提案理由で申し上げたような具体的な解決策を提案しているところです。
 本来ならば、昨年の12月が、国と約束した期限ではありました。その後、予期せぬ東日本大震災の発生などがありましたが、3か月以上経った現在でも、国から未だ回答はいただいておりません。

 次に、地域医療についてです。
 本県は、現在勤務している医師数の約22%に当たる591人もの勤務医が不足しております。とりわけ医師の地域偏在が深刻であり、極めて憂慮すべき状況にあります。医療環境の整備を図る上で、勤務医の不足対策は最重要課題です。
 県では、こうした医師の絶対数の不足と地域偏在に対応するため、研修医招致活動や医学生への修学資金の貸与など医師招へい対策を進めております。しかしながら、現在の制度・枠組みの中では、条件不利地域の医師不足を解決することは困難なことから、先般、国に対し、医師のへき地勤務の義務化などに加え、特に逼迫している地域における医学部の新設等に関する規制緩和を強く要望したところです。
 一方、仮称ですが魚沼基幹病院については、5月に整備基本計画を策定・公表し、現在、来年4月の財団設立に向け、医師・看護師等の確保策や運営方針等について検討を進めております。加えて、病院の開院に先行して、新潟大学と東京大学が共同で行うコホート研究の寄附講座を早期に開講するための準備を進めているところであります。
 さらに、県央地域の救命救急センター及び併設病院については、これまでの検討会議であるべき姿の共通認識が図られたことから、県央地域の住民の皆様にその内容のご理解と、安全・安心な医療提供体制について考えていただく契機とするためシンポジウムを開催したところであります。今後、有識者等も交え、救命救急センター及び併設病院の具体的な医療提供体制の検討を進め、本年度中を目標に、地域住民や医療関係者、行政の合意が図られるよう、着実に取組を進めてまいります。
 また、救命医療体制の整備に向けて、ドクターヘリ導入の準備を進めてまいりました。これまで、住民説明会やデモフライトなどを実施し、新潟大学医歯学総合病院を基地病院とすることについて、関係者及び地域住民の皆様のご理解をいただいたところであり、来年度中の運行開始を目指してまいります。
 県民の皆様が安心して暮らせる地域医療を守っていくために、今後とも全力で取り組んでまいります。

 次に、農業問題についてです。
 県では、農家の所得向上に向け、新潟版所得保障モデル事業を実施しております。昨年度は、すべてのモデル地区において非主食用米の生産面積が拡大したことに加え、一部の地区では米の直売など6次産業化を着実に後押ししたものと考えています。
 また、中山間地域においても、法人の経営規模が拡大するとともに追加雇用も生まれるなど一定の成果が得られたと認識しております。今年度は、モデル地区をさらに3地区追加し、検証の精度を高めることとしております。
 一方、昨年度実施された国の戸別所得補償モデル対策では、主食用米の過剰作付けの大幅な解消には至らず、結果として、全国的な需給緩和などから米価の下落につながったものと認識しております。
 本年度は、地域の裁量に配慮した産地資金等が創設されるなど、本県の主張が一部反映されましたが、非主食用米へ誘導するインセンティブが依然として弱く、また、全国一律単価であるなど基本的な仕組みは変わっておりません。
 非主食用米の生産に対する支援を一層充実するとともに、大規模経営や中山間地域における6次産業化等、多様な経営努力に対し、地域で裁量が発揮できる制度に改善する必要があり、これらについて、先般、政府に要望したところであります。
 加えて、非主食用米の生産の拡大には新たな需要の開拓が必要です。飛躍的な米粉の需要増につなげるには、小麦粉と同様、様々な用途に応じた米粉の規格化を進める必要があります。県では、独自に製粉企業や食品メーカー等の関係者からなる検討委員会を設置し、年内を目途に検討結果を取りまとめることとしております。
 また、プレミックス粉や小麦アレルギー対応商品の開発を支援するなど、引き続き着実な米粉の需要拡大に努めてまいります。
 さて、これから稲の生育に重要な時期を迎えますが、22年産米の大幅な品質低下を踏まえ、県では、調査体制の充実や農家への迅速な情報提供など、管理体制の構築に取り組んできたところです。
 新潟米がトップブランドに相応しい食味を維持しつつ、一定の品質が確保されるよう、今後も栽培管理対策に万全を期してまいります。
 こうした取組の一方で、付加価値のさらなる向上に努める必要があります。東日本大震災を契機とし、本県産コシヒカリの卸間取引価格が高騰していますが、この付加価値は県内の農家に還元されず、県外に流出しているものと考えております。地域の特色を活かした商品づくりや企画販売力の強化による直売の拡大など、付加価値が県内に環流する取組をさらに進めてまいります。

 次に、個を伸ばす教育についてです。
 若者の県外への転出超過は、平成20年度から減少傾向にあるものの、依然として4,000人を超える転出超過が続いており、魅力ある教育環境の充実は、本県における重要かつ喫緊の課題です。
 県では、個を伸ばす教育推進検討会での議論を踏まえ、魅力ある学校づくりに向けて、昨年3月に私立学校審議会に検討を依頼していたところですが、このたび、私立高校の魅力向上の取組への支援や私立高校の新設抑制方針の見直しについて建議をいただいたところです。
 県としましては、この建議の趣旨を真摯に受け止め、私立高校の特色ある教育を一層推進し、公立高校と切磋琢磨するなかで、全国から多くの若者を惹きつける魅力ある教育環境の充実を図ってまいりたいと考えております。
 具体的には、私立高校においては、国際人材の育成や、医学部等の進路希望達成のための学力向上の取組、スポーツ・芸術分野の才能を伸ばす取組に対して新たに支援することとし、先般、外部有識者からなる審査委員会で審査していただき、優れた取組を選定したところです。
 また、県立高校に関しては、生徒や保護者の皆さんのニーズを踏まえ、産業界を始めとする地域の声をお聞きしながら、海外の大学や音楽院への進学の夢を叶えるコース、伝統的な日本建築の匠を目指す学科等の開設に向け、学習環境の整備を進めてまいります。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
 北朝鮮は、平成20年8月の日朝実務者協議で合意した「生存者を発見し帰国させるための再調査」を実施せず、拉致問題は膠着状態にあります。
 こうした中、5月8日に日比谷公会堂で開催された「すべての拉致被害者を救出するぞ!国民大集会」に「知事の会」を代表して参加してまいりました。
 国民大集会ではご家族から、時間は無制限ではなく、家族がそろって会える時間がなくなりつつあり、いまこそ一つになって取り組んでほしいという思いが語られていました。また、私たちの願いは「論より救出です。」という悲痛な声も上がっていました。
 集会の中では、北朝鮮に対し今年9月までに拉致被害者の再調査をするよう交渉した上で、履行しない場合は追加制裁を行うこととするなど、政府の具体的な対応が求められていました。
 ご家族のお気持ちを考えると本当に胸の詰まる思いがしました。我が国は東日本大震災、原発事故という厳しい状況下にありますが、命の大切さという意味では同じです。政府は北朝鮮による再調査を早急に実現させるべきであります。
 県といたしましては、政府を後押しするためにも地方から世論をより一層喚起し、一日も早い拉致被害者の帰国へつなげていくために、ご家族と気持ちをひとつにして、今後とも全力で取り組んでまいります。

 最後に、新潟州構想についてです。
 進展が見られない国の地方分権・地域主権改革を地方から押し進めるものとして、篠田新潟市長と提唱した新潟州構想については、先の県議会の議論等も踏まえ、5月に新潟州構想検討委員会の準備会を開催しました。
 この間、東日本大震災への対応を通じて、自分たちの街をどうつくっていくのか、地方政府が多くの知恵を発揮して危機を乗り越えていく、そういう制度設計を選択できる国に変わっていかなければならないとの想いを、改めて実感したところです。
 先の準備会では、県と政令市の役割分担の見直しなどに加え、新潟の拠点性や活力の向上につながることを県民の皆様にご理解いただくことが重要とのご意見をいただきました。今後設置する新潟州構想検討委員会において、こうしたご意見も踏まえ、北川座長の下、検討を進めていただきたいと考えております。
 現在の地方自治制度や大都市制度の課題解決に向け、地方が自己変革できる仕組みを実現するとともに、移行に当たっては現状維持からスタートし、その後の時間軸の流れの中で民意を反映しながら、よりよい体制を構築してまいりたいと思っています。
 新潟州構想の実現に向け、まずは、県議会を始め、多くの方にご理解いただくための取組を進めてまいります。

 続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
 第78号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額77億901万5千円の増額補正についてお諮りいたしました。
 今回の補正は、長野県北部地震からの早期復旧・復興に要する経費や東日本大震災の被災者支援等に必要な経費を計上するほか、当初予算編成後の事由による重要かつ緊急性のある経費等について計上するものであります。

 以下、補正予算の主な項目について、これまで述べたもの以外についてご説明を申し上げます。
 まず、長野県北部地震及び東日本大震災への対応として、農地・農業用施設等の復旧に要する経費のほか、被災された方々の雇用・就業機会の確保に要する経費等を計上いたしました。また、観光需要の復興に向けた誘客対策経費や節電対策として佐渡・粟島での長期滞在を促すための航路運賃割引の支援経費等を計上したところです。
 その他の経費としては、豪雪に伴う消雪遅延による被害を防止するための対策を講じる市町村等の取組を支援するため、所要の経費を計上したほか、県立武道館の検討のための調査費を計上いたしました。また、新潟空港の利用者の増加を図るため、高速バスの空港乗入れによる実証実験に要する経費等を措置したところであります。

 その結果、補正後の予算規模は、
 1兆2,300億7,901万5千円となります。

 次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
 第79号から第82号までの各議案は、特別会計及び企業会計に係る補正予算でありまして、長野県北部地震及び東日本大震災関連経費を計上するほか、事業実施上必要とするものについて、それぞれ補正するものであります。

 次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
 第85号議案は、現行条例における法人県民税の超過課税の適用期間を延長するため、
 第86号議案は、被災した生徒に対し、連帯保証人のみで奨学金を貸与できるようにするため、
 第87号議案は、授業料減免等臨時特例基金の支給対象に、東日本大震災により就学が困難となった生徒等に対する就学支援等を追加するため、
 第89号議案は、県立鳥屋野潟公園の未供用部分について、使用者の範囲を拡大するため、
 それぞれ、条例の所要の改正を行うものであります。

 次に、第92号議案及び第93号議案は、財産の取得について、お諮りするものです。

 次に、第94号議案及び第95号議案は、緊急を要するため、やむを得ず専決処分を行ったものについて、承認を求めるものであります。
 すなわち、第94号議案、第95号議案はそれぞれ、平成22年度一般会計補正予算、平成22年度災害救助事業特別会計補正予算であり、歳入予算及び歳出予算ともに最終見込額又は確定額を計上したものであります。
 最後に、第96号から第98号までの各議案は、損害賠償額の決定について、お諮りするものです。

 以上、主な議案の概要につきまして説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

7月15日 知事説明要旨

 ただいま上程されました第99号議案は、人事に関する案件でありまして、公安委員会委員の任命についてお諮りしたものであります。
 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

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