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平成15年2月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0003140 更新日:2019年1月17日更新

平成15年2月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

2月17日説明要旨

 平成15年2月定例県議会の開会に当たり、私の所信の表明と提案する議案の概要を申し述べ、議員各位及び県民の皆様にご理解とご協力をお願い申し上げたいと思います。

 世界は、冷戦時代における自由主義対共産主義というイデオロギーの対立構造がほぼ終焉したものの、現在も中東紛争やユーゴ紛争などの民族・地域間紛争や、一昨年9月11日の米国の同時多発テロの発生など、冷戦時とは異なる新たな困難な課題に直面しております。
 殊に、現在の世界が当面している大量破壊兵器の査察問題に伴うイラク情勢と、本県にも大きな関係を有する拉致問題や核開発問題を含む北朝鮮情勢は、日々緊迫度を高めており、私たちは、国際社会の一員として、新たな国際秩序の構築に向けた的確な対応を迫られています。
 そのような国際政治の混迷の中で、近年、新たな21世紀の2つのグローバリズムが、世界の国々や地域に社会経済上のインパクトを与えていることに注視する必要があると考えています。それは、「経済のグローバリズム」と「環境のグローバリズム」の二つであり、この二つのグローバリズムは相反する面があり、20世紀のイデオロギーの対立に代わって、21世紀の新たな対立として人類が対応していかなければならない最も重要な課題となってきていると考えております。
 すなわち、世界経済において、IT化の進展や金融技術の発達により、実体経済を大きく上回る金融取引が活発化し、国際企業は国境を越えてより有利なところに立地を選択するようになり、ひとつのマーケットとなった世界経済は、市場主義の効率性を追求するグローバル化として世界に広まり、こうした競争型の経済体制は新たな南北問題など、貧富の拡大を生み、国際社会を不安定化させるなどの問題を生じています。
 一方で、環境面においては、大量消費、大量廃棄社会が世界的な地球温暖化をもたらし、太古から続いてきたヒマラヤの氷河が年々縮小し、また、オゾンホールの影響で南極の氷が解け、海面が上昇し、南太平洋の島々は消滅の危機に晒されているなど、1962年にレイチェル・カーソンが「沈黙の春」で指摘したように、わずかな化学物質が一定の蓄積や他の物質との相互作用により生態系に大きな影響を与えることから、有害化学物質を一国のみならず世界的に規制する必要が生じるなど、環境問題はグローバルな地球規模で対応する必要に迫られています。
 さらに、21世紀の人類は、人口の急拡大と資源利用の増加等から、その歴史上初めて、エネルギー、食糧、水等の地球資源の限界を見据えて生きていかなければならない時代に入っています。こうした限りある条件をクリアーしていくためには、地球規模での人類の知恵を傾注し、地球を統治していくグローバル・ガバナンスのための協力が必要でありますが、ただいま申し上げた自由主義を前提とする市場主義をベースとした「経済のグローバリズム」はこうした「環境のグローバリズム」とは相反する性質を有しているものと思われます。
 勿論、国際政治・経済や世界中の人々の営みとに関連した複雑な課題に対し、「経済主義」、「環境主義」どちらかのみで律していくことは難しいものであり、直ちにこうした問題が解決されるとは思いません。しかし、このことは、構造改革による新しい国のかたちを模索している我が国にとって、根本的な命題となっており、こうした時代に生きる我々は、まず自らが、清らかな自然に恵まれた豊かな地域社会を守りながら、現実の厳しい競争条件に対応していかなければならないことをしっかり自覚していく必要があると考えている次第です。
 そのような視点から、県民一人一人が、日々の暮らしの中で、今後とも私たちの生活を守っていくためにも、木を植えることを通じて、地球環境や百年後の故郷の自然環境に思いをいたしながら、我々が2つのグローバリズムの中でどう生き、どういう地域社会をつくっていくのかを、考えていきたいという願いから、「にいがた「緑」の百年物語」の県民運動をはじめとする活動を着実に展開していきたいと思います。

 日本は、江戸時代から、明治、大正、昭和、そして平成と「坂の上の雲」を目指して成長し続け、飢餓と貧困をおおむね克服し、「物の豊かさ」を手にしましたが、「経済主義」と「環境主義」ともいえる2つのグローバリズムの調和という課題に、地域社会や地域文化が直面している今こそ、私たちは立ち止まって、「本当の豊かさ」とは何かをもう一度見つめ直さねばなりません。
 「本当の豊かさ」には、「物の豊かさ」とともに「心の豊かさ」が必要でありますが、「心の豊かさ」を支えるのは、一人一人の自立した心と、互いに助け合う心温かい地域社会であると思います。これからの本格的な少子・高齢社会を迎える中で、これまでのような大きな政府を維持していくことには限界があり、公による画一的な行政サービスの「公助」のみでは支えきれなくなる一方、経済社会が複雑化し、個人の人生に様々なリスクが高まっている中で、個人の自助努力や家族内だけで支え合う「自助」のみでも限界があり、そのためには、地域住民がお互いに助け合う、「共助型社会」を築いていくことが、「心の豊かさ」が感じられる地域社会づくりのためには必要になっていると考えており、こうした社会づくりに努力して参りたいと思います。

 次に、県政を巡る主な動きについて、ご説明いたします。
 本県出身の蓮池薫さん、祐木子さんご夫妻及び曽我ひとみさんをはじめとする5人の拉致被害者の方々が24年ぶりに帰国されて、日本の土を踏まれた昨年10月15日は、私たちにとって、忘れがたい日となりました。その後、北朝鮮の核開発が明るみになるという予想外の展開の中で、日朝国交正常化交渉が進まず、拉致問題の真相解明も全面解決にはほど遠い状況にあります。
 一方で、新潟港を玄関口として使用する万景峰号92において、我が国の主権を脅かす工作活動が行われていたことが明らかになったことは、県民感情を著しく損なう極めて重大な問題であります。
 このような情勢を踏まえ、私としては、政府に対して、北朝鮮に残されたご家族の安全確認と情報提供、そして、家族全員の一日も早い永住帰国をはじめ、拉致問題の真相解明と責任の追及を要望するとともに、北朝鮮の工作活動に対する徹底した調査、通関・出入国等の厳正な検査態勢の整備、保安上問題がある場合の外国船の入港を規制する新たな法制整備の検討などについても、先般、緊急要望したところです。
 また、県といたしましては、社会体験プログラムの実施など、地元としてできる限りきめ細かな支援に取り組んでおり、当面は3人の方々の更なる生活の安定への支援とご家族の帰国後の支援体制の検討等に取り組んで参る所存です。
 拉致問題の解決のためには、私達の胸のブルーリボンに象徴される県民の解決への願いが、何よりも強い後押しになるものと考えており、県民世論の輪を拡げ、国家間交渉における拉致問題の優先解決を側面から促進して参りたいと考えております。

 次に、原子力発電を巡る問題についてであります。昨年8月の事業者の自主点検作業記録等の不正記載問題の発生、その後明らかとなった格納容器漏えい率試験の不正問題の発生など、一連の原子力発電に係る問題は、永年かかって積み上げてきた県民の安全性に対する信頼を根底から一挙に覆すものであり、誠に遺憾なものでありました。
 私としましては、県民を代表して、あらゆる機会を通じて、立地地域における安全と信頼の再構築に向けて、節電努力も含め全号機点検の可能な限り早急な実施を行い、その点検結果に対する徹底した安全評価を実施することに加え、国の安全規制体制の見直し・強化、国及び事業者における情報公開の徹底と透明性の確保などに真摯に取り組むよう要請し続けてきたところであり、その結果、国及び事業者において各般の対応がなされているところであります。
 さらに県といたしましては、今回の一連の事件を踏まえ、発電所の活動に対する県自らの技術的チェック機能を強化する必要があると判断し、今月5日、専門技術的見地から指導・助言を受けるための「原子力発電所の安全管理活動に関する技術委員会」を設置したところであり、現在、同委員会の助言等を得ながら、これまでの点検結果等に対する県の立場でのチェック作業を進めているところです。
今後、夏場のピーク対応ということもあって、停止点検を行っているプラントの運転再開が最大の焦点となって参りますが、この課題につきましては、私は、かねてから、徹底的な点検結果に基づいて国により厳正で慎重な評価が行われること、そして、それら安全確認を踏まえ、地元住民に対し国により責任を持って安心してもらうための適切な説明がなされることが必要であると考え、その旨国に強く要請してきたところです。
 運転の再開は、信頼に基づく地域と発電所の新たな関係の出発点になるべきであり、そのためには、まず安全性に対し一元的な責任と権限を有する国が前面に出て、責任を持って「安全」と「安心」の溝を埋めるための万全の対応が必要であると考えております。

 次に、昨年12月に取りまとめられました新たな米政策を踏まえ、当面の対応として、本県稲作農業が、徹底した売れる米づくりにより産地間競争に打ち勝ち、消費者に支持される良質米生産県の地位を一層確固たるものとするため、15年度を新対策移行準備期間として、これまで以上に、高品質・良食味米の低コスト・安定生産に取り組んで参ります。また、国の米政策改革大綱に対しましても、今後の厳しい米を巡る状況を考えますと、将来展望の見込める早期の改革実施が必要であり、今後とも具体的改革方向を提案しながら、米政策の適正な実施に努めて参りたいと思います。
 さらに、WTO農業交渉についてでありますが、今月12日に提案されたモダリティ1次案、すなわち保護削減の基準案は、関税率の大幅な引下げやミニマム・アクセス数量の拡大など、全体として保護に対する削減数値が極めて大きく、我が国としては到底受け入れがたい内容となっております。
 これが実施された場合には、稲作を基幹とする本県農業に甚大な影響が及ぶこととなりますことから、食糧安全保障の確保や農業の多面的機能への配慮を基本とした日本提案が実現されるよう、モダリティ確立に向けた交渉の山場を見据え、国に対して、他の主要な米産県との連携も図りながら、要望して参る考えであります。

 次に、県政が直面する諸課題への対応について申し上げます。
 まず、県政目下の最重要課題は、県財政の健全化であります。
 平成11年の財政健全化計画に引き続き、昨年1月に財政健全化プログラムを策定し、県財政の健全化に向けて、歳入歳出にわたり、各般の取組みを進めて参りました。
 特に、財政健全化プログラムにおいては、14年度から16年度までの間に公債費が実質的に300億円増加することを踏まえ、県民に対する行政サービスを急激に低下させないように努めながら、基金に頼った財政運営を改め、中期的かつ段階的に財政収支の均衡を回復することを目指し、同期間で歳出を300億円縮減することを目標に、健全化のための具体的な方策を定めております。
 このプログラムに基づき、平成14年度予算においては、投資的経費の抑制や給与の臨時的削減、核燃料税の引き上げ等に取り組みましたが、平成15年度予算編成において、これまでシーリングの対象外として聖域扱いとされてきた準義務的経費、団体運営費補助金及び任意上乗せ補助金の見直しに踏み込むとともに、新たな予算編成方式として、部局が枠内で自主的に事業再構築を進めることができるよう大括りの予算要求上限枠方式を採り入れ、歳出カットに取り組んで参りました。
 しかしながら、それらによる健全化の取組みにもかかわらず、県税収入の大幅な落ち込み、国税の減収による地方交付税の抑制など、本県財政を取り巻く環境は一段と悪化しており、その結果、15年度予算は、主要三基金をぎりぎり限界まで活用せざるを得ないうえ、実質的には赤字地方債である財政健全化債を28年ぶりに発行せざるを得ない状況となっています。こうした状況に至ったことに対し、最高責任者として、景気の先行き見通しが困難であったとはいえ、強い責任を感じているところであります。
 今後についても、構造的なデフレ経済の克服の目途が立っていないことから、本県財政の見通しは楽観視できる状況には全くなく、地域・経済の活性化や本格的な少子高齢社会への対応等の行政需要に的確に対応していくためにも、15年度以降も、県行政の内部的経費はもとより、他会計繰出金、扶助費、補助金、投資的経費等について、聖域なく事業を見直すなど更なる健全化への努力が必要であると考えており、全力を傾注して財政再建に取り組んで参ります。
 ここで厳しい財政健全化を進めるのは、21世紀の本県を担う子や孫の世代においても、県の行政サービスを長期的かつ安定的に提供していくためであり、そのことを、広く県民の皆様にご理解を頂くよう訴えながら、今後の財政健全化の取組みに注力して参る所存です。議員各位に対しましても、ご理解を重ねてお願い申し上げる次第であります。
 また、国においては、日本経済を再生させるため、歳出、税制、金融、規制の4つの分野の構造改革を推進することとしていますが、その中でも、地方財政については、国庫補助負担金及び交付税の見直し、税源移譲という、いわゆる「三位一体の改革」について、本年6月を目途に、改革の構想を経済財政諮問会議で取りまとめることとしておりますので、県財政の健全化はもとより、豊かな地域社会をつくり、真の地方の自立のためには、何よりも地方税財源の充実確保、中でも税源移譲が不可欠でありますので、その実現に向けて、積極的に働きかけて参りたいと思います。また、このことも含めて、何と言いましても地方の建て直しのためには、分権による自立が不可欠であり、この議論を盛り上げ、一日も早い地方分権の確立に向け努力して参る所存であります。

 次に、経済のグローバル化など、複合的な構造要因により長期停滞する我が国の経済の中で、本県産業の持つ「ものづくり」の技術集積などの強みを発揮し、自立的に活力を回復するためには、新規創業、新分野進出などの経営革新の促進、次代をリードする産業の戦略的な創造に向けて、産学官の連携による取組みが急務であります。そのため、産学官のネットワークづくりや、県経済をリードする企業と人材の育成、更にはマーケティング重視の商品開発などを総合的に果たしていくための機能を持った「にいがた産業創造機構」を創設することとしております。
 15年度から、民間からの人材登用を進めつつ、IT産業クラスター形成プロジェクト、医療分野のナノテク開発プロジェクト、プラズマディスプレイ産業群形成促進プロジェクトなどの産業創造プロジェクトを展開し、本県産業振興の核として、積極的に取り組んで参ります。

 さらに、本年5月に、長年取り組んで参りました万代島再開発事業により、朱鷺メッセがオープンいたします。
 この朱鷺メッセの展望室から新潟港を見下ろし、日米修好通商条約により開港した135年前の発展への期待を思い浮かべたとき、この朱鷺メッセは、本県が21世紀において自立的な経済発展、地域活性化を遂げるための核機能であり、日本海大交流時代における北東アジア経済圏の国際交流拠点となるものと考えております。
 そのためにも、世界中から多くの人が集い、県民の方々が交流するこの拠点の活用については、あらゆる知恵を結集して創意工夫して参る所存であり、朱鷺メッセのオープンが、本県にとって、世界に対する新たな「開港」となるように取り組んで参る考えであります。

 次に平成15年度当初予算編成方針について説明申し上げます。
 来年度の本県財政は、県税収入が更に大幅に減少し、平成2年度決算の水準を割り込むという厳しい事態になっている一方、公債費が前年度に比べ実質的に142億円増加することなどから、大幅な収支不足が改善できないという極めて厳しい財政状況に置かれており、先ほども申したとおり、主要三基金のぎりぎりの活用や財政健全化債の発行で対応せざるを得ない状況となっています。
 そのため、平成15年度当初予算は、財政健全化プログラムに沿った財政健全化の着実な推進を図るとともに、県内景気を踏まえ、地域・経済活性化の一層の促進にも努めることとし、この双方の目的達成に向け、予算規模を抑制する中で、地域・経済の活性化に資する事業、県民起点の視点から満足度の高い事業を重点的に実施することとしております。
 具体的には、準義務的経費等の見直し、外部委託化やPFI事業の着実な推進など民間活力の活用、公共事業等の抑制や給与の臨時的削減の継続等により、財政健全化を進めるとともに、にいがた未来戦略の着実な展開に加え、中小企業・雇用のセーフティーネット対策や、「にいがた産業創造機構」の創設等新産業の育成、新たな観光振興などの戦略課題への対応、さらには、障害者支援費制度の円滑実施や障害児保育等の充実、心豊かで安心できる高齢社会のあり方の検討など医療・保健・福祉の充実、地域振興予算制度の本格実施や市町村合併の支援、朱鷺メッセのオープンに伴う事業展開等に、限られた財源を重点的に配分し、諸課題に対応することとしております。

 次に、15年度予算の具体的な内容について、長期計画の施策体系に沿って、ご説明申し上げます。
第一に、「いきいき・ひとづくり」についてであります。
 「自立と参画のひとづくり」を目指し、「パートナーシップ」による県づくりを進めるため、NPO活動の活発化を図るべく、新たに「NPOサポートセンター」を開設するとともに、公益信託基金による「サポートファンド」を造成し、NPOが行う公益事業を支援します。
 また、21世紀に向けて「子どもたちの未来を拓く学校づくり」を目指し、15年度は少人数学習について小学5年生及び6年生の国語並びに中学3年生の数学及び英語まで拡大し、「にいがた学びはつらつプラン」の一層の充実を図るほか、いじめ・不登校問題に対応し、いわゆる「中1ギャップ」問題の原因と解決策の研究に取り組むとともに、スクールカウンセラーの配置を拡大します。そのほか、県立高校の学校・学科改編の導入を行うとともに、三条高校、高田高校及び新発田高校の全面改築を進めるなど、魅力ある高校生活を送ることのできる環境整備を進めるほか、障害のある児童・生徒の教育に対するニーズに的確に応えるため、柏崎養護学校さざなみ分校を「はまなす養護学校」として本校化することとしております。
 さらに、青少年の健全育成を図るため、「少年サポートセンター」を、新潟市に加え、長岡市及び上越市に新たに設置します。
 次に、ワールドカップで芽生えた新たな県民スポーツ振興の一層の促進を図り、スポーツ文化を地域に根付かせるため、新潟スタジアムの利用促進や大規模スポーツ大会等の誘致・誘客活動の実施、スポーツ資料展示室等の設置を行うとともに、県立野球場の整備に着手するなど、地域活性化を図るための総合的なスポーツの振興を図ります。
また、我が県の地域文化の発展・創造を図るため、県民参加の総合文化祭「新潟県民文化祭2003」を開催するとともに、新たに7月にオープンする万代島美術館において、開館記念展や企画展を開催しますほか、参加型・体験型の新美術館の基本計画策定のための調査を実施します。
 第二は、県民誰もが心豊かに安心できる暮らしを目指した「ゆうゆう・くらしづくり」についてであります。
 「男女が共に参画できる社会づくり」を進めるため、市町村における取組みへの支援など、男女平等社会づくりを推進しますとともに、配偶者からの暴力の防止や、同被害者の保護や支援を行います。
 次に、「保健・医療・福祉の充実した社会づくり」を推進するため、医療安全に関する相談や苦情を受け付ける「県民医療安全相談窓口」を新たに設置するとともに、本県の救命率の向上のため、「メディカルコントロール協議会」を設置するほか、本県の医師不足等の解消のための地域医療機能の連携や分担の推進及び遠隔医療の支援システムの検討、さらには、安心して子どもを産み育てる環境づくりのため、総合周産期母子医療センターを中心とした周産期医療ネットワークの整備への取組みや、夜間休日の小児救急医療体制づくりの検討を行って参ります。
 併せて、県北地域の基幹病院として、高度先進医療と救命救急医療の充実を図るため、新発田病院及びリウマチセンター等の建設に着手します。
 次に、「高齢者の活力を生かした社会づくり」を目指し、地域で心豊かに安心して暮らし続けることができるような総合的支援のあり方を検討するとともに、高齢者の社会活動等への参加を促進するほか、高齢者や障害者等の快適な在宅生活を支援するため、「ユニバーサルデザインの住宅づくり」に関する調査研究を行います。
 また、障害者の自己決定権を重視した障害者支援費制度の15年度からの円滑な施行を目指して、市町村への支援及び利用者等への情報提供等を行うほか、引き続き「バリアフリーまちづくり事業」を推進します。
さらに、少子化対策として、「安心子育てサポート戦略」に基づく事業を展開するほか、小児救急医療体制づくり、県単障害児保育事業及び県単障害児教育事業を拡充し、安心して子どもを産み育てる環境づくりを進めることとしております。
 そのほか、人と動物のふれあいを通じた教育・福祉活動の総合的な推進のために、拠点施設の整備を推進し、施設建設基本構想の策定等を行います。
 次に、「地球にやさしい環境共生の社会づくり」に向け、『にいがた「緑」の百年物語県民運動』の本格的な展開に加え、新たに再生品・循環資源等の情報を交換するシステム「リサイクルいちば」を構築し、「資源再生・ごみ半減戦略」を着実に展開して参りますほか、トキの野生復帰に向けて、自然と人との共生可能な自然・社会環境の整備を進めます。
 次に、「個性豊かな地域づくり」についてでありますが、平成17年3月の合併特例法の期限を視野に入れると、15年度は合併に向けての実質的な協議のタイムリミットとなりますので、合併作業のヤマ場との認識のもと、まず、年度前半までに法定合併協議会の設置が進むよう、市町村の積極的な取組みを促すこととし、市町村合併支援道路整備や市町村合併特別交付金等の活用にも十分意を用いて参りたいと思います。
 また、14年度から新たに設置した地域振興事務所等が市町村や地域住民の方々とともに策定した「地域振興計画」の事業展開を支える地域振興予算制度を15年度から本格実施することとしておりますほか、ユニバーサルデザインの考え方に基づいた社会資本整備のあり方についても、調査検討を行います。
 さらに、「いきいきとした中山間地づくり」を目指し、公共交通空白地域の生活交通を確保し、少人数の交通需要に対応していくため、住民相互扶助方式の実証実験の取組みを進めるとともに、中山間地における体験交流型観光を推進するための核となる人材の育成を行います。
 第三は、「のびのび活力づくり」についてであります。
 「新たな産業の創出による活力づくり」を目指し、「にいがた産業創造機構」を創設し、県内企業の支援や新産業の育成、産学官等によるプロジェクトの推進等に取り組むとともに、創業準備オフィスを備えた「起業化支援・交流拠点施設」を開設します。
また、新たな地域資源である海洋深層水の産業活用を目指し、「佐渡海洋深層水」の資源開発を支援するとともに、雪エネルギーや燃料電池など新たなエネルギーの導入促進に積極的に取り組みます。
  次に「地域産業の活力づくり」についてでありますが、14年度から戦略課題として取り組んでいる「雇用の場の確保」と「円滑な労働移動の支援」については、県内の雇用情勢が厳しいことを踏まえ、県内4産地で策定した「地場産業振興アクションプラン」に基づく産地主体の取組みへの総合的な支援を引き続き行うとともに、新たに栃尾市における織物業のアクションプラン策定を支援します。
 また、中小企業の健全化を図るためのセーフティーネット資金を創設するとともに、緊急地域雇用創出特別基金等を拡充して、雇用・就業機会を創出するほか、本県産業において、重要な役割を占める建設産業について、アクションプログラム等に基づき合併・協業組合化などの企業再編や新分野・新市場の開拓・進出への意欲ある取組を支援して参ります。
 そのほか、金融対策を充実し、経営の改善と安定を支援するほか、郊外型大型店の出店により著しい影響が予測される商店街の競争力を強化するため、個店の魅力アップや商店街の活性化の取組みを支援するとともに、県内の技能尊重の機運を醸成し、次代を担う青年技能者の育成を目指し、「技能五輪全国大会」を本年10月に朱鷺メッセで開催いたします。
 また、15年度から新たな課題として、今後の大きな雇用効果が期待される「新しい観光振興」と「交流型産業の育成」に取り組むこととし、観光客の落込みの続く佐渡について、観光アクションプランを実施していくほか、佐渡らしい食のもてなしや佐渡の新たな魅力の情報発信についても一層取り組むほか、歩いて楽しめるまちづくりを推進します。また、海外については、訪日旅行者の多い中国広東省への売り込み等に取り組むほか、映画撮影などのフィルムコミッションを支援する体制を整備します。
 さらに、より効果的な県内への企業誘致を目指し、「企業誘致専門員」の配置に加え、新たに「産業立地促進税制」と「先端型貸工場制度」を設けることとしています。
 次に、「豊かな食と緑のくにづくり」についてでありますが、激化する産地間競争に打ち勝つには、農業経営の法人化と経営体質強化を進める必要があり、そのための法人化・多角化を支援するとともに、新たな米政策に対応できるよう、「新潟米情報センター」の設置や売れる米づくりの戦略プランの策定を支援します。
また、食品の安全・安心を求めるニーズに対応するため、「食の安全・安心システム」としてトレーサビリティ・システムの確立と普及を支援するほか、県産材の利用促進を図るため、県産材総合振興事業を拡充し、新たに「県産材流通情報センター」の設置支援などを進めるとともに、県産材による木造住宅建設を促進する「にいがた木の家」推進事業を制度を改良のうえ実施します。
 そのほか、「世界に開かれた交流拠点づくり」といたしましては、朱鷺メッセのオープンを迎え、開業記念事業「朱鷺めき新潟-未来ワールド」を開催し、公共空間の賑わいを創りますとともに、新潟空港の拠点性を高めるため、国際航空路線等の拡充や利用圏域の拡大、更に国際航空貨物の集荷促進を図りますほか、交通ネットワークづくりのため、国際都市である新潟都市圏の円滑な交通の実現に向けた「都市交通政策ビジョン」の策定を進めることとしております。

 以上申し上げて参りました、平成15年度一般会計予算は、総額1兆2,847億9千万円、公債費を除いた一般歳出では1兆765億1千4百万円となり、平成14年度予算に比べ、総額で1.2%減、一般歳出では5.0%減となったところであります。
 主要財源といたしましては、
県税 2,312億円
地方交付税 3,155億円
国庫支出金 2,459億円
県債 2,204億円
などを見積もっております。

 次に、本定例県議会に平成15年度当初予算と併せて上程されました平成14年度補正予算に関する議案2件について説明申し上げます。
 第63号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額201億1,778万円の追加補正についてお諮りいたしました。今回の補正は、去る1月30日に国の補正予算が国会で成立したこと等に伴い、所要の予算措置を講じるものであります。
 その主要なものといたしましては、
 まず、一般公共事業関係では、道路、河川、砂防、港湾事業をはじめ、農業生産基盤整備や治山事業などを実施するほか、直轄事業負担金に係る所要経費を計上いたしました。
 また、農林水産関係では、「佐渡海洋深層水」の関連施設等の整備に係る所要経費、福祉保健関係では、介護予防拠点や保育所の整備に係る所要経費を計上するとともに、新世代地域ケーブルテレビ整備に係る経費等を計上いたしました。
 以上、補正の主な内容について説明申し上げましたが、補正後における平成14年度の財政規模は、1兆3,246億391万円となり、前年度の最終予算額対比では0.4%減となります。
 次に、第64号議案は、特別会計に係る補正予算でありまして、事業実施上必要となる予算につきまして補正を行うものであります。

 以上、新年度に対する所信の一端と施策の概要などについて申し述べましたが、なにとぞ慎重ご審議の上、上程されました議案それぞれについてご賛同を賜りますようお願い申し上げます。

3月3日説明要旨

 ただいま上程されました議案30件について、ご説明申し上げます。
 第65号議案は、平成14年度一般会計補正予算でありまして、総額399億1,082万7千円の減額補正について、お諮りいたしました。
 このたびの補正予算は、中小企業金融対策を含めた事務事業の執行見込みなどに伴います過不足調整等を行うほか、拉致被害者及びそのご家族への支援のための経費や、国の予算措置に対応した緊急地域雇用創出特別基金積立金及び高度IT人材育成研修教材開発補助金等を計上するものであります。
 この結果、補正後の財政規模は1兆2,846億9,308万3千円となった次第であります。
 また、第66号議案から第83号議案までは、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ事業計画の最終見込み等に合わせまして、補正を行うものであります。
 次に、その他の議案について説明申し上げます。
 第84号議案及び第85号議案は条例案件であります。
 すなわち、
 第84号議案は、離島振興法の改正に伴い、離島振興対策実施地域における工場等の誘致等に関する条例の有効期限を延長するため、
 第85号議案は、市の住居表示の変更に伴う県営住宅の所在地の表示変更のため、
 それぞれ、条例の改正を行うものであります。
 次に、第86号議案から第89号議案までは、万代島ビルに設置される万代島美術館、起業化支援・交流拠点施設、展望室及びペデストリアンデッキに係る財産の取得について、
 第90号議案から第92号議案までは、契約の変更について、
 第93号議案は、回収不能となった中小企業設備近代化資金貸付金債権の不納欠損処分を行うための権利放棄について、
 最後に、第94号議案は、一級河川の指定、指定の変更及び指定の廃止に関する意見について
 それぞれ、お諮りするものであります。

 以上、各議案の概要につきまして説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同賜りますよう、お願い申し上げます。

3月12日説明要旨

 ただいま上程されました第95号議案、第96号議案及び第97号議案は、平成14年度一般会計、流域下水道事業特別会計及び港湾整備事業特別会計に係る補正予算でありまして、それぞれ予算の繰越についてお諮りいたしました。
 公共事業の執行に当たりましては、早期発注に心掛け、年度内に完了するよう鋭意努めてまいりましたが、設計や計画の変更による工事遅延、用地補償協定等の遅れなどにより、一部年度内に完了できない見通しとなりました。
 このため、やむを得ず、一般会計においては536億7,501万9千円を、また、特別会計においても、それぞれ所要額を翌年度に繰り越すものであります。
 この結果、既に歳出予算と同時に議決をいただいております国の補正予算に係る繰越と併せ、一般会計の繰越明許費の合計は651億5,589万3千円となった次第であります。
 今後とも、これら繰越事業の早期完了に努める所存でありますので、よろしくご審議のうえご賛同を賜りますようお願い申し上げます。

3月20日説明要旨

 ただいま上程されました議案3件は、いずれも人事に関する案件であります。
 第98号議案は、副知事を選任するため、
 第99号議案は、出納長を選任するため、
 第100号議案は、監査委員を選任するため、
それぞれお諮りいたしました。
 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

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