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平成29年12月定例会(第33号発議案)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0004827 更新日:2019年1月17日更新

平成29年12月定例会で上程された発議案

新潟県手話の普及等の推進に関する条例

第33号発議案

 新潟県手話の普及等の推進に関する条例

上記議案を別紙のとおり提出します。

平成29年12月6日


提出者

 小林 一大、中村 康司、松原 良道
 笠原 義宗、高橋 直揮、宮崎 悦男
 青柳 正司、矢野 学、石塚 健
 横尾 幸秀、皆川 雄二、冨樫 一成
 佐藤 卓之、楡井 辰雄、小島 隆
 佐藤 純、桜井 甚一、西川 洋吉
 岩村 良一、沢野 修、早川 吉秀
 尾身 孝昭、柄沢 正三、中野 洸
 村松 二郎、小野 峯生、帆苅 謙治
 渡辺 惇夫、石井 修、、三富 佳一
 星野 伊佐夫

新潟県議会議長 金谷 国彦 様

新潟県手話の普及等の推進に関する条例

 手話は、音声言語とは異なる語彙及び文法体系を有し、手指の動き、表情等により視覚的に表現される言語である。我が国におけるその起源は明治時代とされ、これまで、ろう者の間で大切に受け継がれてきた。
 しかしながら、手話は、今日に至るまで決して順調な発展を遂げてきたわけではない。意思疎通を図る手段として尊重されることもあったが、ろう教育において、読唇及び発声の訓練を中心とする口話法が導入されたことにより、手話の使用が制約された時代もあった。そればかりでなく、ときには、手話は言語ではなく動物的な身振りであると蔑視されるなど、ろう者の尊厳が深く傷つけられてきた歴史があることを私たちは決して忘れてはならない。
 平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約において、言語には手話その他の非音声言語を含むことが明示され、ようやく、手話が国際的に言語として位置付けられた。我が国においても、平成23年に手話が言語に含まれることを障害者基本法(昭和45年法律第84号)において明らかにし、平成26年には同条約を批准したが、いまだ手話に対する理解が社会において深まっているとは言い難い状況にある。
 言語は、意思疎通を図る手段であるとともに、人と人との心を紡ぐ絆(きずな)であることを踏まえれば、平成23年に新潟県人と人との絆(きずな)づくり条例(平成23年条例第21号)を制定し、人と人との触れ合いや助け合いを重んじる本県においては、ろう者が偏見と闘いながら手話を大切に守り続け、手話を使用して生活を営み、手話による豊かな文化を築いてきたことに鑑み、その歴史の歩みと誇りを尊重するためにも、県民一人一人が手話に対する理解を深め、手話の普及等を図っていく必要がある。
 ここに私たちは、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及等を推進することによって、ろう者とろう者以外の者が心を通わせ、相互に人格と個性を尊重し合い、共生することのできる社会の実現を目指すことを宣言し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話の普及等に関し、基本理念を定め、県の責務並びに県民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話の普及等に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な事項を定めることにより、もってろう者とろう者以外の者が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「ろう者」とは、手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。
2 この条例において「手話の普及等」とは、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備をいう。

(基本理念)

第3条 手話の普及等は、県、市町村、県民及び事業者の適切な役割分担及び相互の連携の下に、次に掲げる事項を基本として、その実現が図られなければならない。

  1. 手話が、ろう者が自ら生活を営むために使用している独自の体系を持つ言語であって、豊かな人間性を涵(かん)養し、及び知的かつ心豊かな生活を送るための言語活動の文化的所産であることを理解すること。
  2. ろう者とろう者以外の者が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生することの重要性に鑑み、ろう者が手話により意思疎通を図る権利を尊重すること。

(県の責務)

第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、ろう者が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去について必要かつ合理的な配慮を的確に行うとともに、手話の普及等に関する施策を効果的に推進するものとする。

(県民の役割)

第5条 県民は、基本理念にのっとり、手話について理解を深め、県がこの条例に基づき実施する手話の普及等に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、手話について理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、ろう者が利用しやすい環境を整備するよう努めるものとする。
2 事業者は、県がこの条例に基づき実施する手話の普及等に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(市町村への支援及び協力)

第7条 県は、手話の普及等に果たす市町村の役割の重要性に鑑み、市町村が実施する手話の普及等に関する施策について、必要な支援及び協力を行うものとする。

(財政上の措置)

第8条 県は、手話の普及等に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(広報、啓発活動等)

第9条 県は、広報、啓発活動等を通じて、基本理念に関する県民及び事業者の理解を深めるよう適切な措置を講ずるものとする。

(情報の発信等)

第10条 県は、ろう者が県政に関する情報を速やかに取得することができるよう、手話を用いた情報の発信に努めるものとする。
2 県は、ろう者が手話を使い、手話による情報を取得することができる環境を整備するため、手話通訳者の積極的な派遣、ろう者その他の手話に関わるものからの相談に的確に応ずるための体制の充実等に努めるものとする。
3 県は、災害その他非常の事態において、ろう者が手話により必要な情報を速やかに取得し、円滑に意思疎通を図ることができるよう努めるものとする。

(手話通訳者の確保等)

第11条 県は、ろう者が手話による意思疎通を図ることができる環境の整備に資するよう、手話通訳者その他の手話を使うことができる人材の確保、養成及び手話技術の向上を図るよう努めるものとする。

(学校及び保育所等における取組)

第12条 県は、聴覚、言語機能又は音声機能の障害のため、音声言語により意思疎通を図ることに支障がある者(以下「聴覚障害者等」という。)が通う学校及び保育所等において、聴覚障害者等が手話を学び、かつ、手話で学ぶことができるよう、職員等の手話に関する技術の向上に資する取組が行われるよう努めるものとする。
2 県は、聴覚障害者等が通う学校及び保育所等において、聴覚障害者等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会が提供されるよう努めるものとする。

(調査研究)

第13条 県は、ろう者その他の手話に関わるものが手話の発展に資するために行う手話に関する調査研究の推進及びその成果の普及に協力するものとする。

(県民等の活動に対する支援)

第14条 県は、手話の普及等の推進に関し、県民及び事業者が行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(公表)

第15条 知事は、毎年度、手話の普及等の推進に関し講じた施策の状況を取りまとめ、公表するものとする。

 附 則

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(検討)

2 県は、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

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