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平成17年12月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0002458 更新日:2019年1月17日更新

平成17年12月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

12月6日説明要旨

 平成17年12月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要を説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様にご理解とご協力をお願いしたいと存じます。
 まず、去る10月23日に1年を経過した中越大震災についてであります。51人の方々が亡くなり、12万棟もの住宅に甚大な被害を与えたこの震災は、被災地の方々から多くのものを奪っていきました。発生時刻の午後5時56分。私も被災者の皆さまと共に妙見の土砂崩れ現場で黙祷を捧げ、改めて全ての被災者の方々が自分の生活を取り戻せるよう、復旧・復興に全力で取り組んでいくことを誓ってまいりました。
 震災発生以来、県としては国を始め、多くの皆さまのご支援をいただき、市町村などと連携しながら、道路や水道、電気などのライフラインはもちろん、心のケアや住宅を含めた生活基盤と産業基盤の復旧・復興に全力で取り組んでまいりました。
 未だに9000人近い方々が仮設住宅で暮らさざるをえず、生活の再建の目処が立っていない方も多いという厳しい状況にあることは事実であります。しかしながら、企業業績の回復や商店の営業の再開などの変化も広がりつつあり、復旧・復興は新たな段階を迎えようとしていると受けとめております。これまでの多くの皆さまのご支援に改めて感謝申し上げますとともに、今後は、当面、来年の出来るだけ早い時期までに、全ての方々の生活と生業の再建に一定の目処をつけていくことが最大の課題であると考えているところです。
 過疎や高齢化など、厳しい環境の中ではありますが、中山間地域の復興のモデルとなるよう被災者の皆さまのニーズを基本に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。議員各位並びに県民の皆さまの一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 震災からの復旧・復興の過程で多くの制度面での課題も明らかになってまいりました。
 とりわけ問題なのは、被災者の生活再建のための制度が十分機能していないということです。被災者生活再建支援法による支援は、その額が十分でないことや住宅本体の建築・補修費に充当できない点に加え、所得制限や被害認定など、制度が大変複雑なものとなっております。被災者の現状に鑑み申請期間を延長していただいたところではありますが、現時点での執行額がこの制度を補完する県の単独事業の執行額と比較して極端に低い状況からみて、被災者のために十分機能していないことは明らかです。このことについては、先の全国知事会議で政府にも強く訴えてまいったところです。
 そのほか、災害復旧事業の事業期間が3年に限定されていることなども震災直後の豪雪を乗り越えて、やっと本格的に事業が始められるようになったという雪国の、そして、中山間地の大規模災害という特殊性に配慮したものとはなっていません。
 また、災害の復旧に当たっての一律的な考え方での原形復旧のやり方も実態にあった復旧・復興を困難にするものであり、被災者のニーズに沿ったものではありません。
 こうした様々な問題点は、今後の災害に活かしていくべく、その改善に積極的に取り組んでいくことが今回の災害への対応としてだけではなく、多くのご支援いただいた全国の皆さまに対する本県の責務であると考えており、引き続き国に対し強く要請してまいる所存です。

 震災後の1年は、私にとりまして、知事就任後の1年と重なるものであり、災害からの復旧・復興に向けて後ろを振り返る余裕もなく、ただただ走り続けてきた感があります。この間、県民の生命、安全、財産を守ることを第一に考え、県政の運営に当たってまいりました。そうした状況の中、災害対応以外においても、特に公約に掲げました地域経済の自立に向けた施策について、一定の成果を得られつつあると考えております。具体的には、県内企業の販路拡大や企業誘致、観光振興などであります。私としては、「産業は福祉の糧」という理念のもと、常にマーケットを第一として需要者側の観点に立って考え行動することを基本に進めてまいりました。特に、県営産業団地の分譲価格を実勢価格に合わせて引き下げた効果もあって、工場立地が好転しつつあることは、本県経済の今後の発展にとって大きな勇気を与えてくれるものと考えております。
 また、観光面につきましては、震災による風評被害への対応という意味も含めて、断続的に観光キャンペーンを実施し、また、低迷する佐渡観光の再生に向けての社会実験の実施や、台湾や中国をはじめとする外国からの誘客にも精力的に取り組んできたところです。結果として短期的な効果も含め、今後につながる種を播くことが出来たものと考えております。
 今後に向けては、本県の潜在力を最大限に生かすとともに、それに如何に付加価値をつけていくかが本県経済の発展にとって大きな課題であると考えており、効果的な事業の展開に重点的に取り組んでまいる所存です。

 次に、安全・安心に関する施策展開についてであります。
 まず、アスベストに関する問題についてであります。この問題は、県民の誰もが被害者になりうる極めて身近で重大な問題として、大変憂慮しているところです。県としては、アスベストの飛散による県民の健康被害を防止するため、全国で初めて解体から廃棄物処分まで一貫した処理計画を事業者から報告してもらうことなどを内容とする新たな条例を今議会に提案しております。また、多くの県民が利用する施設を中心に早急に対策を講じるため補正予算を計上したほか、民間におけるアスベスト対策を支援するため新たに融資枠を設けるなど、県民に安心して生活してもらえる環境づくりに万全を期しているところです。
 次に、遺伝子組換え作物の栽培に関する問題についてであります。
 将来の農業技術発展のための研究自体は必要でありますが、その一方で、県民・消費者の不安を軽減し、県産農産物の生産・流通上の混乱を防ぐことが必要であると考えております。そのため、これを規制していく方向で条例を制定することとし、規制の枠組みや栽培実施基準などについて早急に検討を進め、次期2月定例会での提案を目指しているところです。これらを通じて、コシヒカリに代表される県産農産物について、「安全・安心なにいがた」ブランドの確立に努めてまいる所存です。
 安全・安心に関連し、水澤化学工業株式会社中条工場の地下水汚染事案について触れさせて頂きます。
 本件は、事業者が自主的に実施した地下水調査において、ダイオキシン類等の検出が本年3月に判明したものです。汚染原因は現時点では不明ですが、過去、工場敷地内に、ダイオキシン類へ化学変化するおそれのある物質を埋め立てていた事実も判明しているところです。
 まず、県民の安全・安心が何よりも重要に論じられる昨今、こうした事案が生じたことについて、県として大変遺憾に思います。
 私としましては、報告を受け次第、早速、県として取りうるあらゆる対応を関係部局に対して指示したところです。具体的には、

  1. 胎内市から住民に対する事実周知と井戸水の飲用中止等の要請
  2. 井戸水の検査及び周辺環境調査
  3. 住民健康調査の検討

などであります。
 また、農産物の安全性についても調査を指示したところですが、これについては、地下水の流向方向において栽培され、出荷されている農産物の中には、地下水を使用しているものがないことを確認したところであります。
 今後も、本件に対し、県として遺漏なく対応し、県民のみなさまの安全・安心の確保に万全を期していく所存です。
 なお、本件については、県の情報の取扱いに問題があるのではないかとの指摘を受けております。現在、事実関係に関する調査を至急開始するよう指示したところであり、調査結果がまとまり次第、適切に対応してまいりたいと考えております。

 次に、来年産の米生産目標数量配分についてであります。
 農林水産省は、去る11月25日に来年産の米生産目標数量を都道府県へ配分したところです。
 この度の配分は、販売実績を基にした需要見通しの割合を高めているものの、17年産の生産調整の取り組みが不十分なことによる生産過剰分を目標数量から削減する手法を新たに取り入れており、消費者重視、市場重視の米づくりを目指す米政策改革に反するものと考えております。
 米主産県であり、日本一のコシヒカリを擁する本県といたしましては、今後とも消費者に支持される売れる米づくりを一層推進してまいる所存であります。

 次に、三位一体の改革についてであります。
 去る12月1日、「政府・与党合意」を受けた「国と地方の協議の場」における合意により、第一期の国庫補助負担金改革が一つの区切りを迎えました。この間、国との厳しい折衝に当たっていただいた麻生全国知事会長を始め、関係者の方々のご尽力に心より感謝申し上げます。
 結果として、3兆円の基幹税による税源移譲が実現することとなり、第二期改革にも道筋がつけられたことや、生活保護費が盛り込まれなかったこと、施設整備費が税源移譲の率に問題はあるものの対象とされたことについては、一定の評価をすべきと考えております。
 しかし、第一期改革の総額4兆円の国庫補助負担金改革の大半が国庫補助負担率の引き下げ等の真の地方分権改革の理念に沿わない内容となったことは極めて疑問であり、今後の改革推進に当たっての教訓として活かしていく必要があるものと考えております。
 今後は地方交付税改革が大きな焦点になると考えられますが、今回の決着を踏まえても、地方団体の安定的財政運営に必要な地方交付税の総額確保は不可欠であり、国の財政再建を最優先にした改革とならないよう地方が結束した対応が必要と考えております。
 いずれにいたしましても、今後も何のための三位一体の改革か、地方分権は何のために進めているのか、といった原点に沿った改革となるよう、県内の市町村長並びに議会の皆さまと方向を一つにすることはもちろん、全国の知事とスクラムを組んで最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

 次に、来年度予算編成についてであります。
 来年度の予算編成に当たっては、災害からの復旧・復興を最優先にしながら、本県経済の自立・発展や安全・安心の確保等の本県の重要課題に対して、限られた財源を重点的に配分していく必要があると考えております。
 そのため、今回の予算編成においては、部局主導型の編成を試行しているところです。これは、各部局が果たすべき政策目標を明確に設定したうえ、その政策目標の実現のために最も効果的な財源配分を自らの裁量で行えるようにするもので、現場での優先度の判断を重視するものです。私といたしましては、各部局長と政策目標の内容やその実現のために最も効率的な「選択と集中」のあり方について共通認識を得ながら、目標達成に向けて効率的な予算の編成に努めてまいる所存です。
 また、予算の規模等の全体的なフレームにつきましては、国の地方財政対策の動向等の変動要素はありますが、先般お示しした財政運営計画素案を基本に進めてまいる所存です。
 厳しい財政状況ではありますが、本県経済の方向感をプラスに転換できるような予算を編成してまいりたいと考えております。具体的な内容につきましては、今後、議会の皆さまのご意見を十分お伺いしつつ、固めてまいる所存ですので、皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

 最後に、県の組織機構改革についてであります。
 県組織における政策立案機能や総合調整機能を強化し、また、組織の簡素合理化を進める必要があるとの考えに基づき、今議会に条例を提案させていただいております。その主たる内容は、総務部と総合政策部を再編しての知事政策局の設置であり、政策の立案や部局間の横断的施策調整機能を高め、縦割りになりがちな組織の弊害を是正し、付加価値創造機能を高めようと考えているものです。
 私としては、これらを通じて政策官庁への変革と小さな政府の実現を進め、分権時代に対応できる組織としての総合力を高めてまいる所存です。

 次に、提案している主な議案について説明申し上げます。
 第227号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額117億3,952万3千円の増額補正についてお諮りいたしました。
 今回の補正は、相次ぐ災害の復旧に伴う経費やアスベスト対策など急施を要する経費を中心に計上するほか、職員給与費について、現行制度による過不足調整に係る減額補正を行うものであります。

 以下、補正予算の主な項目につきまして説明申し上げます。
 まず、災害対応につきましては、7.13水害の復旧を促進するため、河川災害復旧等に要する経費や、8月の集中豪雨災害により被災した農地や河川等の災害復旧費等について計上したところです。
 次に、急施を要する対応として、
 アスベスト対策につきましては、先程申し上げました融資枠の拡大及び一部の県有施設におけるアスベスト除去等に要する経費を計上いたしました。
 また、鳥インフルエンザの拡大に伴い、今後流行が危惧される新型インフルエンザへの対応のため、治療薬を県で購入及び備蓄するための経費を計上いたしました。
 さらに、中越大震災の関係では、道路の遮断等のため冬期間集団移転する場合の集落の除雪対策に要する経費の一部を補助することとし、所要の経費を計上いたしました。

 以上、補正の主な内容について説明申し上げましたが、その結果、補正後の財政規模は、1兆2,988億7,980万6千円となります。

 次に、その他の主な条例案件等について説明申し上げます。
 第237号議案は、先程説明申し上げました部制条例であり、
 第238号議案は、地域での総合行政を推進するため、新潟地域及び三条地域に地域振興局を設置し、全県を地域振興局体制に移行するため、
 第242号議案は、県立久比岐高等学校の設置並びに黒埼高等学校、燕工業高等学校及び高田盲学校を閉校するため、
 第243号議案は、先程説明申し上げました「アスベストの排出及び飛散の防止等に関する条例」であり、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 次に、第247号議案は、来年4月から県立看護大学に大学院を開設するため、
 第253号議案は、屋外広告物法の改正に伴い、良好な景観の維持・形成を図るため、屋外広告業者の登録制度の導入等を行うため、
 第257号議案は、栃尾警察署の長岡警察署への統合に伴い、栃尾警察署の廃止を行うため、
 それぞれ、所要の改正を行うものであります。

 最後に、第266号議案は、損害賠償額の決定について、
 第268号議案から第277議案までは、指定管理者制度の導入に伴う指定管理者の指定について、
 それぞれ、お諮りするものであります。

 以上、説明申し上げました議案を含め、全56議案について、お諮りをいたしました。何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同賜りますよう、お願い申し上げます。

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