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平成20年2月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0003991 更新日:2019年1月17日更新

平成20年2月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

2月18日説明要旨

 平成20年2月定例県議会の開会に当たり、私の所信の表明と提案いたしております議案の概要を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと存じます。

 我が国はこれまで経験したことのない人口減少局面にあります。合計特殊出生率の低い首都圏への地方の若者の集中は、まず地域を疲弊させると同時に、日本全体が人口縮小に向かう構図をつくり出しています。本県も、すでに全国平均を上回るスピードで人口減少を続け、特に、1万8千人の年間出生数に対し、6千人を超える若者が首都圏を中心とした県外へ流出するという現状にあります。240万人の県土が、将来急激に衰退し、地域コミュニティの崩壊へとつながる、まさに剣が峰にあるものと考えています。
 本県は、ここ数年水害、地震、豪雪と度重なる災害に襲われてきました。また、最近の原油価格等の高騰や米国のサブプライム住宅ローン問題による市場の混乱など、本県経済へ与える影響が懸念される状況にあります。さらに、県民生活の面では、特に勤務医不足による深刻な状況にある地域医療や将来の年金不安、最近の食品の安全性が問われる事件など、240万県民の安全・安心の基盤が揺らいでいる状況にあると考えています。
 一方、本県は、充実した高速交通網を持っており、また、世界の市場として経済発展著しい中国、ロシア側から見ると、日本列島の扇の要に位置し、地勢学的にも、日本の玄関口になりうる潜在力を有するものと思っております。さらに、機械製造、金属加工や食品加工など、世界的な技術をもつ数多くの企業、人材を有し、加えて、震災の教訓を生かした災害対応力をもつ本県は、大きな魅力と将来の発展可能性を持っています。
 私は、新年を迎えるに当たり、このような認識のもと、中越大震災、中越沖地震からの復旧・復興を、第一の重点に置くとともに、
「誰もが安心して暮らせる地域社会づくり」
「将来に希望の持てるふるさとづくり」
の2つを大きな目標に据え、地域が将来にわたって維持・発展していく新潟県の実現に向け、本県の諸課題に取り組んでまいる所存です。

 以下、本年の県政の主要課題について、私の考えを述べさせて頂きます。

 第一の課題は、中越沖地震及び中越大震災からの「復旧・復興」であります。
 中越沖地震の発生から早7ヶ月が経過し、被災者の方々も応急仮設住宅や自宅に移られ、また、公共施設の応急対応も進み、被災地は一時期の急性期を脱しており、本格的な復旧・復興はまさにこれからと認識しております。
 特に、今回は、特定非常災害に指定されておらず、応急仮設住宅の入居期限が2年間に限定されています。被災者の皆さんが抱えている課題にしっかりと対応し、一日も早く住宅再建が成し遂げられるよう取組を進めるとともに、生活を支える地域産業や生業の速やかな復興も急務であり、復旧と復興の同時進行が求められています。
 商店街、産業面では、生産は地震発生前の水準に回復しつつありますが、施設・設備等の復旧に際して行った借入等が経営にどう影響してくるか懸念されるところです。特に、中心市街地については、現在、復旧段階にあり、地域社会が永続していく仕組みや持続可能なまちづくりに向け、地元の取組を支援し、柏崎市の商店街の復興が中越沖地震の復興のシンボルとなるよう取り組んでいく必要があります。
 このような認識のもと、これまで進めてきた住宅再建、生業再建等への対応や医療・福祉などソフト面での対応に加え、被災者一人一人の事情や地域、企業の状況を把握したよりきめの細かい支援策を講じてまいりたいと考えております。

 また、中越大震災の被災地では、地震発生から3年が経過し、インフラ関係については概ね目処がつくなかで、被災者の皆さんの生活再建も進み、応急仮設住宅についても、昨年12月末までにすべての方々が自宅や公営住宅等に移られ、新しい生活が始まっております。今年は、いよいよ復興本番の年を迎えると考えています。既に、一部の地域では、震災を契機とした産業おこしや、都市との交流、情報発信など、復興に向けた取組が始まっているところです。県としても、「光り輝く中越」の実現を目指し、このような地域の知恵と希望を活かした取組を成功事例として広く普及し、さらには、地域復興を担う人材の育成や持続性のある地域経営を確立するため、支援を充実してまいりたいと考えております。

 第二に、少子化、人口減対策についてであります。
 新潟県の人口は、ここ数年1万人以上のペースで減少してきています。政策プラン評価委員会からも「やや遅れている」との評価をいただき、少子化の進行、人口の社会減に歯止めをかけることは本県にとって喫緊の課題であると認識しております。
 人口減・少子化に対応していくためには、多くの子ども達が本県で生まれ育ち、また、多くの人が新潟に夢を抱いて集まり、そして将来にわたり、安全・安心で希望を持って暮らせる地域社会を実現していくことが必要と考えます。そのために、
 安心して子どもを生み育てる環境整備
 住みやすいふるさとづくりと暮らしやすさの発信
 個を伸ばす人づくりの推進
 安定した雇用の場の創出・確保
などの取組を総合的に進めてまいります。

 第三に、県内産業の振興についてです。
 「産業は福祉の糧」と申します。若者が未来に希望を持ち、豊かな新潟県を実現するため、政策プランでも県内総生産額を増加させることを目標に産業に関わる施策を重点的に進めてまいりました。政策プラン評価委員会の評価においては、「企業育成の推進」などで「概ね順調」とされておりますが、県経済を持続的に発展させるためには、原材料価格などの高騰で厳しい経営に直面する地域に根ざした企業をしっかり支えるとともに、付加価値の向上により、本県が強みを持つ産業をさらに伸ばしていくことが必要と考えています。
そのためには、

  • 外部のノウハウを活用した企画開発能力や販路 開拓力に優れた高付加価値型の企業群の育成や、
  • 第三次産業比率を高めるため、本県への本社機 能の移転を促進させる環境づくり、
  • 健康ビジネス連峰構想の加速により、高齢化社 会を見据えたサービス産業の育成

などの政策を積極的に展開してまいります。
 併せて、そうした新潟県の魅力を有効かつ積極的に発信し、新潟そのもののブランド力強化に結びつけ、多くの意欲ある若者や企業が新潟県に来てもらえるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 第四に、地域医療の確保についてです。
 県民の皆様が、県内のどこに住んでいても等しく十分な医療の提供が受けられ、健康長寿を実現していくためには、適切な保健・医療サービスが安定的に提供される体制が必要です。
 しかしながら現状は、医師の絶対数の不足に加え、特に病院勤務医の不足は深刻な状況にあり、勤務医確保が緊急かつ重要な課題となっています。
 このため、原因の一つと考えられる勤務医の劣悪な労働条件の改善を目指し、長時間連続勤務の緩和や産休後の女性医師が医療現場に復帰できるよう、短時間勤務の仕組みづくりなど具体の勤務環境改善に向けた支援を行ってまいります。
 また、臨床研修医の県外流出が大きな課題となっていることから、首都圏臨床研修病院との提携や県内臨床研修病院間の連携を強化し、臨床研修医の確保と県内定着に向けた取組を実施するなど、勤務医等の確保策を積極的に進めてまいります。
 なお、この問題は県内医療関係者や自治体の努力のみでは限界があります。引き続き「医師のへき地勤務の義務化」や「研修医の首都圏集中の是正」に加え、即効性の期待できる「外国人医師特区の実現」など抜本的な制度の見直しについて国に要請してまいりたいと考えております。

 最後に、地方財政計画、地方財政対策についてです。
 20年度の地方財政対策が決定されましたが、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税の総額が2.3%増となりました。これまでの地方交付税総額の削減を補うには不十分ですが、新たに「地方再生対策費」が措置されるなど地域間の財政力格差の拡大に歯止めがかかったことは一定の成果であると考えております。
 しかしながら、現在の地方財政の仕組みには地域経営を預かる立場から問題点が多いと言わざるを得ません。例えば、地方財政計画は、地方が関与することなく国が決定します。また、現時点では基準財政需要額の内訳が示されてもおらず、地方交付税の増額の根拠が明らかでありません。さらに、国からの財源移譲の一方で、本県の財政力が向上したことを理由に、国庫補助の嵩上げ措置である交付金が減額されます。加えて、今後の地方財政の見通しが示されておらず、地方団体が中長期的な財政運営を見通すことも困難です。
 地方財政計画の策定過程及び詳細な内容の情報開示をはじめ、地方財政面における地域主権の確立を地方六団体や全国知事会を通じて主張してまいりたいと考えています。

 以上、申し述べましたように、県を取り巻く社会情勢、経済財政情勢は厳しい環境にあります。政策プランに掲げた「将来に希望の持てる魅力ある新潟県」づくりに向け、全力を挙げて取り組んでまいる所存です。議員各位並びに県民のみなさまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

 次に、前議会以降の県政の主な動きについて、ご説明します。

 まず、交通政策上の課題として、日本海横断航路、全日空新潟-福岡線及び小木・直江津航路についてです。
 日本海横断フェリー航路は、現在、日中韓ロ4カ国の関係者で運航会社の設立に向けて協議が進められておりますが、航路開設時期は予定よりもさらに遅れることが見込まれております。
 県といたしましては、できるだけ早期の運航を期待しているところであり、去る1月30日には、中国吉林省に副知事を派遣し、協力要請を行ってきたところです。引き続き、新潟市や聖籠町、経済界と連携しながら、航路の早期開設と集荷、集客の促進に向けた支援に努めてまいりたいと考えております。
 また、新潟-福岡線については、先般、全日空から廃止届の取り下げの提案があり、本県としても同意をいたしました。このような同意に至るに際し、協議をする機会を設けていただきました国土交通省、そしてまた関係者の皆さまから、多大なご尽力をいただきましたことを、この場をお借りして心より感謝を申し上げます。この結果、少なくとも半年間は、福岡との直行便が1便となりますが、目標の搭乗率70%の達成に向け、福岡県や県内経済界、関係の皆様と連携し、改めて朝夕2便、新潟と福岡を結ぶ空路の復活に向けて、引き続き努力してまいります。
 この項の最後に小木直江津航路についてですが、同航路は「小木直江津航路のあり方検討会議」の最終報告に基づき、関係者が一体となって誘客増や経費削減などの経営改善に取り組んでまいりました。
 しかし、中越沖地震の影響により利用者数が減少し同航路の経営が大幅に悪化したことなどから、佐渡汽船は一隻体制に移行する経営判断を行い、関係者に理解を求めてきたところです。
 県、北陸信越運輸局、上越市、佐渡市及び佐渡汽船の五者で県民への意見募集や地元の意向を踏まえて対応を検討した結果、当面の一隻体制での運航や佐渡市、上越市及び県が行う観光振興策、誘客支援などについて合意がなされたところです。また、これに係る所要経費については、新年度予算に計上いたしております。

 次に、道路特定財源についてです。
 現在、道路特定財源の暫定税率の期限切れを前に国会で論戦が続いています。道路特定財源を巡っては、除雪費の確保や不十分な生活道路の改良、さらには温暖化防止に向けた環境税の導入、一般財源化の是非など様々な論点があります。道路整備か値下げかの二者択一の問題ではなく、3月末まで議論を収斂させ、具体の制度としてまとめることは技術的に困難と考えます。このまま推移し、日切れとなれば、ガソリン価格等が乱高下し国民生活に混乱が生じるおそれや、本県でも新年度予算に暫定税率分として軽油引取税等県分のみで約130億円を財源充当しておりますが、この組み替えや歳入不足が生じないか懸念されるところです。
 期限を定めて議論を収束させるフレームワークを超党派で作ることを強く期待し、今国会では、暫定税率の維持を求めたいと思います。

 次に、新潟水俣病問題についてであります。
 昨年末に水俣病認定申請1件について、公害健康被害認定審査会の答申を受け、棄却処分を行いました。新潟市においても同様に8件の棄却処分を行ったと聞いております。今回の審査会に初めて主治医の出席を求めて患者の立場から意見を述べていただきましたが、国の認定基準で審査する限りでは、このような結果にならざるを得ず現在の枠組みで患者を救済することには限界があると感じているところであります。
 「新潟水俣病問題に係る懇談会」においては、現在、今年度末の最終提言に向けて詰めの議論を行っていただいているところでありますが、県としましては、国の制度で救済されない方々が新潟水俣病患者と認められ、救済されるような新たな枠組みづくりなど患者の方々を幅広く救済できる県独自の対応に取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、柏崎刈羽原子力発電所への対応についてでありますが、中越沖地震による原子力発電所の施設・設備への影響や耐震安全性、地震や地質の問題などについては、国が専門家により科学的・技術的な知見に基づき検討を進めております。
 県としては、その議論の内容を県民に分かりやすく伝え、また、県民が特に不安を抱いている課題についてきちんと議論されているのか、県民の目線で確認する機能を確保するため、先般、県の技術委員会の体制強化を図ったところであります。
 今後は、技術委員会や小委員会での議論や助言に基づき、原子力発電所の安全性の確認や防災体制の充実などについて、県が国や電力会社等に必要な対応を求めてまいります。県民の皆様の安全と安心を第一に考え、県としての役割を果たしていきたいと考えております。

 次に、本県経済の動向についてです。
 本県経済は、中越沖地震からの復興需要が一部に見られるものの、設備投資、消費も弱含みで推移するなど、全国と比べ総じて弱含んでおります。加えて、先ほど申し述べました原油価格の高騰などによる影響が、企業の収益面のほか、今後家計消費への波及も懸念される状況にあります。
 県としましては、地場産業の経営安定に向け、県制度融資の要件を拡大したところです。
 また、こうした懸念により、先月、政府、日銀に対し、経済運営と金融政策について的確かつ機動的な対応を求めたところです。引き続き県内景気の動向について、注意深く見極めながら適切に対応してまいる所存です。

 次に、食の安全・安心についてであります。
 先月、殺虫剤メタミドホスが混入した冷凍餃子が原因と見られる中毒事件の発生を受け、国から、県内でも同様の商品が流通しているとの通知がありました。県では、直ちに販売施設に対し商品撤去とお客様への告知の徹底を指導するとともに県民からの相談窓口の開設や販売状況の調査等を行ったところです。
 今回の事件や、最近の偽装表示問題などを踏まえ、「食の安全・安心」の確保に向け、福祉保健部に担当副部長の設置や、県民等からの情報収集の一元化など、庁内の体制強化を図ることとしました。
 引き続き、消費者が食品をしっかりと選択できるような情報の提供とともに、検査体制の強化に努めてまいります。

 次に、建築基準法の改正の影響についてです。
 構造計算書偽装問題の対策として建築確認審査が厳格化されたことに伴い、県内の住宅着工件数は8ヶ月連続で前年同月を下回っているところです。県では、先月から建築確認申請支援センターを設置し、申請図書の作成支援を行うとともに、確認申請手続きの円滑化を図るための協議会を設置したところです。さらに、県内での構造計算適合性判定機関の指定に向けて関係機関と協議しております。
 今後とも、住宅の安全・安心を確保しつつ、審査の迅速化、円滑化に向け取り組んでまいります。

 最後に、地球温暖化等についてであります。
 本年1月1日から、京都議定書の第一約束期間が始まりました。日本に対しては、基準年である1990年に対して温室効果ガスの6%の削減が求められていますが、本県の温室効果ガスは、基準年に比べて20%増加しております。県では、これまでの省エネルギー、クリーンエネルギー対策やグリーン購入の推進などに加えて、新年度から県版カーボン・オフセットのモデル事業を実施し、社会全体で二酸化炭素を削減する仕組みづくりに取り組むこととしたところです。
 こうした中、製紙会社による古紙配合率の偽装問題が発覚し、偽装を行った製紙会社には本県メーカーも含まれていました。県庁全体の再生紙の購入実態調査によれば、84%が偽装品であるとの結果になりましたが、今回の問題で、環境対策、温暖化対策が減速することのないよう県民への広報、温暖化対策への積極的取組を進めてまいりたいと考えています。

 次に、平成20年度当初予算編成の考え方と今後の財政運営の方向性についてご説明申し上げます。

 平成20年度予算案は、歳入面において、原油価格の高騰などによる企業収益の低迷や中越沖地震による被災の影響から法人二税等が減収し、核燃料税収入も見込まれないことから、県税収入は対前年度比5.6%減と見込まれます。一方、国の地方財政対策や、本県税収の伸び悩みを踏まえて、地方交付税等は4.1%の伸びを見通す中で編成することとなりました。
 歳出面では、先般、報告のあった政策プラン評価委員会の中間評価や意見等を踏まえ、中越沖地震からの復旧、中越大震災からの復興を第一の重点に置き、県民生活に直結する福祉・医療・教育の分野に配慮しつつ、政策プランに基づく重要施策・事業をさらに推進することとしました。
 また、今回の予算編成に当たっては、計画を上回る人員削減等、内部管理経費等の圧縮に努め、より効率的な政府の実現に向け取り組んだところです。
 さらに、県有財産や県債を有効活用し、財源確保に努めるとともに、中越沖地震からの復旧・復興に要する経費への対応を含め、財源対策的基金を170億円取り崩すものです。
 なお、県債残高については、中越沖地震復興基金創設のため増加しておりますが、これは最終的に貸付原資が償還されるものであり、財政運営に大きな影響を与えるものではないと考えております。また、新年度の県債発行の増加分には、地方交付税の振替である臨時財政対策債の発行増加によるものが含まれておりますが、これは後年度全額、交付税措置がなされるものです。
 そうした中、今後の財政運営については、先般公表した財政運営計画でお示ししたとおり、実質収支の黒字基調を維持しうると考えております。

 続いて、平成20年度予算の概要についてご説明申し上げます。

 まず、第一に「持続可能な地域社会の再生を目指した中越沖地震及び中越大震災からの復旧・復興」についてであります。住宅再建や中小企業の経営安定のための貸付金など、生活、住宅、産業等の再建を支援する経費や公共施設の復旧・耐震補強に要する経費を措置しております。
 なお、東京電力からの寄付金を財源に行う、被災者への生活・住宅の再建支援や風評被害で打撃を受けた観光や産業への支援については、新年度予算案及び19年度補正予算案にそれぞれ計上してお諮りしているところです。

 第二に、「選ばれる新潟県づくりの推進と、人口の自然減・社会減への対応」についてです。
 まず、「安心して子どもを生み育てる環境整備」では、19年度改正した子ども医療費助成が通年化されますが、この効果を見極めつつ通院医療費助成のあり方も含め、医療制度等全般の検討を行うこととしました。また、保育、教育環境では、未満児保育及び児童の居場所づくりの拡大のほか、地域ぐるみでの学童等の安全確保の取組やいじめ根絶に向けた取組を進めます。さらに、仕事と家庭生活の両立に向けた取組として、新たに企業への経済的支援策の設計や結婚対策として出会いの場等を提供する取組を支援してまいります。
 また、「住みやすいふるさとづくりと暮らしやすさの発信」として、若者のU.Iターンの促進や団塊世代の方々等を対象とする定住支援及び交流促進策のほか、ふるさと納税制度を通じた本県のPR等新潟での定住促進に取り組んでまいります。
 また、「個を伸ばす人づくりの推進」として、県内大学の魅力アップを図るため、改革セミナー、企業と大学の意見交換会などを実施するとともに、県立大学の平成21年4月開学に向けた準備や施設整備を進めることとしております。また、個を伸ばす教育のあり方検討会での意見を踏まえ、小中高を一貫した「キャリア教育モデルプログラム」の検討などを進めることとしております。
 さらに、「安定した雇用の場の創出・確保」として、企業誘致の助成に加え、優遇税制条例の制定について今議会にお諮りしているところです。
 また、県外からの人材確保に向け、新卒者を対象に本県トップ企業の紹介や、県内企業と首都圏大学との連携を支援するとともに、第二新卒者等の求職ニーズと県内企業の人材ニーズをマッチさせるネットワークの構築にも取り組むことしております。

 第三に、「誰もが健康でいきいきと暮らせる福祉・医療サービスの充実」についてであります。
 まず、「医療サービスの充実」では、先ほどご説明しました勤務医、研修医確保に向けた取組のほか、修学資金についても拡充したところです。
 また、たばこ対策として健康づくり支援店制度を拡大するほか、がん予防総合センターの機器更新に加え、新たにがんセンター新潟病院にPET-CT検査システムを導入するなど、がん対策を重点的に展開します。さらに、県央地域の小児初期救急医療体制の整備に向けた支援や仮称ですが魚沼基幹病院の平成23年度着工を目指した整備基本計画の策定に取り組んでまいります。
 次に、「福祉サービスの充実」では、団塊世代の方々等の経験や能力を活かしたボランティア活動等社会活動への参加を促すための取組や高齢者の孤立死の防止に取り組む市町村への支援など、高齢者が安心して地域で暮らせる仕組みづくりを進めます。
 また、障害者自立支援法の円滑な実施のため、利用者負担の軽減措置や施設改修等の支援拡大など障害者の自立と社会参加を支える環境整備を進めてまいります。

 第四に、「安全・安心で魅力ある新潟県づくり」についてであります。
 まず、「防災立県の推進」として、危機管理センターの本格的な整備に入るとともに、地域防災力の向上を図るため、災害時要援護者向けの食糧等を備蓄調達する市町村への支援のほか、災害時における企業の事業継続マネジメント能力の向上に向けた取組を進めます。さらに、市町村と連携して住宅の耐震改修へ支援を行うこととしております。
 次に、「安全・安心で快適な県民生活の確保」として、県北地域の命をつなぐ「日本海沿岸東北自動車道」の整備を推進するほか、携帯電話・ブロードバンド等の地域間格差是正に取り組んでまいります。さらに、新型インフルエンザ対策を的確、円滑に進めるための経費も計上しております。
 また、「食の安全・安心の推進」については、先ほど述べました「食品の安全・安心」の確保に向けた取組のほか、安全・安心な県産農畜産物の提供のための取組も進めてまいります。
 さらに、「安全で恵み豊かな環境の確保・継承」として、地球温暖化対策の取組のほか、トキの野生復帰に向けた最初の試験放鳥に併せて佐渡市と記念事業を展開し、本県や佐渡の豊かな環境を全国に発信してまいります。
 最後に、「地域の魅力を高める文化・スポーツの振興」として、佐渡金銀山を世界遺産登録するための調査研究に取り組むとともに、県立歴史博物館、近代美術館の企画展など県民に文化を親しんでいただく機会を提供してまいります。
 また、トキめき新潟国体及び全国障害者スポーツ大会の開催に向けた準備及び選手の育成強化に取り組むほか、県立野球場や県立屋内総合プールの整備も着実に進めてまいります。

 第五に、「付加価値創造の観点から、県経済を持続発展させるための取組」についてであります。
 まず、「成長分野や本県の『強み』を活かした産業の振興」として、外部人材の企画能力等を活用して企業・農業経営体を育成・支援するとともに、健康関連ビジネスの「市場化」と成功事例を紹介するイベントなどを通じて、「健康ビジネスの拠点新潟」の確立に取り組みます。また、農業団体等との「新潟米」ブランドの強化に関する検討会の結果を踏まえながら、新潟米の販路拡大対策、米の需要拡大対策に取り組んでまいります。
 次に、「地場産業の振興と地域産業の自立・活性化」として、先行きが懸念される県内景気に鑑み、地域に根ざした企業の経営安定や新たな発展に向け、地場産業の技術・製品開発や建設業者等の新分野進出への取組等を支援するとともに、県制度融資の拡大も行ったところです。
 次に、「拠点性の向上と交流・交易の拡大」として、対岸諸国との人的・経済的な交流の強化、促進や港湾、空港などの交通結節点の活性化と交通アクセスの改善を進めます。福岡線や小木直江津航路などの緊急的な課題へも的確に対応し、新潟県全体の拠点性の向上に努めてまいります。
 次に、「官民一体となった観光立県の推進」として、新たに「観光局」を設置して体制強化を図るとともに、仮称ですが観光振興条例や、基本計画を検討してまいります。また、JRグループのデスティーネーションキャンペーンやNHK大河ドラマ「天地人」が放送される「2009新潟県大観光交流年」に向けて、官民一体でプレキャンペーンなどを実施し観光客誘致を進めるほか、地域資源を活用した魅力ある観光地づくりに取り組んでまいります。
 次に「ブランド化戦略」として、引き続き産地のブランド化を推進するとともに、県産品の基本である「高品質」「安全・安心」を首都圏はもとより全国へ情報発信してまいります。特に、「新潟米」のブランド力強化のため、食味・品質の向上など、消費者の信頼を高める取組を進めてまいります。
 最後に「農山漁村の多面的機能の発揮」として、グリーン・ツーリズムの拡大やバイオマスなどの地域資源を生かしたビジネス展開を支援するとともに、新たに中山間地域の小規模・高齢化集落や集落営農の支援に要する経費を計上したところです。

 第六として、「選択と集中」の推進についてであります。
 まず、事務の効率化や職員の能率性向上、住民ニーズに対応した職員の適正配置などにより、職員数、職員給与費等を削減しております。また、市町村への事務移譲につきましては、住民の皆さんの利便性向上につながるパスポートの発給などの県独自の事務・権限の移譲を進めております。さらに、三セク等のスリム化、内部管理経費の縮減、指定管理者制度の活用等県庁の効率化を進めたところです。

 以上申し上げてまいりました、平成20年度一般会計予算は、総額1兆1,834億2,000万円となり、平成19年度予算に比べ、総額で0.6%増となったところであります。
 主要財源といたしましては、
 県税 2,845億円
 地方交付税 2,850億円
 国庫支出金 1,453億円
 県債 2,189億円
などを見積もっております。

 次に、本議会に平成20年度当初予算と併せて上程されました平成19年度補正予算に関する議案についてご説明申し上げます。
 第46号議案は一般会計補正予算でありまして、総額72億5,195万4千円の追加補正についてお諮りいたしました。今回の補正は、国の平成19年度補正予算の成立を受け、災害・防災対策に係る経費等のほか、原油価格の高騰に伴う生活保護世帯の灯油購入費の支援に要する経費等を計上したところです。また、この補正予算に係る災害・防災対策事業について、繰越明許費を計上したほか、一般公共事業等について、平成20年度に係る発注の平準化や起工準備期間の確保等を図るため、いわゆる「ゼロ国債」を112億8千980万円計上しております。

 以上、補正の主な内容について説明申し上げましたが、その結果、補正後の財政規模は、1兆3,588億3,175万6千円となります。

 次に、お諮りしております条例案件等のうち主なものについて、ご説明申し上げます。
 第26号議案は、県知事及び県教育委員会の権限に属する事務の一部を市町村に移譲するため、
 第27号議案は、平成20年度税制改正に伴い、自動車税のグリーン税制の延長など所要の改正のため
 第28号議案は、県有施設に民間企業広告を掲示させるに当たり、使用料を定めるため、

 第29号議案は、後期高齢者医療制度の運営主体である広域連合に資金の貸し付け・交付を行う基金を設置するため、

 第30号議案は、見附市に係る保健福祉行政に関する事務等について、保健所等の所管区域を変更するため、
 第31号議案は、介護サービス情報調査事務手数料について、事業者の負担の適正化等を図るため、
 第33号議案は、薬事法の改正に伴い、医薬品の登録販売者にかかる各種手数料を新設するため、
 第35号議案は、心身障害者扶養共済制度の安定化を図るため、掛金、弔慰金等の額を改定するものであり、

 第37号議案及び第38号議案は、県内への産業集積を促進し、雇用の増大及び経済の活性化を図る観点から企業立地等を行う事業者に係る不動産取得税等の免除又は不均一課税を行うため、
 第41号議案は、県営住宅の入居資格に「暴力団員でないこと」を加えるなど、県営住宅から暴力団を排除するため、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 第42号議案は、株式会社新潟ふるさと村に、県有資産である新潟ふるさと村の土地の一部及びバザール館建物等を、現物出資するものです。
 最後に、第43号議案は、新井郷川排水機場不正経理に係る豊栄土地改良区が新潟県に支払う損害賠償金額について、新潟地方裁判所の勧告に基づき調停に応じるものです。

 以上、新年度における所信の一端と施策・議案の概要などについて申し述べました。何とぞ慎重ご審議のうえ、上程された各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

3月3日説明要旨

ただいま上程されました議案44件について、ご説明申し上げます。

 第47号議案は、平成19年度一般会計補正予算でありまして、総額240億7,578万7千円の減額補正についてお諮りいたしました。
 このたびの補正予算は、一般公共事業、災害復旧事業及び直轄事業負担金について、補助事業等の内定見込みに基づく所要の措置を講じるほか、新潟東港の物流拠点形成に資する企業を誘致するための用地の取得に要する経費を計上するとともに、中小企業金融対策を含めた事務事業の執行見込みに基づく過不足調整等を行うものであります。
 この結果、補正後の財政規模は、1兆3,347億5,596万9千円となった次第であります。

 また、第48号議案から第66号議案までは、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ事業計画の最終見込み等に合わせまして、補正を行うものであります。

 次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
 まず、条例案件でありますが、
 第67号議案は、職員が死亡により退職した場合において、在職期間中の行為が失職に相当すると認められる時は、その遺族に退職手当を支給しないことが出来るよう、関係条例を整備するため、
 第68号議案は、県立鳥屋野潟公園スポーツ公園南地区における県立野球場の使用料等を定めるため、それぞれ、条例の制定を行うものであります。

 次に、第69号議案は、財産の取得について、
 第70号から第75号の各議案は、契約の締結及び変更について、
 第76号から第79号の各議案は、旧上越土木事務所の架空物件補償に係る損害賠償請求において、相手方らが新潟県に支払う損害賠償金について、高田簡易裁判所の勧告に基づき、調停に応じるため、
 第80号議案は、損害賠償額の決定についてお諮りするものです。
 次に、第81号議案は、新潟県健康づくり・スポーツ医科学センターに係る指定管理者の指定について、
 第82号議案は、新潟ふるさと村アピール館に係る指定管理者の指定について、
 また、第83号議案は、信濃川水系に属する一級河川の指定変更に関する意見について、それぞれお諮りするものであります。

次に、別冊の議案書となっております、第84号議案から第90号議案は、中越沖地震の復旧・復興に対する協力のための給料の臨時的削減措置として、特別職及び指定管理職については、12月議会で議決をいただいたところですが、今回、指定管理職以外の管理職については給料5%、管理職以外の一般職員については給料3%の削減を、この4月及び5月に実施することに伴う案件であります。
 すなわち、第84号議案は、平成20年度一般会計補正予算でありまして、一般職員等の給与の臨時的削減の実施に伴い、現在ご審議いただいております平成20年度一般会計当初予算について、6億6,775万4千円の減額補正をお諮りいたしました。
 この結果、補正後の財政規模は、1兆1,827億5,224万6千円となった次第であります。

 また、第85号から第89号の各議案は、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ臨時的削減に係る当初予算の減額補正を行うものであります。
 最後に、第90号議案は、条例案件でありまして、一般職員等の給与の臨時的削減を実施するための所要の改正についてお諮りするものであります。

 以上、各議案の概要につきましてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同賜りますよう、お願い申し上げます。

3月12日説明要旨

 ただいま上程されました議案4件について、ご説明申し上げます。

 第91号議案及び第92号議案から第94号議案までの各議案は、平成19年度一般会計及び流域下水道事業など特別会計に係る補正予算でありまして、それぞれ予算の繰越についてお諮りいたしました。
 公共事業等の執行に当たりましては、早期発注に心がけ、年度内に完了するよう鋭意努めてまいりましたが、中越沖地震に係る公共事業を中心に、設計や計画の変更による工事遅延、用地補償協定等の遅れなどにより、一部年度内に完了できない見通しとなりました。
 このため、一般会計においては640億5,214万6千円を、また、特別会計においても、それぞれ所要額を翌年度に繰り越すものであります。
 この結果、既に歳出予算と同時に議決をいただいております国の災害・防災対策補正予算等に係る繰越と併せ、一般会計の繰越明許費の合計は、664億2,901万3千円となった次第であります。

 今後とも、これら繰越事業の早期完了に努める所存でありますので、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについてご賛同を賜りますようお願い申し上げます。

3月19日説明要旨

 ただいま上程されました第95号議案は、人事に関する案件でありまして、副知事の選任について、お諮りいたしました。

 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

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