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【佐渡】「佐渡島の金山」世界文化遺産登録記念!関係者インタビュー 【第6回】株式会社スマイルファーム 代表取締役 安達 里枝 氏

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0733037 更新日:2025年3月21日更新

「佐渡島の金山」世界文化遺産登録記念!関係者インタビュー

 令和6年7月、多くの方が待ち望んでいた「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録が実現しました。
 そこで、これまで登録に向け尽力してくださった方々や、佐渡の地域づくり、地域活性化に取り組んできた方々などにインタビューし、世界遺産登録についての喜びの声やこれまでの苦労、将来世代に向けた期待や助言などをお聞かせいただき、その大切な思いを佐渡地域振興局から発信していきます。

第6回:株式会社スマイルファーム 代表取締役 安達 里枝 氏
~「佐渡=美食の島」という魅力を打ち出しながら、何度も来たいと思ってもらえる佐渡に~

安達さん

 

​【株式会社スマイルファーム 代表取締役 安達 里枝(あだち りえ)氏】
・加茂市在住でwebコンサルタント、webデザイナー、webディレクターの肩書きを持ち、デジタルマーケティングの会社「スマイルファーム」を営む。
・農家に嫁ぎ、調理師免許も持つことから、ITを活用した一次産業支援にも取り組み、佐渡の食材を販売する「フレマル」の運営や、加工商品開発も行っている。
・佐渡を訪れた際の食事をきっかけに佐渡に魅力と可能性を感じ、佐渡に地元産の食材の提供も行う宿泊施設「guesthouse U Z U佐渡」を立ち上げる。​

Q改めて「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録が実現したことについての想いや受け止めを教えてください。​

A:「佐渡島の金山」世界文化遺産登録は、非常に嬉しいニュースでした。今までなんとなく佐渡を知っていた人たちにとっても、今回の世界遺産登録を通して改めて佐渡の魅力を知ってもらうきっかけになると思います。

 一方、魅力とともに以前から感じていた課題が顕在化する可能性もあると思います。観光客目線だと、例えば佐渡を訪れた知人から、感動体験をした一方で、困ったこともあったと聞くことがあります。これから多くの方が佐渡を訪れる中で、こうした課題を解決する必要に迫られることから、世界遺産登録は佐渡をさらにより良くしていくことのきっかけになると思っています。もちろん課題の解決はすぐに対応できるものばかりではないと思いますが、少なくとも初めて佐渡に来た人ががっかりしないように、「また来たい」と思ってもらえるくらいになるよう急いで対応する必要があると感じています。

Q:佐渡がこれまで以上に注目を集める中で、佐渡の交流人口の拡大に向けて、世界にアピールできる「佐渡の魅力」はどのようなものだと考えますか?

A:「佐渡の魅力=何か」という島内のベクトルを揃えていくことが大事だと思います。どんなストーリーで佐渡を打ち出していくと良いのかは、私が佐渡に関わりを持ち始めてからずっと考えていることです。「佐渡=世界遺産」は素晴らしいと思いますが、世界中に何度も行きたいと思える場所がたくさんある中で、佐渡を「何度も訪れたい」と思ってもらえる場所にするためには世界遺産以外の魅力も大事だと思いますし、「一回来ればもういい」と思わせない魅力を打ち出していく必要があると思います。

 そこで私は、「佐渡=美食の島」という魅力の打ち出しが大事だと考えます。旅行する際の「その土地ならではの美味しいものを食べたい」という気持ちは、旅行先を選択する際の大事なモチベーションのひとつだと思います。これだけ素晴らしい食材が揃っている島なので、「食」というキーワードを打ち出していくことがとても重要だと考えていて、そのベクトルが揃うようになると島民の方たちが佐渡の魅力を語る時にも、すごく説得力のある話になり、魅力的な島だと島外の方に感じてもらえるようになると思います。

 私は普段、燕三条を拠点にしていますが、「燕三条=ものづくりの町」というイメージが定着していて、ものづくりに関わっていない方も、燕三条を「ものづくりの町」として認識し、アピールしています。同じように、佐渡の魅力とは何か考える中で、佐渡には素晴らしい「食」があるんだということを島内で共通認識として持った上でアピールしていきたいですね。

 

 佐渡はりんご、みかん、レモンなどの果物も何でも採れますし、海の幸も山の幸もお米も何でも採れます。そしてどれもが美味しいです。何でもあるからこそ、佐渡産の食材だけで素晴らしい食事を成り立たせることができます。

 マーケティング的には、何でも揃うということは価値がぶれてしまうため、一点突破の方が良いとは言われています。ただ、「ここに来れば、間違いなく美味しいものが食べられる」という島であればグルメの方たちがこぞって訪れてくれるはずです。食を味わうにしても、佐渡では、最高のシェフが用意する料理を素晴らしい空間で味わうことができる場所もありますし、一方スーパーで買った地元の食材で誰もが気ままにバーベキューすることもできます。このように様々な楽しみ方ができることが佐渡の食の良さ、素晴らしさだと思います。また、都会には素晴らしい料理を提供してくれる多くのお店がありますが、本当の意味での鮮度は産地にはかないません。そういった意味で、鮮度が抜群で、かつ素晴らしい料理を味わうことのできる佐渡には他の地域では味わえない独自の素晴らしさがあると思います。

安達さん2

 

 食材を取り巻く自然環境要因を表す言葉として、「テロワール(terroir)」という単語があります。

※テロワール(terroir)…「土地」を意味するフランス語「terre」から派生した語で、ワイン、コーヒー、茶などの品種における、生育地の地理、地勢、気候による特徴を指す語。

 

 初めて佐渡に来た時に、佐渡のテロワールが本当に素晴らしいと感じ、感動しました。

 果樹を作るには土づくりが非常に大切です。例えば、燕三条のテロワールは地域内を流れる3つの河川であり、河川の中州には川が運んでくる山のミネラル豊富な土砂が堆積し、その肥沃な土地で農作物が作られています。

 では佐渡のテロワールは何かと考えると、何より海が近いことがあげられます。海水にはミネラルがあり、それが海から風に乗って運ばれてくる佐渡の土壌は、ミネラル豊富な土地になっています。

 また佐渡では、近年S D G sとして注目されているような、持続可能な循環型農業がずっと前から行われています。例えば、鶏糞で自家堆肥を作ってそれを畑に撒き、そこにさらに海のミネラルが加わり、おいしい食材が育つ土壌ができます。農薬などで土を汚してしまうと、それが川から海に流れ、海も汚れてしまい、海が汚れると土や農作物も影響を受ける、だから海を汚さないという農業を長年に渡りしてきたのが佐渡です。その綺麗な海からもおいしい魚介類や塩も採れますし、陸ではおいしい農産物が採れるわけですべてつながっているんですね。

 このように、佐渡では自然を汚さない農業が昔から当たり前に行われてきており、佐渡の人たちはすごい人たちだ、すごい人たちがいる島だと思ったのが、佐渡を素晴らしいと思ったきっかけでした。

 

 佐渡に来て初めて知ったことですが、植物境界線である北緯38度線は美味しい食材が採れる地域が多いと言われており、ちょうど島の中央を通過しています。暖流と寒流が交わっている場所でもあるので、ひとつの島であってもいろんな気候が混ざっていて、ありとあらゆる農作物が育ちます。佐渡は日本の縮図だと言われていますが、本当にそうであることを佐渡に来て、佐渡の食材を見て味わうことで実感しています。

 このように、世界遺産登録をきっかけに佐渡を知ってもらい、そこから佐渡の食に興味を持ち、佐渡のテロワールや人々の知恵、歴史にも興味を持ってもらうと、佐渡の素晴らしさ、魅力をより感じてもらえると思います。

安達さん3

 

Q:佐渡が世界にアピールできる「佐渡オンリーワン」の財産は何だと考えますか?また、そのような財産をどのように伝えていけると良いと思いますか?

A:佐渡で暮らしてきた人たちの暮らし、文化、歴史のエンターテイメントが、世界にアピールできる佐渡の財産だと思います。

 それを佐渡を訪れる旅の方たちに触れていただくことができたら、佐渡の面白さがより伝わると思います。食や自然、マリンアクティビティだけではない、鬼太鼓や能などの、歴史や文化のエンターテインメント的なところもすごく面白いと思いますし、それをひとつの島でこんなにもたくさん体験ができるところは世界でもなかなかないと思います。

 旅人を飽きさせないコンテンツが佐渡には本当にたくさんあるので、その魅力や楽しみ方をぜひ知ってもらいたいですね。

 金山も坑道を見るのも面白いのですが、その他にも面白いところがたくさんあり、食と絡むところも実はたくさんあります。例えば、江戸時代に金山周辺の姫津集落に島根県の石見から移住した漁師たちによって漁業が活性化し、金山の労働者の生活を支えたという話もあって、こうした話は歴史と食という観点からも非常に面白いと思います。

 

Q:商品開発や産直サービス運営、宿泊施設運営、デジタルマーケティングなど様々な活動をされていますが、今後、食材の宝島である「佐渡」に関して安達さんが取り組んでいきたいことは何ですか?

ゲストハウスUZU  フレマルラボ

(guesthouse U Z U 佐渡ホームページより)  (F R E M A R . L A B ホームページより)

 

A:まずこれから取り組んでいきたいこととして、佐渡の一次産業を旅のコンテンツとして提供していくことを考えています。農業体験や漁業体験を考えていますが、それは単なる田植え体験や稲刈り体験だけでなく、本当に食への興味がある方たち向けのコンテンツにすることで、そうした方たちに継続的に購入してもらえるような佐渡の食材やそれに関する施設を作っていこうと考えています。

 佐渡がこの先、10年、20年、30年と訪れる方たちに選ばれ続けるために、私も今は逆算しながら動いているところです。人口減少が進み、若者たちが島外に出てしまっている中で、若者が佐渡を守りながら、そして楽しみながら生きていけるように、私自身も先を見据えて活動していかないといけないと思っています。

 日本全体が人口減少社会になっている現状では、国内だけに目を向けているとマーケットサイズが小さくなってしまうので、現状で満足せずにマーケットを広げて、海外の観光客にも理解してもらうようなコンテンツを作って満足してもらわなければならないと感じています。

 他にも素晴らしい場所はたくさんある中で、「やっぱり佐渡に来たい」、「何度も来たい」と思ってもらえる人たちをいかに増やすかが勝負だと思います。

 世界遺産登録で佐渡に注目が集まるここ数年が勝負だと思いますし、佐渡に興味・関心を持ってもらう分母をとにかく増やすことが重要だと思います。

 

Q:一押しの佐渡のおすすめ(最高の景色・最高の味)はありますか?

A:満天の星空と蛍を眺めながら味わう、佐渡食材のバーベキューが最高です。

 佐渡牛に南蛮海老、サザエにアワビ、佐渡の日本酒。空には星が流れ、周囲を見渡せば蛍たちが舞っている。もう、涙が出るほど美しく美味しい瞬間です。

佐渡食材BBQ

 

Q:「佐渡」が将来も輝き続けるために、現役世代である安達さんが、今しておきたいことはどのようなことですか?

A:旅先として「佐渡」を選んで訪れてくれた観光客に喜んでもらえることにやりがいや生きがいを持って取り組んでくれる方を増やすことが大事だと思います。訪れる方に「佐渡は良いところだ」と思ってもらうには、やはり「おもてなし」なんですよね。「佐渡の皆さんのおもてなしが良いからまた佐渡に来たい」「佐渡に来たら島の皆さんがとても温かく迎えてくれた」「人が良かったからまた会いに来たい」と思ってもらえるそういう世界観を作りたいと考えています。

 「おもてなし」の精神は、観光だけでなく何をするにも人と人がつながっていく原点となることであり、喜んでもらいたい、楽しんでもらいたい、そのためにはどうするか、を考えることにやりがいを持てるようにしていければと思います。

 燕三条はものづくりの町で、ものづくりには関わっていなくても燕三条を熱く語れたり、案内できたりする人が多いように、佐渡でも佐渡の本質的な魅力を語れる人たちの中に、特に若い人が今以上に増えてほしいと思いますし、それがおもてなしにもつながってくると思います。若い人たちに、「佐渡のこれがすごい」「この場所は素晴らしい」「これは絶対食べてほしい」と熱く語ってくれる人がもっともっと増えてほしいと思います。住んでいるから意外と気づかない部分があったりするので、最近特に増えている佐渡に移住してきた方々から、佐渡の素晴らしさを教えてもらっても良いと思います。自分たちにとっての当たり前が、世界にとっては当たり前じゃない、佐渡って特別なんだということに気づいてほしいと思います。

 そのためにも、「佐渡の魅力=何か」が明確になると、世界に向けて佐渡の魅力を語りやすくなると思います。

安達さん4

 

Q:「佐渡」が今後も輝き続けるために、子世代、孫世代、さらにその次の将来世代に伝えたいことは何ですか?

A:若い人には一度島外に出て、外から佐渡を見ることで、佐渡の魅力を再発見してほしいと思います。そしてぜひそれを自分たちの次の世代に伝えてほしいと思います。最近だと、Youtuberのけえ【島育ち】さんは若い人に大人気ですが、若い世代の人たちに佐渡に興味関心を持ってもらえるきっかけになるとても良い活動をされていると感じています。

 今はYoutubeの影響力があるように、伝え方は、時代や世代とともに変わってくると思います。若い世代の皆さんにはその時代に合った方法で発信していってほしいですね。

 田舎に住んでいると、都会に行きたいと思って外に出る人もいると思いますが、佐渡には誇れるものが本当にたくさんあるので、それにはっと気づく時がきっとあると思います。ぜひその誇れる魅力に気づいたときに何となくではなく、言語化して、周りの方たちにも佐渡の素晴らしさ、魅力をぜひ伝えていってほしいと思います。

安達さん5

 

 

聞き手:佐渡地域振興局 本間副局長、江口主事

 

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