ページ番号を入力
本文
令和6年7月、多くの方が待ち望んでいた「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録が実現しました。
そこで、これまで登録に向け尽力してくださった方々や、佐渡の地域づくり、地域活性化に取り組んできた方々などにインタビューし、世界遺産登録についての喜びの声やこれまでの苦労、将来世代に向けた期待や助言などをお聞かせいただき、その大切な思いを佐渡地域振興局から発信していきます。
【株式会社ゴールデン佐渡 鈴木 徹(すずき とおる)社長】 |
---|
【株式会社ゴールデン佐渡 七種 謙一(さいくさ けんいち)支配人】 |
---|
鈴木社長:脈々とつながってきた歴史やそれに伴う文化も育まれてきた「佐渡島の金山」が世界の宝として認められたことは、大変嬉しく思います。特に世界文化遺産登録を目指すにあたっては、地元佐渡を中心とした民間団体が主導して進めており、皆様が熱い想いを持ち続けてきた結果がこうして実を結んだことが、非常に感慨深いです。
また、相川から小木までの金を運んだ道を辿るイベントである「御金荷の道」に先日参加しましたが、その際にも佐渡全体で喜びを感じていることを実感しました。
七種支配人:何よりも史跡佐渡金山の安全対策が大変でした。入坑禁止箇所の表示や柵の設置、落石対策、陥没対策等は、観光客の皆様に対しても、従業員に対しても一番気にかけてきた点です。安全対策には終わりがないので、危険を予知しながら、たくさんのお客様に満足して、安心して見ていただけるように工夫してきました。特に宗太夫坑(そうだゆうこう)は、江戸時代初期に開削された手掘りの坑道であり、深く掘られていることから、高さがある箇所もあるため、小さいお子様が落ちないように、柵の高さを高くしたり、手すりと網の隙間をなくしたりする等、危ない箇所に気づいたら、その都度すぐ補修を行っています。
顧客満足度を上げて、リピーターを増やす、何回も来ていただける佐渡金山を目指しています。実際、毎年のように来ていただいているお客様もおり、道遊坑コースと宗太夫坑コースでコースを変えて前回と違うコースを見に来られる方や、単純に佐渡が好きで毎年佐渡に来て、その度に史跡佐渡金山に来られるという方等もいらっしゃいます。
七種支配人:「道遊の割戸の真下」がおすすめです。ここは道遊坑コースを抜けてから、少し坂を登った場所にあり、少し遠いのですが、ぜひこの割戸直下の採掘跡の様子を見ていただきたいと思います。この場所を目当てに何度も来る方もいらっしゃるくらいの素晴らしい場所です。
鈴木社長:私は「高任(たかとう)公園から見る道遊の割戸」ですね。毎日昼休みに散策して、写真を撮っています(笑)。日によって、季節によって景色が違っていて、見るたびに素晴らしさを実感します。桜が咲いている時期も本当に素敵ですよ。
※アイランド・ミラージュ…史跡佐渡金山の坑道内を、最新技術が集約されたMR(Mixed Reality)グラスを着用することで異世界への洞窟探検を体験できるウォークスルー型アトラクション。
七種支配人:令和3年に新しいアトラクションとして「アイランド・ミラージュ」を導入しましたが、これにより課題であった若い方に来ていただくことが増えましたね。親子連れのお客様にも人気です。予約して来られる方ももちろん多いのですが、当日来て知って体験される方もいらっしゃいます。
また、「山師ツアー」という、大切山坑(おおぎりやまこう)(当時のままの坑道)を巡るツアーも、最近若い方の利用が増えてきています。
鈴木社長:今後は、老朽化が進んでいることから、いかに永続的に保存していくかについて、佐渡市と協力して取り組んでいきたいと思っています。
世界遺産にも登録されたことから、これからは保存に加え、活用にも力を入れていきたいと考えています。そしてより多くの方に来ていただいて、金山の素晴らしさを見て感じていただき、その結果佐渡の活性化につなげることができれば嬉しく思います。
鈴木社長:佐渡は様々な地域から人が集まり、繁栄してきたことから、歴史や多様な文化(能楽、民謡等)が根付いており、触れられる機会も多いと感じています。1泊と言わず何日も滞在していただくことで、観光施設はもちろんですがそれだけでなく、宿泊施設や飲食店等も個性的なところが多いので、様々な佐渡の魅力を感じていただきたいと思います。
七種支配人:世界遺産登録され、金山の観光客が増えているイメージがあると思いますが、佐渡全体が潤っていく必要があると感じています。そのためにも佐渡の様々な良さをPRしていきたいと思いますし、インフルエンサー等の発信力がある方を招聘しながら、国内のみならず世界にも発信していきたいと考えています。
私自身、休みがあると、魚釣りをしたり、神社仏閣をまわったりしていますが、その他にもジオパークや世界農業遺産等、佐渡にはガイドマップに載っていなくても良いところがたくさんあるので、そうした場所もぜひ佐渡を訪れる方には回ってほしいと思います。
鈴木社長:相川公園の丘があって、その上にあるベンチで眺める夕日が最高です。
佐渡の味として一番おいしいと思うのは、相川にある「金福」の焼き鳥です。それから、史跡佐渡金山の坑道で熟成させた日本酒もまろやかでとてもおいしいです。佐渡はお酒もお米も、何でもおいしいですね。
七種支配人:北沢浮遊選鉱場を上から眺める景色がおすすめです。総源寺の目の前から眺めると、シックナーが手前に見え、奉行所まで見渡せて、さらにその先には海まで見えます。あそこからの景色は本当に素晴らしいです。
おすすめの味は、「長浜荘」の海鮮丼ですね。「ケーキハウスバニラ」も何でもおいしいです。甘いものは普段そんなに食べませんが、島外から家族が来た時にはよく行きますね。
鈴木社長:佐渡に自信や誇りを持ってほしいと思います。ここで生活を育むことは素晴らしいことだと感じてもらえればと思います。
若い人ももっと増えてほしいですね。そのためには職がないと困りますが、現在はインターネット環境の整備や在宅ワークの普及によって、どこでも仕事ができる環境になってきているので、これから佐渡に移り住む方にはぜひ新たな発見をしてほしいと思います。
七種支配人:素晴らしい佐渡の良さをわかってほしいですし、我々がその素晴らしさを伝えていきたいと思います。
また、島外へ出た若い方が戻ってくるには職も大切なので、1年中働ける場所を作っていくのも我々世代の責任かもしれません。
学校で佐渡の良さを考える授業を取り入れても良いと思います。自ら考えることで、気づきにもつながると思いますし、その後自分たちの手でその気づきを活かして、また次の世代につなげていってほしいですね。
聞き手:佐渡地域振興局 本間副局長、江口主事