ページ番号を入力
本文
令和6年7月、多くの方が待ち望んでいた「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録が実現しました。
そこで、これまで登録に向け尽力してくださった方々や、佐渡の地域づくり、地域活性化に取り組んできた方々などにインタビューし、世界遺産登録についての喜びの声やこれまでの苦労、将来世代に向けた期待や助言などをお聞かせいただき、その大切な思いを佐渡地域振興局から発信していきます。
【佐渡を世界遺産にする会 中野洸会長】 |
---|
A:平成8年に島根県の石見銀山が世界遺産を目指す動きが始まり、その時はまだ全国でも6箇所しか世界遺産に登録されていませんでした。
佐渡には規模も大きく採掘期間も長い金山があったため、「佐渡も世界遺産を目指したい」「そのために私が機運を盛り上げていきたい」と考え、世界遺産登録に向けた活動を始めました。ただ当時は関心も低く、世界遺産になると開発規制がかかる等の制約に縛られるというマイナスイメージがあったことや、佐渡は当時10市町村あり登録に向け一致団結することが難しかったことから、なかなか思うように進みませんでした。
そこで当時の行政関係者のところへ何度も、それこそ10回以上も通いつめて説得し、なんとか協力を得られることになり、まずは地元から一丸となって世界遺産を目指そうということで、世界遺産登録への活動が始まりました。
A:まずは平成9年に「世界文化遺産を考える会」を立ち上げました。翌年の平成10年には総会を開催しましたが、その時には既に約200名もの会員が所属していました。そして相川の金山だけでなく、西三川の砂金山、鶴子の銀山、新穂の銀山も構成資産に入れ、4つの地域を世界遺産にするという方向性が決定しました。
その後も県議会での動きもある中、平成16年に佐渡市が合併したタイミングで、県や市でも世界遺産登録を推進する組織が立ち上がりました。また平成19年には「世界文化遺産を考える会」と「佐渡金銀山友の会」が統合し、「佐渡を世界遺産にする会」が誕生しました。県議会でも、当時私は議員ではあったもののまだ期が浅かったのですが、私が会長になるなら協力してくれると言ってくれた方もおり、同期にも協力を仰ぎながら議員連盟を結成しました。
その後佐渡市議会や国会でも議員連盟が結成され、政官民が一体となり、世界遺産登録に向け、準備を進めていきました。
A:私は世界遺産や文化は文明の開化だと考えています。
どんなものでも最初はすべて文明から始まります。それが数百年という時間を経て、価値がある良いものが文化として認定されます。最初から文化があるわけではなく、文明が開化したものが文化になると考えています。
鉱山で栄えた頃は全国から佐渡に人が集まり、佐渡全体が賑わいました。世界遺産になったからには世界に誇る文化を守りながらも活用して、多くの方に価値を知っていただき、来ていただき、今後も佐渡が栄えていってほしいと願っています。
A:佐渡島には郷土芸能や食文化、歴史的な建物など世界に誇るべき財産が本当に多くありますが、一つあげるとすれば「鼓童」です。佐渡を拠点に活動する鼓童は世界中の国々で演奏活動をしており、海外での評価もとても高い太鼓芸能集団です。初めて鼓童が太鼓を打つ姿を見た時の感動は、今でもはっきりと覚えています。現在所属しているメンバーも素晴らしい演奏をする方ばかりで、本当に個性豊かで人としても魅力的な方々です。
1988年以来、毎年佐渡で開催されるアース・セレブレーションのメインステージでのコンサートをとても楽しみにしているのですが、令和5年だけは6月に肺炎が重症化し入院、その後自力歩行ができなくなり、リハビリ中で行けませんでした。令和6年の夏は無事回復し、7月の「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録決定を相川のパブリックビューイング会場で多くの方々と共に喜ぶことができましたし、8月のアース・セレブレーションも素晴らしい舞台を会場で見ることができて、本当に嬉しかったです。太鼓を通じて世界中の方々と文化交流を続けている鼓童は、世界に誇るべき佐渡の宝だと思います。
A:「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」です。
人間の手だけで山を真っ二つに割っているんです。江戸時代の人々の身体は今よりも小さかったはずですが、それをやってのけた当時の人々の技術や体力等が明らかに見てわかるこのスポットをぜひ多くの方に見てほしいと思います。
今の時代の人間ではやろうと思ってもきっとできません。そのくらい当時の人の体力や技術はすごかったのだと思います。人が山を二つに割ったのは、本当に不思議ですごいことだと思います。
史跡佐渡金山には2つのコースがあるので、江戸時代の坑道の様子を見ることができる「なじみの女に会いたい」という人形が有名な宗太夫坑コースだけでなく、道遊の割戸を見ることができる道遊坑コースもぜひ訪れて価値を感じとってもらいたいと思います。
A:一番大事なことは世界に誇る文化を守ることです。そして守るだけではなく、上手に活用して佐渡を豊かな島にしていってほしいと思います。金山だけでなく武家社会で行われていた能楽が一般の農民でも行われるようになったこと等、一連の歴史の中で育まれてきた文化も含め、守るとともに活用して、ぜひ次の世代につなげていってもらいたいと思っています。
※ご家族(奥様と娘の奈美子様)とご一緒に撮影。
聞き手:佐渡地域振興局 本間副局長、江口主事
〈参考文献〉
佐渡島の金山ホームページ 先端技術の導入と改良
https://www.city.sado.niigata.jp/site/mine/4525.html<外部リンク>
〈参考〉「佐渡島の金山」世界文化遺産登録までの経緯
・新潟県文化課世界遺産登録推進室「佐渡島の金山」世界遺産登録を目指して
https://www.sado-goldmine.jp/towards/<外部リンク>
・佐渡市「佐渡島の金山」世界遺産への取組
https://www.city.sado.niigata.jp/site/mine/list95.html<外部リンク>