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きのこの生産量が全国2位の新潟県。中でも、ここ魚沼地域(魚沼市・南魚沼市・十日町市・津南町)では県内の約67%のきのこを生産しています。様々な種類のきのこ農家が独自の栽培方法を研究しながら、より美味しいきのこ栽培に挑戦している魚沼地域。その中で、南魚沼市にある石坂きのこ組合は、味・香りを天然物に近づける工夫を長年続けているまいたけ農家です。今回は、きのこ王国・南魚沼の『石坂まいたけ』をご紹介します。
「食品用の一斗缶」を利用した大きな培地から生えた黒く肉厚なまいたけ。ひと株が1.5kg近くまで育ちます。石坂きのこ組合が生産する石坂まいたけは、葉が大きく肉厚で、茎(じく)が太く、しっかりとした歯ごたえがあり、まいたけ本来の豊かな香りと濃厚な味が味わえることより、地元の飲食店でも重宝されています。
石坂きのこ組合の創業者である石坂恵一さんがまいたけ栽培を開始したのは昭和55年。味・香りが天然物に近い大きく肉厚なまいたけの栽培を目指し、試行錯誤の末「一斗缶でのまいたけ栽培」で特許を取得。「新潟県技術賞」や「日本農業賞」など数々の賞を受賞しました。
「実際、軌道に乗るまでは10年かかったと聞いています。株を大きくするために培地を大きくしたことで、十分な殺菌処理ができなかったり、菌の培養中に酸素が行き渡らなくなったりと、前例のない取組でしたから課題も多く、手間と時間がとてもかかりましたね。それでも諦めずにそれらの課題を乗り越えて、今の栽培方法を確立しました。」
そう話すのは、石坂きのこ組合二代目の石坂猛さん。幼い頃に食べた天然まいたけの味が忘れられず、その味を目指し続けた先代の思いを引き継ぎ、石坂まいたけの栽培に取り組んでいます。
まいたけ栽培では、培地に栄養剤を混ぜて栽培するのが一般的ですが、石坂きのこ組合ではそれを極力少なくして栽培しています。菌が時間をかけてオガクズを分解しながら成長することで、茎の部分がじっくりと育ち、太くて肉厚になるだけではなく旨みが閉じ込められるのです。
この栄養剤を極力与えずに栽培する方法も天然まいたけの生育環境に近づけるための工夫のひとつ。天然物に近いまいたけを育てようとする強い信念が石坂まいたけのブランドを支えています。
より天然物に近いまいたけを栽培したいという思いから、石坂きのこ組合では自然の林の中に一斗缶を設置して栽培する露地栽培にも挑戦しています。
露地栽培は天候に左右されやすく、雨が続いて湿度が高い日が続くと食味や香りにも影響してしまうため栽培が難しく、設置や撤去作業にも多大な労力を要します。しかし、自然の林の中でじっくりと時間をかけて育てることでより香りや味が天然物に近づくそうです。
「天然のまいたけを食べる機会は地元の人でも、一生のうちに何度あるか分かりません。天然のまいたけは生える場所が決まっていて、周期も数年に一度です。見つけた人は、その場所を絶対に教えませんから、それほど貴重なものです。その味に近いものを毎年、量は少ないですがみなさんにお届けしています。」
石坂きのこ組合では、温度や湿度が管理された施設内で栽培することにより、年間を通じて変わらぬ味のまいたけをお届けしています。
天然物に近い香りと食感、そして味が特徴の石坂まいたけを活かす食べ方とはどのような食べ方なのでしょうか。
「石坂まいたけは肉厚で歯ごたえが良く、茎の部分まで美味しいので、天ぷらがおすすめですね。自宅で気軽に調理するなら油炒め。塩・胡椒で味付けして、最後に酒と醤油とバターを加えるのがポイントです。出汁を楽しみたいなら、おつゆ(お吸い物)も良いですね。具はシンプルにまいたけと豆腐だけにして、塩または醤油で味付けしていただきたいです。冷めて味が染み込んだおつゆも最高ですよ。まいたけの出汁がしっかり出ます。」
その他にも、まいたけご飯にしたり、歯ごたえがしっかりしているので、グラタンやドリアに使っても美味しいそうです。
なお、まいたけは水分がついていると劣化が早いため、洗わずに布きんなどで拭き取って保存するのが良いとのこと。新聞紙に包んで冷蔵すれば1週間程度は保存できるそうです。また、香りを長持ちさせたい時は小分けにして冷凍すると良いそうです。
「手間がかかる製法のため大量生産はできませんが、味も香りも天然物に近いものをみなさんにお届けできるよう日々試行錯誤していますので、是非とも食べていただきたいです。」と石坂さんは最後に話してくださいました。
長年、地元に愛され続けてきた石坂まいたけ。箱入りの物は大きな株を丸ごと詰めているので、ご贈答用としてもおすすめです。みなさんもまいたけ本来の味と香りが味わえる「石坂まいたけ」をぜひ一度味わってみてください。
取材日:2021年9月8日
石坂まいたけ 肉厚でしっかりとした歯ごたえ。まいたけ本来の豊かな香りと濃厚な味が特徴です。 通年 |
パンで簡単♪まいたけの味と香りをお楽しみあれ
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定番のまいたけおこわをごま油香る中華にアレンジ! |
きのこのレシピ(魚沼きのこ・山菜振興協議会)<外部リンク> |
四季味わい館(道の駅南魚沼 雪あかり) 住所:新潟県南魚沼市下一日市855 「四季味わい館」ホームページ<外部リンク> |
※商品の注文やお取り寄せについては「石坂まいたけ」のホームページをご覧ください。
「石坂まいたけ」ホームページ<外部リンク>
関連サイト : 「魚沼きのこ」公式HP<外部リンク>