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南魚沼300年の歴史、「大崎菜」の味を知る

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0268888 更新日:2021年3月4日更新

南魚沼300年の歴史、「大崎菜」の味を知る 関匡和さん

300年以上の長い伝統がある「大崎菜」は、新潟で「とう菜」と呼ばれる小松菜の一種。南魚沼市の大崎地区や大和地区で育てられています。

自家採種によって種が受け継がれ、南魚沼の土と水と気候が大崎菜独特のほろ苦さと香りを育て、春の訪れを告げる味になりました。

今回は、南魚沼市の特産品として名が知れている「大崎菜」の農家を訪ねました。

浦佐駅のほど近くに広がる大崎菜ハウス
浦佐駅のほど近くに広がる大崎菜ハウス

厳しい寒さが「ほろ苦さの中の甘み」を生む

大崎菜の栽培に力を入れているのは、南魚沼市大和地域で大崎菜を育てている関匡和さん。27年目の農家。地域の生産者と一緒に大崎菜の品質を守っています。

南魚沼市大和地域で大崎菜を育てている関匡和さん
 「いつかは継ぐだろう」と思っていた

「大崎菜は山菜と一緒で、寒くならないと甘みが出てこないんだ。」

厳しい冬にビニールハウスの中に霜がおりると、細胞が凍結を防ぐために光合成によって生み出した糖とビタミンを流出させずに蓄積します。大崎菜のほろ苦さが噛み続けることで甘みへと変わっていく理由です。

凍結させず、甘みが留まる温度管理と地下から汲み上げた井戸水の水質管理が大崎菜農家の肝所。別名「水撒き菜」とも呼ばれる由縁です。

大崎菜の世話をする関さん

気候を見ながら井戸水や湧き水を撒いて太らせ、凍結寸前まで雪国の寒さに晒す。完全に凍結してしまうと全てダメになってしまう。

「やっぱり大雪が大変だよね。厳しい寒さがないと美味くならないけど、大雪の時は夜も寝ずにハウスの周りの雪を潰したり、菜が凍結しないように気をつけないといけないから。」

「雪国のハウス栽培は大変だよ」と語る関さん
「雪国のハウス栽培は大変だよ」と関さん

雪国の恩恵、克雪と利雪の農業

圧倒的な南魚沼の積雪量はともすれば3メートルを超えて降り積もります。越後塩沢の文人・鈴木牧之(ぼくし)が『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』に雪国の暮らしを描写したことで、この地の豪雪が広く世に知られることとなりました。

「大雪は大変だけど、冬に栽培する大崎菜には虫がつきにくい。だから農薬や殺虫剤も使わなくて済む。『安心・安全』なんて言葉が出てくる前から、大崎菜はずっと安心して食べてもらってるよ。」

雪に耐えるのではなく、活かすのが雪国の農業なのだと。
自信と誇りに満ちた顔をしていました。

「大崎菜も米もスイカも自信がある」と語る関さん
「大崎菜も米もスイカも自信がある」

大崎菜の魅力は「とう」にある

「大崎菜は『とう』の部分が実は一番甘い部分なんだ。特に『2番とう』の方が2月の一番寒い時期に育つから苦味が少なくなる。」

採りたての「とう」は瑞々しく甘い
採りたての「とう」は瑞々しく甘い

大崎菜は3月頃が旬と言われていますが、実は12月20日頃から出荷が始まります。9月頃に播種(種蒔き)をして「1番とう」と呼ばれる最初の大崎菜を収穫。苦味は「2番とう」に比べて強いが、それが大崎菜らしさ。

1番とうが収穫され2番とうが育っている
1番とうが収穫され2番とうが育っている

「1番とう」を収穫した後は、周りの大きくなった葉を刈り取り、「わき芽」だけを残して「2番とう」を栽培します。

柔らかさや甘味が「1番とう」に比べて特徴的で、市場に出回るのが2月後半から3月頃。この時期が「大崎菜」の旬です。

わき芽を残し、周りの葉は取る
わき芽を残し、周りの葉は取る

他にも、大崎菜は南魚沼の土・水・気候の中で育ち、選定されて引き継がれてきたため、農家や地域によって同じ品種でも違いが出てくることもあるといいます。

苦味の強弱や甘味の強さ、柔らかさが指標になりますが、葉の棘が多いものは昔の大崎菜に近い味ということもあって、見つけた時には必ず種を残すようにしているそう。

棘はかつての大崎菜の特徴
棘はかつての大崎菜の特徴

「見附市のあたりに、くっきりと線があってなぁ。その辺りから上(新潟市方面)は『女池菜(新潟市)』、下(南魚沼市方面)は『大崎菜』。線を越えるとパッタリ売れなくなるんだよ。なんでかなぁ。」

新潟県内では「女池菜」をはじめ「五月菜」「川流れ菜」「小針菜」といった同種の「とう菜」が各地域で栽培されており、それぞれの故郷の味になっています。地域によって、好む味を敏感に感じているのかもしれません。

「南魚沼市では飲食店に入れば、なめこがかかった大崎菜のおひたしとか出てくる。油との相性も良いし、汁物にもなるから給食にも出してるよ。娘が行ってる学校にも。子供が美味しいって食べてくれるのは、やっぱり嬉しいね。」

「中腰での収穫が大変でね」と語る関さん
「中腰での収穫が大変でね」と関さん

「ほろ苦い味が苦手な子供もいるかもしれないけど、それも大人になって懐かしがってくれるかな。」と関さんは言いました。

地域の味は故郷の味として、子供たちに伝わっていくでしょう。

先人が築いてきた評判は落とさない

「大崎菜は大崎から名前を借りて作らせてもらって、大和の大崎菜のブランドを作ってきたのは昔の人達だ。だから、それを引き継いだからには絶対に評判は落とさない。俺がやってるうちはね。」

雪国南魚沼で守られ育てられる大崎菜と関さん

雪国南魚沼で守られ育てられる大崎菜は冬を通して市場に並びます。
12月から2月までは「1番とう」3月の旬の時期には「2番とう」、その味の違いや形、食感の移ろいを楽しみながら、春の訪れを待つことが出来るのは南魚沼で暮らす人たちの特権かもしれませんね。

春の訪れを待つ大崎菜

取材日:2020年3月12日


ポイント

大崎菜

おすすめポイント大崎菜の画像

  • 300年以上の長い伝統がある地域特産の青菜。
  • ほのかな苦みと甘みが大崎菜の特徴です。
  • 初春にとれる「とう」は、甘みが強く格別のおいしさです。
  • おひたしや煮物はもちろんのこと、油との相性もよいので炒め物にもおいしく使えます。

旬の時期

 12月~4月


レシピ 

おすすめレシピ大崎菜の煮浸しの画像

大崎菜の煮浸し

南魚沼の春の味覚!

 

 


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あぐりぱーく八色あぐりぱーく八色

住所:新潟県南魚沼市浦佐5147-1
Tel:025-788-0253
営業時間:9時~17時(5月1日~11月30日)
              10時~17時(12月1日~4月30日)
定休日:1月~4月末までの毎週木曜日、年末年始 他

あぐりぱーく八色ホームページ<外部リンク>

 

 

四季味わい館(道の駅南魚沼「雪明かり」)四季の味わい館

住所:新潟県南魚沼市下一日市855
Tel:025-783-3983
営業時間:9時~18時(5月~11月)
     10時~17時(12月~4月)
定休日:元旦を除き年中無休

「四季味わい館」ホームページ<外部リンク>

   大崎菜は、市内スーパーでも購入できます。

 

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