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学びが変わると社会も変わる!「探究的な学び」が未来を創る
講師:(一社)STEAM JAPAN代表理事 井上 祐巳梨(いのうえ ゆみり) 氏
探究的・創造的な学びが必要となった背景や、意義について海外の事例を交えお話をいただきました。
(主な内容)
※出展:日本財団「18歳意識調査」第20回テーマ:「国や社会に対する意識」(9か国調査)より
【発表校】新潟市立五十嵐小学校、胎内市立中条中学校、県立津南中等教育学校 (1校20分×3校)
各学校で実践されている探究的な学びの成果発表を通じて、学校の学びの変化をお伝えいただきました。
発表後は井上 祐巳梨 氏から講評をいただきました。
◆発表内容
「福祉」をテーマに、地域とのつながり、多世代とのつながりなどの共通課題に対して、5年生全員で考え、取り組んだことを発表。
(講評)
※インフルエンザによる学校閉校により、担当の先生による発表
◆発表内容
胎内市立中条中学校では、「まちづくり会社中条中学校社」を立ち上げ、地元NPO団体とともに地域課題(三八市(さんぱちいち)の賑わい創出、特産品を生かした商品開発等)について発表。
(講評)
◆発表内容
放置杉の利活用を通じた4代目の「森の三方よし」の活動として、花粉症で苦しむ人を減らすことを目指した取組を発表。
(講評)
パネリスト
(一社)STEAM JAPAN代表理事 井上 祐巳梨 氏
立命館小学校 教諭 正頭 英和(しょうとう ひでかず) 氏
木山産業(株)執行役員CINO 石川 翔太(いしかわ しょうた) 氏
コーディネーター
新潟県 教育長 佐野 哲郎
[正頭]子どもの探究心は継続しない。もって2か月なので、探究に取り組む場合は短期決戦で実施することがポイント。また、子どもが動きたい瞬間に、単に「やってみよう」と声掛けするのではなく具体的な声掛け(調べてみよう、作ってみよう、試してみよう)とすることが重要。
[石川]県教育委員会の仕事でプログラミング教室を実施したが、その経験から、首都圏と比べ、地方は学べる機会が少ないということを感じた。また、地方では保護者の情報量や情報の感度の差が教育に現れているという点も感じた。保護者にもっと情報が伝わる仕組みとして、学校こそオープンイノベーションが必要。
[井上]海外事例として、例えば、シリンコンバレーの図書館では、STEAMワークショップ等が多彩に展開されている。そのような場所と比較すると教育の機会の差や情報の感度についてどんどん差が開いてくると感じる。
<質問(1)>(津南中等教育学校生徒)ICTは便利だが、答えだけを探してしまって、頭を使って考えるということをしなくなってしまった。ICTの利便性だけうまく活用するにはどうしたらいいか。
[正頭]ICTを単なる便利な道具、例えば辞書を使って調べるよりも早く調べられるという使い方としてだけではなく、ICTがないと作れないものを作るという使い方が大事。便利な道具から、使う道具として、使う側のステップアップが必要。
[石川]津南中等教育学校では、調べた内容をある人に聞きに行きたいという取組をされていた。おそらく最初に調べる時にICTを利用したかもしれないが、その人に決めたのは自身の判断があってこそ。便利な道具は道具で使えばいいが、必要なことは判断をする力を伸ばすこと。
[井上]OECD平均と比較して、日本の場合はデバイスの利用の仕方がゲームで使用したり「消費者側」であることが高い数値となっている。他国では、自分たちがデバイスを活用して、生み出す創り手側であることが多い。
<質問(2)>(NPO法人)持続可能な探究の学びをどうやって実現できるのか。
[井上]失敗する事例としては、活動の真ん中にNPOが入ってしまって、NPOが抜けると取組がストップしてしまう。よって、デジタルツールなど使って外部の人も取り入れながら属人的にならないモデルづくりが必要。また、先生方のマインドセットが必要。そのためには事例を共有するなどして、お互い学びあい、高めあっていく仕組みが必要。
[石川]持続可能な状態をつくるためには、ビジネスという手段が有効だと考える。また、教育現場では、もっとPTAと連携していくことも大事なのではないか。
[正頭]取組を属人化しないことと、子どものモチベーションを大切にすること。取組の属人化は教師側の問題だが、教師側が取組を始めた頃は頑張るが、どんどんとバージョンアップを図るうちに内容が複雑になり、その人が異動すると継続できなくなる。また、子どものモチベーションを高める工夫をすることで、教師のやる気を引き出すことも有効と考える。
<質問(3)>(高校教諭)探究的な学びに取り残されがちな子へのアドバイスをどうすればいいのか。
[正頭]やる気のある子の横に座らせ、「ご覧、あなたがつまらないと思っているこの取組、あの子は目をキラキラさせてやっているよ。あなたも視点を変えると、好きになるかもしれないよ」と言った形で生徒の視点をちょっとずらす工夫をしている。
[石川]大事なのは自己連続性。大人になって自分のやりたいことをやっている人が必ずしも、高校時代からそういう取組をできていたわけでない。高校の時に探究に乗れない時期があっても、最終的に自分のやりたいことを実現できるようにできれば問題ないのでは。
[井上]やる気を引き出すことを、やる気のある生徒にやらせてみるのも手。生徒に、やる気のない子をどうやって励ますかということをやらせてみると、その子にとってもいいリーダーシップの勉強となり、社会に出てからも役立つはず。
[正頭]学校という場の周りの壁が少しずつ溶けてきていると感じている。教育はみんなが受けてきたもので一言言いたい分野。これまで学校というある種ブラックボックスになっていた部分を、他人ごとにしないで、一緒によりよい教育としていくために協力していくことが必要。
[石川]新潟では教育格差はあると感じる。大人の教育に対する感度や情報量が子どもの教育の差となって表れている。学校こそオープンイノベーションが大事であって、そのために我々NINNOも協力できることがあればと思う。
[井上]教科横断的な学びを実現していくためには、横の連携が不可欠。そのために先生方での情報交換が必要。フィンランドに(史上最年少の)女性首相が誕生したが、教育が変わったということが大きい。本日のテーマである「学びが変わると社会も変わる」というところを他国でも実現しているので、新潟県でもぜひ、社会とつながる学びを実現してもらいたい。
県立学校において、これまでの授業や課外活動等において作成した「地域を紹介する動画」について、イベント当日の休憩時間等に放映しました。
・新潟の教育は変わっていかなければならない。その思いを強くした時間となった。まずは、大人のマインドセットが肝心。子どもたちが「つくる側」になるよう支える存在になりたい。(40代・男性・教育関係者)
・学校での学びが社会に出てから通用しないようでは困る。そんな日本を変えるためには、学校以外でも学びが変わらなければならない。官も民も、学校も企業も、ただ流れに任せているだけではなく、なりたい姿を目指して具体的に行動しよう。若い方々からそんな勇気をもらったイベントだった。(60代以上・女性・会社員)
・今、求められる学びの姿を示していただいたと感じた。教育というと学校教育と考える方が大半で、今回もターゲットが高校生までだが、本当にターゲットにしなければならないのは、「学校」という組織から卒業した後の人ではないかと思う。(50代・男性・学校関係者)