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11月1日に「新潟県教育の日」記念イベントを開催しました

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0610205 更新日:2023年12月1日更新
 新潟県教育委員会では、11月1日の「教育の日」に、教育の重要性を考えるきっかけとしていただくため、記念イベントを新潟ユニゾンプラザにて開催しました。
 記念イベントでは、「探究的な学び」をメインテーマとした3部構成となっており、探究的な学びの重要性や今後求められる人材についてお伝えしました。
 記念イベントは会場・オンラインのハイブリット開催で行い、会場に約200名、オンラインで約130名の方に参加していただきました。

イベントタイトル

 学びが変わると社会も変わる!「探究的な学び」が未来を創る

イベント内容の詳細

第1部 基調講演

【演題】社会につながる学び ~今求められる探究的・創造的な学びとは~

講師:(一社)STEAM JAPAN代表理事 井上 祐巳梨(いのうえ ゆみり) 氏

探究的・創造的な学びが必要となった背景や、意義について海外の事例を交えお話をいただきました。

(主な内容)​

  • 不確実な時代において、求められている人物像が変化。これまでのように真面目で注意深くミスのない人材ではなく、自ら問題発見し、自分でゼロから1を生み出す力(革新性)を持つ人材が求められる。
  • 特に、ここ最近、ChatGPT、生成AIなど急速に普及。しかし、人間の創造性はAIがかなわない領域。
  • 一方、日本の若者への意識調査※によると、世界と比較して、日本人自身に創造性があるとは思っていない。それはこれまで、そのようなトレーニングをしてこなかったから。
  • 海外で実践されている学びでも、体験を通じて創り出す学びが非常に重要となってきている。
  • 進化論と同じだが、生き残れるものは強いもの、賢いものではない。生き残れるのは唯一変化できるもの。変化できるような人材の育成という部分において、この探究的・創造的学びが必要となる。
  • 探究的・創造的な学びの実践には、模擬課題ではなく、本物の社会実践の課題に取り組むことが必要。世界の先進事例として、課題解決型学習を取り入れているハイテックハイ(アメリカのチャータースクール)などでは、教科書等を使わず、教師の裁量に任せ教科横断型の学びを実施。教える側の力量が問われる。
  • 探究的な学びは世界のスタンダード。そのためには教師をサポートすることが大事。教育関係者においては変革の時だが、逆にこの状況を楽しんで行う、というマインドが重要になってくる。

※出展:日本財団「18歳意識調査」第20回テーマ:「国や社会に対する意識」(9か国調査)より

講演の様子 講演の様子​​

第2部 成果発表会

 【発表校】新潟市立五十嵐小学校、胎内市立中条中学校、県立津南中等教育学校 (1校20分×3校)

  各学校で実践されている探究的な学びの成果発表を通じて、学校の学びの変化をお伝えいただきました。
  発表後は井上 祐巳梨 氏から講評をいただきました。

[新潟市立五十嵐小学校]Happy Life五十嵐~誰もが幸せに~ 

◆発表内容
「福祉」をテーマに、地域とのつながり、多世代とのつながりなどの共通課題に対して、5年生全員で考え、取り組んだことを発表。

(講評)

  • ふるさとへの愛が伝わってくる内容で、素晴らしかった。探究的な学びの点としても、実際に地域に行って話を聞く、そして行動に移すという点においても良かった。
  • さらに取組をもっと良くするためには、高齢者の知見を利用することで、地域の困っている人と高齢者をつないでいく(例えば、日本語を学びたいと思っている外国人とおしゃべりしたい高齢者)と取組に広がりが出ると思う。

五十嵐小学校発表1 五十嵐小学校発表2

[胎内市立中条中学校]胎内市の未来は、私たちがつくる!まちづくり会社中条中学校社2023

※インフルエンザによる学校閉校により、担当の先生による発表

◆発表内容
胎内市立中条中学校では、「まちづくり会社中条中学校社」を立ち上げ、地元NPO団体とともに地域課題(三八市(さんぱちいち)の賑わい創出、特産品を生かした商品開発等)について発表。

(講評)

  • 活動が一つ一つ立体的で、専門家を交えて実社会につながる課題に取り組んでいる点が素晴らしい。何より、地域課題を地域の人と対話を重ねて発見している点が評価できる。
  • 人口減少は日本各地の共通課題。解決に当たっては、今後どのような予測となるのか地域経済分析システム(REASAS)を使ってみてもいいのでは。また、最初に地域のありたい姿を示してもいいと思った。さらに事業の波及効果として取組を共有できる仕組みがあってもいい。
  • 生徒が全員「まちづくり会社中条中学校社」の社員ということだが、「社長」でもいいのでは。全員経営の視点で今後の活動を継続していくと、よりビジネス的な要素が入ってきておもしろい。

中条中学校発表1 中条中学校発表2

[新潟県立津南中等教育学校]森の三方よし

◆発表内容
放置杉の利活用を通じた4代目の「森の三方よし」の活動として、花粉症で苦しむ人を減らすことを目指した取組を発表。

(講評)

  • 課題とは、現状とありたい姿の差であるが、生徒自身が課題の当事者として、主体的に探究・創造的な学びをされている点が非常に良かった。厄介ものの花粉を有効活用するという発想・着眼点も素晴らしい。
  • アンケートを取っている点も非常に良かったが、今後、小学校等で木育をやった際に、その前後でどのような変化があったかという点も捉えるとさらに良いのでは。また、オンラインなどのデジタルツールも活用して、周りを巻き込みながら活動を広げてもいい。

津南中等発表1 津南中等発表2

第3部 パネルディスカッション

【議題】学びが変わると社会も変わる!「探究的な学び」が未来を創る

パネリスト
 (一社)STEAM JAPAN代表理事 井上 祐巳梨 氏
 立命館小学校 教諭 正頭 英和(しょうとう ひでかず) 氏
 木山産業(株)執行役員CINO 石川 翔太(いしかわ しょうた) 氏
コーディネーター
 新潟県 教育長 佐野 哲郎

探究的な学びを実践する上での課題・工夫等について

[正頭]子どもの探究心は継続しない。もって2か月なので、探究に取り組む場合は短期決戦で実施することがポイント。また、子どもが動きたい瞬間に、単に「やってみよう」と声掛けするのではなく具体的な声掛け(調べてみよう、作ってみよう、試してみよう)とすることが重要。

[石川]県教育委員会の仕事でプログラミング教室を実施したが、その経験から、首都圏と比べ、地方は学べる機会が少ないということを感じた。また、地方では保護者の情報量や情報の感度の差が教育に現れているという点も感じた。保護者にもっと情報が伝わる仕組みとして、学校こそオープンイノベーションが必要。

[井上]海外事例として、例えば、シリンコンバレーの図書館では、STEAMワークショップ等が多彩に展開されている。そのような場所と比較すると教育の機会の差や情報の感度についてどんどん差が開いてくると感じる。

会場参加者からの質問

<質問(1)>(津南中等教育学校生徒)ICTは便利だが、答えだけを探してしまって、頭を使って考えるということをしなくなってしまった。ICTの利便性だけうまく活用するにはどうしたらいいか。

[正頭]ICTを単なる便利な道具、例えば辞書を使って調べるよりも早く調べられるという使い方としてだけではなく、ICTがないと作れないものを作るという使い方が大事。便利な道具から、使う道具として、使う側のステップアップが必要。

[石川]津南中等教育学校では、調べた内容をある人に聞きに行きたいという取組をされていた。おそらく最初に調べる時にICTを利用したかもしれないが、その人に決めたのは自身の判断があってこそ。便利な道具は道具で使えばいいが、必要なことは判断をする力を伸ばすこと。

[井上]OECD平均と比較して、日本の場合はデバイスの利用の仕方がゲームで使用したり「消費者側」であることが高い数値となっている。他国では、自分たちがデバイスを活用して、生み出す創り手側であることが多い。

 

<質問(2)>(NPO法人)持続可能な探究の学びをどうやって実現できるのか。

[井上]失敗する事例としては、活動の真ん中にNPOが入ってしまって、NPOが抜けると取組がストップしてしまう。よって、デジタルツールなど使って外部の人も取り入れながら属人的にならないモデルづくりが必要。また、先生方のマインドセットが必要。そのためには事例を共有するなどして、お互い学びあい、高めあっていく仕組みが必要。

[石川]持続可能な状態をつくるためには、ビジネスという手段が有効だと考える。また、教育現場では、もっとPTAと連携していくことも大事なのではないか。

[正頭]取組を属人化しないことと、子どものモチベーションを大切にすること。取組の属人化は教師側の問題だが、教師側が取組を始めた頃は頑張るが、どんどんとバージョンアップを図るうちに内容が複雑になり、その人が異動すると継続できなくなる。また、子どものモチベーションを高める工夫をすることで、教師のやる気を引き出すことも有効と考える。

 

<質問(3)>(高校教諭)探究的な学びに取り残されがちな子へのアドバイスをどうすればいいのか。

[正頭]やる気のある子の横に座らせ、「ご覧、あなたがつまらないと思っているこの取組、あの子は目をキラキラさせてやっているよ。あなたも視点を変えると、好きになるかもしれないよ」と言った形で生徒の視点をちょっとずらす工夫をしている。

[石川]大事なのは自己連続性。大人になって自分のやりたいことをやっている人が必ずしも、高校時代からそういう取組をできていたわけでない。高校の時に探究に乗れない時期があっても、最終的に自分のやりたいことを実現できるようにできれば問題ないのでは。

[井上]やる気を引き出すことを、やる気のある生徒にやらせてみるのも手。生徒に、やる気のない子をどうやって励ますかということをやらせてみると、その子にとってもいいリーダーシップの勉強となり、社会に出てからも役立つはず。

最後のメッセージ

[正頭]学校という場の周りの壁が少しずつ溶けてきていると感じている。教育はみんなが受けてきたもので一言言いたい分野。これまで学校というある種ブラックボックスになっていた部分を、他人ごとにしないで、一緒によりよい教育としていくために協力していくことが必要。

[石川]新潟では教育格差はあると感じる。大人の教育に対する感度や情報量が子どもの教育の差となって表れている。学校こそオープンイノベーションが大事であって、そのために我々NINNOも協力できることがあればと思う。

[井上]教科横断的な学びを実現していくためには、横の連携が不可欠。そのために先生方での情報交換が必要。フィンランドに(史上最年少の)女性首相が誕生したが、教育が変わったということが大きい。本日のテーマである「学びが変わると社会も変わる」というところを他国でも実現しているので、新潟県でもぜひ、社会とつながる学びを実現してもらいたい。

パネルディスカッション パネルディスカッション パネルディスカッション ​パネルディスカッション

出演者の紹介

パネリスト写真・プロフィール

県立学校生徒作成の動画放映について

県立学校において、これまでの授業や課外活動等において作成した「地域を紹介する動画」について、イベント当日の休憩時間等に放映しました。

県立学校作成の動画放映

参加者からの主なコメント

・新潟の教育は変わっていかなければならない。その思いを強くした時間となった。まずは、大人のマインドセットが肝心。子どもたちが「つくる側」になるよう支える存在になりたい。(40代・男性・教育関係者)

・学校での学びが社会に出てから通用しないようでは困る。そんな日本を変えるためには、学校以外でも学びが変わらなければならない。官も民も、学校も企業も、ただ流れに任せているだけではなく、なりたい姿を目指して具体的に行動しよう。若い方々からそんな勇気をもらったイベントだった。(60代以上・女性・会社員)

・今、求められる学びの姿を示していただいたと感じた。教育というと学校教育と考える方が大半で、今回もターゲットが高校生までだが、本当にターゲットにしなければならないのは、「学校」という組織から卒業した後の人ではないかと思う。(50代・男性・学校関係者)

リンク

「新潟県教育の日」トップページ

https://www.pref.niigata.lg.jp/site/kyoiku/niigata-kyoikuday.html

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