本文
令和7年12月定例会(提案理由)
令和7年12月定例会提出議案知事説明要旨
議案についての知事の説明を掲載しています。
12月2日 知事説明要旨
令和7年12月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
はじめに、柏崎刈羽原子力発電所6号炉及び7号炉の再稼働についてです。
令和6年3月21日付けの経済産業大臣からの東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号炉及び7号炉の再稼働の方針への理解要請については、原発の必要性等の県民理解の促進や、施設の安全性の向上などに関し、国の対応を確認した上で、新潟県は了解することとする判断を先月21日に行いました。
この判断・結論に対する県民の意思を確認する方法については、前定例会における県議会の決議や多くの市町村長からの指摘を踏まえ、私としては、この判断を行ったこと及びこの判断に沿って今後知事の職務を続けることについて、県議会の信任を得られるか又は不信任とされるのか判断を仰ぎたいと考えております。
県では、平成24年から令和7年2月までの約13年をかけて、福島第一原子力発電所事故の検証を行い、柏崎刈羽原子力発電所の安全性等を詳細に確認するとともに、原子力災害時の具体的対応について市町村とともに国と協議を重ねてまいりました。また、その間の取組状況や原子力発電に関する情報を随時県民に提供するとともに、県民が原子力発電に向き合い、理解を深め、議論していただけるよう、避難時の渋滞調査など必要な調査やシミュレーションを行い、それらを踏まえた県民の多様な意見を把握するなど、丁寧かつ慎重に取組を進めてきたところです。
この夏に実施した県民意識調査では、柏崎刈羽原子力発電所における安全対策・防災対策が県民に十分認知されていない状況や、これらの対策に関する認知度が高くなるほど、再稼働に肯定的な意見が増える傾向が明らかになりました。また、20代・30代等の世代は、高齢層の世代と比較して再稼働に肯定的である傾向も明らかとなったところです。
新潟県民にとって、柏崎刈羽原子力発電所とどう向き合うかは長年の大きな課題です。現時点では、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働については、県民の中で賛否は分かれているものと思われますが、県民に対し、原子力発電に関する正確な情報の提供と安全対策・防災対策の周知を継続して行うことで、再稼働に対する理解が拡がっていくものと判断したところです。
再稼働に不安を感じる県民の思いを重く受け止めつつ、知事の職務を続けることについて県議会の信任が得られたならば、立地地域、さらには県全体の経済社会の活性化とともに、県民の安全・安心の向上に最大限努力してまいります。
続いて、本県の主要課題について、順次ご説明いたします。
第一点目は、子育てに優しい社会の実現についてです。
3月に策定した人口ビジョンでお示ししたとおり、本県の総人口は、今後も不可避的に減少が続くことが見込まれる中、人口定常化を目指し、成長力のある持続可能な社会を構築するためには、人口減少問題に対し、オール新潟で取組を進めることが必要です。
そのため、9月に、56の関係団体から賛同をいただき、「新潟県人口減少問題対策推進県民会議」を設置したところであり、そのキックオフイベントとして、先般、有識者や企業経営者をお招きし、若者や女性の視点から人口減少問題を考えるシンポジウムを開催しました。
こうした取組を通じて、県民の皆様が人口減少問題について行動するきっかけとなるよう、県全体で危機意識の共有を図り、オール新潟で取組を進めてまいります。
また、県民会議では、少子化や県外流出の主たる当事者である若者と意見交換を行うワーキングを実施することとしております。今年度は、「若者・女性に選ばれる職場づくり」と「結婚支援」をテーマに設定したところであり、先月、第1回のワーキングを開催いたしました。ここで得られた若者の声を、企業等と共有するとともに、若者から選ばれる新潟県に向けた施策に反映してまいります。
第二点目は、県民の安全・安心の確保についてです。
地域住民と防災関係機関との連携や協力体制の強化を図るため、新潟県・出雲崎町総合防災訓練を10月に実施しました。今回の訓練では、昨年度取りまとめた令和6年能登半島地震の課題と取組の方向性を踏まえて、「地震・津波等避難対策」、「孤立地域対策」、「避難所等運営対策」に対応した訓練を実施し、災害時における各防災関係機関の適切な役割分担と相互に連携した実効性ある対応を確認したところです。
また、多くの県民の皆様から訓練に参加していただき、県民一人一人が「自らの命は自らが守る」という意識を醸成するとともに、防災に関する知識の向上を図ることができたものと考えております。
引き続き、訓練において明らかとなった課題の解決に取り組むことで、災害応急対策の実効性を高めてまいります。
同じく10月に開催した新潟県防災会議では、国の防災基本計画及び、県が設置した「令和6年能登半島地震を踏まえた防災対策検討会」の報告書の内容を反映し、地域防災計画を修正いたしました。
災害時の避難者支援におけるデジタル技術の活用や、要配慮者の視点を取り入れた避難所環境等の整備、多様な主体と連携した地域防災力の向上など、今回計画に追加した取組を着実に実施し、本県の防災対策の強化に取り組んでまいります。
また、近年、全国的に激甚化・頻発化する自然災害に対応するため、防災・減災対策について、先般、全国知事会と連携し、国に対し物価高や賃金水準の上昇を踏まえた十分な予算の確保と地方負担の更なる軽減に加えて、第1次国土強靱化実施中期計画による速やかな予算措置について要望してまいりました。これまで取り組んできた事前の防災・減災対策の重要性について、十分ご理解いただけたものと受け止めており、引き続き県民の命と暮らしを守るため、防災・減災対策にしっかりと取り組んでまいります。
次に、地域医療の確保についてです。
県内の病院は、物価高騰などにより極めて厳しい経営状況にあり、地域医療への影響が懸念される中、県では、これまで国に緊急的な対応等を求めてきたほか、先月も全国知事会において、医療機関の厳しい経営環境の改善に向けた機動的対応等の実施を求める緊急提言を行ってまいりました。
先般、国では、来年6月に予定されている診療報酬の改定に先行して、医療分野における物価上昇・賃上げに対する支援や、病床数の適正化に対する支援等が盛り込まれた総合経済対策を閣議決定したところであり、県としては、物価高に苦しむ病院の事業継続に向けた見通しが早期に立つよう、国の補正予算を最大限活用しながら、速やかに経営支援策を取りまとめてまいります。
県立病院における今年度の収支見通しは、昨年度から取り組んできた機能・規模の適正化や病床稼働率の向上、診療報酬加算の獲得などにより、一定の改善が見込まれるものの、今年度末の内部留保資金の枯渇は避けられない厳しい状況となっています。
この一因には、診療報酬制度が近年の物価高騰を反映できていない構造的問題があるため、国に対し、物価高騰対策や診療報酬制度の見直し等を要望しているところです。
また、県民に安全・安心な医療を提供していくためには、各病院の機能・規模の適正化を着実に進める必要があります。その一環として、去る10月の魚沼圏域地域医療構想調整会議において、松代病院を無床診療所化する方針について合意が得られたことから、関連する条例案を本定例会にお諮りしているところです。引き続き、医療ニーズの変化に適切に対応した効率的かつ効果的な体制を構築する医療再編の取組を進め、持続可能な地域医療体制の確立に努めてまいります。
次に、ツキノワグマによる人身被害への対応についてです。
今年度は、出没件数が過去最多となっており、残念ながら、県内では、昨日までに17名の方が被害に遭われております。
クマによる被害が深刻化していることを受け、先般、北海道東北地方知事会として、国に対してクマ被害防止対策への支援の強化等の緊急提言を行ったところであり、国は関係省庁によるクマ被害対策パッケージを先月14日に取りまとめました。
県としてもこうした状況を踏まえ、県民の皆様に、クマへの最大級の警戒と命を守る行動を継続していただくため、「クマ出没特別警報」を1月31日まで延長するとともに、人の生活圏に出没するアーバンベアの捕獲を強化する緊急対策を、先月、公表したところです。
国のパッケージも最大限活用し、関係者と連携しながら、引き続き、クマの被害対策に総力をあげて取り組んでまいります。
第三点目は、脱炭素社会への転換についてです。
次世代型太陽電池は、軽量かつ柔軟で窓や壁にも取り付け可能であることから、本県のような豪雪地帯など太陽光発電の導入が進まなかった地域でも活用が期待されております。
今年度は、開発メーカー等が行う積雪地での実証事業を支援しており、先般、県庁舎においてカルコパイライト太陽電池による実証試験が開始されたほか、阿賀野市内の民間施設や妙高市役所等においても順次、開始される予定です。
今後、本実証事業を県民や事業者にPRし、次世代型太陽電池の有効性を理解していただくとともに、開発メーカー等と連携し、県内において早期に実装されるよう取り組んでまいります。
第四点目は、物価高騰対策についてです。
本県経済は持ち直しの動きが続いているものの、原材料価格等の上昇による影響などがみられます。
本年8月に県が実施した調査では、原材料価格等の上昇により、依然として約9割の企業が収益を圧迫されているとともに、概ね8割以上の価格転嫁ができたとする企業は約4割にとどまり、労務費の上昇による経営への影響を懸念する声も聞かれております。
こうした中、本県の地域別最低賃金は10月2日から1,050円に引き上げられており、人材確保の観点からも、物価上昇を上回る賃上げの実現に向けた環境整備が急務であると考えております。
高市総理大臣は所信表明で、物価高への対応を最優先に取り組む方針を示しており、先般、物価高への対応を柱の一つとする総合経済対策が閣議決定されました。
県内企業が直面する物価高や人手不足などの課題に対応するため、県といたしましては、国の経済対策とも歩調を合わせ、生産性向上や持続的な賃上げにつながる取組を後押ししてまいります。
第五点目は、交流人口の拡大と賑わいの創出についてです。
本年1月から6月までの本県外国人延べ宿泊者数は、約53.7万人泊となり、過去最高を記録した昨年実績を半年で上回り、直近の9月末時点では、約63.2万人泊と総合計画で掲げた88万人泊達成に向けて着実に増加してきております。
今後は、米・英・仏・豪市場において認知向上と販路拡大を図るとともに、観光関係事業者と連携し、質の高いサービスを提供できる受入体制の整備を進めてまいります。
妙高地域における大規模リゾート開発については、10月にペイシャンスキャピタルグループ(PCG)が、5つ星ホテルの運営事業者を決定し、2028年12月開業予定と発表いたしました。
県といたしましては、妙高地域でのリゾート開発を好機と捉え、県、関係自治体、PCG等を構成団体とする「妙高杉ノ原マウンテンリゾート開発計画連携地域活性化協議会」を活用し、関係者と連携しながら広域的な周遊の創出などにより、上越圏域にとどまらず、佐渡をはじめ県全体の地域経済の活性化につながるよう取り組んでまいります。
次に、佐渡島(さど)の金山についてです。
世界遺産「佐渡島の金山」については、昨年の世界遺産登録の際に、今後の資産の保存管理等に関する8項目の勧告が決議され、本年12月1日までに実施状況の報告が求められていたことから、国及び佐渡市とともに関係機関等と十分な調整を行い、ユネスコ世界遺産センターに保全状況報告書が提出されたところです。
また、佐渡市によれば、本年1月から9月の観光目的の入込数は、既にコロナ禍前の令和元年の年間入込数を超えている状況であり、順調に増加しているものと承知しております。
県では、世界遺産のブランド力を活用し、来年2月末まで大手宿泊予約サイトと連携した観光キャンペーンを実施しているほか、首都圏メディアを活用した観光情報発信を強化しており、こうした取組を通じて、秋冬の誘客を推進し、交流人口の拡大を図ってまいります。
さらに、佐渡島(さど)の玄関口である両津港のさらなる賑わいの創出に向けて、港湾緑地を民間事業者に長期貸付する「みなと緑地PPP」制度の導入について、佐渡市と連携しながら検討を進めてまいります。
第六点目は、交通・物流ネットワークの整備についてです。
妙高杉ノ原マウンテンリゾート開発に伴い、地域住民の移動手段としてだけでなく、来訪者にとっても利便性の高い公共交通の安定的な確保が求められております。
このため、現在、上越エリア等における広域的な観光周遊の観点も踏まえ、関係市や交通・観光事業者等とともに受入体制整備の検討を行っており、将来的なMaaSの導入を見据えて、今後の検討に必要な移動需要等の調査を進めてまいります。
次に、物流ネットワークの効率化についてです。
近年、運転手不足や時間外労働時間の上限規制の適用などにより、物流を取り巻く環境が厳しくなる中、県民の暮らしや経済活動を支える物流の輸送力を確保するためには、運送事業者や荷主事業者などが連携し、物流の効率化を図ることが重要です。
このため、県では、国と連携して、貨物輸送の共同化などに向けた事業者間のマッチングを開催し、延べ約60社の県内事業者の参加があり、共同輸送などに関する具体的な協議や検討のきっかけにつながったところです。
今後も、国や県トラック協会等と連携し、物流ネットワークの効率化に向けた取組を着実に推進してまいります。
第七点目は、付加価値の高い持続可能な農林水産業の実現についてです。
先般、国は、全国の令和8年産主食用米の生産量を、7年産の生産量から5%減となる711万トンと設定しましたが、民間在庫量は依然として高い状況にあります。
本県においても、7年産の主食用米の作付拡大と作柄が豊作基調となったことで、在庫の積み上がりが懸念されます。
このため、本県の令和8年産主食用米の生産目標は、国が示した需給見通し等を踏まえ、本年産の生産実績よりも2万7千トン少ない56万2千トンに設定するとともに、産地交付金など国の支援策の活用等を通じて、主食用の米以外の生産の維持・拡大を推進し、国内外の消費者や県内食品製造事業者の需要に応える生産を着実に進めてまいります。
また、異常高温下においても、新潟米を安定生産・供給していくため、先般名称を公表した高温に強い極早生品種「なつほなみ」の来年からの一般栽培と併せ、高温特性に優れる「新之助」や「ゆきん子舞」の作付拡大を推進し、異常高温リスクの低減を図るとともに、適切な施肥管理など技術対策を徹底することで、新潟米の食味と品質の確保に万全を期してまいります。
次に、鳥インフルエンザへの対応についてです。
昨年度の発生を踏まえ、県では、養鶏事業者に飼養衛生管理基準の遵守や野生動物の侵入防止対策の徹底などを働きかけ、事業者も実践しておりましたが、残念ながら胎内市の2つの養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生しました。
今回の事案では、県職員のほか、民間事業者や関係団体等の協力を得て作業を進めたことで、防疫措置を円滑に完了することができました。
今後も、再発リスクが高い状況が続いていることから、養鶏事業者に対し、より強い危機感を持って発生予防及びまん延防止対策の一層の徹底を図るよう、指導を強化してまいります。
最後に、北朝鮮による拉致問題についてです。
5人の拉致被害者の方々が帰国されてから23年が経ちましたが、いまだ具体的な進展は見られず、本当に残念でなりません。
高市総理大臣は、10月の所信表明で「拉致問題はこの内閣の最重要課題である」とし、11月に東京で開催された国民大集会では、「自らの代で何としても突破口を開きたい。既に北朝鮮側に首脳会談をしたい旨伝えている」と、拉致問題の早期解決に向けた力強い決意を表明されています。また、10月の日米首脳会談においてトランプ大統領から、拉致問題解決に向けた引き続きの協力への支持を得たとしています。
県では、11月の「新潟県拉致問題等啓発月間」において、拉致問題の啓発に重点的に取り組んだところであり、11月15日開催の「忘れるな拉致 県民集会」においては、拉致被害者等のご家族から、家族との再会実現に向けて、時間のない差し迫った切実な思いを改めてお聞きしました。県民集会にご出席いただいた木原官房長官兼拉致問題担当大臣には、県内各地で集められた約4万3千筆の署名をお届けし、私からも、全ての拉致被害者の一日も早い帰国について強くお願いしたところです。
今後も、拉致問題の早期解決に向け、国への働きかけとともに、政府の取組を後押しするため、拉致問題の啓発を推進してまいります。
続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
第137号議案及び第138号議案は、一般会計補正予算案でありまして、あわせて総額73億5,750万9千円の増額補正についてお諮りいたしました。
第137号議案は、先ほどご説明したクマの有害捕獲等の取組や県内で発生した鳥インフルエンザへの対応のほか、原子力災害時における避難路整備に必要な経費について計上したところです。
また、職員給与費等について過不足額及び給与改定に伴う所要額について、計上しております。
第138号議案は、冒頭ご説明しました柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関連する経費として、国の再稼働交付金を活用した広報の強化等に必要な経費を計上しております。
以上、補正の主な内容についてご説明申し上げましたが、その結果、補正後の予算規模は、1兆2,797億2,498万4千円となります。
次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
第139号から第143号までの各議案は、企業会計に係る補正予算案でありまして、事業実施上必要とするものについて、それぞれ補正するものです。
次に、その他の主な条例案等についてご説明申し上げます。
第148号議案は、旅費法の改正及び旅費法施行令の制定に伴い、職員の旅費について国の規定に準拠した内容に改正するため、第149号議案は、県知事の権限に属する事務の一部を市町村に移譲するため、それぞれ、条例の所要の改正を行うものです。
次に、第169号議案は、契約の締結について、第170号議案は、当せん金付証票の発売について、第171号から第175号までの各議案は、指定管理者の指定について、お諮りするものです。
以上、主な議案の概要につきまして、ご説明申し上げましたが、何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
令和7年12月定例会・議会情報項目一覧へ
新潟県議会インターネット中継のページへ<外部リンク>
新潟県議会のトップページへ












