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令和6年2月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0640423 更新日:2024年3月22日更新

令和6年2月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

2月19日 知事説明要旨

 令和6年2月定例県議会の開会に当たり、私の所信の表明と提案いたしております議案の概要を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと存じます。

 はじめに、令和6年能登半島地震への対応についてです。
 1月1日に石川県能登地方を震源として発生した能登半島地震において、県内では、長岡市で震度6弱を観測するなど広い範囲で強い揺れを観測し、新潟市を中心に液状化現象が確認されたほか、県内の広い範囲で津波が観測されました。この地震では、49人の人的被害及び1万7千棟を超える甚大な住宅被害が発生いたしました。被害に遭われた皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 県といたしましては、道路や河川等被災した施設の早期復旧はもとより、被災された方々が一日も早く日常生活を取り戻していただけるよう、迅速な復旧・復興に向け最大限取り組んでまいりました。
 まず、被災された方々の罹災証明書の交付に必要な建物被害認定調査において、県及び市町村職員から構成される「チームにいがた」による支援を行い、特に新潟市に対しては、1月7日から今月4日まで、山形県及び秋田県の応援も含めて、延べ2,160人を派遣し、約1万3千件の調査を実施いたしました。
 被災者の生活再建支援では、新潟市に対し、被災者生活再建支援法の適用に基づく支援金の給付に加え、県単独の上乗せ支援を行うこととしております。また、法が適用されない市町村に対しても、法適用となる新潟市と同額の支援を行ってまいります。
 被災者住宅の応急修理については、災害救助法に基づく国の住宅応急修理制度に加えて、県単独の上乗せ支援も行うことで、生活基盤となる住宅の復旧を支援してまいります。
 事業者の方々への支援としましては、地震により被災した中小企業者等に対して、施設や設備の復旧等の事業再建に係る経費について、国の「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」を活用しながら、支援してまいります。併せて、制度融資の利子相当額の支援や、被災した商店街の賑わい創出に向けた取組等への支援も行ってまいります。
 加えて、地震の影響により落ち込んだ観光需要の回復に向けた旅行・宿泊料金の割引支援や、被災した文化財の災害復旧等を支援することとしており、関連する補正予算案を本定例会にお諮りしているところです。
 今回の地震に対して、先月19日には、松村防災担当大臣、堂故国土交通副大臣に直接現地を視察いただき、甚大な被害状況について理解を深めていただきました。
 県としても、政府に対して、国道8号をはじめとした公共インフラ施設や、直江津港などの港湾のふ頭、学校施設・文化財等の早期復旧への支援を要望するとともに、被災された方々の生活再建に向け、被災者生活再建支援制度の拡充に加え、県内各地で発生した宅地の液状化による被害に対する支援などを要望してまいりました。
 引き続き、被災された方々がこれまでの生活を取り戻し、安全・安心な生活を送ることができるよう、被災市町村と連携しながらしっかりと支援に取り組んでまいります。

 次に、予定価格漏洩事案への対応についてです。
 新発田地域振興局農村整備部において、元職員が事業者に対し、公共工事の指名競争入札に関する秘密事項である予定価格及び指名業者を教示し、当該入札の公正を害すべき行為を行っていたとして、1月29日、新潟地方裁判所から元職員に対して有罪判決が出されました。このような行為が行われていたことは、誠に遺憾であります。
 この間、県では公判内容の精査や関係者からの聴き取りを行い、そこから明らかとなった本事案の課題を踏まえ、第三者機関である入札監視委員会にも意見を聴きながら、再発防止策について検討を進めてきたところです。
 この結果、県としましては、全職員に対するコンプライアンスの徹底のほか、一般競争入札の対象拡大などを含む入札制度の見直しや人事ローテーションの見直し、新発田農村整備部の入札事務の監視体制強化からなる再発防止策を今月14日に公表したところです。
 対策の一部は既に取組を始めており、順次これらの対策を進めていくことで再発防止を徹底し、県民の信頼回復に努めてまいります。

 以下、本県の主要課題について、順次述べさせていただきます。
 第一点目は、本県の中長期的な成長・発展に向けた取組についてです。
 はじめに、子育てに優しい社会の実現についてでありますが、
 大手シンクタンクが厚生労働省の統計データをもとに推計した昨年1年間の出生数は、全国で72万6千人で前年から4万人減少し、これまでで最も少なくなる見通しとなり、合計特殊出生率も1.20程度に低下する見通しとなるなど、少子化に歯止めがかからない状況にあります。
 県としましては、「妊娠・出産から子育てまでの節目における経済的負担の軽減」「結婚を希望する方への支援」「こどもを生み育てやすい環境の整備」を三つの柱として、結婚から妊娠・出産・子育てまで切れ目のない支援を市町村や民間団体とも連携しながら強化してまいります。
 まず、経済的負担の軽減につきましては、こどもの入園、入学の節目において、子育て世帯への経済的支援を金融機関と連携して行う「新潟県こむすび定期」事業に引き続き取り組むとともに、不妊・不育症治療に助成を行う市町村への支援や、私立高等学校の学費について、物価高騰への対応や2人以上の子が同時に私立高等学校に通う世帯への県独自支援に取り組みます。
 また、新たに、空き家を子育てしやすい住宅にリノベーションし販売する買取再販事業者と連携しながら、子育て世帯等の住宅購入を支援するほか、子育て世代の移住促進に向けた支援制度を創設するなど、子育て世代の住まい・移住支援を強化してまいります。
 結婚を希望する方への支援として、市町村等の取組に対し助言・支援を行う専門職員の活動を強化するとともに、新たに企業と連携した特典サービス等の提供や、登録者同士のコミュニケーションを取りやすくするためのマッチングシステムの機能向上により、にいがた出会いサポートセンターの利用促進に取り組んでまいります。
 加えて、こどもを生み育てやすい環境の整備として、子育て支援や働き方改革に取り組む企業への金融支援の創設や、男性の育児休業取得を一層促進するための助成金の見直しを図るとともに、保育補助者の確保を促進するなど、保育環境の充実を図ってまいります。
 また、新たに制定する新潟県こども条例を契機としながら、本県の子育て施策の優位性や子育て環境の魅力等を県内外に発信するとともに、日常生活の様々な場面で子育てを後押しする「子育て応援プラス」の取組を市町村や民間団体と連携しながら展開することにより、こども・子育て支援に関する気運醸成を図ってまいります。

 次に、脱炭素社会への転換についてです。
 本県の脱炭素化に向けて、住宅の省エネ化は重要であり、今年度から新築住宅を対象とした新潟県版雪国型ZEHの導入支援や事業者への支援等を行っているところです。
 新年度はこれらに加え、雪国型ZEHの更なる普及促進に向け、官民が連携した推進協議会を設立するとともに、雪国型ZEHの建築・販売に積極的に取り組む事業者を登録・公表する制度を設け、講習会や普及啓発支援を行うほか、集合展示場と連携した広報等により、本県の気候にあった住宅としての雪国型ZEHの一層の認知・普及を図ってまいります。
 また、家庭用太陽光発電設備の導入を促進するため、新たに事業者と連携し、スケールメリットによる経費削減効果が見込まれる太陽光発電設備の共同購入を推進してまいります。

 脱炭素エネルギーの創出に向け、国は、昨年12月に村上市及び胎内市沖の洋上風力発電について、事業者を選定しました。県といたしましては、地域と連携しながら、洋上風力発電の導入が本県産業の振興や地域の活性化につながるよう取り組んでまいります。
 また、県内港を利用し、モーダルシフトを行う民間事業者を支援することにより、物流によるCO2排出量の削減を図るとともに、県内港湾の脱炭素化に向けて、民間事業者が港湾エリアで取り組む脱炭素技術を活用した実証事業等を支援してまいります。

 本県の森林の若返り化を図り、CO2吸収能力を発揮するには、循環型林業を推進することが重要です。
 このため、県外や異業種からの参入と県内事業体との連携を促進するとともに、森林所有者から委託を受けた林業事業体が、森林を長期にわたって健全に管理し、収益を確保できるよう、デジタル技術を活用した効率的な施業を支援してまいります。
 気温上昇や豪雨など、地球温暖化を原因の一つとする気候変動の影響が一層顕在化しています。
 県では、これまで「2050年カーボンゼロの実現に向けた戦略」を策定し、各種施策を推進しているところですが、脱炭素社会の実現には、あらゆる主体が自らの責任と役割を認識し、取組の更なる加速化が必要であることから、施策の一層の推進を図るための条例の制定について検討してまいります。

 次に、デジタル改革の実行についてです。
 県内産業の生産性を向上させ、高い付加価値を創出するためには、デジタル化をより一層促進することが必要です。
 このため、金融機関など支援機関と連携し、デジタル化に取り組む県内企業の裾野の拡大を図るとともに、中小企業等からの相談に対応するDXコンシェルジュを新たに設置し、デジタル導入に向けた課題整理や最適なIT企業とのマッチングを行うなど、企業のデジタル化の進捗に応じた一貫した支援体制を構築してまいります。
 昨年夏の高温、少雨のような異常気象の常態化が懸念される中、今後も、食味と品質に優れた新潟米を安定的に生産できることが重要です。
 このため、新たに気象データと県が蓄積した生育調査データを活用したAIによる生育予測システムや、人工衛星とドローンを活用した水稲モニタリング技術の開発に取り組むなど、スマート農業技術の導入を推進してまいります。

 次に、暮らしのDXについてです。
 医療分野においては、現在、へき地におけるオンライン診療モデル事業に取り組んでいるところですが、オンライン診療は、へき地だけでなく、病院などにおいて不足している診療科や診療体制が手薄な時間帯などを補うためにも有効な取組であると考えております。県内どこに住んでいても安心して医療が受けられる環境づくりに向けた解決策の一つとして、県内各地でオンライン診療を活かした診療体制の構築がさらに進むよう、引き続き、取組を進めてまいります。
 教育分野では、地理的環境や学校規模に左右されない教育環境の充実を図るため、小規模な高等学校等における遠隔授業を魚沼地域に拡大し、村上、上越地域でシステム機器の整備を進めるとともに、遠隔教育を全県的に展開するため、配信センターの開設について調査等に取り組んでまいります。
 また、公立小中学校等における、児童生徒の学習用端末更新のための基金創設や、校務の効率化を図るための市町村が共同利用できる支援システムの構築など、デジタルを活用した教育環境の整備を進めてまいります。

 第二点目は、強靱で安全安心な基盤整備についてです。
 まず、一段加速した防災・減災対策の推進についてです。
 能登半島地震をはじめ、令和4年の県北豪雨など、本県においても自然災害により大きな被害が生じております。
 県といたしましては、近年、全国的に自然災害が激甚化・頻発化している状況を踏まえ、県民の生命や財産を守るため、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」による有利な財源を最大限活用し、事前の防災・減災対策を推進してまいります。
 また、今年は、新潟地震から60年、中越大震災から20年の節目の年です。
 改めて、今回の地震も踏まえ、災害に対する備えの重要性・必要性を認識していただき、防災意識の向上を図るため、国、県、市町村、関係機関が連携し、年間を通じたキャンペーン「防災・減災新潟プロジェクト2024」として、シンポジウムの開催など、様々な取組を行ってまいります。
 加えて、県と市町村が避難者情報をリアルタイムで活用し、迅速・的確な避難者支援につなげる仕組みの推進について、引き続き市町村と連携して取り組んでまいります。

 次に、安全で安心なまちづくりについてです。
 昨年の自転車ヘルメット着用率及び信号機のない横断歩道での車の一時停止率に関する全国調査では、本県はともに最下位となり、歩行者及び自転車利用者の交通安全確保に向けた、県民への意識啓発の取組が重要であると考えております。
 このため、より多くの県民に訴求する啓発動画等の作成や、メディアを活用した県民運動の展開、市町村が取り組むヘルメット購入助成への支援などを行ってまいります。
 また、昨年は全国的にクマによる人身被害が相次ぎ、本県においても、10名の方が被害に遭われています。クマをはじめとした野生鳥獣による被害から県民の安全や財産を守るため、AIカメラやドローン等のデジタル機器を活用し、クマ等の個体数推定の一層の精度向上を図るとともに、新たに、鳥獣関係のデータを集約・共有するシステムを構築し、より効果的な情報発信や効率的な有害鳥獣被害対策を推進してまいります。

 次に、地域医療の確保と「健康立県」の実現についてです。
 持続的な医療提供を支えるためには、その基盤となる医療人材の確保が不可欠です。
 このため、養成段階からの医師確保に向け、県外の大学や市町村等と連携し、新年度の医学部地域枠を今年度より7名増となる77名に拡大したところです。
 また、臨床研修プログラムの魅力向上や、県独自の研修コースをはじめ、研修プラスアルファの魅力づけに一層取り組むとともに、全国の医学生に向けて本県の魅力を効果的に発信し、更なる臨床研修医の確保を図るなど、医師確保に全力で取り組んでまいります。

 県央基幹病院については、現在、3月1日の開院に向けた最終盤の準備を進めているところであり、今月4日には、竣工式典と内覧会を開催し、関係者や地域の皆様に新しい病院をご覧いただいたところです。
 開院後においては、地域の期待に応える基幹病院として、圏域内の医療機関などと連携・協力しながら、必要な医療提供体制の構築に努めてまいります。
 また、上越圏域をはじめ、他の圏域においても、それぞれの地域の実情を踏まえながら、医療再編の議論を進めているところであり、将来にわたり持続可能で質の高い医療提供体制の構築に向け、県民の皆様のご理解もいただきながら、引き続き、丁寧かつスピード感をもって取組を進めてまいります。

 次に、新興感染症発生に備えた体制整備についてですが、新型コロナウイルス感染症では、県民の皆様、市町村、医療機関及び関係団体等が一体となり、「オール新潟」で対策に取り組んだ結果、全国の中でも感染率や死亡率を大きく抑えることができました。
 県では、こうしたこれまでの経験を踏まえ、次の新興感染症危機に備えるため、感染症法で定める感染症予防計画の改定作業を行っているところです。
 この計画では、新興感染症が国内外で発生した段階から、医療機関や専門家と連携し、情報収集等を開始するとともに、感染症の特性に応じて機動的に対応していく体制を整備することとしております。
 また、県内発生時には、外来受診や病床確保等の体制が速やかに構築されるよう、平時から医療機関等と協定を締結するとともに、感染症対応のための設備整備を支援するなど医療提供体制の強化に努め、県民の安全・安心の確保に取り組んでまいります。
 健康立県の実現に向けては、これまでも全国トップクラスの健康寿命を目指し、取り組みを展開してきたところですが、新年度においては、若い世代からのプレコンセプションケアや、生涯にわたる女性の健康等の新たな視点も取り入れ、市町村や関係団体と連携し普及啓発を行うなど、県民の健康づくりの取組を一層推進してまいります。

 次に、原子力防災対策の推進についてです。
 まず、柏崎刈羽原子力発電所に関する対応についてでありますが、
 昨年12月27日に原子力規制委員会は、柏崎刈羽原発における核燃料の移動禁止命令を解除し、併せて、東京電力の適格性判断の結論を変更する理由はないと判断しました。
 このことを受け、原子力規制庁から1月29日に県技術委員会において、追加検査の結果と東京電力の適格性判断の再確認結果、これらを踏まえた判断の経緯について、ご説明をいただくとともに、今月9日には、私も片山原子力規制庁長官から、直接説明を受けたところです。
 また、今月18日には、長岡市の本会場のほか、県内市町村にサテライト会場を設け、県民説明会を開催し、県民の皆様に対して、原子力規制庁から分かりやすくご説明いただきました。
 柏崎刈羽原発については、引き続き、県民の皆様と適切に情報共有を図り、再稼働に関する議論を深めてまいります。
 さらに原子力防災対策については、能登半島地震で家屋の倒壊等により自宅に留まり続けることが困難となるケースが発生したことなどを踏まえ、原子力規制庁に対し、原子力災害対策指針の見直しの議論をしていただくようお願いしました。
 また、今月12日、柏崎市及び刈羽村において、積雪時に孤立地域が発生したことを想定し、市村、自衛隊、バス事業者などが連携し、住民避難訓練を実施しました。
 今後とも、条件を変えながら、様々な想定により訓練を実施することによって、原子力災害時における対応力の向上を図ってまいります。

 第三点目は、産業構造の転換についてです。
 本県経済は、緩やかに持ち直しているものの、原材料価格等の上昇により物価の高騰が続いており、個人消費や企業活動に及ぼす影響の長期化が懸念されるなど、依然として厳しい状況にあるものと認識しております。
 本県経済の成長に向けては、適切な価格転嫁による企業収益の確保と、物価上昇を十分にカバーする継続的な賃金引上げが重要です。
 このため、昨年末には、県内経済団体や労働団体、国の関係機関などから賛同いただき、「適切な価格転嫁の促進による地域経済の活性化に向けた共同宣言」を行うとともに、私自らも、経済団体に対して持続的な賃金の引上げを要請いたしました。
 引き続き、関係団体等と連携しながら地域経済の好循環の実現に向けて取り組んでまいります。
 県内企業の業況回復と更なる成長には、国内外の新たな販路の開拓が不可欠です。
 このため、新たにオープンする「銀座・新潟情報館 THE NIIGATA」において、県内事業者の魅力ある様々な商品のプロモーションを行うとともに、首都圏消費者等への訴求力の高いモデル的な販路開拓の取組を支援してまいります。また、日本国際博覧会の開催を見据え、関西圏における認知度向上と販路開拓に取り組んでまいります。
 さらに、海外展開に向けては、タインホア省・ビンロン省との覚書の締結を契機として、ベトナム国内において県産品の展示会や県内企業とのビジネスマッチングを実施します。
 起業・創業の推進に向けては、スタートアップの更なる輩出に加え、起業後の成長を加速化させ、起業が次の起業を呼ぶ好循環を生み出すことが必要です。このため、新たに伴走支援の体制を構築し、事業計画のブラッシュアップや首都圏の投資家からの資金調達のサポートなどを通じて、有望なスタートアップの更なる成長を後押ししてまいります。
 地域に根ざす産業の活性化については、災害の発生や経済状況等の急激な変動に対して、地場産地全体で対応できる体制の構築に向けた中長期的な計画の策定を支援し、地場産地のサプライチェーンとしての強靭化を図ってまいります。

 次に、付加価値の高い持続可能な農林水産業の実現についてです。
 飼料、肥料、燃油等の農業生産資材の価格高騰や気候変動リスクの高まりなど、農業を取り巻く環境が一段と厳しさを増す中、生産者が営農意欲を失うことなく農業を継続できるよう支援し、「日本の食料供給基地」として持続可能な生産体制を構築していくことが一層重要となっております。
 このため、需要に応じた新潟米の安定生産を推進するとともに、これまで以上に省力、低コストで非主食用米を生産する経営体モデルの育成や、輸入に依存している麦・大豆・飼料作物の生産拡大などにより、水田をフル活用した農業所得の最大化を図ってまいります。併せて、園芸を経営の柱とした経営体の育成や生産の団地化、デジタル・先端技術等の活用を進め、所得向上につながる園芸生産の導入・拡大を推進してまいります。
 また、県産農林水産物のおいしさや品質の高さなどの特長を活かし、観光・飲食業等と連携したプロモーションや、海外も含めた多様な販路の開拓などに他地域とも連携しながら取り組むことで、産地「新潟」のブランドイメージの確立を目指してまいります。
 加えて、本県農林水産業が、将来展望を持ってチャレンジできる、若者たちにとって魅力的な産業となるよう、外部人材も積極的に活用しながら、民間企業との連携・協業や投資を促す企業的経営を実践する経営体の育成に取り組んでまいります。

 次に、地域の産業を支える人材の確保についてです。
 本県産業の更なる成長・発展のためには、各産業分野における人材の育成・確保とともに、外国人や女性などの多様な人材が活躍できる環境が必要です。
 このため、政策統括監をトップとして庁内を横断して取り組む体制を構築し、企業や労働者のニーズを把握しながら、各産業の人材確保等を支援してまいります。
 建設業においては、産業イメージの変革を図るため、DXやSDGsの先進的な取組を発信するとともに、現場技術者をIT技術でサポートする人材の育成を支援してまいります。
 農業においては、農業法人等への就農を促進するため、就業規則や採用・育成計画の作成支援や、経営者に意識改革を促す研修会の開催等を通じて、生産技術だけでなく、営業や販売、ICT等のスキルを持った多様な人材の受け皿となれるよう、働きやすい環境づくりを支援してまいります。
 さらに、運輸事業者の時間外労働規制強化に対応するため、人材確保に向けた働きやすい職場環境の整備や、業務効率化に向けたDXの取組などを促進してまいります。
 次に、働く意欲のある多様な人材の活躍に向けて、外国人材については、新たに、ベトナム・ビンロン省において県内企業の説明会を開催し人材のマッチングを行うとともに、ベトナムやモンゴルにおいて現地大学生の海外での就職に関するニーズなどを調査し、人材交流の強化につなげてまいります。
 また、高齢化の進展により外国人介護人材に対するニーズの増加が見込まれることから、新たに介護施設等と受入調整機関とのマッチングを支援するとともに、週休3日制の導入など、介護施設の多様な働き方の実現を支援してまいります。
 加えて、女性の活躍に向けては、新たに、経営層を対象にトップセミナーを開催し、企業における女性活躍への理解促進を図るとともに、女性管理職の育成や女性社員のキャリア形成等に取り組む企業を支援してまいります。
 また、非正規雇用や離職中の女性がリ・スキリングに取り組む契機となるよう職業見学・体験会を開催するとともに、NICOを通じて女性の起業・創業を促進してまいります。

 第四点目は、選ばれる地域の創造についてです。
 まず、多様な地域資源を活かした交流人口の拡大についてですが、
 今年7月の世界遺産委員会での「佐渡島(さど)の金山」の登録実現に向け、県といたしましては、引き続き、国や佐渡市と連携しながら全力で取り組んでまいります。併せて、登録を契機とした交流人口の拡大にむけて、佐渡を含む周遊先となる市町村や観光団体との連携を図るとともに、中央日本4県の金山を結ぶ「黄金KAIDO」の発信などにより、佐渡を核とした県全体への誘客を促進してまいります。
 長い海岸線や里山、離島といった豊かな自然を持つ本県は、季節ごとに多彩な体験が楽しめる地域資源を有しております。これらの資源を活かした通年型の観光を提案していくため、新たにビーチコンテンツの造成など夏の観光喚起策のモデルとなる取組を支援するとともに、「スノーリゾート新潟」の一層の拡大に向け、子どもやファミリー層をターゲットとしたプロモーションを強化します。
 併せて、アドベンチャーツーリズムのモデルコースの商品化や専門ガイドの育成を支援し、欧米富裕層などの需要獲得に取り組んでまいります。
 また、雪国の気候風土や歴史に育まれた本県独自の食文化を活かし、他県と連携したプレミアムダイニングを開催するとともに、商品化を支援し、誘客を促進してまいります。

 交流拡大に向けて、本県の文化やスポーツの魅力をさらに高めていく取組も重要です。
 このため、県文化振興財団の残余財産を活用して「新潟県文化振興基金」を設置し、新たに県内学生等によるオペラ公演の開催や文化団体等が実施する地域文化活動の担い手育成を支援するほか、近代美術館等にこどもの創作活動や、乳幼児連れ家族が利用できるキッズスペースを整備するなど、子育て世代が芸術・文化に親しむ機会を提供してまいります。
 また、若者やこどもを中心に関心が高まっているアーバンスポーツの普及促進に向けた組織づくりを支援するとともに、スキー人口の拡大と競技力の向上を図るため、ジュニア選手の発掘から育成・強化まで一貫した支援を行ってまいります。

 次に、更なる拠点性向上に向けた交通ネットワークの整備についてです。
 人口減少や運転手不足などの影響により、交通事業者の独立採算による地域公共交通の維持が困難となってきていることから、様々な交通資源をフル活用して持続的に地域の移動手段を確保することが重要です。
 このため、市町村や関係事業者等と連携し、ローカル鉄道、路線バス、送迎バス等のほか、現在、国で検討しているライドシェアの一形態とも言える自家用有償旅客運送も含め、地域のあらゆる交通資源を活用した取組を支援してまいります。
 併せて、交通事業者のデジタル化の促進や利用者の利便性向上のため、路線バス等のデジタル基盤の整備を進めてまいります。
 また、一昨年8月に被災した米坂線については、地元の意向をしっかりと受け止め、山形県側とも連携しながら、復旧検討会議において復旧への道筋が得られるよう、調整を進めてまいります。

 新潟空港については、先月15日に新潟・ハルビン線が再開いたしました。私自身も訪問団とともに第一便に搭乗して中国南方航空を訪問し、運航再開の御礼と将来の増便を要請してまいりました。
 ハルビン線再開により運休していた国際線定期便がすべて再開したところであり、引き続き航空会社と連携し、路線の活性化・増便に繋げてまいります。
 また、新潟空港に拠点を置く地域航空会社トキエアが、先月31日に「新潟=丘珠線」を就航いたしました。更なる認知度向上や利用促進に向けた取組を支援するとともに、運航経費補助等を行うことにより、今後の新規路線の就航を後押ししてまいります。

 県内港の活性化については、新潟港の水辺空間である万代テラスにおいて、民間投資を呼び込むために必要となる設備を整備するとともに、民間事業者への長期貸付により、更なる賑わい創出と活性化を図ってまいります。
 また、クルーズ船の県内港への一層の寄港誘致に向け、日本海側の他県港湾と連携し、寄港ルートの提案と県内観光のPRを進めてまいります。

 次に、将来の夢や希望を育みかなえる教育の推進についてです。
 近年の少子化の進展や急速なICT環境の整備などにより、特に、高校教育を取り巻く社会環境が大きく変化しています。
 このため、高校の小規模化の進行や多様な学び方のニーズの高まりに対応した、魅力ある学校づくりを一層推進する必要があることから、次期「県立高校の将来構想」を前倒しで策定し、遠隔教育の拡充の方向性や新たな定時制・通信制課程のあり方等の検討を進めてまいります。
 また、高度化するデジタル社会やグローバル社会に対応する人材を育成するため、新たに、専門高校等におけるAIプログラミング等の高度デジタル教育や国際水準の高度グローバル教育の導入など、次世代型教育を推進するほか、市町村が中学生向けに民間企業と連携して実施するプログラミング体験教室の開催等を支援します。

 不登校のこどもが近年増加傾向にあることから、個々の状況に応じた支援の充実が喫緊の課題です。
 このため、不登校対策の拠点となる「校内教育支援センター」の設置促進や、スクールカウンセラーの配置拡充など、不登校のこどもへの支援や不登校未然防止対策の強化を図ってまいります。
 いじめ防止対策についても、いじめ対策推進教員の配置や研修を充実するほか、小さなSOSを見逃さないよう、新たに一人一台端末を活用した「心の健康観察」の導入を推進するなど、こどもたちが安全に安心して学べる学校づくりを進めてまいります。
 また、教員の業務を補助する外部人材の活用や、デジタル化による校務の効率化など、教員がこどもたちとじっくり向きあえる環境づくりを進め、一人一人の個性に応じた、質の高い豊かな教育を推進してまいります。

 第五点目は、北朝鮮による拉致問題についてです。
 拉致被害者やそのご家族の高齢化が進む中、いまだ拉致問題の解決に向けた具体的な進展が見られないことは本当に残念でなりません。
 昨年12月末には、新たに着任された林官房長官兼拉致問題担当大臣が来県し、横田めぐみさんの拉致現場を視察されました。林大臣からは「日朝首脳会談を実現すべく、様々なルートを通じて様々な働きかけを絶えず行い続けており、今後も一層強めていく」との意欲を示していただきました。
 さらに今月、知事の会としても、林大臣にお会いし、特定失踪者も含め拉致被害者の救出に向けて、早期に目に見える成果を出していだだくとともに、政府の交渉の取組について情報提供いただくよう強く求めたところです。
 県としましては、引き続き、国への働きかけとともに、一層の世論の喚起に向け、市町村長の会や関係団体等と連携し、若い世代を含め幅広い層に向けた啓発活動に取り組んでまいります。

 この項の最後に、行財政運営についてご説明申し上げます。
 先般お示しした中期財政収支見通しでは、能登半島地震に迅速に対応するため、今年度は財源対策的基金を一時的に取り崩すこととしておりますが、来年度には国の財政支援等を踏まえ230億円まで積み戻すことを見込んでいるところです。
 また、令和13年度の公債費の実負担のピークに備えるために必要な県債管理基金は、確保できる見通しとなっております。
 引き続き堅実に収支を見通しながら、持続可能な財政運営の実現に向けて取り組んでまいります。

 以上、主要課題について順次申し上げましたが、それらも反映した令和6年度一般会計予算案は、1兆2,871億5千万円と、令和5年度予算に比べ、総額で4.1%の減となったところです。

 次に、今議会に令和6年度当初予算案と併せて上程されました令和5年度補正予算案に関する議案等についてご説明申し上げます。
 第52号議案は一般会計補正予算案でありまして、総額751億3,152万円の追加補正についてお諮りいたしました。
 今回の補正は、能登半島地震からの迅速な復旧・復興を図るために必要な経費や、エネルギー価格・物価高騰等の影響への対応、投資事業等について令和6年度当初予算案と一体で計上するものです。
 また、この補正予算に係る公共事業等について、繰越明許費を計上したほか、地震からの迅速な復旧等を図るため、いわゆるゼロ国債99億5,358万円及びゼロ県債17億6,328万3千円を計上しております。
 以上、補正予算案についてご説明申し上げましたが、その結果、補正後の令和5年度予算の規模は、1兆4,458億6,120万8千円となります。

 次に、お諮りしております条例案件等のうち主なものについて、ご説明申し上げます。
 第24号議案は、児童生徒一人一人の個性に応じた質の高い豊かな教育を推進するとともに、誰もが等しく豊かな教育を受けられる、子育てに優しい新潟県の実現に向けた取組のための基金を設置するため、第26号議案は、特別職報酬等審議会の答申等に基づき、特別職の報酬等の額を改定するため、第32号議案は、こども施策の基本的方向性を示し、取組姿勢等を明らかにするとともに、県民意識の向上や社会全体の気運醸成を図るため、第44号議案は、文化振興に関する施策を総合的に推進し、心豊かな県民生活及び活力ある地域社会の実現に寄与するため、それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 また、第50号議案は、あっせんの申立てについて、第51号議案は、包括外部監査契約の締結について、お諮りするものです。

 以上、新年度における所信の一端と施策・議案の概要などについて申し述べました。何とぞ慎重にご審議のうえ、上程された各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

2月29日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案31件について、ご説明申し上げます。

 第59号議案は、令和5年度一般会計補正予算案でありまして、総額903億1,688万円の減額補正についてお諮りいたしました。
 このたびの補正予算は、道路除雪費の所要額や、職員給与費に係る過不足額を計上するとともに、事務事業の執行見込みに基づく過不足調整等を行うものであります。

 この結果、補正後の予算規模は、1兆3,555億4,432万8千円となります。

 また、第60号から第78号までの各議案は、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ事業計画の最終見込み等に合わせまして、補正を行うものであります。

 次に、その他の主な条例案件等について、ご説明申し上げます。
 まず、第79号議案は、職員の退職手当の支給に要する財源を確保するための基金を設置するため、第80号議案は、地方税法の改正等に伴い、不動産取得税の特例措置の延長や、公示送達制度の見直しなどを行うため、 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 次に、第87号議案は、契約の変更について、第88号議案は、指定管理者の指定について、お諮りするものです。

 以上、各議案の概要につきましてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重にご審議の上、各議案それぞれについて、ご賛同賜りますよう、お願い申し上げます。

3月13日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案3件について、ご説明申し上げます。

 第90号から第92号までの各議案は、令和5年度一般会計及び港湾整備事業など特別会計に係る補正予算でありまして、それぞれ予算の繰越についてお諮りいたしました。
 公共事業等の執行に当たり、設計や計画の変更、用地補償における調整などにより、一部年度内に完了できない見通しとなりました。
 このため、一般会計においては685億303万2千円を、また、特別会計においても、それぞれ所要額を翌年度に繰り越すものであります。
 この結果、12月定例会及び本定例会の冒頭で議決をいただいた公共事業予算等に係る繰越と併せ、一般会計の繰越明許費の合計は、1,322億3,969万5千円となった次第であります。
 何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについてご賛同を賜りますようお願い申し上げます。

3月22日 知事説明要旨

 ただいま上程されました第93号議案は、人事に関する案件でありまして、監査委員の選任についてお諮りしたものであります。

 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。


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