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令和5年12月定例会(請願第9号)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0627099 更新日:2023年12月12日更新

第9号 令和5年11月29日受理  厚生環境委員会 付託

若者も安心できるよう物価上昇に見合う老齢基礎年金等の改善を求める意見書提出に関する請願

請願者  全日本年金者組合新潟県本部 執行委員長 稲葉正美

紹介議員 馬場秀幸君

(要旨)(1)2019年6月の金融庁審議会報告「老後の生活資金2000万円不足問題」や同年8月発表の「財政検証」による「基礎年金が30年で3割減」「厚生年金の給付水準2047年度には2割減に」との報道(2019年8月28日付新潟日報、朝日新聞)は、年金生活者をはじめ多くの国民に衝撃を与えた。年金だけで暮らしている高齢者は57.2%(内閣府「令和2年度高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」)もいる。その中で老齢基礎年金だけで生活している高齢者もおり、納付期間25年以上で月平均5.2万円である。納付期間25年未満では月約1.9万円である。衣食住のすべての分野で切り詰めた生活をしても、この金額では生活することは不可能と思われる。
 誰でも年を取り、いつかは年金を受給するようになる。しかしこの数字を見れば、若い世代も老後の将来展望を持つことは難しい。
(2)相次ぐ年金削減により、生活保護世帯へ移行する高齢者も増えてきている。全国平均では生活保護受給者に占める高齢者の割合は前年度より増加し0.5ポイント増加し、2021年は55.4%にもなっている。(厚生労働省「月次被保護者調査」2022年1月)高齢者の生活保護世帯への移行は、自治体の財政を圧迫することになる。
(3)年金はそのほとんどが消費に回る。相次ぐ年金削減で地域経済は冷え込み、地方財政に大きな影響を与え、自治体の行政サービスにも直結する問題となっている。このような事態を受けて、全国政令都市20市は2017年に、国に対して「国民年金に関する要望書」を提出した。
 要望書には「公的年金制度そのものが高齢者や障害者の生活を安心して支えるものとなるよう、老齢基礎年金等の支給額を改善されるよう要望する」「年金受給者の中には、毎月払いへの要望もあることを考慮しながら、引き続き年金制度の安定的な運営に向けて検討されるよう要望する」とある。年金生活者や全国政令都市20市の要望を受けて、2020年に成立した「年金制度改革関連法」では、基礎年金の水準引き上げを求める付帯決議もついた。それを受けて、厚生労働省も基礎年金改善の検討を始めている。
(4)しかしながら、2021年4月からの年金額は前年度比0.1%削減された。さらに2022年度は前年度比0.4%削減された。これは、今まで物価変動率に合わせて年金を改定してきたものを、物価変動率と名目手取り賃金変動率の低い方に合わせるようにしたからである。2023年度は、物価高騰を受けて1.9%上がることになったが、マクロ経済スライド制度が発令され、過去2年分(2021年度、2022年度)も含めて、物価の上昇率(2.5%)に対して0.6%削減されている。物価の上昇に対しての厚生年金と国民年金の減額分を計算すると、新潟県全体では、2022年度は約20億円で、2023年度は約58億円となる見込みである。(共済年金分は除く)この金額が消費されなかったことになる。
(5)年金の削減と相まって、41年ぶりの物価の上昇で、高齢者の生活はさらに厳しいものになっている。電気やガスの節約はできないので、食費や医療費などで節約するしかない。ただでさえ体力が弱っている高齢者が食事を切りつめ、医者にかかる回数を減らせば、命にかかわる。
(6)今後も財政検証にあるように、年金減額が続くならば、高齢者の生活はますます苦しくなるばかりである。消費を減らし切りつめた生活を行ったり、生活保護世帯への移行が増加したりすれば、住民税の減収とも相まって、ますます自治体の財政圧迫を招き、地域経済を冷え込ませる。
 年金改革は待ったなしの状況である。国民の年金不安をなくして老後の安心をつくり、併せて自治体の財政健全化のために、物価の上昇に合わせた年金改定を行うことが求められる。
 ついては、貴議会において、地方自治法99条にもとづいて、私たちの切実な願いである若者も高齢者も安心して老後を暮らせるように、物価の上昇に見合う老齢基礎年金等の支給額の改善を行うことを求める意見書を内閣総理大臣および関係各位に提出されたい。


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