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令和5年2月定例会(提案理由)
令和5年2月定例会提出議案知事説明要旨
議案についての知事の説明を掲載しています。
2月20日 知事説明要旨
令和5年2月定例県議会の開会に当たり、私の所信の表明と提案いたしております議案の概要を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと存じます。
はじめに、今冬の豪雪についての対応です。
今冬においては、除雪作業中の事故等により、15名の方が亡くなられ、150名近くの方が負傷されております。被害に遭われた皆様に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
昨年12月18日からの豪雪では、国道8号や17号などでの大規模な車両滞留や、県内の広い範囲で停電が発生したことなどを受け、県として災害対策本部を設置し対応してまいりました。
車両滞留については、柏崎市、長岡市、小千谷市、魚沼市に災害救助法を適用するとともに、自衛隊に災害派遣を要請し、ドライバーへの食料・燃料等の配布や除雪、スタック車両の救助などの支援を行いました。
停電については、暴風雪や大雪が続いた影響で長期化したことから、佐渡市、村上市に災害救助法を適用し、東北電力ネットワークや地元建設業協会などとも連携して対応に当たり、12月27日に全面復旧に至ったところです。
改めて、一連の対応における、関係機関の皆様のご協力・ご尽力に感謝申し上げます。
今後、冬季における道路機能の維持、車両滞留などの災害発生防止や、道路利用者への情報提供について、有識者、国、県及びネクスコ東日本などによる対策検討会での検証や議論も踏まえた上で、関係機関と連携してしっかりと取り組んでまいります。
なお、国に対して、今月13日に全国積雪寒冷地帯振興協議会の会長として、道路の除排雪経費等に対する確実な財政支援と、高速道路及び並行する直轄国道における除排雪体制の強化を要望したところです。
次に、県経済の状況と物価高騰対策についてです。
本県経済は、緩やかに持ち直しているものの、原材料やエネルギー価格の上昇に伴う物価の高騰が続いており、個人消費や企業活動に及ぼす影響が懸念されるなど、依然として厳しい状況にあると認識しております。
こうした状況を踏まえ、県といたしましては、これまでの支援に加え、新たに国の総合経済対策では直接的な料金軽減策が講じられていないLpガスを利用する事業者を支援してまいります。
また、いわゆる「ゼロゼロ融資」の返済本格化を見据え、事業者の借換需要に対応することができるよう融資枠を確保するとともに、信用保証料を軽減するなど、企業の経済活動を支えてまいります。
地域住民の足を支える地域公共交通においては、新型コロナウイルス感染症からの回復途上にあるなか、燃油価格高騰の影響も受けるなど、厳しい経営環境にあります。そのため、佐渡航路に導入されるカーフェリー「こがね丸」への支援等を含め、地方バスや離島航路、地方鉄道などの地域公共交通事業者が行う路線の維持・確保に向けた取組を支援してまいります。
あわせて、県内外からの交流人口の拡大に繋がる観光や文化、スポーツイベントについて、開催に必要となる経費の一部を支援し、物価高騰の影響等による主催者の負担を軽減してまいります。
また、物価高騰の影響の中で生活に困難を抱えている方々、弱い立場の方々を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いており、こうした方々への支援もしっかりと行ってまいります。
ひとり親家庭等のファミリーサポートセンターの利用料を免除する市町村に対し支援を行うとともに、就業・自立に向けた雇用機会の創出や、孤独や孤立で不安を抱える女性の支援に取り組むNPO団体等の連携体制の強化などに引き続き取り組んでまいります。
また、ひとり親世帯など物価高騰等により生活に大きな影響を受ける方々の食料支援ニーズの増大に対応するため、新たに、ふるさと納税の仕組みを活用した自己資金調達の取組をモデル的に実施し、食のセーフティネットの役割を担うフードバンク団体の運営体制の強化を支援してまいります。
次に、鳥インフルエンザ対策についてです。
先月6日と13日に、村上市と上越市の養鶏場で相次いで高病原性鳥インフルエンザが発生しました。
県内最大規模となった村上市の事案では、自衛隊に災害派遣を要請したほか、いずれの事案でも市町村やJAなど関係団体からの協力を得て、24時間体制で作業を進めた結果、当初の想定を上回る早さで防疫措置を完了することができました。
しかしながら、今シーズンは、全国各地で発生が相次ぎ、過去最多の発生件数となっており、未だに発生リスクが高い状況が続いていることから、改めて養鶏事業者に対し、発生予防対策の徹底を指導するとともに、影響を受けた事業者に対して、経営の維持・安定に向けた金融支援等を継続してまいります。
また、先月には、大規模農場における分割管理の促進や、防疫措置における県の財政的・人的負担の軽減等について、北海道東北地方知事会を通じて国に要望したところですが、今後もあらゆる機会を通じて働きかけてまいります。
次に、新型コロナウイルス対策についてです。
年末年始における帰省やイベントなど、人流の増加からくる急激な感染拡大を防ぐため、「かぜ症状注意徹底アラート」を発出したところですが、それ以降、新規感染者数は減少傾向にあり、一時は70%を超えていた病床使用率も、現在は約12%まで下がってきており、医療への負担はかなり軽減されている状況です。また、同時流行が懸念されていた季節性インフルエンザについても、直近では定点あたり5.97人と、昨年よりは多いものの、大きな流行には至っておりません。
全国でコロナ患者が初めて確認されてから4年目となる中、国においては、オミクロン株の特性として、感染力は高いものの、発生初期と比較して重症度が低下しているなどの理由により、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを、5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げることを決定するとともに、患者等への対応や医療提供体制など、見直される政策・措置6項目の対応方針が示されました。国は来月上旬をめどに、医療費の自己負担分に対する公費支援や医療体制の見直しなどの具体的な方針を示すとしています。
今後具体的な方針が示された後は、本県における具体的な対応を早急に検討し、県民や医療機関等に大きな混乱を招くことのないよう、しっかりと対応してまいります。
あわせて、こうした足元の対策を講じながら、本県の中長期的な成長・発展に向けた取組もしっかり行ってまいります。
はじめに、脱炭素社会への転換についてです。
昨年3月に策定した「県2050年カーボンゼロの実現に向けた戦略」を踏まえ、官民一体となり、再エネ・脱炭素燃料等の「創出」、「活用」、Co2排出の「削減」、「吸収・貯留」の具体的な取組を加速化させていく必要があります。
本県は、戸建住宅の割合が高く、冬季の積雪等により暖房由来のCo2排出量が全国平均の約2倍となっていることから、住宅のゼロエネルギー化への取組を推進することが重要です。このため、国の基準よりも断熱性能を高めた本県の独自基準による新潟県版雪国型Zehや、本県において導入が遅れている太陽光パネルの設置を促進することとしております。
新年度においては、市町村等と連携し、家庭における雪国型Zeh及び太陽光パネルの導入等に要する経費を支援するとともに、雪国型Zehを広く普及させるため、工務店に対する講習会開催や販売促進に係る支援、省エネ住宅に関連する業界団体等と連携した普及啓発を強化することにより、県内住宅における導入を加速化させてまいります。
また、県有施設における脱炭素化を推進するため、効率的・効果的な太陽光発電設備の導入手法の検討を進めてきたところでありますが、新年度においては、民間企業の活力を生かしたPpaモデルを活用することなどにより、県として率先して設備導入を進めてまいります。さらに、ESCo事業の導入により、約1万基の県管理道路の照明灯を水銀灯などからLED灯に更新し、インフラ施設においても温室効果ガスの排出量削減に取り組んでまいります。
脱炭素エネルギーの創出に向け、国は、昨年末に村上市及び胎内市沖における洋上風力発電事業者の公募を開始しました。この公募占用指針には、新潟港が促進地域と一体的に利用可能な港湾として記載されたことから、基地港湾の指定が得られるよう、引き続き国に働きかけるとともに、新たな港湾施設の整備につなげてまいります。
脱炭素社会への転換を進めるためには、森林等の吸収源対策に取り組むことも重要です。
このため、主伐・再造林によるCО2吸収能力の向上に向け、デジタルデータ化した森林資源情報を活用して効率的な施業を推進するとともに、異業種等と連携した県産材の供給拡大の取組や、低コストな再造林技術の普及を促進してまいります。
また、建築物への木材利用が長期間炭素を貯蔵し脱炭素に貢献することについて、県民の理解を促進し、住宅など建築物への県産材の利用を支援するとともに、安定的な県産材の供給体制を構築する「つなぐプロジェクト」を県内でさらに展開していくことで、「伐って、使って、植える」循環型林業を推進してまいります。
次に、デジタル改革の実行についてです。
深刻な医師不足の中で、へき地や離島を抱える本県にとって、オンライン診療は医療提供体制を確保していくための有効な手段の1つであると考えております。
今年度実施したオンライン診療についての調査・検討を踏まえ、新年度は高齢の患者も安心して利用でき、診療の質の向上を図ることができるよう、看護師等が患者宅を訪問し機器の操作や遠隔からの医師の診察をサポートするオンライン診療のモデル事業を、医療資源の少ないへき地等で実施したいと考えております。
県内どこにいても県民の皆様が必要な医療を受けられるよう、オンライン診療などのICT技術も積極的に活用してまいります。
教育分野では、新潟県版Gigaスクール構想を推進するとともに、地理的環境や学校規模に左右されにくい教育環境を整備するため、小規模高等学校等における遠隔授業の実施拡大に向けて、新たに魚沼地域でシステム機器を導入してまいります。
さらに、県立図書館において、電子書籍システムを導入し、県民の皆様がいつでも、どこでも読書ができる環境の整備を進めてまいります。
また、デジタル技術を活用した新たな移動手段の創出に向け、新年度においても、Maas等の導入に取り組む市町村等を支援するとともに、新たな交通サービスとして、定額運賃タクシーの導入実証を支援いたします。
次に、県内産業のデジタル化の推進についてです。
産業分野のデジタル化は、生産性を向上し、高い付加価値を生み出す上で不可欠であり、企業の取組を一層拡大させることが重要です。
このため、協同組合等の複数企業による一体的なデジタル実装に向け、デジタルツールの共同導入等の取組を支援してまいります。また、デジタル人材の発掘・育成に向け、新たに大手クラウドサービス企業と連携し、学生や県内エンジニア等を対象としてオンライン育成プログラムを提供します。
加えて、持続可能な道路除雪体制を構築するため、積雪センサーの設置など、デジタル技術を活用した除雪作業の効率化・省力化を推進します。
あわせて、建設産業の働き方改革や生産性向上を図るため、バックオフィス部門のデジタル化を支援するとともに、県内建設企業を対象に研修を実施し、ICT活用工事の更なる普及に努めてまいります。
また、農業者の高齢化や労働力不足が進む中、将来にわたって食料を安定的に供給していくためには、スマート農業技術を一層普及させていく必要があると考えております。
このため、経営管理部門のデジタル化を促進するとともに、スマート農業技術の産地レベルでの実装のほか、中山間地域におけるデジタル技術を活用した新たな営農体制モデルの創出などを進め、スマート農業の取組を点から面へ拡大してまいります。
次に、子育てに優しい社会の実現と分散型社会への対応についてです。
まず、子育てに優しい社会の実現についてでありますが、
少子化対策としての結婚支援や、子どもを産み育てやすい環境づくりを一層強化・推進するため、福祉保健部子ども家庭課に新たに「子ども政策室」を設置するとともに、「妊娠・出産から子育てまでの節目における経済的負担の軽減」「結婚を希望する方への支援」「子どもを生み育てやすい環境の整備」を三つの柱として、結婚から妊娠・出産・子育てまで切れ目のない支援を実施してまいります。
経済的負担の軽減については、新たに、子育ての節目での負担軽減等につながる本県独自の少子化対策を実施するための財源を確保することを目的とした基金を、電気事業会計の地域振興積立金からの一般会計への繰出金を活用して創設します。
この基金を活用し、子どもの入学前など節目において、子育て世帯への経済的支援を民間と連携して行うことで、社会全体で子育てを支える仕組みについて、今後関係機関と検討・調整を行い、令和5年度中の事業開始を目指してまいります。
また、結婚を希望する方への支援として、新たに、県と連携して結婚支援に取り組む市町村に対し、結婚に伴う新生活において必要な経費に対する経済的支援の実施に係る費用の一部を支援するとともに、若年層に対する結婚支援情報等の発信強化や、市町村等の取組に対し助言・支援を行う専門職員の配置、にいがた出会いサポートセンターの利用促進に向けた機能強化などに取り組んでまいります。
加えて、子どもを生み育てやすい環境の整備として、子どもが安心して健やかに暮らしていける社会の実現に向け、子ども政策を推進するための条例の制定を検討するとともに、本県の子育て環境の魅力を県内外に発信するなど、子ども・子育て支援に関する気運醸成を図ります。
また、県として、日常生活の様々な場面で子育てを後押しする「子育て応援プラス」の取組を展開することとし、取組を全県的に拡げてまいりたいと考えております。
分散型社会の下で、新潟が「選ばれる地」となるためには、特に女性から働く場として選ばれることが重要です。そのためには、所得水準の向上や魅力ある多様な雇用の場の創出、ワーク・ライフ・バランスの推進などの働き方改革に加えて、一人一人の女性がそれぞれの希望に応じた働き方を実現できる環境づくりが喫緊の課題であると考えております。
このため、女性のキャリアが出産・育児休業により中断することなく、休業からの復帰後も仕事と家庭の両立が図られるよう、人事制度や職場環境の整備に取り組む企業を支援してまいります。
また、女性活躍推進法に基づく国の認定制度「えるぼし」認定の取得を目指す企業への支援や、女性リーダー育成に向けた研修の実施、女性の起業・創業の促進に引き続き取り組むなど、女性があらゆる分野で能力を発揮し、活躍することができるよう取組を進めてまいります。
地方分散の流れを的確にとらえていくためには、移住促進や企業誘致といった施策を官民で進めていくことが重要です。
人口減少や少子高齢化が進行する中で、地域の新たな担い手として期待される地域おこし協力隊の活用をさらに促進していきたいと考えており、受入れ地域の拡大や、隊員のサポート体制の整備、定住に向けた取組など、市町村への支援を強化してまいります。
また、県においても、教育や観光、福祉といった分野で活動する県版の地域おこし協力隊員を増員し、地域の活性化に向けた広域的な取組を進めてまいります。
本県への移住を検討している方に対して市町村が行う情報発信や相談体制の構築などを総合的に支援し、移住・定住を促進するとともに、子育て世帯を対象とした移住体験ツアー等の取組に対する支援を拡充いたします。
さらに、本県への移住を決断し、就業等を伴って東京23区から本県へ移住される方に対する支援金について、国の制度と歩調を合わせ、子育て世帯に対する加算を拡充いたします。
また、近年、地域課題の解決をビジネスチャンスと捉え地方に進出する企業の動きがみられることから、市町村が抱える地域課題を集約し、関心を持つ県外企業とマッチングすることにより、本県への進出を促進してまいります。
以下、その他の本県の主要課題について、順次述べさせていただきます。
第一点目は、強靱で安全安心な基盤整備についてです。
まず、一段加速した防災・減災対策の推進についてです。気候変動の影響などにより、近年全国的に自然災害が激甚化・頻発化しており、本県においても昨年8月の記録的な大雨により、下越地方を中心に甚大な被害が発生いたしました。
県民の命と暮らしを守るため、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」等による有利な財源を活用し、一段加速した防災・減災対策を推進するとともに、災害による被害の早期復旧にしっかりと取り組んでまいります。
また、県と市町村による災害時の相互応援体制である「チームにいがた」における業務のマニュアル化を進めるなど、更なる連携体制の強化を図り、ハード・ソフト一体となった防災・減災対策を推進してまいります。
次に、地域医療の確保と「健康立県」の実現についてです。
持続的な医療提供を支えるためには、その基盤となる医療人材の確保が不可欠です。
このため、養成段階からの医師確保に向けて、新年度の医学部地域枠を今年度より17名増となる70名に拡大したほか、医師不足が顕著な市町村と連携して医学生に修学資金を貸与し、その市町村に所在する病院で一定期間勤務する仕組みを創設したところです。
また、臨床研修病院における魅力向上の取組をはじめ、県独自の研修コースや市町村と連携した海外留学支援、県外の人気病院と連携した研修プログラムなどにより、更なる臨床研修医の確保を図るなど、医師確保に全力で取り組んでまいります。
令和6年3月1日に開院することが決定した済生会新潟県央基幹病院については、施設の建設や医療機器の整備を引き続き着実に進めるとともに、既に転籍などによる看護師をはじめとした多くのスタッフを確保しているところではありますが、今後、更に、開院に必要な医師、看護師等のスタッフの確保・育成や救急受入の段階的拡充など、開院準備を加速してまいります。
また、県央医療圏の再編においては、県央基幹病院と県立加茂病院、吉田病院など地域密着型病院等の医療機関が適切な役割分担のもと、しっかりと連携できるよう取組を進め、住民の皆様が救急医療に困らない、地域で安心して生活できる体制を構築してまいります。
地域医療構想については、本県のグランドデザインに沿って、今後の医療ニーズの変化等に対応するための医療再編の議論を各圏域で重ねてきたところですが、先般、個々の医療機関がその役割に応じた機能転換や連携強化を進めるための道筋を示す「グランドデザインパート2」をとりまとめたところです。
今年度の新たな取組として、地域医療をテーマに、私自身が市町村長の皆様と直接意見交換を行う機会も設けてきたところであり、関係者とのコミュニケーションもより一層深めながら、本県における持続可能で質の高い地域医療体制の構築に向け、圏域ごとに医療再編の具体的な議論や取組をさらに加速させてまいります。
健康立県の実現に向けては、これまでも全国トップクラスの健康寿命を目指し、特に働く世代をメインターゲットとした取組を展開してきたところでありますが、新年度においては、新たに企業等での歯磨きスペースの環境整備をモデル的に実施し口腔衛生習慣の定着を図るなど、県民一人一人の健康づくりの取組を一層推進してまいります。
次に、原子力防災対策の推進についてです。
今月8日、冬季の原子力災害を想定し、国、県、Paz市村、道路管理者等が連携して避難調整や避難経路の除雪等の手順を確認する本部運営訓練を実施するとともに、柏崎市及び刈羽村において、住民が参加する避難訓練を行いました。
今後とも、条件を変えながら、様々な想定により訓練を実施することによって、原子力災害時における対応力の向上を図ってまいります。
また、福島原発事故に関する3つの検証については、1月30日に健康・生活委員会健康分科会において「福島第一原子力発電所事故による健康への影響に関する検証」の報告書案が概ね了承されたところです。報告書の提出を受けた後に3つの検証を総括してまいります。
なお、これまでも申し上げているとおり、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の議論については、その後に始めたいと考えております。
また、先月17日、東京電力に対しては、会長と社長の新年あいさつの際に、行動と実績で信頼を得る努力をしていただきたいと申し上げたところですが、その後、3号機の設備の健全性等を評価する際、その一部に2号機のデータを使用していたという新たな事案が判明しました。東京電力には、改めて安全最優先の取組を、行動と実績で示していただきたいと思います。
第二点目は、産業構造の転換についてです。
まず、意欲ある企業等への支援による県内産業の活性化についてですが、
本県企業は、卓越した技術により高品質な製品を生み出してきましたが、より高い付加価値の創出に向けて、新たな事業領域への挑戦や技術開発を促進する必要があります。そのため、斬新な技術やビジネスを展開するスタートアップとの連携により、県内企業の将来的な成長力の源泉を獲得するためのチャレンジを支援してまいります。
また、直接消費者に訴求し、販売する、いわゆる「Btoc」への参入にチャレンジする地場産地の中小事業者に対し、企業ブランド戦略の立案から商品開発・販路開拓までの取組を一体的に支援することにより、従来課題とされてきた企業間取引中心の他律的な経営からの転換と付加価値向上を後押ししてまいります。
企業の商品開発等を技術面から支援する工業技術総合研究所については、県内産業界のニーズ等を踏まえ、支援機能の強化と効率的な組織運営を両立するための基本計画の策定に取り組みます。
また、昨年末に有識者による検討会議がとりまとめた意見を踏まえ、銀座鈴らん通りに新たな首都圏情報発信拠点を設置することといたしました。
首都圏における交流の場の創出と情報発信強化の新たな拠点として、来年4月末のオープンを予定しており、首都圏の人々や訪日外国人に向けて、モノ・コト・ヒトなど本県の様々な魅力を発信し、新潟県のブランディングや、社会・経済の活性化につなげてまいりたいと考えております。
次に、付加価値の高い持続可能な農林水産業の実現についてです。
世界的な人口増加や経済発展に伴う食料需要の高まりに加え、新型コロナ感染症の拡大による物流の混乱やロシアのウクライナ侵攻等により、国民の食料安全保障への関心が高まっており、国内の生産性を高めることが一層重要となっております。
このため、法人化等の構造対策と、新潟米や園芸等の生産対策を車の両輪として推進しながら、持続可能な生産体制の構築を進め、「日本の食料供給基地」としての役割を果たしてまいりたいと考えております。
特に、輸入に依存している農作物や飼料等を国産に転換していくため、国や県の支援策の積極的な活用を促し、非主食用米等への一層の転換と定着を図るとともに、麦や大豆、飼料作物等の作付け拡大や、小麦代替としての米粉の需要拡大を積極的に進めてまいります。
また、ほ場整備地区等における園芸導入モデル地区の育成に新たに取り組むなど、園芸振興基本戦略の目標達成に向けた取組を加速するとともに、現在、策定を進めている基本方針に基づき、県産農林水産物のブランド化を進め、生産者所得の向上につなげてまいります。
加えて、先月トップセールスで伺った東南アジアなど、成長する海外の需要を取り込むことも重要であり、米や錦鯉を始めとした県産農林水産物の輸出拡大に向けた取組を一層進めてまいります。
一方、Sdgsやカーボンニュートラルに向けた取組等が国内外で加速する中で、農林水産業を取り巻く環境は大きく変化しており、環境と調和した持続可能な農林水産業への転換をさらに進めていく必要があります。
このため、化学肥料や化学農薬の使用量低減に加え、水田における飼料生産や堆肥を活用した環境負荷低減技術の導入による耕畜連携体制の整備など、みどりの食料システム戦略の実現に向けた取組を拡大してまいります。
第三点目は、選ばれる地域の創造についてです。
まず、多様な地域資源を活かした交流人口の拡大についてですが、
広大な県土と2つの離島を有する本県では、海岸平野部や中山間地域など各地域それぞれに特色ある多様な文化が息づいており、それらを資源として捉え交流人口の拡大に繋げることが重要です。
そのため、各地の文化資源を観光コンテンツとして掘り起こし、周辺観光資源と組み合わせたモデルツアーの作成や情報発信を推進するとともに、中央日本4県における翡翠などの文化財の交流展示を通じて、「県の石」に指定した翡翠の歴史的・文化的魅力を発信いたします。
また、新年度に文化振興財団と一体化することを契機に、「新潟県文化祭」の拡充を図り、県内各地で多彩な文化事業を展開するなど、芸術文化を通じた交流拡大にも取り組んでまいります。
加えて、スノーリゾートエリアの広域周遊の促進などに向け、新たにキャッシュレス決済やICゲート導入等のデジタル化を支援するとともに、アーバンスポーツ等のイベント開催など、多様なスポーツに触れる機会を提供し、スポーツを活かした交流拡大にも取り組んでまいります。
次に、「佐渡島(さど)の金山」の世界遺産登録を見据えた交流拡大についてです。
先月、「佐渡島(さど)の金山」の推薦書が政府からユネスコに提出されました。今後は、イコモスの現地調査への対応など、文化遺産としての価値が評価され世界遺産登録が実現するよう全力で取り組んでまいります。
また、登録を見据え、インフルエンサーによる動画配信や首都圏のマスメディアを活用して、佐渡を含む周遊ルート等の認知度向上に取り組み、金山を核とした交流人口の拡大を進めてまいります。
次に、更なる拠点性向上に向けた交通ネットワークの整備についてです。
地域住民の暮らしを支えるためには、人口減少等の社会環境の変化に対応した持続可能な移動手段を確保することが重要です。
そのため、地域の多様な交通資源をフル活用した地域住民の持続可能な移動手段の確保・充実に向け、今年度に交通資源等の調査を行った地域で、新たに住民の移動ニーズに応じた実証事業を地域と共同で実施するほか、広域的な移動実態等を調査の上、新たに先進的なノウハウを持つ民間事業者との連携による実証や複数市町村による広域的な課題解決に向けた実証等を実施してまいります。
また、地域鉄道につきましても、沿線市町村や鉄道事業者などと路線の活性化を議論するとともに、利用実態に関する調査を実施いたします。
昨年11月、航空運送事業の許可申請を行った地域航空会社トキエアについてでありますが、今後の路線開設に向けて、認知度向上のための広報に取り組むとともに、官民一体となった利用促進に努めてまいります。
新潟空港の活性化については、先月、新潟空港将来ビジョン検討協議会が目指すべき姿やその実現に向けた道筋などを盛り込んだ素案を示したところです。航空ネットワークの充実や二次交通の改善など利便性の向上により、多くの人やモノが行き交い選ばれる新潟空港となることで、ビジネスチャンスの創出や地域経済の活性化にもつなげてまいります。
朱鷺メッセは今年で開業20周年を迎えますが、来月には、4年ぶりとなる酒の陣が開催されるとともに、5月にはG7財務大臣・中央銀行総裁会議も開催されるなど、県内外の多くの方々から愛され、利用される施設に成長しました。
この流れを加速し、更なる万代島地区の賑わいを創出するため、Mice市場に着目して、施設規模に応じたMiceの開催状況や将来見通しなどを新たに調査・分析し、朱鷺メッセに更に必要となる機能や取組について検討を進めてまいります。
次に、将来の夢や希望を育みかなえる教育の推進についてです。
一人一人の児童生徒が、様々な社会変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓く力を育むため、実社会の仕組みを学び、起業家精神を醸成するアントレプレナーシップ教育を推進してまいります。さらに、将来、地域の産業界で活躍できる人材を育成するため、生徒の資格取得等を支援し、より高度な知識や技術の習得を促進してまいります。
部活動の地域移行については、来年度からの段階的な移行が着実に進むよう、新たに、コーディネーターの配置や、地域移行後の活動を運営する団体等の体制整備など市町村における取組を支援してまいります。
また、特別な支援を必要とする子どもの教育的ニーズに的確に応えるため、児童生徒が増加している県央地区において、新たな特別支援学校の整備に向けた設計等を実施します。
次に、不登校・いじめ対策等の強化についてです。
近年増加している不登校の児童生徒に対する支援を強化するため、新たに不登校対策スクールカウンセラーを配置するとともに、不登校の未然防止に係る実践研究を大学と連携して進めながら、効果的な取組を県内に広めてまいります。
いじめ防止対策についても、いじめ対策推進教員の配置や研修の充実のほか、生徒の心のケア等を支援するツールの導入を拡大するなど、引き続き取組を推進してまいります。
県といたしましては、昨年12月に「新潟県教育の日に関する条例」が制定されたことから、今まで以上に、県民から教育に関心を持ってもらい、本県が全国トップクラスの教育県となるよう、教育委員会と連携し、しっかり取り組んでまいります。
第四点目は、北朝鮮による拉致問題についてです。
この20年間、拉致問題の解決に向けた具体的な進展が見られない中、拉致被害者やそのご家族の高齢化が進み、もはや一刻の猶予も許されません。
昨年12月、知事の会として、松野官房長官兼拉致問題担当大臣にお会いし、拉致問題の解決に向けて、目に見える形での成果を早期に出すよう、また、政府の取組について情報提供いただくよう、改めて強く求めたところです。
県といたしましては、政府の外交交渉を後押しするため、市町村長の会とも協力しながら、来年度新たに小・中学生、高校生向けの啓発セミナーを行うほか、県民集会、県内各地でのパネル展や映画の上映会、大学生・PTA向けの啓発セミナーなど、幅広い世代に向けた啓発活動を進めるとともに、あらゆる機会を捉えて拉致問題の早期解決を国へ働きかけてまいります。
この項の最後に、行財政改革についてご説明申し上げます。
先般お示しした中期財政収支見通しでは、県民・議会の皆様の御協力の下、令和5年度当初予算までに、令和元年度当初予算と比べ234億円の収支改善が図られたところであり、令和5年度の収支均衡など行動計画の目標達成に加え、令和13年度の公債費の実負担のピークにも対応できると見込んだところです。
しかしながら、今後の経済状況や国の地方財政対策等の動向などによっては収支の大きな変動も想定されることから、引き続き、持続可能な財政運営の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
以上、主要課題について順次申し上げましたが、それらも反映した令和5年度一般会計予算案は、1兆3,428億6千万円と、令和4年度予算に比べ、総額で1.0%の減となったところです。
次に、今議会に令和5年度当初予算案と併せて上程されました令和4年度補正予算案に関する議案等についてご説明申し上げます。
第38号議案は一般会計補正予算案でありまして、総額688億7,687万5千円の追加補正についてお諮りいたしました。
今回の補正は、原油価格・物価高騰の影響への対応に要する経費や鳥インフルエンザへの対応、投資事業等について令和5年度当初予算案と一体で計上するものです。
また、この補正予算に係る公共事業等について、繰越明許費を計上したほか、一般公共事業等について、令和5年度に係る起工準備期間の確保等を図るため、いわゆる「ゼロ国債」を14億6,200万円計上しております。
以上、補正予算案についてご説明申し上げましたが、その結果、補正後の令和4年度予算の規模は、1兆5,027億8,593万3千円となります。
次に、お諮りしております条例案件等のうち主なものについて、ご説明申し上げます。
第23号議案は、本県と北東アジア地域等との経済交流や広域連携等を促進し、本県の拠点性の向上に資する取組を推進するための基金を設置するため、
第25号議案は、少子化対策に資する子育て等支援策の一層の充実に向け、結婚や子育て・教育に係る負担の軽減等を通じて子育て等を応援するための基金を設置するため、
第31号議案は、新潟県立鳥屋野潟公園内における多目的運動広場の人工芝化及びスケートパーク新設に伴い、使用料を改定するため、
第34号議案は、道路交通法の改正に伴い、特定自動運行の許可制度に係る許可申請手数料を新設するため、
それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものです。
また、第37号議案は、包括外部監査契約の締結について、お諮りするものです。
以上、新年度における所信の一端と施策・議案の概要などについて申し述べました。何とぞ慎重にご審議のうえ、上程された各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
3月2日 知事説明要旨
ただいま上程されました議案37件について、ご説明申し上げます。
第44号議案は、令和4年度一般会計補正予算案でありまして、総額740億4,788万7千円の減額補正についてお諮りいたしました。
このたびの補正予算は、物価高騰対策や新型コロナウイルス感染症対策に必要な経費や、今冬の豪雪に対応するための除雪費等の所要額を計上するとともに、事務事業の執行見込みに基づく過不足調整等を行うものであります。
この結果、補正後の予算規模は、1兆4,287億3,804万6千円となります。
また、第45号から第62号までの各議案は、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ事業計画の最終見込み等に合わせまして、補正を行うものであります。
次に、その他の主な条例案件等について、ご説明申し上げます。
まず、第64号議案は、地方税法の改正に伴い、自動車税種別割のグリーン化特例の見直しや、都市再生緊急整備地域内の開発事業に係る不動産取得税の特例措置を新設するため、第66号議案は、離島振興法の改正により法期限が延長されることに伴い、条例の期限を10年間延長し、令和15年3月31日までとするため、それぞれ、条例の所要の改正を行うものであります。
次に、第74号議案は、契約の変更について、第75号から第77号までの各議案は、損害賠償額の決定の変更について、第78号議案及び第79号議案は、指定管理者の指定について、お諮りするものです。
以上、各議案の概要につきましてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同賜りますよう、お願い申し上げます。
3月14日 知事説明要旨
ただいま上程されました議案3件について、ご説明申し上げます。
第81号から第83号までの各議案は、令和4年度一般会計及び港湾整備事業など特別会計に係る補正予算でありまして、それぞれ予算の繰越についてお諮りいたしました。
公共事業等の執行に当たり、設計や計画の変更、用地補償における調整などにより、一部年度内に完了できない見通しとなりました。
このため、一般会計においては797億3,114万3千円を、また、特別会計においても、それぞれ所要額を翌年度に繰り越すものであります。
この結果、12月定例会及び本定例会の冒頭で議決をいただいた公共事業予算等に係る繰越と併せ、一般会計の繰越明許費の合計は、1,379億7,484万8千円となった次第であります。
何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについてご賛同を賜りますようお願い申し上げます。
3月22日 知事説明要旨
ただいま上程されました第84号議案は、人事に関する案件でありまして、副知事の選任についてお諮りしたものであります。
よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。
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