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令和3年2月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0358522 更新日:2021年3月25日更新

令和3年2月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

2月22日 知事説明要旨

 令和3年2月定例県議会の開会に当たり、私の所信の表明と提案いたしております議案の概要を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと存じます。

 はじめに、今冬の豪雪への対応についてです。
 今冬の記録的な豪雪により、除雪作業中の事故等で19人の方が亡くなられ、300人を超える方が負傷されました。また、家屋や農業用施設が倒壊する等、県内各地で甚大な被害が生じています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。
 昨年12月16日からの豪雪では関越自動車道で大規模な車両滞留が発生しました。県は対策本部を設置し、自衛隊に災害派遣を要請するとともに、南魚沼市と湯沢町に災害救助法を適用し、道路上に取り残された車両の運転者等に物資の配布などを行いました。現在Nexco東日本が主体となり行っている今回の対応の検証に県も参加しており、再発防止に向けて関係機関と連携し取り組んでまいります。
 さらに本年になっても豪雪は続き、先月10日には、特に記録的な積雪となった6市に災害救助法を適用し、上越・柏崎両市に自衛隊の災害派遣を要請するなどの対応を行ってまいりました。
 今回の豪雪は、短時間の記録的な降雪により車両の通行が困難な中、除排雪作業を終日繰り返し行ったため例年に比べ除排雪経費が増大したほか、広範囲で農業用施設等に被害が生じています。このため、積雪後速やかに、関係大臣に対し除排雪経費に対する財政支援と農林漁業者や地域公共交通事業者への支援等を要望したところです。なお、農林漁業者への支援については、先般、農林水産省から復旧対策を講じていただいたところであり、県としても早期の復旧と生産再開に向けて支援してまいります。
 また、今冬も屋根雪おろしなどに伴う事故が多く発生しています。県といたしましては、住宅の克雪化を進めるとともに、転落防止のため住宅に命綱固定アンカーの設置を進める市町村の取組を新たに支援してまいります。

 次に、新型コロナウイルス対策についてです。
 はじめに、感染拡大防止対策と医療提供体制の確保等についてです。
 県内で初めて感染者が確認されてから間もなく1年が経過します。この間、感染拡大防止対策や検査・相談体制の整備、医療提供体制の整備に全力で取り組んでまいりました。
 この過程では県民の皆様からいただいた寄附も活用し、医療従事者の環境整備への支援を行っているところであり、ご協力に御礼申し上げます。
 本県では、昨年の警報発令以降、新規感染者数は減少傾向にあるものの、まもなく、進学・就職・転勤等の時期を迎えることもあり、今後も状況を注視していく必要があると考えております。
 県としましては、引き続き県内14ヶ所に地域外来・検査センターを設置し診療や行政検査の実施にあたるとともに、新型コロナ受診・相談センターを設け24時間体制で専門職員が相談に対応しているところです。また、重点医療機関等に対し空床に伴う費用を補填するなど、医療提供体制を整備してまいります。
 また、今後行われるワクチン接種により、感染症のまん延防止、医療負荷の軽減、さらには社会経済の安定化が期待されます。
 このため、県医療調整本部内にワクチン接種グループを先月設置したところであり、県が主体となる医療従事者等への接種や副反応に対応するコールセンター設置の準備を進めてまいります。加えて、高齢者や基礎疾患を有する方等への接種主体となる市町村の体制構築を支援するなど、市町村や県・郡市医師会など医療関係者等と協力しながら、県内のワクチン接種が円滑に行われるよう対応してまいります。
 こうした取組とあわせ、多くの県民から接種いただくためには、ワクチンの安全性や有効性等が正しく理解される必要があります。このため、専門家からの助言を踏まえた情報発信、リスクコミュニケーションも図ってまいります。
 引き続き、万全の体制で県民の安全・安心を確保できるよう全力で取り組んでまいります。

 次に、社会経済活動の維持についてです。
 県内経済は持ち直しの動きが見られるものの、飲食・宿泊業等を中心に依然として厳しい状況が続いています。
 県内事業者の事業継続を図るため、経営に支障が生じている中小企業者に対し、事業継続応援金の拡充など資金繰り対策を強化するとともに、県が独自に発令している警報等に伴う外出自粛により売上が減少し、特に厳しい状況に置かれている飲食事業者に支援金を支給してまいります。加えて、新型コロナウイルス感染症を契機に、新たな製品開発やサービスの提供などにチャレンジする県内事業者を支援してまいります。
 また、再び落ち込んだ県内での観光需要を喚起するため、県民向けの宿泊割引キャンペーン実施のための関連予算案を本定例会にお諮りしたところです。開始時期については、県内の感染状況を十分に踏まえながら検討してまいります。
 さらに、イベントの開催等が困難となっている文化芸術活動を支え、未来へつなげていくことが重要と考えています。
 新たに文化芸術団体等と企業活動・商店街イベントとのマッチングを行い、文化活動の更なる展開を図ってまいります。あわせて、リモートでも臨場感を伝えることができる先端技術を活用した文化イベントを開催し、文化芸術団体等の活動と県民の鑑賞スタイルの多様化を図ってまいります。

 次に、新型コロナウイルス感染拡大により生活等に大きな影響を受けている方々への支援についてです。
 はじめに、感染拡大により全国的に女性の非正規雇用者数が減少していることを踏まえ、女性・高齢者等で新型コロナウイルスの影響により離職した方や無業者の就職を伴走型で支援するほか、非正規雇用者を対象にIT分野の職業訓練を実施します。
 また、感染拡大により悩みを抱えた方々へのケアも必要です。生活困窮者への支援を強化するため、自立相談支援員等を増員するほか、自殺防止を図るため、医師や専門員による相談を強化し対応してまいります。
 さらに感染拡大に伴う家計急変等の影響に対応するため、食のセーフティネットの役割を担うフードバンク団体が行う食品保管設備等の整備や子ども食堂での食品配布の取組を支援してまいります。
 加えて、子どもの生活と学びを支援するため、介護や家事等を日常的に行い学校生活等への支障が懸念される児童生徒、いわゆるヤングケアラーについて、県内の実態調査や相談先の周知等を実施してまいります。

 次に、このような足元の対策をきめ細かに講じつつ、ウィズ・コロナ、ポスト・コロナ社会を見据えた本県の中長期的な発展に向けた取組もしっかり行ってまいります。
 はじめに、「分散型社会」の実現に向けた取組です。
 新型コロナウイルス感染拡大を契機として、社会経済活動やライフスタイルの変化が見られ、これらの変化に合わせて、人や企業の地方分散の流れが生じつつあります。人と企業が首都圏等に集中し、地方の人口減少が一層深刻化する今こそ、国を挙げて地方分散の流れを加速させ、中長期的な視点で全国各地が持続的に成長できる「分散型社会」の構築を目指していくことが必要と考えています。
 国に対し地方創生の一層の促進を要望するとともに、県としては、地方分散の流れを的確に捉え新潟が選ばれる地域となるよう、着実に必要な施策を進めてまいります。
 そのため新年度は、湯沢・妙高エリアでモデル的に実施してきた地域活性化リーディングプロジェクトを佐渡エリアでも展開するとともに、村上・上越エリアでの実施を検討してまいります。地域の持つ強みや財産を活かして、人と企業を呼び込む施策を県と市町村そして民間事業者が一体となって進めてまいります。
 また、首都圏におけるU・Iターン相談体制を見直し、若者、特に女性に選ばれる魅力のある良質な働く場や教育・子育てなど本県の総合的な暮らしやすさに関する情報を、移住に向けた検討の熟度やライフスタイル等に応じて効果的に発信するとともに、伴走型で支援を行い、U・Iターンを促進してまいります。加えて、民間会員組織を活用して移住・交流情報の発信を強化するとともに、テレワークによる移住やワーケーションの拡大に取り組みます。
 さらに、女性の視点から新潟の魅力を掘り起こして発信するとともに、女性の移住検討者と先輩移住者のネットワークを形成してまいります。

 次に、「デジタル社会」の実現に向けた取組です。
 新型コロナウイルス感染拡大により、様々な分野でデジタル化への課題が浮き彫りになったことを受け、国は、今後創設されるデジタル庁が司令塔となり、デジタル化を社会変革の原動力として推進する「デジタル社会」を目指すこととしております。
 こうした潮流を捉え、本県においてもデジタルトランスフォーメーションを進め、直面する多くの課題の解決や経済成長を実現し、一人一人がデジタル化の恩恵を享受できる社会を築いていくことが必要と考えています。
 まず、産業構造をより付加価値の高い構造へと転換していくためには、県内企業のデジタルトランスフォーメーションが喫緊の課題となります。
 新年度は、デジタル化の必要性に関する企業トップの意識改革を金融機関や商工団体等と連携して呼びかけるとともに、デジタル技術導入に向けた課題の解決を伴走型で支援します。さらに、5Gを活用した製品開発や幅広くICTを活用した非接触型やリモート型の革新的なビジネスモデルの創出を支援し、新たな投資やイノベーションを誘発する環境を整えてまいります。
 また、行政のデジタル化も進めてまいります。手数料等のキャッシュレス決済を含む県の行政手続オンラインシステムを新たに構築します。加えて、教育や医療・福祉の分野等におけるデジタル化を促進するほか、先端技術を活用して地域課題の解決に取り組む市町村を支援し、県民の皆様の利便性の向上に向けて取り組んでまいります。

 次に、「脱炭素社会」への転換についてです。
 近年、風水害、雪害、暑熱、農業被害など気候変動が本県にもたらす影響はより一層顕在化し、もはや非常事態というべき状況にあります。
 こうした認識のもと、県は昨年9月、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことを表明いたしました。
 将来の世代に安全で快適な環境を継承できるよう、中長期的な視点で、気候変動の影響に適応するための対策を推進するとともに、気候変動の主な要因である地球温暖化を抑制する対策を強化してまいります。
 あわせて、こうした対策を通して経済社会のイノベーションを促進することで環境と経済の好循環を創出し、本県の活性化につながる「脱炭素社会」の構築を目指してまいります。
 新年度は、温室効果ガス排出量実質ゼロに向けた取組を加速する具体的な戦略を検討するとともに、脱炭素技術のイノベーションや地域循環型の再生可能エネルギーの導入を促進します。また、省エネ・省資源の取組を促進してまいります。
 加えて脱炭素に向けては、再生可能・次世代エネルギーの利活用を加速していくことが重要です。
 本年1月、水素の利活用を中心としたエネルギー構造の転換に向けて、国やエネルギー事業者等と協議会を設立し、先進モデル地域として長期的な産業ビジョンの策定を進めております。また同月、国がカーボンニュートラルポートの形成を目指すために新潟港を抽出したことを受け、港湾関係者等と検討会を設立し、次世代エネルギーの需要や利活用方策等について検討を行っているところです。
 新年度は、こうした検討を踏まえ、社会実証プロジェクトの組成に向けた検討を行うとともに、水素利活用の普及や県内事業者の水素関連産業への参入を支援してまいります。
 また、洋上風力発電について、地域部会を立ち上げた村上市・胎内市沖については、現在、国による令和3年度の有望な区域の選定に向けた最終的な調整を進めております。国から有望な区域に選定された場合は、国・県で法定協議会を設置し、地元市や利害関係者とともに促進区域の指定に向け、丁寧に合意形成を図りながら、より具体的に検討を進めてまいります。
 あわせて、その他の候補地域についても地元市町村や事業者と連携し、検討を進めてまいります。

 今後も中長期的観点から未来を展望し、県勢の発展に向けて必要となる政策を適切に講じていくよう、持続可能な社会実現に向けた政策に係る検討委員会において、検討を深めてまいります。

 以下、その他の本県の主要課題について、順次述べさせていただきます。
 第一点目は、「強靱で安全安心な基盤整備」についてです。
 はじめに、一段加速した防災・減災対策の推進についてです。
 近年、気候変動の影響により激甚化・頻発化する自然災害や、今後加速度的に進行するインフラの老朽化等を踏まえ、国は昨年12月「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を決定しました。
 本県においても、災害から県民の命と暮らしを守るため、加速化対策による有利な財源を最大限に活用しながら、河川改修をはじめとする治水・土砂災害対策や道路の老朽化対策、ため池の防災・減災対策などを集中的に実施してまいります。
 また、災害発生時に確実な避難行動につながる住民目線に立った取組が重要です。
 新年度は、地域の自主防災活動の核として住民の避難行動を後押しする防災リーダーの育成支援に引き続き取り組みます。さらに県防災アプリを新たに河川の水位や土砂災害危険度などのリアルタイム情報も一元的に確認できるよう改修し、避難行動に必要な情報提供を強化してまいります。

 次に、原子力防災対策の推進についてです。
 先月、柏崎市において、冬季の原子力災害を想定した避難訓練を実施しました。積雪時に車両が道路を通れない状況を想定し、孤立した住民をヘリコプターや雪上車などで安全に避難させるための訓練を関係機関が連携して行ったところです。今後とも、条件を変えながら、様々な想定により訓練を実施することによって、原子力災害時における対応力の向上を図ってまいります。
 3つの検証については、先月12日に健康・生活委員会生活分科会から県に対し、福島原発事故による避難生活への影響に関する報告書が提出されました。主な結論として7項目が挙げられており、福島原発事故がもたらした避難生活の実態を、県民にも分かりやすく示していただきました。
 また、先月22日に3つの検証を総括する検証総括委員会を開催しました。引き続き、検証委員会においては、事実に基づき科学的・客観的な検証をお願いしたいと思います。
 柏崎刈羽原子力発電所については、発電所中央制御室への不正な入室や、7号機の新規制基準に基づく工事が一部完了していなかった事案がありました。このような事案が重なって発生していることについては、柏崎刈羽原子力発電所全体に対する信頼を失いかねない事態だと受け止めています。東京電力には、しっかりと対応いただき、行動と実績で示していただきたいと考えております。

 次に、安全で安心なまちづくりについてです。
 近年、県内外で凶悪犯罪が発生し、犯罪被害者等支援の重要性が高まっています。犯罪被害者等支援条例の施行に合わせ、被害者に対し見舞金の支給に取り組む市町村を支援するとともに普及啓発活動を実施し、被害者や家族等が受けた被害を回復・軽減し、生活を再構築できるよう社会全体で支える気運を醸成してまいります。
 また、近年、児童相談所の児童虐待相談対応件数は増加の一途をたどり、一時保護所の拡張など環境の整備が急務となっています。引き続き長岡児童相談所の一時保護所の増築を進めるとともに、新たに上越児童相談所の一時保護所の増築に着手することとし、保護された児童のプライバシーや安全等の確保を図り、受入体制を強化してまいります。
 さらに、昨年10月に県内でクマによる死亡事故が発生するなど、鳥獣被害の防止は喫緊の課題です。
 このため、生息状況調査による実態把握等に取り組むとともに、電気柵の設置支援や出没経路の藪刈払いなど野生鳥獣を人里に寄せ付けない取組や、わな猟者の育成や麻酔銃体制の整備による組織的な捕獲を実施するなど、野生鳥獣による人身被害や農作物被害の防止に向け、関係機関と一体となって取り組んでまいります。

 次に、地域医療の確保と「健康立県」の実現についてです。
 今後の地域医療においては、人口構造の変化に伴う医療需要の変化と医師の働き方改革を見据え、これらに対応できる持続可能な医療提供体制を構築することが喫緊の課題と考えております。現在、今後の全県的な医療提供体制に関し、病院の機能や役割など大枠の方向性について、年度内のとりまとめに向け、医療関係者等と協議を行っております。新年度は、それを基に各圏域において、将来的な人口動向や医療需要などのデータをお示ししながら、市町村を含む関係者と具体的な議論を行ってまいります。
 また、県央地域の急性期機能を集約し、「断らない救急」を実現するため、令和5年度の開院に向け、県央基幹病院の建設を着実に進めます。加えて、かねて検討を進めてきた小児医療のあり方については、先般、有識者検討会から報告書が提出されました。これを踏まえ、小児専門医療施設の整備に向け、具体的な施設機能等のあり方について小児医療の専門家による詳細な検討を行ってまいります。
 また、こうした医療の提供を支えるためには、その基盤となる医療人材の確保が不可欠です。
 このため、医学部地域枠を新設・拡充するほか、若手医師の確保に向けて臨床研修から専門研修を見据えた切れ目のない医師養成の仕組みづくりを支援し、医師の県内定着に向けた取組を推進します。あわせて、看護職員が不足している市町村と連携し、修学資金の貸与を行い、看護職員の確保と偏在是正を図ってまいります。
 さらに、こうした本県の喫緊の課題である地域医療提供体制の確保や新型コロナウイルス感染症を含む感染症対策などを強力に推進し、より一層県としてのリーダーシップを発揮するため、新たに地域医療を担当する副部長を設置するなど福祉保健部内の組織を再編・強化してまいります。
 最後に、医療提供体制の確保とともに、健康立県の実現には、健康づくりの推進も重要です。
 県民一人一人の健康づくりの推進に向け、市町村や関係団体、企業等と連携したヘルスプロモーションプロジェクトを引き続き展開し、県民運動の浸透に取り組んでまいります。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
 拉致問題の解決に向けた進展が見られない中、
拉致被害者やそのご家族は高齢となってきており、解決に向けてもはや一刻の猶予も許されません。
 昨年12月に知事の会として、加藤官房長官兼拉致問題担当大臣にお会いし、拉致被害者の救出に向けて、一刻も早く目に見える成果を出していただくよう要望いたしました。
 また、政府の取組を後押しするため、県民世論の喚起や意識啓発にしっかりと取り組んでいくことが大変重要です。昨年12月に県議会拉致議連主催の街頭啓発活動に私も参加させていただきました。全ての拉致被害者を必ず取り戻すという声を上げ続けることを、県民の皆様に訴えさせていただいたところです。         
 県といたしましては、引き続き拉致問題の早期解決を国に働きかけるとともに、県民世論の喚起に向け、新たな取組として大学での啓発セミナーのオンライン方式による開催や小中高等学校で学習資料集を活用するなど、幅広い層を対象とした拉致問題への関心・理解が高まる取組を進めてまいります。

 第二点目は「産業構造の転換」についてです。
 はじめに、意欲ある企業への支援や起業・創業の推進等による県内産業の活性化についてです。
 先ほど申し上げたように、県内産業のデジタルトランスフォーメーションを進めていくとともに、本県産業の特色を踏まえた政策を講じてまいります。
 まず、本県は中越大震災等の災害経験により防災・減災に関するノウハウや知見などの資源が豊富に蓄積されています。新年度ではこれらの資源を活かし、産学官が連携した取組を促進するため、防災産業プラットフォームを構築し、新たなビジネスの創出や研究開発、防災関連産業の集積を図り、この分野における国内外での展開を本県がリードすることを目指して取り組んでまいります。
 一方、本県の開業率は全国45位と低迷し、廃業数が開業数を上回る状況が続いています。本県経済の活性化を図っていくためには、この状況を打開し、挑戦しようとする方が多く集まり、起業・創業が次々生まれる環境を整えるとともに、事業承継を契機とした経営革新を後押ししていくことが必要です。
 新年度は、県内8か所に整備した民間のスタートアップ拠点を核として、起業家と支援者等が参加するオンラインコミュニティの機能強化や起業家予備軍の育成を進めるなど、官民連携により成長性の高い起業家を発掘・育成する取組を拡充してまいります。
 また、雇用効果や成長性の高い企業内起業・第二創業の創出を支援するとともに、あわせて、首都圏の兼業・副業人材を活用した県内企業の経営革新を支援してまいります。

 次に、付加価値の高い持続可能な農林水産業の実現についてです。
 近年、異常気象が常態化しつつある中、需要の減少や消費行動の変化、国内外の競争激化など、農林水産業を取り巻く状況は大きく変化しています。
 こうした状況に的確に対応し、本県農林水産業の成長産業化を目指し、儲かる農林水産業の実現に向けて取り組んでまいります。
 園芸については、水田の活用に加え、遊休畑等での園芸導入を新たに支援するとともに、観光業界と連携した県産園芸品目の利用拡大を促進するなどにより、園芸の導入や拡大にチャレンジする意欲的な産地に対して伴走型の支援を行い、さらなる園芸拡大を進めてまいります。
 一方、米については、国内消費の大幅な減少により、主食用米の在庫が過剰となり、令和3年産米の急激な価格下落が懸念されております。そのため、国の新たな支援策に加え、県独自の支援策の積極的な活用により、これまで以上に非主食用米に転換するインセンティブを高め、需要に応じた生産が適切に行われるよう、関係機関と危機感を共有しながら取組を進めてまいります。
 また、畜産については、現在、全国各地で猛威を振るっている豚熱や鳥インフルエンザなど家畜伝染病の発生予防対策に万全を期すほか、意欲ある担い手の規模拡大や共同化を進めるなど、経営・生産基盤の強化に取り組んでまいります。
 林業については、本県の豊富な森林資源の活用による産業や地域の活性化を目指し、林業関係者が同じ方向感を持って取り組むため、森林・林業基本戦略を策定するとともに、県産材の生産拡大に向けて、林業事業体が共同で県産材の安定供給体制を構築し、素材生産の増加を図る取組を支援してまいります。
 水産業についても、海面漁業の持続的な発展を目指し、関係者が一体となって取り組めるよう、水産振興戦略を策定してまいります。
 また、県産農産物等の輸出拡大に向けて、米国、中国、ASEAN地域に加え、新たに中東・Eu向けのプロモーションやECサイト等を活用した販売体制の構築などに取り組んでまいります。

 第三点目は、「人や企業から選ばれる地域の創出」についてです。
 はじめに、人口減少対策についてです。
 令和2年の住民基本台帳人口移動調査によれば、本県の社会動態は、下半期の東京都との移動について転入超過が見られたものの、全体では依然5,771人の転出超過となっています。
 本県の転出超過は進学や就職を契機とした若者の転出が大きな要因であり、特に女性の転出超過数が多くなっています。本県が選ばれる地となり地方分散の流れを確かなものとするため、新年度は若者、特に女性の県内定着、U・Iターン促進の強化を重点テーマとして、先ほど申し上げた取組に加えて、雇用や少子化対策などに取り組んでまいります。
 まず、所得水準の向上と良質な働く場の確保が重要です。IT企業など若者に選ばれる企業の集積を促進するため、本県の魅力ある企業立地環境を積極的に発信するとともに、進出企業に対する支援を拡充します。加えて、県内企業における多様な働き方を推進するとともに、新たに保育士の県内定着に向けた修学資金制度を創設するほか、農業や建設業等の就業を促進します。
 次に、人口減少の大きな要因の一つである出生数の減少は、未婚化・晩婚化の進展が背景となっていることから、結婚に対する支援は人口減少対策として取り組むべき重要な課題と認識しております。
 結婚・子育て支援を検討する協議会を新たに設置し、市町村や経済団体等とともに社会全体で結婚を応援する機運の醸成や、AIの活用やオンライン化によるマッチング支援の拡充など、個人の価値観やプライバシーに配慮しながら、これまでより一歩踏み込んだ対策を進めてまいります。
 最後に、人口減少問題は国家的な課題でもあります。地方だけでは解決が難しい制度改革や地域の実情に応じた取組への継続的な財政支援等について、今後も国に対して積極的に働きかけてまいります。

 次に、住み続けることができる活力ある地域づくりについてです。
 先般、2020年農林業センサス結果の概数値が公表されましたが、本県においても農家数の減少や高齢化に拍車がかかっており、特に生産条件が厳しい中山間地域では、その傾向が顕著に現れています。
 農家数の減少や高齢化のさらなる進行は、地域の持続可能性に直結することから、地域を維持していくためにも農業・農村振興にしっかりと取り組んでいくことが必要です。
 そのため、地域で営農継続や集落機能の維持に意欲的に取り組む方を養成するとともに、そうした方の活動をサポートする県や市町村等の人材を養成し、地域の将来プランの策定や活動の主体となる組織づくり、プランの実践の支援を全県で展開してまいります。

 次に、多様な地域資源を活用した交流人口の拡大についてです。
 本年度、関係団体等とともに県観光立県推進行動計画の改定に向けた検討を進めてまいりました。
 本県は「黄金」と「白銀」で象徴される、稲穂や佐渡金銀山、雪や米などの上質な地域資源に恵まれています。計画を踏まえ、観光振興を担う多様な主体が相互につながり、これらの地域資源を最大限活かして全国から、そして世界から人々が訪れる新潟を目指し、取り組んでまいります。
 新年度においては、訪れたくなる観光地域づくりに向けて、多様な観光資源を活かし、観光消費額を向上させるモデル地域を拡充して取り組み、先進事例を全県に波及してまいります。また、国内誘客の拡大に向けて、新たに会員登録プラットフォームを整備し、旅行者の嗜好に即した情報発信を通じて新潟のファンづくりを進めます。あわせて、未来のファンづくりに向け、教育旅行の誘致を強化します。
 さらに、インバウンド需要回復期を見据え、オンラインを活用した情報発信や、増加が予想される個人旅行者の誘客を図るため、多種多様な体験型の旅行商品の造成を強化してまいります。
 また、佐渡金銀山の世界遺産への登録は、佐渡はもとより、本県の魅力や発信力を向上させ、交流人口の拡大にも大きく寄与するものと期待しております。国内推薦を見据え構成資産の保存整備を計画的に進めるとともに、各種メディアを活用した情報発信を行い、来島者の増加に向けた取組を強化してまいります。

 次に、更なる拠点性向上に向けた交通ネットワークの整備についてです。
 昨年秋に輸送需要がやや回復したものの、その後の全国的な感染拡大に伴い輸送需要が大幅に減少するなど、県内交通事業者の経営は依然として厳しい環境に置かれています。
 県としては、地域住民の日常生活や社会経済活動に欠かすことのできない地域公共交通の維持・確保に向けて、これまで国に対し手厚い支援を講じるよう要望するとともに、事業継続等に向けた支援を順次行ってまいりました。これに加えて、新たに県内高速バス路線について沿線市と協調し、運行継続を支援してまいります。
 また、新潟空港の利用回復に向けては、まずは国際線に比べて早めの回復が期待される国内線の需要喚起を図るため、感染症対策を徹底しながらプロモーションを集中的に実施してまいります。
 運休の続く国際線については、国内外の感染収束状況を見極めながら早期の運航再開を後押しするため、航空会社等が行うプロモーションや運休機材を活用したチャーター便の催行などを支援してまいります。
 最後に、港湾の貨物取扱量の増加に向けては、荷主のニーズに応じた航路や地理的優位性を活かした航路を誘致することで県内港の競争力を高めていくことが必要です。そのため、県内港からの直行便がない中国華南地域やロシア極東地域との航路誘致に重点的に取り組んでまいります。

 この項の最後に、将来の夢や希望を育みかなえる教育の推進についてです。
 はじめに、ICTを活用した教育の推進についてです。
 新年度から、児童生徒の学習用端末の導入や学校内無線LANの整備などにより、ICTを活用した新しい学校教育が始まります。
 ICTを様々な学習場面で効果的に活用することにより、児童生徒一人一人の特性や学習の進度、興味・関心に応じた「個別最適な学び」と、学校内での学び合いや学校外の多様な主体と連携した「協働的な学び」を一層促進し、情報活用能力の育成も含め、教育の質の向上を図ってまいります。
 また、ICT環境の整備に伴い、新たに離島や中山間地域の小規模高校において、遠隔授業等の実証研究を実施します。
 あわせて、学校業務の効率化を図り、教職員の多忙化解消を進めるとともに、児童生徒と向き合う時間を確保するため、全県立学校に統合型の校務支援システムを整備してまいります。
 次に、いじめ防止対策の強化についてです。
 県内の小中学校におけるいじめの認知や取組に関する市町村間・学校間の格差が課題となっており、またSNSによるいじめの増加も懸念されています。このため、新たに中学校でモデル校を指定し、いじめ対応の校内体制づくり等を実践し、他の学校に広めるとともに、SNS教育プログラムや情報モラル教育の充実に努めるなど、いじめ防止対策をさらに推進してまいります。

 次に、行財政改革についてご説明申し上げます。
 はじめに、本定例会でお諮りしている予算案における歳出歳入改革についてです。
 歳出面では、部局枠事業及び重点事業において事業の選択と集中の更なる徹底を行うとともに、所要額見込事業において、昨年度実施した総点検結果の確実な実施と更なる見直しを行ったところです。これら事務事業の見直しで26億円を削減するほか、組織体制や業務の見直しに合わせ、人件費を含め内部管理経費の縮減に努めております。
 歳入面では、国への積極的な働きかけにより、安定的な財政運営に必要な地方一般財源総額の確保が図られるとともに、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」などにおいて、手厚い地方財政措置がなされたところです。また、県債管理基金について金利水準の高い超長期国債を活用した運用の取組を進めてまいります。
 こうした取組により、一般会計当初予算案の収支は、前年度に比べ35億円改善したところであり、令和元年度と比較すると164億円の改善が図られたところです。
 これらを踏まえ、この度改訂した中期財政収支見通しでは、大規模災害時に備えた財源対策的基金残高230億円の確保及び中長期的に安定した財政運営の実現に向けて、一定程度の進捗が図られたところです。
 しかしながら、令和13年度には、さらに100億円程度の公債費の実負担が増加することが見込まれることから、中長期的な視点で、さらなる歳出歳入改革を引き続き進めてまいります。
 次に、組織・機構改革についてです。
 地域振興局体制については、12月定例会において見直しの具体案をご審議いただいたところですが、その後全ての市町村長の皆様への説明を行い、現在、地域振興局の各部から市町村の担当部門へ、見直し後の業務執行体制などについて実務的な説明を行っているところです。今後、市町村からいただいた意見等も踏まえて、必要な調整を図るなど、令和4年度からの実施に向けて、丁寧に進めてまいります。
 また、本庁組織においても、簡素で効率的な行政体制を構築するとともに、県政の重要課題に的確に対応する組織にしてまいります。具体的には、行政手続のオンライン化やICT等新技術の導入による業務の効率化を図りながら、小規模組織などの廃止・統合によるスリム化や先ほど申し上げた福祉保健部内の組織の再編・強化を行うなどの組織・機構改革に着実に取り組んでまいります。
 次に、県出資法人の見直しについてでありますが、先般、「新潟県行財政改革行動計画の取組状況」においてお示ししたとおり、令和3年度当初予算案に反映するものとして、県単独補助金の削減や県派遣職員の引揚げを実施するとともに、今後、法人の統廃合を含めた検討や、出資等の引揚げなど県関与のあり方を抜本的に見直す予定の法人についても、順次、関係者との協議を速やかに進めてまいります。関係者との協議に一定の時間を要するものもありますが、行財政改革行動計画期間内における必要な見直しの実施に向け、引き続き取り組んでまいります。

 以上、主要課題について順次申し上げましたが、それらも反映した令和3年度一般会計予算案は、1兆4,073億5千万円と、令和2年度予算に比べ、総額で15.4%の増となったところであります。

 次に、今議会に令和3年度当初予算案と併せて上程されました令和2年度補正予算案に関する議案等についてご説明申し上げます。
 第37号議案は一般会計補正予算案でありまして、総額577億8,002万7千円の追加補正についてお諮りいたしました。
 今回の補正は、感染症の拡大防止と社会経済活動の両立や、ウィズ・コロナ、ポスト・コロナを見据えた本県の中長期的な成長・発展に向けた対応に要する経費について計上するほか、投資事業については、国の補正予算への対応を令和3年度当初予算案と一体で計上するものであります。
 なお、東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会のホストタウンや事前キャンプ地において感染症対策を実施するための基金を設置する条例を第43号議案としてお諮りしております。
 また、この補正予算に係る公共事業等について、繰越明許費を計上したほか、一般公共事業等について、令和3年度に係る起工準備期間の確保等を図るため、いわゆる「ゼロ国債」を19億3,800万円計上しております。
 以上、補正予算案についてご説明申し上げましたが、その結果、補正後の令和2年度予算の規模は、1兆5,427億7,020万8千円となります。

 次に、お諮りしております条例案件等のうち主なものについて、ご説明申し上げます。
 第25号議案は、児童相談所に勤務する職員に対する社会福祉業務手当の支給額の改定等を行うため、
 第26号議案は、新潟盲学校と新潟聾学校を統合し、県立新潟よつば学園を設置するため、
 第29号議案は、希少野生生物の保護を図り、生物の多様性が確保された良好な自然環境を保全し、次代に継承するために必要な事項を定めるため、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 次に、第35号議案は、あっせんの申立てについて、
 最後に、第36号議案は、包括外部監査契約の締結について、お諮りするものです。

 以上、新年度における所信の一端と施策・議案の概要などについて申し述べました。何とぞ慎重にご審議のうえ、上程された各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

3月4日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案28件について、ご説明申し上げます。
 
 第44号議案は、令和2年度一般会計補正予算案でありまして、総額1,508億474万3千円の減額補正についてお諮りいたしました。
 このたびの補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策に必要な経費や、今冬の豪雪に対応するための除雪費等の所要額を計上するとともに、職員給与費などの実績見込み等に基づく過不足調整等を行うものであります。

 この結果、補正後の予算規模は、1兆3,919億6,546万5千円となります。

 また、第45号から第63号までの各議案は、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ事業計画の最終見込み等に合わせまして、補正を行うものであります。

 次に、その他の主な条例案件等について、ご説明申し上げます。
 まず、第64号議案は、地方税法の改正に伴い、住宅等の不動産取得税の軽減措置を延長するとともに、自動車税のグリーン化特例の見直しなどを行うため、条例の所要の改正を行うものであります。

 次に、第69号議案は、契約の締結について、
 最後に、第71号議案は、損害賠償額の決定について、お諮りするものです。

 以上、各議案の概要につきましてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同賜りますよう、お願い申し上げます。

3月17日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案4件について、ご説明申し上げます。

 第72号から第75号までの各議案は、令和2年度一般会計及び港湾整備事業など特別会計に係る補正予算でありまして、それぞれ予算の繰越についてお諮りいたしました。
 公共事業等の執行に当たり、設計や計画の変更、用地補償における調整などにより、一部年度内に完了できない見通しとなりました。
 このため、一般会計においては827億8,311万2千円を、また、特別会計においても、それぞれ所要額を翌年度に繰り越すものであります。
 この結果、本定例会の冒頭で議決をいただいた公共事業予算等に係る繰越と併せ、一般会計の繰越明許費の合計は、1,288億7,891万6千円となった次第であります。
 何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについてご賛同を賜りますようお願い申し上げます。

3月25日知事説明要旨

 ただいま上程されました議案3件は、いずれも人事に関する案件であります。

 第76号議案は、監査委員を選任するため、
 第77号議案は、新潟海区漁業調整委員会委員を任命するため、
 第78号議案は、佐渡海区漁業調整委員会委員を任命するため、

 それぞれお諮りいたしました。
 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。


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