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令和2年2月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0255084 更新日:2020年3月19日更新

令和2年2月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

2月17日 知事説明要旨

 令和2年2月定例県議会の開会に当たり、私の所信の表明と提案いたしております議案の概要を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願いしたいと存じます。

 まずはじめに、新型コロナウイルスへの対策についてです。
 中国湖北省で発生した新型コロナウイルスによる感染者が急激に増加していることに伴い、国は今月、この感染症を感染症法上の指定感染症等に指定いたしました。
 県といたしましては、国内初の感染者が確認された先月半ば以降、警戒態勢を整え、県民及び渡航者に向けた情報提供や注意喚起を行うほか、湖北省からの帰国者や感染者と接触歴がある方を対象とした相談窓口を保健所等に設置し、診療可能な医療機関に確実につなぐ体制を整備したところです。引き続き、指定感染症発生時に万全の対策を講ずることができるよう、医療機関と連携し、早期発見と感染拡大防止を最重点に取り組んでまいります。
 また、感染者が増加している影響を受け、新潟空港ではハルビン線及び上海線が全便欠航となったほか、中国からの団体旅行の停止に伴う宿泊のキャンセル、イベントの中止等が発生しており、観光面をはじめ県内産業への影響が懸念されております。県といたしましては、今後の動向を注視し、売上減少等のセーフティネット対策に万全を期すなど、県内企業の経営の下支えに取り組んでいくとともに、今後の感染の広がり等の状況を注視しつつ、国の対応も踏まえながら適切な対応に努めてまいります。

 次に、暖冬少雪による影響についてです。
 今冬の降雪量は、1月末時点において過去30年で最も少ない状況であり、スキー場や除雪関連の業種等において売り上げが減少するなど影響が生じています。
 このため県では、県内中小企業に対し金融支援を行う融資枠を緊急に設定するとともに、除雪体制を安定的に維持するため設けている基本待機料を除雪業者に前倒しで支払う等、対策を講じているところです。
 今後の降雪状況によっては、春以降の渇水による農業分野等への影響等も懸念されることから、情報収集に努めながら、時機を失することのないよう必要な対策を講じてまいります。

 次に、行財政改革と今後の財政運営についてです。
 本県の財政状況については、昨年2月に公表した財政運営計画において、令和3年度には財源対策的基金が枯渇する厳しい状況であることをお示ししました。
 こうした状況に対応するため、4月に設置した行財政改革推進会議において行財政改革について検討し、外部有識者のご意見も踏まえ、昨年10月に行財政改革行動計画を策定したところです。
 令和2年度当初予算編成では、行動計画に基づき、関係団体や市町村と意思疎通を図りつつ、事務事業や県単独補助金、投資的経費の見直しに取り組むとともに、職員団体の合意を得て、一般職員の給与の臨時的な削減を盛り込むなど、歳出歳入改革に取り組んだところです。
 また、その際、歳出歳入改革の取組が単なる行政サービスの低下にならないよう、国の補正予算などの国庫補助金を活用して積極的な施策展開を図るとともに、企業・団体や市町村との連携を進めるなど、前向きな創意工夫をしながら見直しを行ったところです。
 そうした結果、令和2年度一般会計当初予算案の収支は、前年度に比べ129億円改善したところであり、先般公表した中期財政収支見通しでは、行動計画において少なくとも達成すべき目標として掲げていた「令和5年度に、大規模災害に対応するための基金残高230億円の確保」については達成し、基金の枯渇も令和7年度以降に先送りされる見込みとなっています。
 しかしながら、依然として収支均衡には至っておらず、令和6年度には職員給与の臨時的削減の終了や公債費の実負担の増加などにより160億円の収支不足が見込まれております。
 そのため、引き続き行動計画で示した歳出歳入改革項目の具体的な取組を着実に実行するとともに、今定例会での議論を踏まえ策定することとしている公債費負担適正化計画に基づき将来の公債費負担を適切に管理することで、持続可能で安定的な財政運営を確立してまいりたいと考えております。
 一方、地方公共団体の財政は、国の定める地方財政計画や地方税財政制度の影響を強く受けざるを得ません。そのため昨年来、地方法人課税の偏在是正により生じる財源を地方部へ重点配分するよう、国に対して要望してきたところです。
 そうした働きかけにより、地方法人課税の偏在是正措置による財源を活用して地域社会の維持・再生に取り組むための新たな交付税措置が創設されるとともに、県が単独で行う道路防災事業等が交付税措置率の高い特別な地方債の対象に追加されるなど、本県の要望に沿った制度改正が実現したところです。今後も、他県とも連携しながら、引き続き、本県の実情に応じた地方交付税の算定などについて、様々な機会を捉えて、国に要望してまいります。

 以下、本年の県政の主要課題について、順次述べさせていただきます。
 第一点目は、「安全に安心して暮らせる新潟」についてです。
 はじめに、一段加速した防災・減災対策の推進についてです。
 近年、気候変動の影響により、毎年のように「数十年に一度」「想定外」と言われる大規模な自然災害が頻発しております。昨年、全国各地で甚大な被害が生じた台風第19号等では、大規模河川及びその支川での氾濫や避難における逃げ遅れ等の課題が浮き彫りとなり、事前防災対策の強化と住民の確実な避難行動に向けた支援など、防災・減災対策をハード・ソフト両面にわたって一層強化する必要性が改めて指摘されています。
 このため、ハード面では、河川改修や河床掘削をはじめとする治水・土砂災害対策や道路冠水対策等を集中的に実施してまいります。その実施に当たっては、国の補正予算や、国への積極的な働きかけにより実現した地方財政措置の手厚い有利な財源を活用することで、将来の実負担を抑制しつつ事業量を確保することとし、補正予算案と当初予算案を一体として編成して今議会にお諮りしているところです。
 ソフト面では、まずは県民が災害を「自分事」として考え、「自らの命は自らが守る」備えや避難行動を確実に行うよう、自助・共助を促していくことが、重要であると考えております。
 そのため、地域の防災活動の核となる防災リーダーが避難誘導をはじめ実効性のある対応が行えるよう指導・助言を行うため、新たに防災シニアリーダーを養成することとし、地域の防災力向上を図ってまいります。
 また、新年度は台風第19号のバックウォーター現象等も踏まえ、想定最大規模の降雨に備えた浸水想定区域図の作成を小規模河川を対象に加えながら引き続き進めます。更に、作成した浸水想定区域図を防災アプリで公開し、県民に提供する防災情報を増やすなど浸水被害時の対応を支援するとともに、市町村のハザードマップ作成を支援してまいります。
 加えて、これらの防災情報をもとに県民が自らの避難行動を事前に想定するマイ・タイムラインの作成を促進することで、確実な避難行動に結びつくよう支援してまいります。

 次に、「安全・安心なまちづくり」についてです。
 近年、児童相談所の児童虐待相談対応件数は増加の一途をたどり、児童虐待は深刻な社会問題となっています。複雑かつ深刻化する相談に適切に対応するため、児童福祉司等の専門職員の配置を充実してまいります。あわせて、長岡児童相談所の一時保護所の拡張整備等に着手することとし、保護された児童のプライバシーや安全等の確保を図り、受入体制を強化してまいります。
 また、昨年、過去最多となったクマによる人身被害や、イノシシ等により繰り返される農作物被害に対応するため、新たに農林水産部に鳥獣被害対策支援センターを設置し、庁内で被害対策を一体的に推進する体制を整備いたします。あわせて、狩猟者の高齢化や大型獣による被害の増加に伴い必要性が高まる狩猟者の育成に向け、大口径ライフル射撃場の整備を推進してまいります。

 次に、「原子力防災対策の推進」についてです。
 原子力防災訓練については、新年度は、今年度の訓練や避難委員会の検証の中で明らかになった課題等を踏まえ、個別項目ごとの訓練も実施するなど、条件を変えて様々な想定で複数回の訓練を行いたいと考えております。
 そうした訓練を繰り返し行うことによって、広域避難計画の実効性を高めるとともに、原子力災害発生時における対応力の更なる向上を図ってまいります。
 また、福島原発事故を踏まえた検証については、引き続き「事故の原因に関する検証」「事故による健康と生活への影響の検証」「安全な避難方法の検証」の3つの検証を着実に進めてまいります。
 各委員会においては、引き続き科学的・合理的に検証を進めていただきたいと考えております。
 その上で、3つの検証の結果が示されない限り、原発再稼働の議論を始めることはできないという姿勢を堅持してまいります。
 次に、福島原発事故に起因する放射性物質を含む汚泥の処分についてです。
 企業局においては、昨年から汚泥の処分を開始しており、年度内には約8千トンを処分することとしております。
 新年度においては、年度早々から作業を開始できるよう手続きを進め、県営新潟東港物流団地内に保管されている汚泥の年度内の撤去を目指し、処分を着実に進めてまいります。
 あわせて、放射性物質を放出した当事者である東京電力に対し、要した費用の負担を求めてまいります。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
 昨年2月に開催された米朝首脳会談ではトランプ大統領が金正恩委員長に日本人拉致問題を提起するなど、拉致問題は前進するのではないかという大きな期待がありましたが、残念ながら進展はありませんでした。
 拉致被害者やそのご家族はご高齢となってきており、解決に向けてもはや一刻の猶予も許されません。
 昨年12月に県議会拉致議連が主催された街頭啓発活動に、私も参加させていただき、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向け、政府の取組を後押しするため、県民の皆様に対して拉致を忘れることなく、必ず取り戻すという声を上げ続けることを強く訴えさせていただいたところです。
 県といたしましては、引き続き拉致問題の早期解決を国に働きかけるとともに、県民向けの各種集会のほか、とりわけ拉致問題に関心が薄れてきている若年層に向けた取組である大学生を対象とした啓発セミナーを強化するなど、県民の拉致問題への関心・理解が高まる取組を進めてまいります。

 第二点目は、「県民すべてが生き生きと暮らせる新潟」についてです。
 はじめに、健康づくりの推進による「健康立県」の実現についてです。
 今年度から新たな県民運動として展開している「ヘルスプロモーションプロジェクト」については、食事や運動など、県民一人一人の実践的な行動変容を促す取組を進めるとともに、引き続き、医療、教育、産業等の様々な分野の関係機関と連携し、取組の成果を全県に普及してまいります。
 具体的には、スーパー等と連携して健康に配慮した中食の提供を推進する環境づくりや、働く世代のがん検診受診率向上に向けた事業主への働きかけに加え、健康増進法改正に伴い強化が求められる受動喫煙対策について、条例の制定も含め検討を進めてまいります。
 また、健康・医療・介護データの連携による「にいがた新世代ヘルスケア情報基盤」プロジェクトについては、「健康寿命の延伸」に向け、臨床・介護現場データの集約と連携のためのネットワーク基盤の構築を進めるとともに、健診・レセプトデータを活用し、データを分析して得られた地域の健康課題に基づき県民に保健指導等を行い、その効果を検証するモデル事業を市町村と実施してまいります。

 次に、地域で安心して医療が受けられる体制の整備についてです。
 まず、県央基幹病院についてです。
 人口減少や平均在院日数の短縮などによる医療需要の減少、医師の働き方改革などの医療制度改革の影響など整備基本計画策定時からの状況変化を踏まえ、他の二つの県立病院を含め県央医療圏全体としての医療提供体制のあり方の検証が必要となったことから、新潟県地域医療構想調整会議において議論を進めておりましたが、昨年末に一定のとりまとめをいただきました。
 調整会議では、県央基幹病院整備基本計画策定時からの受療動向等の変化を検証の上、従来の再編対象2病院だけでなく、圏域内の公立・公的5病院の急性期機能を集約し、県央基幹病院を整備することや、病床規模は400床程度が適当とのご意見をいただいたところです。
 県といたしましては、このとりまとめを踏まえて、急性期機能の集約による「断らない救急」の実現と周辺病院との連携により、医療の質の向上を目指してまいります。
 具体的には、将来の医療需要や医師確保の見通しから、病床規模は450床から400床に見直した上で、開院スケジュールを考慮し、基本的に現設計を活かしながら進めることとし、空きスペースが生じる可能性もあることから、地元市町村とともに有効な活用策を検討してまいります。このため、今議会には、部分的な設計変更に要する概算の経費等をお諮りすることとし、今後、できるだけ早期に建設事業に着手できるよう進めてまいりたいと考えております。

 次に、県立病院の役割・あり方等についてです。
 昨年11月、県立病院経営委員会から「県立病院の役割・あり方に関する提言」をいただきました。その後、この提言を基本的に尊重しながら、病院類型別に役割・あり方等の見直しを検討してまいりましたが、このたび、病院局において、見直しに関する一定の方向を整理したところです。
 基幹的な病院や専門病院については、提言を受けて、その機能の強化や重点化、あり方の明確化等について具体的に検討し、機能強化プランを作成するなど、医療の質の更なる向上を目指すこととしております。
 一方、地域医療病院については、患者需要等に応じた機能・規模の縮小や、設置・運営主体の見直しを含めた民間医療機関や市町村との役割分担のあり方を検討することとしております。
 まずは、地元市町村等に各病院の現状や今後の見込みなどを丁寧に説明することとしており、その上で今後、各地域医療構想調整会議でもご議論いただき、各病院の役割・あり方について、合意を目指してまいりたいと考えております。
 加えて、緊急的な取組の実行による収支改善を着実に進めることで、今後の資金不足を回避するとともに、一般会計繰出金の縮減を図るなど、持続可能な病院経営が確保されるよう努めてまいります。

 また、本年度幅広い視点で議論いただいている小児医療体制のあり方については、新年度においても引き続き検討を継続し、本県の実情に即した小児専門医療施設の設置等について一定の方向性を示すことを目指すとともに、それを踏まえた事業の展開も見据え、今後の小児医療の機能強化を目的とした新たな基金を設置することとし、今議会にお諮りしたいと考えております。
 こうした医療の提供を支えるためには、その基盤となる医療人材の確保が不可欠です。
 国が示した医師偏在指標で、本県は全国下位となるなど、医師不足は依然として深刻な状況にあります。新年度においては、医学部地域枠の新設・拡充に加え、県外出身医学生の定着に向けた貸与枠を設定する等、修学資金の更なる活用を進め、養成段階からの医師確保に取り組んでまいります。
 一方で、現行の制度、枠組みの下では、自治体の取組のみでは限界があることから、国に対し、本県同様に医師不足に直面する県と連携して政策提言を行うなど、引き続き、医師の確保に全力で取り組んでまいります。
 在宅医療や福祉施設などニーズの多様化に伴い、看護職員の需要も高まっています。
 このため、本年4月に県立十日町看護専門学校を開校し養成を進めるとともに、修学資金を活用し看護職員が不足している特別養護老人ホームでの就業を図るほか、インターンシップ等を通じた訪問看護に従事する看護師の確保・定着により、地域及び就業場所における偏在の解消に努めてまいります。

 次に、福祉の充実についてです。
 多様化・複雑化する福祉ニーズに応え、質の高い福祉サービスを安定的に提供するためには、専門的人材の確保と資質の向上が重要です。
 特に、今後も大きく不足することが見込まれる介護人材については、魅力の発信等により介護の仕事への関心を高め、就労を促す取組と、処遇改善や研修等によりやりがいを持って働き続けられる取組の両側面から施策を展開し、確保に努めてまいります。
 新年度においては、新たに、介護福祉士資格取得を目指す外国人留学生に対し奨学金等の給付等を行う介護事業所を支援するほか、研修の実施等に取り組み、外国人介護人材の就労と定着を促進してまいります。

 第三点目は、「多様な人や文化が交わる賑わいのある新潟」についてです。
 はじめに、「多様な地域資源を活かした交流人口の拡大」についてです。
 いよいよ7月から東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。多数の外国の方々の来訪が期待されることから、この機会を活用して新潟の魅力を積極的にアピールしてまいりたいと考えております。そのため、開催期間に合わせて、東北の各県等と協力して開設する新潟・東北の情報発信拠点「東北ハウス」や新潟館ネスパスなどの場において、錦鯉や雪、食文化や県産品等本県の魅力の発信に努めてまいります。また、東京都と連携し、特設ウェブサイト等でスノーリゾート新潟をPRするほか、海外メディアの取材拠点で本県観光を直接アピールし、県内観光地へ招聘するなど、大会期間後の誘客につながるよう取り組んでまいります。
 オリンピック開催と同じ時期には、世界遺産登録の国内推薦候補の選定が行われます。佐渡金銀山の世界遺産への登録は、佐渡はもとより、本県の魅力や発信力を向上させ、交流人口の拡大にも大きく寄与するものと期待しております。文化庁からは、次の推薦候補として佐渡が「最有力」との見方を示していただいており、3月末の提出に向け推薦書案の修正作業に取り組んでおります。新年度においては、国内推薦を見据え構成資産の保存整備を計画的に進めるとともに、情報発信や来島者の増加に向けた取組を強化してまいります。
 また、昨年秋に実施したデスティネーションキャンペーンと国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭で得られた経験等を活かし、「日本海美食旅(ガストロノミー)」の定着や、本県の各地域に根付く、文化や歴史、風土を「上質な食」を通じて体験できるイベントの拡充を図るとともに、本年5月に「ミシュランガイド新潟2020特別版」が発刊されることと合わせて、上質な「食の新潟」を本県観光ブランドとしてアピールしてまいります。加えて、新たに、食の高付加価値化や長期滞在など観光消費額を向上させるモデル的な取組も併せて行ってまいります。
 外国人観光客の誘客につきましては、本県の昨年1月から11月までの外国人延べ宿泊者数は対前年比7%増となるなど順調に伸びてきたところですが、新型コロナウイルスの影響等により先行きが見通しにくい状況にあり、今後の動向を注視する必要があると考えております。
 その上で新年度は、重点市場である東アジア等に加え、今後の有望市場であるアセアン諸国をターゲットに、現地旅行博への出展などのプロモーション活動を展開するほか、北京冬季オリンピックに向けて「スノーリゾート新潟」の情報発信を一層強化してまいります。また、増加傾向にある訪日個人旅行客に対応した二次交通の利便性向上など、官民一体による取組を着実に進めてまいります。

 次に、「更なる拠点性向上に向けた交通ネットワークの整備」についてです。
 新潟空港については、昨年1月から12月までの空港利用者が120万人を超え、対前年比7%の増加となりました。繰り返しになりますが、新型コロナウイルスの影響で先行きが見通しにくい状況にはありますが、新年度は引き続き、国際線をはじめとした新規路線の開設や既存路線の増便など、利便性向上と路線ネットワークの充実に積極的に取り組んでまいります。来月30日には、新潟空港初の国際線LCCであるタイガーエア台湾が就航する予定となっております。就航に合わせて、イン・アウト両面での利用促進活動を展開し、路線の定着が図られるよう取り組んでまいります。加えて、新規定期便の就航につながるチャーター便についても、引き続き積極的な誘致に取り組んでまいります。
 また、新潟空港へのアクセスの向上については、空港と県内観光地を結ぶ二次交通の確保や、会津若松と長岡からの高速バス運行による実証実験に引き続き取り組むほか、新たに上越方面からのアクセスの利便性向上に向けて、高速バスから新潟空港リムジンバスへ乗り継ぐ際に運賃を割り引く実証実験を行ってまいります。
 港湾については、昨年の外貿コンテナ取扱量総数が新潟港、直江津港ともに速報値で3年連続の増加となりました。更なる取扱量の増加に向けては、北関東をはじめとした県外貨物の取り込みが重要です。そのため、新年度は、県外から複数年に亘って県内港を利用する場合の支援を拡充し、県内港利用の定着を目指してまいります。

 第四点目は、「活力のある新潟」についてです。
 まず、起業・創業の推進についてです。
 本県の開業率は全国46位と低迷し、廃業数が開業数を上回る状況にあります。今後、県内経済の活性化を図るためには、事業承継を円滑に進めることにより企業の減少を食い止めるとともに、起業・創業を推進し、元気な企業を増やしていくことが重要です。
 そのため、スタートアップ拠点の設置を県内各地で促進し、官民連携の起業支援が身近で受けられる環境を全県へ拡大するための取組を進めます。
 また、大学とスタートアップ拠点が連携した高度な起業家教育の提供を支援することにより、高成長な起業家の発掘を進めるとともに、首都圏等のスタートアップ拠点等と連携し、他地域のメンターや起業家との交流を通じたイノベーションにより、ベンチャー企業の輩出や成長を促進してまいります。
 さらに、具体的な起業へのチャレンジに当たり、スタートアップ拠点が掘り起こした優れた起業案件についての事業立ち上げ初期の資金を支援し、高い成長が見込まれる起業を促進するとともに、身近な起業へのチャレンジの応援についても、より成果につながる起業を重点的に支援する方向で見直してまいります。
 また、事業承継による地域経済の活力の維持・向上に向けては、事業承継の支障となる経営者保証の解除を支援するコーディネーターを新たに事業承継ネットワーク事務局に設置します。併せて、新たな取組に挑戦する前向きな事業承継に関する意識啓発や、承継後の経営知識の取得を支援し、事業承継を契機とした成長を後押ししてまいります。

 次に、意欲ある企業への支援等による県内産業の活性化についてです。
 人口減少に歯止めがかからず、国内市場の縮小が見込まれる中、地域経済の活性化を図るためには、先端技術を活用した生産性の向上や、本県の強みを活かした産業の振興、海外への販路拡大などの取組を積極的に支援することが必要です。
 このため、新たな通信基盤である5Gを活用したビジネスモデルに挑戦する県内企業を支援し、産業の高付加価値化を推進します。また、地域経済を牽引する地域中核企業等を対象に、企業の「稼ぐ力」の向上を伴走型で支援し、その経済効果を地域に波及させてまいります。
 また、中越大震災を始めとする度重なる災害を経験した本県においては、防災関連産業に取り組む企業が数多くあり、大学等における知見も蓄積されております。これらの資源を活かし、新たに産学官の交流の場となる防災産業フォーラムを立ち上げ、防災関連商品や技術の開発を促進するとともに、こうした取組等を積極的に発信することにより、関連産業の更なる集積に向けた環境づくりを進めます。
 さらに、海外への販路開拓に向け、ベトナムとの経済交流を更に促進するほか、本県が強みを持つ品目を新たに選定し、品目に対応する海外市場の調査や販路開拓を進めます。
 加えて、再生可能・次世代エネルギーの活用を促進するため、自然エネルギーの島構想の実現に向けた調査を新たに実施します。また、小型燃料電池バスの開発と、太陽光発電併設型の水素供給設備の設置に新たに取り組み、本県初となる再生可能エネルギー由来の水素サプライチェーンの実証を進めることにより、県内企業の水素関連産業への参入を促進してまいります。

 次に、「付加価値の高い持続可能な農林水産業の実現」についてです。
 先月、国から平成30年の農業産出額が公表されました。近年、農業産出額が増加する県もある中で、本県は残念ながら減少傾向にあり、こうした状況を踏まえ、農林漁業者の所得を確保し、成長産業に発展させていく施策を講じることが必要と考えております。
 このため、「本県農林水産業の成長産業化」を目指し、園芸振興や、農林漁業の担い手の確保・育成、産学官連携による農林水産業のスマート化、本県農林水産物の6次産業化や海外展開等を軸に、儲かる農林水産業の実現に向けて取り組んでまいります。
 米については、新潟米基本戦略に基づき、主食用米・非主食用米を合わせた米全体の需要拡大と、生産者所得の最大化のための多様な米づくりを進めるとともに、令和元年産米の大幅な品質低下を踏まえ、気候変動に対応できる新潟米の安定生産に向けた取組を強化してまいります。デビューから4年目となる「新之助」については、引き続き高いレベルでの食味・品質の確保と、積極的なPR活動の展開などを通じて、トップブランド米としての定着に取り組んでまいります。
 園芸については、昨年策定した園芸振興基本戦略において目標に掲げた1億円産地の倍増に向けて、生産から集荷・流通まで一貫した大規模産地の体制整備を支援するとともに、産地の課題解決に向けた取組を促進するなど、挑戦する農業者や産地を総合的に支援してまいります。
 また、担い手の確保・育成に向けて、「稼げる、カッコいい、感動する」を新3Kとして農業の前向きなイメージを打ち出し、就農促進から経営発展まで一貫した支援を行ってまいります。
 畜産については、経営規模の拡大やにいがた和牛のブランド力強化、CSF等家畜伝染病の発生予防対策等に取り組んでまいります。
 林業については、県産材の利用拡大に向け、増産に意欲のある事業者に対する川上から川下までの一貫した支援を行ってまいります。
 漁業については、海面漁業における新たな水産振興戦略の策定に着手し、改正漁業法への対応も含め、漁業の持続的な発展に向けた対策についての検討を進めてまいります。
 また、本県の農林水産物全体の付加価値を高めるため、地元食材やそれにまつわる食文化にも着目し、新潟の食の魅力全体について物語性を付与した情報を発信することにより、産地としての新潟のイメージを高め、国内外の販路の開拓に取り組んでまいります。

 次に、住み続けることができる中山間地づくりについてです。
 本県過疎地域の生産年齢人口は、過去20年間で3割程度減少し、高齢化も相まって地域の諸課題に対応する担い手が絶対的に不足している状況にあります。
 こうした中、関係人口といわれる地域外の人材が、新たな地域づくりの担い手として注目されており、また、将来的な移住につながる潜在層として期待されています。
 そのため、首都圏の在住者等に、中山間地域の課題解決や魅力向上などの地域づくりにより深く関わることができるツアーを、地域とともに新たに企画・実施し、関係人口の創出・拡大を推進します。
 また、市町村が行う二地域居住体験や暮らし・職業体験などの移住に向けた促進施策を総合的に支援してまいります。
 加えて、生産条件が厳しく、過疎化・高齢化が進む中山間地域で営農継続に必要な人材の確保・定着が進むよう、新たに集落の伴走型支援を行うことができる市町村等の人材を育成し、集落をサポートする体制を強化してまいります。
 また、買い物や通院など日常生活の移動手段の確保や利便性向上に資するよう、自動運転やMaaS等の新たなモビリティサービスの導入や実証実験を支援してまいります。

 第五点目は、「県民一人一人が学び、成長し、活躍できる新潟」の実現についてです。
 本県の子ども達一人一人が将来の夢や希望を育み叶えていくためには、グローバル化や技術革新等による社会の変化に対応し、未来を切り拓いていける力を身につける教育を実現していくことが必要です。
 そのため、小学校3、4年で35人以下学級を完全実施し、きめ細かな指導を充実するほか、イノベーティブでグローバルな人材や地域の未来を担う人材の育成に向けて、高校と大学・企業等が連携し、高校生に地域課題の解決などの探究的な学びを提供する仕組みの構築に取り組みます。
 また、先端技術を効果的に用いた学びを提供するため、国の補正予算を活用し、校内無線LANを全県立学校で整備するとともに、中等教育学校・特別支援学校の義務教育課程における学習情報端末を増設してまいります。
 先月30日に、新潟県いじめ防止対策等に関する委員会による調査結果報告書が、県教育委員会に提出されました。将来ある若者が自ら命を絶たれたことは本当に残念でなりません。改めて、亡くなられた生徒さんのご冥福を心からお祈りいたします。
 報告書では、教職員と生徒、保護者を含めたいじめの定義の再確認と共通理解の徹底や、インターネット上のいじめに対する理解と情報モラル教育の推進等を求める提言がなされています。
 これを受けて教育委員会では、これまでのいじめ防止対策の検証・改善を図り、いじめに関する法令理解を促す教職員研修等の充実をはじめ、SNSや自殺予防に関する教育プログラムの活用促進など、学校におけるいじめや自殺の防止対策の強化に向けた取組を進めていくこととしています。
 未来ある子どもたちのかけがえのない命を守り、育むことは、私たち大人が果たすべき責任です。子どもたちの悩みを適切に掬いあげ、このような悲しい出来事が二度と繰り返されることのないよう、引き続き教育委員会及び学校の組織力強化や、教員の意識改革・指導力の向上、相談しやすい体制の整備に取り組むほか、弁護士を活用して、学校における法的側面での相談対応やいじめ予防教育を行う取組を拡充してまいります。

 第六点目は、本県にとって喫緊かつ最重要の課題である「人口減少問題への対応」についてです。
 昨年10月1日現在の本県人口は、222万2千人余りで、前年に比べ約2万3千人の減少となり、そのうち自然減が1万6千人を超える状況となっています。社会動態では、1月末に総務省が公表した2019年の住民基本台帳人口移動報告によれば、本県は全国44位の約7千2百人、日本人に限れば、全国47位の約8千2百人の転出超過となっております。
 本県の転出超過は、進学や就職を契機とした若者の転出が大きな要因と受け止めており、20代前半においては転出超過の約6割を女性が占めていることから、新年度においては、若者、特に女性の県内定着、U・Iターン促進を重点テーマとして取り組んでまいります。
 具体的には、若者に選ばれる魅力のある良質な働く場を確保し、県民所得の向上につなげるため、IT関連産業の誘致や活性化を図るとともに、新たに首都圏においてIT人材のマッチングを実施するなど、若者の県内就職と首都圏からのU・Iターンを促進してまいります。
 また、県内大学生等の県内就職を促進するため、市町村や地元産業界、県内大学等と連携した県内企業へのインターンシップマッチングイベントを拡充いたします。
 さらに、近年の採用の早期化の状況を踏まえ、大学3年生以下を対象とした県内企業と県外学生との交流会開催回数を倍増いたします。
 移住希望地域ランキングが全国5位となるなど、本県の認知度は向上していることから、実際の移住行動に誘導するため、県内にU・Iターンしてきた女性の視点から、暮らしやすさや子育て環境など新潟暮らしの魅力を掘り起こし、首都圏に向け発信してまいります。

 次に、結婚支援や、出産・子育て、教育環境の充実に向けた取組についてです。
 結婚を希望する方の願いをかなえられるよう、引き続き、「にいがた出会いサポートセンター」によるマッチングの充実に取り組むほか、大学生等が自らのライフデザインを想像し、結婚や子育てを自分事として意識するきっかけを提供するセミナーを市町村と連携して開催するなど、晩婚化の抑制と婚姻率の向上に資する取組を強化してまいります。
 また、妊娠や出産、子育ての不安に寄り添い、適切に対応できる相談体制整備への支援や、NPO等の団体が地域のニーズに応じて行う子育て支援の取組等を通じ、社会全体で子育てを支える機運が高まるような体制づくりを推進してまいります。
 あわせて、仕事と子育ての両立に積極的な企業に対し、新たに、課題解決に向けた情報共有の機会を提供するほか、子育てのための休暇制度等の創設を促し、男女ともに働きやすい職場づくりとワーク・ライフ・バランス推進など、労働環境の改善に向けた施策を進めてまいります。

 次に、新潟の魅力を発信する取組についてです。
 県民の8割が新潟県に愛着を持ち、6割が魅力的な場と感じ、5割は本県の魅力を発信したいと思いつつも、県外の人に積極的に発信している県民は1割にも達していない状況にあります。
 こうした現状を変えるため、今年度は、新潟の魅力を考える懇談会のご意見を踏まえ、県民の皆様の発信を促す「新潟※(コメジルシ)プロジェクト」をスタートさせ、有識者の意見等を掲載したウェブサイトを立ち上げるとともに、SNSを活用したフォトコンテストを実施しているところです。
 新年度は、新たに、県内メディア等と連携して県内各地域の魅力をPRする取組をはじめ、県民の皆様が、より地域に誇りを持ち、地域の魅力の発信や表現していただける意識や機運を育て、本県の多様な魅力の発信につなげる取組を展開してまいります。

 人口減少問題は、一朝一夕には解決できない構造的な問題であり、その対策に特効薬はないことから、県政のあらゆる分野での取組を総動員し、出生数の増加と人口の流入促進・流出抑制につながる政策を重点的に展開し、全力で取り組んでまいります。

 以上、主要課題について順次申し上げましたが、それらも反映した令和2年度一般会計予算案は、1兆2,196億7千万円と、令和元年度予算に比べ、総額で3.2%の減となったところであります。

 次に、今議会に令和2年度当初予算案と併せて上程されました令和元年度補正予算案に関する議案等についてご説明申し上げます。
 第50号議案は一般会計補正予算案でありまして、総額248億9,441万4千円の追加補正についてお諮りいたしました。今回の補正は、現下の経済情勢を踏まえて実施する緊急性の高い事業に要する経費について計上するほか、投資事業については、有利な財源の活用による事業費の確保と公債費負担の適正化を両立させるため、令和2年度当初予算案の一部を前倒して計上するものであります。
 なお、この補正予算に係る公共事業等について、繰越明許費を計上したほか、一般公共事業等について、令和2年度に係る起工準備期間の確保等を図るため、いわゆる「ゼロ国債」を22億3,600万円計上しております。

 以上、補正予算案についてご説明申し上げましたが、その結果、補正後の令和元年度予算規模は、1兆3,058億9,613万円となります。

 次に、お諮りしております条例案件等のうち主なものについて、ご説明申し上げます。
 第24号議案は、知事、職員等の損害賠償責任の限度額を定めるため、
 第31号議案は、人事委員会の勧告等に基づき一般職の職員の給与を改正するため、
 第32号議案は、一般職の職員について給与の臨時的削減を講ずるため、
 第35号議案は、阿賀黎明中学校の閉校に伴う必要な改正を行うため、
 第44号議案は、新潟県景観計画の策定に当たり、景観法により委任された事項等を定めるため、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 次に、第48号議案は、あっせんの申立てについて、
 最後に、第49号議案は、包括外部監査契約の締結について、お諮りするものです。

 以上、新年度における所信の一端と施策・議案の概要などについて申し述べました。何とぞ慎重にご審議のうえ、上程された各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

2月27日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案38件について、ご説明申し上げます。

 第52号議案は、令和元年度一般会計補正予算でありまして、総額717億7,260万6千円の減額補正についてお諮りいたしました。
 このたびの補正予算は、職員給与費に係る過不足額を計上するとともに、社会保障関係経費の実績見込み等に基づく過不足調整等を行うものであります。

 この結果、補正後の予算規模は、1兆2,341億2,352万4千円となります。

 また、第53号から第71号までの各議案は、特別会計並びに企業会計に係る補正予算でありまして、それぞれ事業計画の最終見込み等に合わせまして、補正を行うものであります。

 次に、その他の主な条例案件等について、ご説明申し上げます。
 まず、第74号議案は、地方税法の改正に伴い、法人事業税の収入金額課税のうち、発電及び小売電気事業に係る課税方式の見直しなどを行うため、
 第75号議案は、社会文化施設等整備基金ほか3基金を廃止し、財源対策的基金を財政調整基金に整理統合するため、
 第76号議案は、県内における小児医療の機能強化を図るための基金を設置するため、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。
 最後に、第85号議案は、契約の締結について、お諮りするものです。

 以上、各議案の概要につきましてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同賜りますよう、お願い申し上げます。

3月11日 知事説明要旨

 ただいま上程されました議案5件について、ご説明申し上げます。

 第90号から第94号までの各議案は、令和元年度一般会計及び港湾整備事業など特別会計に係る補正予算でありまして、それぞれ予算の繰越についてお諮りいたしました。
 公共事業等の執行に当たり、設計や計画の変更、用地補償における調整などにより、一部年度内に完了できない見通しとなりました。
 このため、一般会計においては1,082億5,709万6千円を、また、特別会計においても、それぞれ所要額を翌年度に繰り越すものであります。
 この結果、本定例会の冒頭で議決をいただいた公共事業予算等に係る繰越と併せ、一般会計の繰越明許費の合計は、1,289億6,585万3千円となった次第であります。
 何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについてご賛同を賜りますようお願い申し上げます。

3月19日 知事説明要旨

 ただいま上程されました第95号議案は、人事に関する案件でありまして、監査委員の選任についてお諮りしたものであります。

 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

 


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