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平成30年12月定例会(第31号発議案)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0121261 更新日:2019年6月29日更新

平成30年12月定例会で上程された発議案

新潟県県産木材の供給及び利用の推進に関する条例

第31号発議案

 新潟県県産木材の供給及び利用の推進に関する条例

上記議案を別紙のとおり提出します。

平成30年12月5日

提出者   佐藤 純     石坂 浩     斎京 四郎
            中村 康司  松原 良道  笠原 義宗
            高橋 直揮  宮崎 悦男  青柳 正司
            矢野 学     石塚 健     横尾 幸秀
            皆川 雄二  小林 一大  冨樫 一成
            佐藤 卓之  楡井 辰雄  小島 隆
            桜井 甚一  西川 洋吉  岩村 良一
            金谷 国彦  早川 吉秀  尾身 孝昭
            柄沢 正三  中野 洸     小野 峯生
            帆苅 謙治  渡辺 惇夫  石井 修
            三富 佳一  星野 伊佐夫

新潟県議会議長 沢野 修 様

新潟県県産木材の供給及び利用の推進に関する条例

 ふるさと新潟の県土面積の約7割を占める森林は、美しい景観を形成し、生命の源となる清らかな水を蓄え、県民に自然との触れ合いの機会を提供するなど重要な役割を果たしている。私たちは、この豊かな森林から、県土の保全、水源の涵(かん)養等多くの恩恵を受けてきた。そして、森林から産出される木材を用いた建築物、工芸品、生活用品等は、温かな風合い、柔らかな手触り等の特性を有し、県民は、それらに囲まれた生活から、ぬくもりと優しさを日常的に体感することにより、安らぎを享受してきたところである。
 しかしながら、近年においては、森林資源に代わる化石燃料及び工業製品の利用の増大、安価な輸入木材の増加に伴う木材価格の低迷等により、林業及び木材産業は厳しい状況に置かれている。加えて、県内の人工林の9割以上を占めるスギの多くは、戦後に植林され、利用可能な大きさに成長しているにもかかわらず、建築材料等として十分に利用されていない状況にある。
 こうした中、ふるさと新潟の地において、木を植え、育て、伐(き)り、使い、再び植えることを繰り返すことにより、林業及び木材産業の持続的な発展を図るとともに、将来にわたり森林資源を用いて本県経済の活性化に資する取組を進めていく必要がある。
 ここに私たちは、森林がもたらす多くの恩恵を後世に継承していくため、県、市町村、森林所有者、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者等が相互に協力しながら一体的に県産木材の供給及び利用の推進に取り組むことにより、林業及び木材産業の持続的な発展を図り、本県経済の活性化及び県民が県産木材に囲まれて心豊かに暮らすことができる社会の実現を目指すことを宣言し、この条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、県産木材の供給及び利用の推進に関し、基本理念を定め、県の責務並びに森林所有者、林業事業者、木材産業事業者及び建築関係事業者の役割を明らかにするとともに、県産木材の供給及び利用に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な事項を定めることにより、林業及び木材産業の持続的な発展を図り、もって本県経済の活性化及び県民が心豊かに暮らすことができる社会の実現に資することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において「県産木材」とは、県内で生産された原木及びこれを原材料として加工された木材をいう。
2 この条例において県産木材について「供給」とは、建築材料、工作物の資材、製品の原材料、エネルギー源等として供給し、又はこれを使用した製品を供給することをいう。
3 この条例において県産木材について「利用」とは、建築材料、工作物の資材、製品の原材料、エネルギー源等として利用し、又はこれを使用した製品を利用することをいう。
4 この条例において「森林の有する多面的機能」とは、県土の保全、災害の防止、水源の涵養、自然環境の保全、公衆の保健、地球温暖化の防止、林産物の供給等の森林の有する多面にわたる機能をいう。
5 この条例において「森林所有者」とは、森林法(昭和26年法律第249号)第2条第2項に規定する森林所有者をいう。
6 この条例において「林業事業者」とは、森林施業(造林、保育、伐採その他の森林における施業をいう。以下同じ。)の事業を行う者をいう。
7 この条例において「木材産業事業者」とは、木材の加工又は流通の事業を行う者をいう。
8 この条例において「建築関係事業者」とは、建築物の設計又は施工の事業を行う者をいう。

(基本理念)
第3条 県産木材の供給及び利用の推進は、県、市町村、森林所有者、林業事業者、木材産業事業者及び建築関係事業者の適切な役割分担及び相互の連携並びに県民及びその他事業者(林業事業者、木材産業事業者及び建築関係事業者以外の事業者をいう。)(以下「県民等」という。)の理解と協力の下に、その実現が図られなければならない。
2 県産木材の供給及び利用の推進は、本県の豊かな森林資源が枯渇することなく次の世代に継承され、及び森林の有する多面的機能が持続的に発揮される環境を確保することを旨として行われなければならない。
3 県産木材の供給及び利用の推進は、地域の森林資源の有効活用を通じて、林業及び木材産業の持続的な発展を図り、本県経済の活性化に資することを旨として行われなければならない。
4 県産木材の供給及び利用の推進は、木材の優れた特性を生かすことにより、県民の快適な居住環境の形成、県民に安らぎをもたらす生活環境の創造等県民が心豊かに暮らすことができる社会の実現に資することを旨として行われなければならない。

(県の責務)
第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、県産木材の供給及び利用の推進に関する施策を実施する責務を有する。

(市町村との連携)
第5条 県は、市町村が地域の実情に応じて実施する県産木材の供給及び利用の推進に関する施策への必要な支援並びに市町村が実施する広域的な県産木材の供給及び利用の推進に関する施策の総合調整を行うものとする。

(森林所有者の役割)
第6条 森林所有者は、基本理念にのっとり、森林の有する多面的機能が持続的に発揮される環境を確保するため、その所有する森林の整備及び保全に資する取組を行うよう努めるものとする。
2 森林所有者は、県及び市町村が実施する県産木材の供給及び利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(林業事業者の役割)
第7条 林業事業者は、基本理念にのっとり、地域における森林経営の中核的な担い手として、その地域の特性に応じた森林の計画的な整備及び保全、良質な県産木材の安定的な供給等林業の持続的な発展に資する取組を行うよう努めるものとする。
2 林業事業者は、県及び市町村が実施する県産木材の供給及び利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(木材産業事業者の役割)
第8条 木材産業事業者は、基本理念にのっとり、県産木材の品質の確保、有効利用、加工技術の継承及び向上等木材産業の持続的な発展に資する取組を行うよう努めるものとする。
2 木材産業事業者は、県及び市町村が実施する県産木材の供給及び利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(建築関係事業者の役割)
第9条 建築関係事業者は、基本理念にのっとり、県産木材に係る知識の習得並びに木造建築技術の継承及び向上に資する取組を行うよう努めるものとする。
2 建築関係事業者は、県及び市町村が実施する県産木材の供給及び利用の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(県民等の協力)
第10条 県民等は、基本理念にのっとり、県産木材の供給及び利用を推進することが本県経済の活性化及び県民が心豊かに暮らすことができる社会の実現に資することについて理解を深め、その日常生活及び事業活動を通じて県産木材の利用に協力するよう努めるものとする。

(財政上の措置)
第11条 県は、県産木材の供給及び利用に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(県産木材の供給の推進)
第12条 県は、県産木材の供給を推進するための施策として、次に掲げる事項を実施するものとする。
(1)森林の適正な整備及び保全の推進に関すること。
(2)森林施業の集約化の推進に関すること。
(3)高性能林業機械の導入の推進に関すること。
(4)県産木材の加工及び流通の体制の整備に関すること。
(5)前各号に掲げるもののほか、県産木材の供給を図るために必要な施策の推進に関すること。

(県産木材の利用の推進)
第13条 県は、県産木材の利用を推進するための施策として、次に掲げる事項を実施するものとする。
(1)県産木材及び県産木材を利用した製品に対して信頼感等を与える独自の印象を創出するための施策の推進に関すること。
(2)住宅その他の建築物等における県産木材の利用に資する施策の推進に関すること。
(3)県産木材の販路の拡大に関すること。
(4)県産木材の新たな用途の開発に関すること。
(5)前各号に掲げるもののほか、県産木材の利用を図るために必要な施策の推進に関すること。

(県の率先利用)
第14条 県は、県産木材に対する需要の増進に資するため、自ら率先してその整備する建築物等における県産木材の利用に努めなければならない。

(調査研究等)
第15条 県は、県産木材の供給及び利用を推進するため、林業経営の効率化、県産木材の品質の向上及び新たな用途の開発等に関し、調査研究並びにその成果の普及及び活用のために必要な措置を講ずるものとする。

(人材の育成及び確保)
第16条 県は、県産木材の供給及び利用の推進に寄与する人材を育成し、及び確保するために必要な施策を講ずるものとする。

(広報及び啓発)
第17条 県は、県産木材の供給及び利用の推進の重要性について県民等の理解を深めるために必要な広報活動及び啓発活動を行うものとする。

(連携協力体制の整備)
第18条 県は、県産木材の供給及び利用に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、県、市町村、森林所有者、林業事業者、木材産業事業者、建築関係事業者及び県民等が意見を交換し、並びに相互に連携し、及び協力することができる体制を整備するものとする。

(公表)
第19条 知事は、毎年度、県産木材の供給及び利用の推進に関し講じた施策の状況を取りまとめ、公表するものとする。

(顕彰)
第20条 県は、県産木材の供給及び利用の推進について顕著な功績があると認められるものの顕彰に努めるものとする。

附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(検討)
2 県は、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

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