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平成29年6月定例会(提案理由)
平成29年6月定例会提出議案知事説明要旨
議案についての知事の説明を掲載しています。
6月28日 知事説明要旨
平成29年6月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
ご説明に入ります前に、まず、加治川治水ダムの観光放流により、水難事故に遭われた方々とご家族の皆様に心より謝罪申し上げるとともに、関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしたことに対し、深くお詫び申し上げます。
今回の事故は、ダムの操作規則を遵守せずに放流したことが原因であり、まさに、安全最優先、規則遵守、危機管理に対する意識の欠如が招いた事故であると、極めて厳粛に受け止めております。また、事故直後の情報伝達や情報提供のあり方についても、多くの課題があったものと認識しております。
そのため、緊急に、すべての県管理ダムにおいて、操作規則に基づく適正な管理を徹底するとともに、下流にある河川公園等の安全点検を行ったほか、改めて、組織内の迅速な情報伝達、県民の皆様への速やかな情報提供について、周知徹底したところです。
この再発防止策を確実に実行し、今後、このような事故が二度と起こることがないよう、県庁全体としての安全最優先・危機管理への対応や、職員一人一人の安全最優先・危機管理に対する意識、規則遵守に対する意識をさらに徹底してまいります。
去る3月31日に齋藤隆景副議長が急逝されました。先生の御霊に対し、謹んで哀悼の意を表し、ご遺族の皆様方に衷心よりお悔やみ申し上げます。
先生は、平成11年に新潟県議会議員に初当選されて以来、5期18年の長きにわたり、県政の発展のために尽力してこられました。
この間、県議会におきましては、副議長をはじめ、議会運営委員会委員長、総務文教委員会委員長、建設公安委員会委員長など、数々の要職を歴任されるとともに、新潟県の発展のために尽くされたご功績は非常に大きなものがあります。
今後も、先生には、その豊富なご経験と知識を存分に発揮いただき、豊かな新潟県を築くため、ますます大きな役割を担っていただけるものと確信しておりました矢先の悲報でございました。ここに、衷心より感謝の誠を捧げますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。
続きまして、県政の主な動きにつきまして、ご説明申し上げます。
平成29年度は、私が知事就任後、初めての当初予算編成を経て迎えた、実質的な初年度となります。まずは、先の2月定例会で県議会の皆様からご承認いただいた予算の効果的かつ効率的な執行に全力で努めてまいります。併せて、県の政策が分かりやすい形で伝わり、県民の皆様にしっかりと理解していただけるよう、情報発信の充実にも取り組んでまいります。
また、県の政策の効果を十分に発揮するためには、県内市町村との連携・協力が不可欠です。
今年4月に、県内の市町村長の皆様が一同に会する中で、人口減少対策や地域医療の確保、本県の拠点化に向けた取組など、多くの市町村に共通する課題をテーマに意見交換を行いました。さらに、私自らが積極的に県内各地の現場や市町村に足を運び、市町村長の皆様と地域の実情や課題について認識を共有することに努めてまいりました。今後もこうした取組を継続し、市町村との信頼関係を一歩一歩築きながら、本県の発展に向けて力を合わせて取り組んでいけるよう努めてまいります。
一方、近隣県との戦略的な広域連携も重要です。
4月に開催された群馬・埼玉との三県知事会議では、新潟空港を活用した相互観光や大規模災害における広域的な福祉支援など、三県の連携を更に進めることで合意したところです。また、5月には富山県知事を表敬訪問し、糸魚川市大規模火災に対するご支援へのお礼と併せて、今後の両県の連携に向けた懇談を行いました。懇談では防災・救急応援体制、広域観光、有害鳥獣対策の3分野について意見交換を行い、今後の両県の連携に向けて、具体的な検討の道筋を付けることができたと考えております。近隣県とは競い合う部分もありますが、県境を越え広域的に取り組むことで大きな効果が見込める分野については、積極的に連携を進めてまいりたいと考えております。
次に、本県の新しい総合計画の策定についてです。
今年4月から3回にわたり、各界の有識者による新・総合計画策定検討委員会を開催し、委員の方々のご意見を参考にしながら、総合計画の基本理念や新潟県の将来像、政策の柱立てなど、計画の基本的なフレームについて検討を進めてまいりました。先般、「命と暮らしが守られ、一人一人が未来への希望を持って自らの幸福を実現できる新潟県を創る」を基本理念とする総合計画の骨子案を公表し、議論いただいたところです。今後、今議会においても十分ご議論いただくとともに、市町村からご意見を拝聴するなどした上で、具体的な計画づくりに向け、さらに検討を重ねてまいります。
次に、人口減少問題への対応についてです。
6月2日に厚生労働省が公表した人口動態統計によれば、本県の出生数は1万5,736人と、全国と同様に過去最少を更新するとともに、合計特殊出生率は、1.43で2年ぶりに低下し、全国を0.01ポイント下回りました。長年続いてきた進学や就職を契機とした社会流出が出生数の減少につながるという連鎖の構造が顕在化しつつあります。
県としましては、新潟県が、暮らしやすく、子育てしやすく、学びやすく、働きやすい、総合的に魅力ある地とすることを基本とし、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる環境整備や、魅力ある教育環境の実現と雇用の場の確保に向けた施策を展開するとともに、役割分担を踏まえた連携のもと、各市町村の特色ある取組の支援などにより、地域の魅力向上に取り組んでまいります。
また、これまで取り組んできた様々な事業について、その成果を改めて検証し、選択と集中の観点から、見直しも必要と考えております。
同時に、この問題は国家的な課題でもあり、地方だけの取組では限界があることも明らかです。税制、教育・医療資源の配分などの国が決定する部分については、実効性のある施策がスピード感を持って実施されるよう、引き続き国に対して要請してまいります。
次に、地域経済活性化に向けた取組についてです。
我が国経済は、雇用情勢や企業の景況感が改善する中、生産活動や輸出が持ち直すなど、緩やかな回復基調が続いているとされています。
本県においては、生産活動が持ち直しつつあるものの、中小企業を中心に企業の景況感は依然として弱く、個人消費も力強さを欠くなど、横ばいで推移しています。
命と暮らしが守られる県政を実現するには、経済の回復と発展が前提となります。県としても、公共事業予算の早期執行などを含め、県内経済の下支えに積極的に努めてまいりますが、国においても、地方の経済を支える中小企業の収益拡大から賃金水準の向上、消費拡大へとつながる経済の好循環を確立できる環境を早期に整備していただくよう、先般、要請を行ったところです。
一方、中長期的な観点からは、本県が持つ強みを県経済の今後の飛躍にしっかりとつなげていく取組も重要です。
昨年度実施した、長い海岸線を活用した本県沖における洋上風力発電のポテンシャル調査の結果を踏まえ、再生可能エネルギーによる発電事業者の新たな参入を促すうえで必要な電力系統の強化を国等へ強く働きかけるほか、参入を目指す県内企業の研究開発等の取組を支援してまいります。
長時間労働による過労死が社会問題化する中、政府は働き方改革を最大のチャレンジと位置づけ、実行計画を決定するなど改革を進めています。一方、本県の労働環境には、年次有給休暇の取得日数が少ない、総実労働時間が全国平均に比べ長いなどの課題があります。このため、総実労働時間の目標について議論を進めるとともに、企業内研修への支援を新たに行うなど、ワーク・ライフ・バランスの普及を推進していくほか、「イクメン応援宣言企業」の登録や男性の育休取得に対する助成金の支給等、企業と連携した子育て支援策を推進するなど、働きやすい職場環境の実現に取り組んでまいります。
次に、防災と危機管理への対応についてです。
まず、原子力発電所の安全確保についてですが、去る4月19日、東京電力の廣瀬社長から柏崎刈羽原子力発電所の免震重要棟の耐震不足問題に関して説明を受けました。廣瀬社長からは、原子力規制委員会への説明に問題があったことに加え、問題の背景として、地元最優先の考え方で取り組まなければならないところ、自社の目線で物事を判断していたという反省の弁がありました。県としましては、東京電力が改善を実行し、地元最優先の考え方が浸透していくことを、しっかりと注視してまいります。
また、先日、東京電力から、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機のフィルタベント設備に関し、原子力規制委員会の適合性審査の議論を踏まえ、原子力規制委員会への申請書の記載を変更したいという申し出がありました。申請書の記載事項は原子力規制委員会の所管事項であることから、県として、この点については敢えて異を唱えず、改めて、県と東京電力との間で、フィルタベント設備については安全協定に基づく県の了解が得られない限りは供用できない設備であることを、文書で確認したところです。
一方、国に対しては、柏崎刈羽原子力発電所の適合性審査において、東京電力が原発事故の当事者であることも踏まえ、より厳しい姿勢で審査にあたること、原子力発電所の重大事故は起こりうるという前提に立って、法制度や体制の整備等の安全対策に取り組むことなどを求めたところです。
引き続き、原子力発電所につきましては、県民の安全を最優先に、福島第一原発事故の原因の徹底的な検証、原発事故が私たちの健康と生活に及ぼす影響の徹底的な検証、そして万一原発事故が起こった場合の安全で実効性のある避難方法の徹底的な検証の3つの検証がなされない限り、再稼働の議論は始められないという立場を堅持して対応してまいります。
現在、この3つの検証を行う各委員会の委員の選任を進めているところです。今後、各委員会の体制を整え、速やかに検証に着手してまいりたいと考えております。
次に、糸魚川市大規模火災後の復興と、火災の教訓を踏まえた対応についてです。
糸魚川市の大規模火災からの復興に向けては、復興事業の予算確保のための国への要望も含め、県としてできる限りの支援を行ってきたところであり、本定例会においても、追加支援の関連予算をお諮りしているところです。今後も、国とも連携しながら、糸魚川市が目指すまちづくりが着実に実現できるよう、8月の復興まちづくり計画の策定に向け、協力・支援を行ってまいります。
また、県では大規模火災からの教訓を踏まえ、多様な消防水利の確保、消防の応援体制の強化、住宅や小規模飲食店の火災予防対策など、2月定例会でご指摘いただいた課題を国の検討会に提起してまいりました。先般、検討会報告書で示された具体的な対策の提言を踏まえ、国や各消防本部などの関係機関と連携し対応してまいります。
次に、朝鮮半島情勢を踏まえた対応についてです。
昨今の北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射は、我が国の安全に対する重大な脅威であるとともに、北東アジア及び国際社会の平和と安全を著しく害する行為であり、断じて許すことはできません。
こうした情勢を踏まえ、6月12日に、国、燕市との共催により、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を実施したところです。その際、多くの市町村、関係機関から現地で訓練状況を確認いただくとともに、すべての市町村への情報伝達訓練等も実施いたしました。引き続き、情勢を注視しながら的確な情報収集に努め、関係機関と連携し、県民の皆様の安全確保に万全を期してまいります。
次に、地域医療と福祉の向上についてです。
まず、地域医療体制の充実についてです。
県民の皆様が、将来にわたり安心して医療や介護サービスを受けていただくためには、その基盤となる人材の確保が不可欠です。これまで、県としては、修学資金の貸与、潜在的人材の再就職支援、勤務環境の改善など、様々な取組を行ってまいりましたが、医師等の不足は引き続き深刻な状況にあります。
この問題の抜本的な解決を図るには、国による医師養成に関する規制緩和や、医師が多い地域から少ない地域への誘導・割り当て策、介護人材の処遇改善等、実効性のある対策が必要であり、先般も、そうした観点から国に対し、強く要請したところです。
なお、地域での臨床と医学研究が両立しやすい環境を整備することが、医師の確保・定着に資すると期待できることから、県立病院の電子カルテ化を推進し、統合データベースの構築・活用に向けて具体的な検討を進めるとともに、ビッグデータを活用した地域の健康課題の分析に取り組んでまいります。
また、地域医療の確保に向けた具体的な取組として進めている県央基幹病院については、現在進めている基本設計に続き、年度内に実施設計に着手できるよう取り組むとともに、燕労災病院の来年4月の移譲に向けた準備など、整備基本計画等に基づく取組を着実に実行してまいります。なお、病院の全面稼働に遅れが生じている魚沼基幹病院については、運営財団において事業計画の見直しを進めており、県としても、課題である看護職員の確保も含め、運営の早期安定化を支援してまいります。
また今年3月、2機目となるドクターヘリが運航を開始しました。1機目と合わせて県内ほぼ全域に30分以内に到達でき、複数の出動要請にも対応可能な体制が整ったところです。今後も引き続き、隣県のドクターヘリとの相互補完による救急搬送体制の構築なども積極的に進め、助けられる命を一人でも多く救える体制の整備に努めてまいります。
次に、自殺対策についてです。
今年3月、自殺対策計画を策定するとともに、トップセミナーを開催し、私自身も参加する中で、市町村をはじめ様々な関係機関との連携の重要性について改めて共有させていただきました。また、4月からこころの相談ダイヤルを複線化し相談体制を強化したところですが、高齢者や働き盛り世代など自殺の多い世代に合わせた対策や、自殺未遂者への支援などの取組をさらに強化するなど、官民一体となった一層の対策を進めてまいります。
次に、新潟水俣病についてです。
特措法の判定に対する異議申し立てにつきましては、3月末までに92名すべての方について、一定の結論を出したところです。今後、公健法に基づく認定審査についても、それぞれのご事情に配慮しながら、丁寧かつ総合的な審査を行っていただき、可能な限り早期の決定を行うとともに、引き続き、すべての被害者の早期救済と、新潟水俣病に対する正しい理解の普及啓発に努めてまいります。
次に、暮らせる農業、稼げる農業の実現についてです。
本県の農業構造は、一部では大規模化が進んでいますが、稲作主体の小規模な兼業農家が多く、高齢化が更に進行している状況にあります。このため、担い手農業者の経営基盤の強化とともに、小規模、高齢農家も農業を生業として営み続けられる「暮らせる農業、稼げる農業」の実現が重要と考えております。
平成30年以降の米政策への対応については、需要に応じた米生産を基本としつつ、主食用米・非主食用米を合わせた米全体での需要拡大と、農業所得の最大化を目指した多様な米づくりを推進していく必要があります。このため、家庭内消費が中心であるコシヒカリについてはPRにつとめつつ需要に見合った生産を行う一方で、食味を重視した米づくりを徹底してまいります。また、業務用米や加工用米等の非主食用米については、広く実需者との関係を構築して需要の拡大を図るとともに、農業者の所得確保に向けて、多収性品種の導入や低コスト栽培技術の普及に努めてまいります。併せて、農地中間管理事業の活用などにより、担い手への農地集積・集約化を進め、農業経営の大規模化を促進してまいります。
そうした方向性を踏まえ、先般、30年以降の米政策へ円滑に移行していくため、地域で生産目標を設定する際の参考となるよう、県全体の生産目標の市町村別内訳を提示したところです。
一方、営農条件が特に厳しい中山間地域においては、経営環境の不利さを所得保障的に補い、将来において安定した収入が得られ、安心して農業経営に取り組める仕組みが必要です。先般、「公的サポート」モデル事業の実施地区を公募により決定し、事業を開始したところですが、今後、対象となった地区の変化を検証し、経営発展等の効果が見られた場合には施策拡充を国に提案するなど、農業を生業として営み続けられる環境整備を進めてまいります。
また、全国的な米消費の減少を背景に、各県による厳しい販売競争が行われている中、新潟米の相対的地位の低下が懸念されております。このため、平成30年以降の新潟米の需要確保に向けた情報発信を強化し、「お米」と言えば「新潟県」という産地イメージを改めて定着させていくため、本定例会にも関連予算をお諮りしているところです。
産地イメージの向上と併せ、この秋、いよいよ一般販売が始まる新之助を、新潟コシヒカリと双璧をなすトップブランドに育てるため、レベルの高い生産体制を確保するとともに、今後とも、媒体を活用した積極的な広報展開や企業コラボなどにより、首都圏を中心にメディア露出を増やし、本格デビューに向け知名度を高めてまいります。
次に、交流人口の拡大と拠点性向上に向けた課題についてです。
このたび、上越新幹線の越後湯沢・上毛高原間、及び北陸新幹線の上越妙高・黒部宇奈月温泉間の携帯電話の不通が、平成30年度には解消されることになりました。さらに、新潟駅では新幹線と羽越本線の同一ホーム乗り換えが実現します。これらと連動する形で、先般、本県と山形県庄内エリアを対象とした平成31年秋のデスティネーションキャンペーンの実施が決定したところです。東京オリンピック・パラリンピックを翌年に控える貴重な時期であり、本県としてはこれを最大限に活用し、より一層の観光客の増加に向けて、魅力ある観光地づくりと効果的な誘客宣伝に努めてまいります。
交流人口の拡大のため、増加する訪日旅行客の流れを取り込むことも重要です。訪日外国人が、5月に1千万人を超え過去最速のペースとなるなど、引き続き増加傾向にある中で、宿泊先も3大都市圏から地方へと広がりを見せはじめています。この流れを県内に取り込むため、本県での宿泊者数が多いアジアを中心にプロモーションを強化するほか、他県や市町村と連携しながら広域観光周遊ルート等での旅行商品造成や情報発信に取り組んでまいります。
新潟空港につきましては、地方空港の競争が激しさを増す中、国際線の利用者数が減少傾向にありますが、一方、本年3月末から通年運航化された台湾線は、インバウンド・アウトバウンドともに好調と聞いており、明るい兆しも見え始めております。
4月以降、私自ら、国内外の航空会社を訪問し、増便や利用促進に向けた協力を要請してまいりましたが、引き続き、一層のインバウンド需要の取り込みや、国際ハブ空港との接続強化による乗継利便性向上に積極的に取り組んでまいります。
新潟空港のアクセス改善については、5月に行政、経済界、交通事業者等のトップで構成する協議会を開催し、様々なご意見をいただいたところです。
本年中の県方針決定に向け、協議会において、意見交換を進めるとともに、県議会や県民の皆様との議論を深めてまいりたいと考えております。
日本海横断航路につきましては、5月にあり方検討委員会を設置し、事業の可能性やスキームなどのあり方について検討を開始いたしました。委員の皆様から、貨物の具体的な見込みを把握した上で航路の是非を判断すべき等のご意見をいただいたところであり、今後、いただいたご意見を踏まえ、更に検討を進めてまいりたいと考えております。また、県出資企業については、清算することが大きな問題になるとの意見はなかったことから、他の株主に丁寧に説明し、理解を得た上で、清算に向けた手続きを進めてまいりたいと考えております。
また、県都・新潟市の都市機能の向上も、県の拠点性向上に資する重要な課題であると考えております。この課題については、3月に開催した県・新潟市調整会議の場で、新潟市長と意見交換を行い、県と新潟市が力を合わせて取り組むことで意見の一致をみたところであります。今後は、新潟市が進める新潟駅を中心とした都市機能の充実について、それぞれの役割分担を明確にした上で、県としても積極的に参画し、協力してまいりたいと考えております。
次に、教育問題についてです。
今月、将来ある生徒が、亡くなるという痛ましい事件が相次ぎました。亡くなられた生徒さんのご冥福を心からお祈りするとともに、ご遺族の皆様に深く哀悼の意を表します。
亡くなられたそれぞれの原因については、県立学校や当該教育委員会で調査中とのことですが、県教育委員会には、県立学校や当該教育委員会と協力して、適切に対応するよう要請したところです。
また、昨年来、若者の死亡やいじめの重大な事案が続いています。私としては、いじめやそのほかの様々な理由で苦しんでいる児童生徒に、自分の生命を大切にし、決して絶望せずに、何度でも、周りの大人に相談してほしいと思っています。
県教育委員会では、教育現場に、いじめを絶対に看過しないことを徹底するとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充、高校生の相談への対応として新たにスクールライフサポーターを配置する等相談体制を強化したところですが、更に管理職、生徒指導主事、養護教諭等を対象とした研修会の実施などを通して、教職員の指導力や学校の組織力の向上に努めるように要請したところです。
引き続き、学校、家庭、地域が一体となり、県をあげて子どもたちの命を守る取組を強化してまいります。
次に、教職員の多忙化解消への取組についてです。
先般国が公表した教員勤務実態に関する全国調査では、10年前に比べ教員の勤務時間は増加し、多忙化の解消は全国的な課題とされています。これを受け、県としても教職員の具体的な長時間労働の実態を把握するため、市町村教育委員会と連携しながら、調査を実施しているところです。また、多忙化の一因と指摘されている運動部活動については、去る3月、検討委員会を設置し、運動部活動の適正な運営方法等の検討に着手するとともに、活動実態を把握するための調査を実施しているところです。
更に、教職員の指導力向上と併せ、教職員の業務改善にも役立つシステムの構築にも取り組んで参ります。
引き続き、運動部活動の在り方を含め、様々な手段で教職員の多忙化解消に向けて取り組んでまいります。
この項の最後に、県立高校等再編整備計画についてです。
少子化の進展や、生活圏域が変化している中、適正な学校規模を基本としつつ、地域の実情を考慮しながら、教育の質的な向上と学校の活性化を図ることが課題であると考えております。また、これから受験に臨む中学生をはじめ県民の皆様が、向こう3年間の県立高校等のおおよその姿が分かるよう、生徒数や志願状況、進路希望に加え、社会のニーズや県の課題等を勘案した県立高校等再編整備計画を公表することとしております。
今後、具体的な再編整備にあたっては、県立高校の地域コミュニティにおける重要な役割に配慮しつつ、生徒一人一人の夢を叶えることのできる特色ある学校づくりが図られるよう、教育委員会と連携してまいりたいと考えております。
次に、佐渡金銀山の世界遺産登録に向けた取組についてです。
世界遺産の登録に向けては、国から昨年度示された課題に対応するよう推薦書原案を改訂し、3月に国に提出いたしました。これを受け、4月には、国、県及び佐渡市の世界遺産登録推進議員連盟、自由民主党県連とともに、菅官房長官等に対し、早期の登録実現に向けて本年度の推薦を強く要望したところです。また、先月開催した「佐渡金銀山世界遺産登録推進県民会議」総会で採択された、本年度の推薦を求める決議文を、一昨日、松野文部科学大臣に直接手渡し、要請したところです。
佐渡金銀山の世界遺産への登録は、佐渡はもとより、本県の魅力や発信力を向上させ、交流人口の拡大に資するものと期待しております。県としましては、今年こそ推薦候補に選定されるように、佐渡金銀山の世界的価値に対する関心と理解が深まるよう、県民全体の運動を強力に推進してまいります。
次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
先程も触れたように、北朝鮮は、核実験や度重なる弾道ミサイルの発射など国際社会に対する威嚇を続けております。これら一連の暴挙は、国連安保理決議への明白な違反であり、米国が軍事的圧力を強め、朝鮮半島情勢の緊張が一層高まってきていますが、その中で、拉致問題が埋もれてしまうことを強く懸念しております。
今年は横田めぐみさんたちが拉致されてから40年、拉致が判明してから20年になります。拉致被害者の方々やそのご家族はご高齢となられており、もはや一刻の猶予も許されません。
このような状況の中、4月14日に「知事の会」として加藤拉致問題担当大臣に対して、拉致問題を最優先課題として主体的に取り組むとともに、有事の際には拉致被害者等の救出及び安全確保にあらゆる手立てを尽くすよう緊急要請を行いました。
また、4月23日には国民大集会において、政府が関係諸国や国際機関等と連携・協調を図りながら、すべての拉致被害者等の方々の一刻も早い帰国の実現に向け、早急に目に見える形で具体的な成果を出していただけるようお願いしたところです。
県としましても、国の取組を後押しし、市町村や支援団体はもとより様々な団体にも働きかけ、一人でも多くの皆様に関心と理解を深めていただくための県民運動に全力で取り組んでまいります。
次に、北東アジア地域との交流についてです。
今月13日から17日にかけ、知事就任後初めての海外訪問として韓国と中国を訪れましたが、その発展ぶりを目の当たりにし、いかにこれらの地域の活力を取り込んでいくかが課題であると感じたところです。
今回の訪問においては、本県の友好提携先である黒龍江省の陸(りく)省長をはじめ地方の要人と率直な意見交換を行い、今後とも、幅広い分野での交流を進めていくことを確認し、信頼関係を築く第一歩とすることができ、有意義であったと感じております。
また、大韓航空に対しソウル便の増便を要請するとともに、中国南方航空に対してもハルビン便の安定運航を要請してきたところです。
さらに、大連経済事務所及びソウル事務所を視察して、現在の活動状況などの把握に努めてきたところであり、大連経済事務所については、開設20周年記念レセプションを主催し、大連市政府等の関係者に、これまでの支援に対する感謝を伝えたところです。
海外事務所・拠点等のあり方については、今回の視察の内容に加え、先般設置した検討会議での意見等も参考にしながら、年内に方向性を出すように検討を進めてまいりたいと考えております。
続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
第80号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額5億9,505万1千円の増額補正についてお諮りいたしました。
今回の補正は、先ほどご説明した糸魚川市大規模火災への対応に必要な経費を計上するほか、当初予算編成後の事由による重要かつ緊急性のある経費等について計上するものであります。
以下、補正予算の主な項目について、これまで述べたもの以外についてご説明を申し上げます。
まず、地方創生の取組の推進として、「プロフェッショナル人材戦略拠点」の機能強化や、新潟ふるさと村の魅力向上に向けた施設整備に要する経費を計上いたしました。
また、県立海洋高等学校の実習船「海洋丸」について、老朽化に伴う代船建造に要する経費を計上したところです。
その結果、補正後の予算規模は、
1兆2,553億5,505万1千円となります。
次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
第82号議案は、地方税法の改正等に伴い、県費負担教職員制度の見直しによる新潟市への税源移譲等を行うため、
第84号議案は、新たな迷惑行為に的確に対応できるよう、規制行為を追加するため、
それぞれ、条例の所要の改正を行うものであります。
次に、第86号議案及び第87号議案は、緊急を要するため、やむを得ず専決処分を行ったものについて、承認を求めるものであります。
すなわち、第86号議案、第87号議案はそれぞれ、平成28年度一般会計補正予算、平成28年度災害救助事業特別会計補正予算であり、歳入予算及び歳出予算ともに最終見込額又は確定額を計上したものであります。
また、第88号議案及び第89号議案は、損害賠償額の決定についてです。
最後に、第90号議案は、新潟東区警察署建設用地における地中残存物の撤去費用等の負担に関し、売買契約の相手方と和解することについてお諮りするものです。
以上、主な議案の概要につきまして、ご説明申し上げましたが、何とぞ慎重にご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。
7月14日 知事説明要旨
ただいま上程されました議案4件は、いずれも人事に関する案件であります。
第91号議案及び第92号議案は、副知事を選任するため、
第93号議案は、人事委員会委員を選任するため、
第94号議案は、監査委員を選任するため、
第95号議案は、公安委員会委員を任命するため、
それぞれお諮りいたしました。
よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。
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