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平成28年9月定例会(請願第5号)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0004433 更新日:2019年1月17日更新

第5号 平成28年8月25日受理 総務文教委員会 付託

所得税法第56条の廃止を求める意見書提出に関する請願

請願者 新潟県商工団体連合会婦人部協議会 会長 渡辺照子

紹介議員 長部 登君 小山芳元君 渋谷明治君 池田千賀子君

(要旨)

 労働に対し、対価を得ることは当たり前のことである。しかし、その当たり前のことが所得税法第56条により税法上認められていない。家族が力を合わせて得た成果であっても、税法上全て納税者個人の収入となり、家族は「ただ働き」として扱われる。白色申告で事業主の所得から控除される働き分は、配偶者は86万円、配偶者以外の家族は50万円と低額で、住宅や車のローンが組めないなど、事業継承の障害にもなっている。国民健康保険に傷病手当や出産手当が支給されない根拠の一つともなっている。まさに、所得税法第56条は人権問題でもある。
 国は、「小規模企業は経済をけん引し、雇用を確保し、地域社会の主役として住民生活に貢献している国家の財産ともいうべき存在である」と私たち家族経営の役割を評価し、「日本経済の再生を果たすためには、成長力の基盤である小規模企業の健全な発展を促す」必要があると『小規模企業振興基本法』を定めた。この法律の趣旨からも、家族従業者の役割を否定し地位を低下させ、家族経営の繁栄や地域経済の振興を妨げる所得税法第56条は廃止されるべきである。
 また、青色申告の選択による「専従者給与」(所得税法第57条)の取得によって第56条を回避することが可能だとする意見があるが、これは事の本質をそらすものである。そもそも申告の原則は白色申告である。青色申告は、税務署長が条件付きで一部の経費のみ認める「特典」で、いくつもの義務が課される。税務署長の裁量で取り消される場合があり、家族一人一人の働き分を認めたものとはいえない。白色申告や青色申告、法人申告といった申告形態に関わらず、家族一人一人の働き分は、必要経費として認めるべきである。平成26年1月からはすべての事業者に記帳が義務付けられ、白色申告者であっても家族従業者への給料支払いは当然正確に記帳される。「租税回避」の恐れを理由にする根拠はなくなり、申告の仕方による差別は認められない。
 アメリカ・イギリス・ドイツなど世界の主要国は、働き分(自家労賃)を必要経費と認め、家族従業者の人権・労働を正当に評価している。日本全国でも、所得税法第56条の廃止を求める声が広がり、平成28年5月現在、8県議会を含む445自治体が請願を採択し、国に意見書を提出している。
 中小零細業者や農業など家族経営の自営業で働く女性たちの働きを公正に認め、給料を経費にできるように、そして給料の中から税金を払い個人として地方政治に貢献できる自立した存在になれるように、地域の中で女性たちが生き生きと力を発揮して働ける環境づくりの一環として、どうか、趣旨にご賛同いただきたい。
 私たち中小零細業者の家族従業者は、所得税法第56条の「配偶者その他の親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しない」(条文主旨)により、「働き分」(自家労賃)を必要経費として認められていない。
 ついては、貴議会において、所得税法第56条を廃止し、家族従業者の「働き分」(自家労賃)や人権を社会的に公正に評価することを求めるため、所得税法第56条を廃止することを求める意見書を国に提出されたい。

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