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平成28年6月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0004208 更新日:2019年1月17日更新

平成28年6月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

6月7日 知事説明要旨

 平成28年6月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 ご説明に入ります前に、この度の熊本地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りしますとともに、被災されました皆様方に対し心からお見舞いを申し上げます。
 被災地では、2度にわたる最大震度7の地震とその後の度重なる余震により、多数の家屋被害が発生し、今も約7千人の方が不便な避難生活を送っています。1日も早い復旧・復興をお祈りしています。
 熊本地震の発生以降、本県では、被災者の命と健康を守るため、水や食料の物資支援や、医療活動、健康相談等の支援を行ってまいりました。また、過去の被災経験を活かし、被災者の生活再建に向け、家屋被害認定調査を速やかに実施して罹災証明を発行するための体制の構築を、県内市町村と連携して支援いたしました。
 5月3日には私自身も熊本県を訪問し、蒲島知事にお会いして見舞金をお渡しするとともに、災害対応の経験をお伝えしてまいりました。
 なお、現在、被災者救援のための県民募金を行っており、これまでに2,600万円を超える募金が寄せられております。6月末まで募集した後、被災県にお渡しすることとしております。
 また、4月には、全国知事会危機管理・防災特別委員長として、河野防災担当大臣に対し、熊本地震の被災者の皆様への生活再建支援制度の円滑な実施について要請し、先般成立した国の補正予算において関連経費が措置されたところです。
 さらに、今月3日には、再度、河野大臣に対し、被災地の着実な復興を要請したところです。
 今後も、被災地のニーズを踏まえ、必要な支援を行ってまいります。

 それでは、まず第一に、地域経済の再生に向けた取組についてです。
 我が国経済は、中国経済の減速や年初から進む急速な円高の影響により、これまで経済を牽引してきた大都市に立地する輸出型企業の業況の改善に陰りがみられます。また、設備投資が力強さに欠けるほか、生産活動も一進一退の状況にあり、実体経済は踊り場にあると考えております。
 先頃発表された1月から3月期の実質国内総生産の速報値は、前期比の年率換算で1.7%増となりましたが、うるう年による押し上げ効果1%程度を勘案すれば、実態はゼロ%台の成長です。今後は、熊本地震の影響にも留意する必要があり、我が国経済は先行きを見通すことが難しい状況になっています。
 政府は、G7伊勢志摩サミットにおいて、世界経済の下方リスクに対応するため、機動的な財政政策や構造改革の政策協調を主導した上で、平成29年4月の消費税率の再引上げを2年半延期する方針を表明しました。
 経済情勢等を踏まえれば、今回の決定は、適切な判断がなされたものと受けとめております。
 引き続き、デフレ脱却を確かなものとし、我が国経済をしっかりと成長軌道に乗せていくためには、金融政策に加え、財政政策による内需の拡大が不可欠です。政府・日銀には、金融政策と財政政策を両輪とする適切なマクロ政策を実行し、地方でも景気回復を実感できる経済環境を早期に整備していただきたいと考えております。
 そして、財政再建は、内需の拡大を通じ、名目GDPに対する長期債務の比率を下げることにより達成すべきです。
 本県としては、現下の経済情勢と国の予算執行の前倒し方針も踏まえ、平成27年度2月補正予算と今年度当初予算で措置した投資事業の前倒しに取り組むこととし、県単公共事業については、国の目標を上回る上半期の発注目標を設定したところです。今後、想定される国の経済対策への積極的な対応も含め、可能な限りの対策に努めてまいります。
 一方、中長期的な観点からは、本県が持つ強みを県経済の今後の飛躍にしっかりとつなげていく取組も重要です。
 雪冷熱エネルギーを活用したデータセンターについては、9月の商業運用に向けて、5月から効果検証がスタートし、地中熱については、住宅への設備導入支援補助金の募集を開始したところです。また、洋上風力発電の導入可能性についても調査を進めることとしています。
 これら再生可能エネルギーのほか、上越沖に賦存するメタンハイドレートも今後の可能性を持つ貴重な地域資源です。先般、日本海沿岸府県で構成する日本海連合として、安倍総理大臣に対し要望を行ったところであり、今後の資源開発を見据えた地元技術の活用等の研究も進めることとしております。
 また、本年度、新たに労働力不足等への対応も念頭に、生産性向上やイノベーションに資する人工知能やIoTの活用に向けて取組を進めます。まずは県内企業や大学等を対象とした活用促進セミナーを開催するほか、公共事業など分野別にテーマを設定し、調査・研究等に取り組みます。
 引き続き、本県の有する多様な地域資源や技術を活かしながら、高付加価値型の産業構造への転換に
向けた取組を積極的に展開してまいります。

 次に、防災・減災対策についてであります。
 まず、大規模災害時の広域応援体制の整備についてです。
 この度の熊本地震を含め、過去の災害の例から、大規模災害時に、自治体が迅速・的確に災害対応を行うためには、医療分野における災害派遣医療チーム、いわゆるDMATのように、行政分野においても、あらかじめ被災経験を有する自治体職員による支援チームを編成しておき、発災直後から被災自治体に助言を行う仕組みを整備しておくことが必要であると考えております。
 このため、先般、政府に対して、そうした専門的な応援体制の確保や法制化等を含めた制度構築について新たに要望を行いました。その結果、このたび防災基本計画が修正され、風水害については、今後、国において制度化に向けた検討が行われることとなりました。
 わが国では、今後、南海トラフ地震や首都直下地震の発生が強く懸念されております。それらに備えた国土強靱化のためのリダンダンシー確保に向けて、社会資本整備の重要性がますます高まっています。しかしながら、社会資本ストックは、平成15年度をピークに減少しています。このことは、道路、橋、学校など、インフラや施設の老朽化に対応した減価償却分の投資も十分にできないことを意味します。こうしたことを踏まえ、先般も国および与党に対し、必要な社会資本整備予算の十分な確保や、地方にとって重要な財源となっている緊急防災・減災事業債の恒久化等について要請したところです。

 次に、地方共通の課題である、地方創生と人口減少問題への対応についてです。
 平成27年10月1日現在の国勢調査結果速報で示された本県の人口は、前回調査を基にした将来推計人口を8千人近く上振れしているものの、近年は人口減が拡大する状況にあり、昨年1年間では1万8千人を超える減少となっております。県の人口ビジョンの試算によれば、過去最大の人口社会増が続いたとしても人口減少に歯止めがかかりません。大きな要因は、1万2千人程度の自然減であり、未婚率や初婚年齢の上昇に加え、長年続いてきた進学や就職を契機とした若年層の首都圏等への流出が、出生数の減少にもつながるという連鎖の構造が背景にあると考えております。
 県としましては、昨年度策定した県版の地方創生総合戦略で掲げる方向性や人口問題対策会議の議論も踏まえ、市町村や企業・団体などとも協力しながら、スピード感をもって可能な限りの対策を行ってまいります。
 まず、自然減への対応としては、結婚を望まれる方々の希望を叶える取組を強化し、より多くの出会いの機会を提供してまいります。また、地域のつながりが薄れる中、職場等で出会いの機会を増やす意味は大きいことから、企業や団体の結婚支援を後押ししてまいります。
 さらに、少子化対策は結婚だけでなく、妊娠・出産、子育てにわたる切れ目のない支援を行うことが必要です。それぞれの場面の多様なニーズに応じた支援策を講じてまいります。また、今年度2年目に入る少子化対策モデル事業については、参加企業・団体と協力し、国に対し効果的な施策提言を行うための検証を進めるとともに、優良な取組事例の発信に努めてまいります。
 一方、出生数の増加の観点から、若者の社会減への対応も重要な課題です。そのため、首都圏等への情報発信やU.Iターンに関する相談体制を強化するとともに、今年度新たに、Uターン就業した若者を対象とした奨学金返還支援制度を創設したほか、県外学生に対する県内での就職活動やインターンシップに係る交通費支援等により、本県への若者のU.Iターンの更なる促進に努めてまいります。
 また、近年増加傾向にある若者の県外流出を抑制することも必要です。そのため、大学の定員増や県内大学生の県内定着の促進に向けた取組を強化してまいります。
 なお、大学新設に対する県の支援については、先般、有識者会議が取りまとめた報告に基づき、若者の県内定着の効果等を反映し、支援する方向で、引き続き検討を進めてまいります。
 一方で、人口減少は、地方のみの努力では抜本的な解決が困難な課題でもあります。先日、政府が閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」を実現するためにも、多くの子どもを産み育てる方々の負担に一定程度報いるよう、国において自ら権限をもつ税制や年金制度等に踏み込んだ、実効性のある施策や大胆な制度改革が必要です。また、本年度創設された地方創生推進交付金など、国の交付金の申請等に関連した予算を今議会にお諮りしておりますが、地方の実情に応じた事業を柔軟に実施するためには、より自由度の高い交付金等による継続的な財政支援も必要であると考えております。
 先般もそれらのことを国及び与党に対して直接要請してきたところであります。
 また、政府関係機関の地方移転について、今年3月に政府が決定した「基本方針」に、本県が提案した「国立健康・栄養研究所」が一部移転・研究連携の検討対象に盛り込まれたところです。県としましては、この基本方針を踏まえ、実質的に研究所の一部機能の移転に結びつくよう、具体的な連携のあり方について、今後も国や研究所と着実に協議・検討を進めてまいります。

 次に、農業の振興についてです。
 全国的な米消費の減少を背景に、各県による厳しい販売競争が行われている中、水稲新品種「新之助」については、今年度、500トン程度の先行生産を実施しており、秋には、試験販売を開始することとしております。また、認知度の向上に向けて、早稲田大学ラグビー蹴球部と協定を締結し、PRイベントに取り組んでいくほか、首都圏在住者を対象として「新之助」オーナーを募集し、「新之助」の魅力をSNS等で発信していただく取組を始めたところです。今後も、平成29年度からの一般販売に向けて、非コシヒカリの領域でのトップブランドの確立を目指し、戦略的に取り組んでまいります。
 米の国内消費が減少する中、需要を海外へ拡大し、新たな販路を開拓することも重要です。昨年度から、アメリカ市場における販路開拓に取り組み、新潟米の輸出額が前年度を大幅に上回るなど一定の成果が得られたところです。今年度も引き続きアメリカ向けの輸出拡大に取り組むとともに、新たにEUへの輸出拡大に向けて、効果的な流通拠点の調査や市場調査等に取り組んでまいります。
 次に、TPPについてです。
 政府は、3月にTPPの承認案と関連法案を国会に提出いたしましたが、審議は停滞し、衆議院で継続審議されることとなりました。
 現時点では、国内対策の全容等が明らかにされていないことや、TPPによる効果や影響を推し量ることは困難であることなどから、不安や懸念の声につながっているものと考えております。
 このため、県としましては、政府に対して、TPPによる効果・影響と国内対策について十分な説明を早急に行うよう求めるとともに、国内の農林水産業の持続的な発展のために万全な対応を行うことなど、どのような状況下にあっても、国益を守る対応をとるよう、改めて要望したところです。
 なお、アメリカ大統領選挙の推移を見ると、TPPが本当に発効するのか、十分に見極める必要もあると考えております。
 次に、G7新潟農業大臣会合についてです。
 世界各国から大臣をはじめ関係者が集い、食料安全保障や持続可能な農業などについて議論され、「新潟宣言」という形で合意されたことは、成果であったと考えております。また、食や文化など、新潟の素晴らしさも情報発信することができました。これまでのG8労働大臣会合、APECと併せて、今回の会合の成功により、警備面も含めた本県の会議運営能力をアピールできたと考えており、今後も、関係自治体とともに、MICE誘致に積極的に取り組んでまいります。

 次に、地域医療体制の確保と福祉の向上についてです。
 まず、地域医療構想についてです。
 現在、年度内のとりまとめを目指して策定作業を進めており、先般、団塊の世代が後期高齢者となる2025年の患者数や必要病床数の推計値を、7つの医療圏域ごとにお示ししたところです。これを受け、現在、圏域ごとに、病床の機能分担や連携のあり方などの様々な課題についてご議論いただいております。今後、この推計結果を踏まえ、医療機関の自主的な取組を基本に、地域で必要となる医療・介護が十分受けられるよう、地域の実情に応じた望ましい医療提供体制について議論を進めてまいります。併せて、地域の限られた医療資源を有効活用するための機能分担等について、住民の理解促進にも取り組んでまいります。
 次に、地域における医療体制の充実についてです。
 まず、県央基幹病院についてですが、先頃、具体的な規模や診療機能等を定める整備基本計画について、パブリックコメントや住民説明会を行い、広くご意見を伺ったところです。今議会でのご議論等も踏まえて計画を策定し、地域の皆さまに安心いただける地域医療の提供体制が構築できるよう、病院の建設に向けて着実に取組を進めてまいります。
 また、県立加茂病院や、先月、新外来診療棟の供用を開始した県立十日町病院につきましても、引き続き改築を着実に進めてまいります。
 ドクターヘリにつきましては、今秋を目途とする2機目導入を見据えて、先般、群馬県及び埼玉県との間で広域連携にかかる基本合意書を締結したところです。今後、具体的運用に向けた協議を進め、相互補完により一人でも多くの命を救う体制の整備を進めてまいります。
 次に福祉関係の諸課題についてです。
 まず、介護人材の確保についてです。国では、一億総活躍プランに「介護離職ゼロ」を掲げ、介護サービスの整備の加速を謳っておりますが、その実現には十分な介護人材の確保が前提となります。また、2025年には、本県においても約4,700人の介護人材が不足するとの推計もあります。そのため県では、介護人材の新規参入と定着を促進するため、資格取得への支援や介護業務の魅力発信、負担軽減のための介護ロボット導入のモデル事業の実施等、多面的な取組を進めております。一方で、介護人材不足の抜本的な解決のためには、他産業との賃金差を解消する等の処遇改善が不可欠です。このため、介護報酬の引上げなど介護従事者の処遇改善につながる安定した制度の構築を国に働きかけてまいります。
 次に、自殺防止対策についてです。
 平成27年の本県における自殺者数は503人と、前年に比べて39人減少したものの、自殺死亡率の全国順位は依然高い状況にあります。県としましては、引き続き、官民一体となった県民運動としての自殺予防対策を進めるとともに、自殺に至る要因や傾向を可能な限り分析し、若年層、働き盛り、高齢者など、世代ごとの特性に対応した対策にも取り組むこととしております。また、特に自殺者が多い地域を対策強化地域として、重点的に予防対策を実施してまいります。
 次に新潟水俣病への対応についてです。
 昨年は公式確認から50年という節目の年であり、様々な行事を通じて、改めて新潟水俣病の歴史を知り、教訓を考える契機となった年でありました。今年3月には、環境と人間のふれあい館において、「新潟水俣病の歴史と教訓を伝える碑」の除幕式を行い、このような悲惨な公害を繰り返してはならないということ、そのためには、新潟水俣病の歴史と教訓を後世に伝えていくことが重要であるという思いを新たにしたところです。
 県としましては、引き続き地域社会の再生と融和の促進に努めてまいります。
 また、5月30日には、新潟地方裁判所において、新潟市長が行った水俣病認定申請の棄却処分を一部取消し、認定を義務付ける判決がありました。県は訴訟当事者ではありませんが、いずれにしましても、公健法に基づく認定審査や、異議申立てを含めた特措法の判定について、平成25年4月の最高裁判決に沿って、丁寧かつ迅速に進めてまいります。

 次に、個を伸ばす教育についてです。
 今年3月に、本県の将来を担う「ひとづくり」を進めるための本県教育の基本的な方針を定めた「新潟県教育の大綱」を策定いたしました。
 大綱の策定に当たっては、国の教育委員会制度改革を受け、昨年度新たに設置した「総合教育会議」において、本県の教育政策の方向性などについて、3回にわたって、教育委員会と活発な意見交換を行ったところです。
 今後も引き続き、本県教育の課題や目指すべき姿を教育委員会と共有しながら、「大綱」に基づいて、「一人一人の個性を尊重し、伸ばしていく教育」の推進に努めてまいります。
 また、今年度は、「いじめ問題」を全県的な県民運動として取り組むこととしてから、10年という節目の年を迎えます。この10年間の取組等を踏まえながら、今後も各界の皆様のご協力をいただき、学校・家庭・地域が一体となって、「いじめ見逃し防止」に全力で取り組んでまいります。
 去る4月27日、平成30年2月に開催を予定する「第73回国民体育大会冬季大会スキー競技会」について、本県開催が決定しました。
 県としましては、冬季国体が、一流の競技を青少年が観戦し、世界に羽ばたいていくような機会となり、将来につながる資産となるよう、開催地となる妙高市及び関係団体等と連携し、県の総力を挙げて取り組んでまいります。

 次に、交流の拡大についてです。
 交流人口の拡大には、旅の目的地としての新潟の魅力を高め、何度も訪れていただけるようにすることが必要です。
 先般公表した観光地満足度調査によれば、本県観光地等の総合満足度は87.3%となり、県平均のリピーター率は、調査開始以来初めて、50%を超えました。これまでの取組の成果が徐々に現れてきたものと受け止めておりますが、リピート率の更なる向上に向け、引き続き来訪者から満足いただける観光地づくりに努めてまいります。
 旅の目的地となる上で、鉄道も観光資源として重要です。えちごトキめき鉄道においては、4月から、国内最大級の展望を誇るリゾート列車「雪月花」の運行を始めたところであり、予約状況も順調と承知しております。また、JR東日本においても、上越新幹線の本県区間で、現代アートを展示した「現美新幹線」の運行を開始したところです。さらに、長野、山梨、静岡、新潟の中央日本4県が連携し、リゾート列車による広域周遊ルートの検討にも取り組んでおります。
 こうした鉄道の新たな魅力も活かしながら、運転士体験などのコンテンツづくりや二次交通等を含む受入体制の整備を進め、新潟が旅の目的地となる魅力づくりに努めてまいります。
 今後の交流人口の拡大に向けては、増加する訪日旅行客の流れを県内に取り込むことも重要です。全国の訪日外国人数は、昨年度2,000万人を突破し、本年4月の単月で208万人と過去最高を更新しました。本県においても、昨年の県内の外国人延べ宿泊数が前年比92.8%増と過去最高を記録したところですが、訪日外国人観光客は、東京と京都・大阪を結ぶゴールデンルートに集中している現状もあります。本県としては、埼玉、群馬、長野の各県と連携し、日本海側と太平洋側をつなぐ「縦のゴールデンルート」への誘客の取組を強化してまいります。
 あわせて、多言語コールセンターの設置や移動時における情報通信の利便性向上など、受入体制の整備を図ってまいります。
 交流人口の拡大には、クルーズ船の誘致も有効な方策と考えております。昨年度、大型クルーズ船対応の係留施設を整備した新潟東港において、5月に県内で過去最大規模のクルーズ船が寄港しました。今後も施設の増強を図るとともに、船社等への働きかけに力を入れ、寄港数の増加につなげてまいりたいと考えております。
 新潟空港に関しては、国際ハブ空港との接続強化による乗継利便性の向上や、拡大するインバウンド需要の一層の取り込みに向けて、取組を進めるとともに、中長期的な視点での取組も必要と考えております。
 このため、新潟空港が首都圏と欧州等世界の都市との旅客流動の一翼を担う「首都圏第三空港」化を視野に入れ、軌道系空港アクセスの採算可能性等に関する調査を行ってきたところであり、先般、調査結果を公表したところです。今後、この調査結果も踏まえ、関係者との議論を深めるとともに、県民の皆様のご理解を得ながら、取組を進めてまいりたいと考えております。
 次に、佐渡金銀山の世界遺産登録に向けた取組についてです。
 佐渡金銀山の世界遺産への登録実現は、佐渡はもちろん、本県の発信力や魅力を飛躍的に向上させ、交流人口の拡大にもつながるものと認識しております。
 世界遺産への登録に向けては、国内外の専門家等のアドバイスも踏まえて推薦書原案を改訂し、去る3月29日、改めて国に提出したところです。
 これを受け、先月、「佐渡金銀山世界遺産登録推進県民会議」の総会を開催いたしました。総会の場では、早期の登録実現に向け、国からの本年度の推薦を求める決議が採択され、先般、この決議文を菅官房長官に直接手渡し、要請したところです。
 今後とも、佐渡金銀山の世界的価値に対する関心と理解が深まるよう、県民全体の運動として推進し、国内外に強くアピールしてまいります

次に、原子力防災対策等についてであります。
 去る3月11日、原子力関係閣僚会議において、「原子力災害対策充実に向けた考え方」が決定されました。全国知事会の提言に応えて、初めて国から一元的かつ前向きなご回答をいただいたものであり、これによって、実効性のある避難計画の策定に向けてスタートが切れたと認識しております。これを受けまして、本県においても関係府省の職員と連携して、避難計画の具体化・充実化に向けた取組を進めているところです。
 また、今月3日には、全国知事会と国との意見交換会に、危機管理・防災特別委員会の委員長として出席し、避難計画を策定する上での課題について、関係府省と意見交換を行ったところであります。
 一方、原子力規制委員会は、事故が起こった際はいつ放射性物質が放出されるか分からないことを理由に、従前どおり、被ばくを前提とした現在の原子力災害対策指針や避難計画は変える必要がないとする考え方を維持しており、住民の理解が得られるか疑問があります。
 原子力規制委員会には、地方行政や災害対応について地方の声を真摯に受け止め、現場が分かる体制を作っていただき、自治体の実情を踏まえた対応をお願いしたいと思います。
 県としましては、原子力防災対策がより実効性のあるものとなるよう、引き続き、国に対し必要な要請を行うとともに、市町村や関係機関と十分に調整し、原子力発電所の立地に伴う地域の安全安心の確保に向けて取組を進めてまいります。
 次に、福島県からの避難者への支援についてです。福島県は、昨年、福島第一原子力発電所事故の避難指示区域外からの自主避難者について、応急仮設住宅の無償提供の平成28年度末での終了と併せ、民間賃貸住宅で避難生活を継続する場合の2年間に限定した補助制度等を創設することを公表しました。
 本県としましては、避難者の気持ちに寄り添い、それぞれのニーズや選択に応じた支援を行う必要があると考えています。そのため、母子避難者が多く、教育環境をできるだけ維持すべきとの観点も含めて検討を進めてまいりました。これらを考慮した上で、県営住宅の提供や民間賃貸住宅の家賃支援などを、総合的な支援策としてとりまとめ、関連予算を今議会にお諮りいたしました。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
 北朝鮮で36年ぶりに行われた朝鮮労働党大会では、核・ミサイル開発を継続する姿勢が示されました。こうした主張は到底容認することはできません。
 また、拉致問題について、何ら進展がみられておりませんが、拉致被害者ご家族のお気持ちを考えると、深い悲しみと大きな怒りを感じます。
 拉致問題の現状を見ますと、時間の経過が北朝鮮に有利に働く構造になっております。こうしたことを踏まえ、「知事の会」として、4月1日には加藤拉致問題担当大臣に対して、4月9日には国民大集会において、損害賠償の請求など解決を引き延ばすほど北朝鮮に不利になる仕組みを検討することを提言いたしました。
 北朝鮮の一連の行動に対して、国際社会は、かつてないほど圧力を高めております。政府においては、国際社会の対応と連携を図りながら、北朝鮮の動向について的確な分析を行い、「すべての拉致被害者の帰国」の実現につなげていただくことを強く望みます。
 県としましても、国の取組を後押しするため、市町村や支援団体はもとより様々な団体にも働きかけ、県民運動として一人でも多くの皆様の関心と理解が深まるよう、引き続き取組を進めてまいります。

 次に、福祉保健部関係の法定計画がまとめに至らなかった問題への対応についてです。
 まずは、この問題に関し、市町村をはじめ関係の皆様、県民の皆様に、大変なご心配、ご迷惑をおかけしたことについて、改めて深くお詫びいたします。
 県としては、実体面での対応や県民への影響の有無、再発防止策について、監査委員に対して地方自治法に基づいた監査請求を行い、監査いただきました。
 このような事態を招いたことに対する組織の長として、また、組織としてのチェック機能が働かず、早期の是正ができなかったことについて、二重の意味で遺憾であると考えております。
 このため、私自身の責任として、給料を1か月間、10%減額することとし、関係条例を今議会にお諮りしているところであります。また、関係職員についても、去る3月31日に処分を行ったところであります。
 今後、監査結果も十分踏まえ、二度とこのようなことが起きないよう、再発防止に取り組むこととし、先般、今年度内に策定を必要とする34の計画のリストを公表したところであり、これに基づき策定状況をチェックしてまいります。

 続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
 第80号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額6億1,925万5千円の増額補正についてお諮りいたしました。
 今回の補正は、地方創生の取組の推進に要する経費を計上するほか、先ほどご説明した東日本大震災の広域避難者支援に必要な経費等について計上するものであります。

 以下、補正予算の主な項目について、これまで述べたもの以外についてご説明を申し上げます。
 まず、地方創生の取組の推進として、県産品のマーケット開拓強化のための経費のほか、少雪のシーズンでも安定したスキー場経営ができるよう、スノーマット等の整備を支援するための経費等を計上いたしました。
 また、県立武道館について、PFI事業による施設整備及び運営の実施に向けて、債務負担行為を設定したところです。
 その結果、補正後の予算規模は、
 1兆3,094億925万5千円となります。

 次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
 第83号議案は、認定こども園の職員配置の基準の緩和等を行うため、
 第84号議案は、各市町村の民生委員・児童委員の定数を変更するため、
 第86号議案は、新星学園について、指定管理者による管理を可能とするため、
 第88号議案は、森林整備地域活動支援基金の設置期限を削除するため、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 次に、第90号議案及び第91号議案は財産の取得について、
 第92号から第94号までの各議案は、契約の締結についてお諮りするものです。

 次に、第95号議案及び第96号議案は、緊急を要するため、やむを得ず専決処分を行ったものについて、承認を求めるものであります。
 すなわち、第95号議案、第96号議案はそれぞれ、平成27年度一般会計補正予算、平成27年度災害救助事業特別会計補正予算であり、歳入予算及び歳出予算ともに最終見込額又は確定額を計上したものであります。
 最後に、第97号議案は、損害賠償額の決定等について、お諮りするものです。

 以上、主な議案の概要につきましてご説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

6月23日 知事説明要旨

ただいま上程されました議案2件は、いずれも人事に関する案件であります。

 第98号議案は、監査委員を選任するため、
 第99号議案は、収用委員会委員及び予備委員を任命するため、

それぞれお諮りいたしました。
 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

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