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平成26年9月定例会(提案理由)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0004319 更新日:2019年1月17日更新

平成26年9月定例会提出議案知事説明要旨

議案についての知事の説明を掲載しています。

(9月24日 知事説明要旨)

 平成26年9月定例県議会の開会に当たり、前議会以降の県政の主な動きと、提案致しております議案の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 初めに、本県でも感染者が確認されたデング熱等感染症への対応についてです。
 国内では、気候の亜熱帯化の影響などを背景に、本県も含め、約70年ぶりにデング熱が発生しました。最初の確認後、拡大を続けており、現在、複数の箇所で感染が確認されております。本県の3人は既に回復し、感染を広げる心配はなくなりましたが、感染者は全国で100人を超え、社会に大きな不安感を与えております。また、世界的に、西アフリカでのエボラ出血熱の拡大が懸念されています。
 エボラ出血熱は、今のところ、国内への影響が直ちに生じる状況にはありませんが、いずれについても、万が一の場合の迅速かつ的確な初動が最も重要でありますので、県といたしましては、平時から情報収集及び分析に努めるとともに、県民の皆様のご理解、ご協力をお願いしながら、常に最悪の事態を想定し、感染症の危機管理対策に万全を期してまいります。

 次に、頻発する災害への対応についてであります。
 まず、広島市で発生した土砂災害を踏まえた対応についてです。
 本年8月は、西日本を中心に各地で大雨が発生しました。広島市では、8月20日未明の猛烈な大雨により大規模な土砂災害が発生し、74名もの尊い命が失われました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。
 今回の災害対応では、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等の指定や、避難勧告等の判断などを含めた危機管理体制のあり方等について大きな課題を残しました。
 国土交通省が所管する土砂災害危険箇所に対する土砂災害警戒区域の指定は全国で7割弱にとどまっており、広島市の被災地域の多くも未指定となっていました。こうした状況を踏まえ、国においては、県の指定が促進されるよう、土砂災害防止法の改正に向けた検討が進められているところです。
 本県における指定状況は、8月末時点で83%となっており、すべての指定完了を平成29年度末までとしておりました。しかし、このたびの広島市の災害を受け、指定の更なる前倒しに向けて取り組んでまいります。また、未指定の地域も含め、土砂災害の危険性の高い箇所の周知が必要と考えており、このたび、市町村に対し、改めて土砂災害危険箇所、土砂災害警戒区域及び避難所・避難経路等について対象地域の住民への周知を依頼したところです。
 また、土砂災害から住民の命を守るためには、より適切なタイミングで住民に避難を促す必要があります。そのため、県では、大雨警報や土砂災害警戒情報の発表時に、速やかに避難勧告の発令など、その後の対応に関する助言を行うとともに、私自身も市町村長に直接連絡を入れているところです。
 加えて、土砂災害に対し、被害を防止・軽減する効果が期待される砂防ダム等の整備率は2割台と低い状況にあるため、人命を守る効果の高い箇所から整備を進めてまいります。
 近年、全国各地で自然災害が頻発しており、県民のくらしと命を守る取組が重要となっています。今後とも、土砂災害への対応も含めた防災・減災対策や老朽化対策に加え、国土強靱化基本法に基づく地域計画の策定など、ハード・ソフト両面の対策を着実に進めてまいります。

 次に、今年で10年を迎える中越地方を中心とした災害についてです。
 去る7月13日、中越地方を中心に大きな被害をもたらした7.13水害から丸10年が経過しました。追悼式典に参加し、ご遺族の方々の未だ癒えない悲しみに接し、地域の防災力を更に高めていくことの重要性を痛感したところです。
 県としては、この間、ハード面では災害からの復旧はもとより、河川改修や遊水地の整備などを積極的に進めてまいりました。その結果、去る平成23年の新潟・福島豪雨では、7.13水害を上回る降雨が記録されたものの、被害を最小限とすることができたところであり、本定例会にも五十嵐川等の更なる改良を進めるための関係予算をお諮りしているところです。
 また、ソフト面においても避難の意思決定と情報伝達の迅速化、初動体制の確立や関係機関との連携強化といった災害からの教訓を踏まえ、水防警報河川の指定を大幅に増やしたほか、浸水想定区域図の作成・公表の促進や、わかりやすく総合的な防災情報の周知に努めているところです。
 また、来月23日には中越大震災からも丸10年が経過します。県では、現在、これを節目としてこれまでの復興の取組を総括する検証を進めております。
 県としては、復興過程の中で時間の経過とともに変化していく現場のニーズに柔軟かつ的確に対応することを重視して取り組んでまいりました。そのため、復興基金等を最大限に活用しながら、あらかじめ支援のメニューを決めて対応するのではなく、被災者の方々のニーズをダイレクトに受け止めて、きめの細かい支援を地方が決定できる制度設計を行って進めてきたところです。こうした取組によって、被災地が復興ビジョンに掲げた持続可能性を持った地域として復興することにつなげることができたのか、今後の検証により明らかにしていただきたいと考えております。
 県としては、10年を一つの区切りとして検証結果を踏まえつつ、今後も被災地域のニーズを踏まえながら必要な対応を着実に行ってまいります。あわせて、得られた経験と教訓を全国に発信してまいります。

 次に、人口減少問題への対応についてです。
 現在、人口減・少子化の問題は、地方の衰退はもとより、社会保障負担や食料安全保障、大都市圏を含めた人材の確保など、日本全体の存立に関わる国家的な問題として認識されつつあります。
 去る7月15日の全国知事会議では、正に、そうした強い危機感を地方と大都市圏が共有し、「少子化非常事態宣言」としてとりまとめたところです。宣言にあるとおり、国や地方自治体だけでなく、地域社会や企業などが世代を超えて協力し、子育てを共に支え合う社会を築き上げていく手立てを早急に講じなければなりません。
 人口減少問題の最大の要因の一つは、子どもを産み育てる世代が、地方から合計特殊出生率の低い首都圏に流出することだと指摘されています。こうした問題には、政策ツールが限定されている自治体の努力で対応するには限界があります。政府には、大胆な政策をスピード感を持って講じていただくとともに、国にしか変えることのできない現行制度自体を見直し、自治体が地域の実情に応じて主体的な政策を行えるようにしていただきたいと考えております。加えて、地方における企業活動を活発化し、働く場の確保により、安心して子どもを産める経済環境をつくっていくマクロ経済政策が重要です。
 こうした中、国では、先の内閣改造により、地方創生担当大臣を新設し、同日の閣議で「まち・ひと・しごと創生本部」の設置が決定されました。この本部を司令塔として、人口減少や地方都市の衰退といった課題を克服することに政府一丸で取り組んでいくという姿勢が示されたものと理解しているところです。
 県といたしましても、現在、国債の活用による財源調達も含めて、有効な少子化対策を国に提言することを念頭に、モデル事業の検討を行っております。現在、4回の検討委員会と電子会議室での議論を踏まえ、時間的ゆとり対策と経済的ゆとり対策を軸にした実施事業のパターンが中間とりまとめとして整理されたところです。
 今後、検討委員会で、事業を実施する上での詳細な制度設計や効果検証の方法を検討いただき、年内には最終報告をとりまとめた上で、事業実施につなげてまいりたいと考えております。
 引き続き、人口問題対策会議での議論を施策に的確に反映させながら、安心して子育てできる環境整備や魅力ある教育環境の充実、雇用の場の確保、県外在住者のUiターンの促進など、県としてできうる限りの対策を講じてまいります。

 次に、消費税率引上げによる影響と今後の対応等についてであります。
 4月の消費税率引上げ以降、消費や生産などで駆け込み需要の反動がみられる中、注目されていた4月から6月期の実質国内総生産が、前期比の年率換算でマイナス7.1%となりました。政府は、こうした状況に加え、個人消費で足踏みがみられる点を織り込んで、今般発表の基調判断で「緩やかな回復基調が続いている」との見方を維持しつつも、「このところ一部に弱さがみられる」として5か月ぶりに下方修正したところです。
 個別の指標を見ると、8月の新車販売台数が前年同月比9.1%減と増税後最大のマイナスになったほか、生産計画の修正度合いを表す「予測修正率」が8月でマイナス1.9%と、6か月連続での下方修正となるなど、依然として反動による影響が見られます。今後、需要の下振れが予想より長期化することで、さらに景気を下押しするリスクがあり、引き続き慎重に見極めていく必要があります。
 そうした状況下で、政府においては、年内中に消費税率を10%に引き上げることの是非を判断することとされています。今なすべきことは、名目の経済規模を拡大させ、地方でも景気回復を実感できるようにすることであり、税収は、その結果として確保されるべきです。そのため、政府・日銀において、適切なマクロ金融・財政政策をしっかり実行し、デフレ脱却を確かなものとするとともに、国内での生産に競争力が得られる水準まで為替レートを是正することが不可欠です。そうした経済環境が整う中で、生産機能の国内回帰が図られるとともに、企業収益の拡大により賃金が上昇し、購買力が高まっていくことが重要と考えております。
 県としては、金融面でのセーフティネットをしっかり張った上で、設備投資の促進をはじめ、需要の喚起につなげる施策など、地方として可能な限りの対策を講じ、県内経済の下支えに努めているところであり、本定例会にも関連予算をお諮りしているところです。
 あわせて、食やエネルギー、ものづくり分野など本県が持つ強みを活かしながら、成長に向けた投資の誘発、高付加価値型の産業構造への転換を進めてまいります。
 とりわけ、エネルギーは、将来の本県の発展にとって重要な要素です。先般、新潟市、上越市、聖籠町とともに、「エネルギー戦略特区」を国に対して改めて提案いたしました。今回の提案は、県内に多く存在する枯渇ガス田の活用を強く訴えるほか、実証フィールドに選定された粟島浦村沖等での海洋再生可能エネルギーの活用加速化を新たに盛り込んだところです。
 今後とも、多様な地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入拡大や、国産資源として有望なメタンハイドレートの開発促進に向けた取組などを進め、資源を有する地元に経済的メリットが還元される仕組みづくりなども通じ、明日の新潟の飛躍につなげてまいりたいと考えております。

 次に、農業問題についてです。
 農政改革の柱の一つとして今年度開始した農地中間管理事業については、6月から1か月の期間で借受希望者の募集が行われ、全体では、4,000人以上の農業者から応募がありました。しかし、農地集積に係る支援措置である機構集積協力金の取扱いが明確にされておらず、十分な説明ができなかったことなどもあり、一部では借受希望者が少ない地域も見受けられるところです。
 米の収穫期以降、出し手農家からの農地の借受けと、担い手への貸付けが本格的に行われることとなっていることから、追加募集による借受希望者の確保を含め、県といたしましても、事業が円滑に進められるようサポートしてまいります。
 また、機構集積協力金について、本県の所要額が国からの配分額を上回ることが懸念されたことから、先般、国が責任を持って予算措置すべき旨を北海道東北地方知事会として、国に緊急要望したところです。
 今後とも本制度が有効に機能するよう、必要に応じて制度改善を国に働きかけるなど、農地利用の集積・集約化による経営基盤の強化に努めてまいります。
 先月、全農新潟県本部から26年産米の仮渡し金が公表されました。全国で過去最高水準の米の在庫を抱える中、2年連続の引下げとなり、直近5年間で最も低い水準であった22年産米を下回る水準となっております。
 また、先般、卸売業者への販売価格についても、2年連続で引き下げられるなど、今後の大幅な米価下落が懸念されることから、過剰米の非主食用米への転換による米の需給状況の改善や万全なセーフティネットの構築などについて、北海道東北地方知事会として、国に緊急要望したところです。
 県といたしましては、引き続き、コシヒカリの食味・品質の確保等ブランド管理の徹底により、消費者の信頼確保に努めるとともに、付加価値の高い米づくりを支援してまいります。また、業務用米、輸出用米などの多様なニーズに応えるとともに、水田フル活用を推進して、主食用米・非主食用米をあわせて所得確保に努めてまいります。
 また、農家全体の所得確保・向上には、新たな経営の柱づくりが必要です。そのため、米に次ぐ経営の柱に園芸を位置付け、園芸作物による水田の高度利用を進めるなど、稲作経営体への園芸導入を推進するとともに、6次産業化や販路の拡大等による付加価値の還流を進めてまいります。
 全国的な米消費の減少を背景に、各県による厳しい販売競争が行われております。こうした中で、将来にわたり米主産県としての本県の地位を確固たるものにしていくため、晩生新品種について、現在、ブランド化の基本方向や食味・品質基準の設定等を検討しているところです。来年度のプレデビューに向け、生産・販売の両面からの戦略策定を加速させてまいります。

 次に、北陸新幹線開業を活かした地域振興についてです。
 去る8月27日に、JRから北陸新幹線の開業日や運行体系が発表されました。開業が間近に迫ってきたという思いを新たにしたところであり、改めて北陸新幹線長野・金沢間の開業を歓迎いたします。
 しかしながら、停車パターンをみると、「はくたか」は県内にすべて停車するものの、速達タイプの「かがやき」はすべて通過となっており、これまで原則各県一駅停車を主張してきた本県といたしましては、率直なところ、残念な内容であると言わざるを得ません。
 問題は、現行制度においては、新幹線建設費負担金が建設距離に応じた負担になっているということです。全国新幹線鉄道整備法では、建設費の地方負担を定めていますが、新幹線の整備が地域の振興に資するものであることも併せて明らかにしています。地方負担に応じた便益が提供されないことは、法の趣旨に反しており、制度の欠陥があるものと認識しております。このことから、国に対し、法の趣旨を実現するよう、要望を行うこととしております。
 また、運行計画の詳細につきましては、まだ明らかにされておりませんので、JRに対し、「はくたか」の速達性の実現等、在来線を含めた利便性の確保に向けて働きかけを行ったところであります。
 本来、目的地としての本県の魅力を向上させ、速達タイプも県内駅に停車させた方がJRにとってもメリットがあるという環境をつくっていくことが大切です。
 このため、先般のデスティネーションキャンペーンの成果も活かしながら、更に観光地の魅力づくりに取り組むとともに、首都圏に加え、関西圏においても情報発信拠点等を活用しながら、本県の観光地としての認知度向上を図り、誘客を進めてまいります。また、メディア等を活用した観光情報の発信等にも取り組んでまいりたいと考えており、関連予算を本定例会にお諮りしているところです。
 また、現在、えちごトキめき鉄道株式会社においても、より利便性を高める形でのダイヤ編成に向けた検討を進めるとともに、沿線の魅力を活かしたリゾート列車の導入等の誘客促進に向けた取組が進められております。
 北陸新幹線開業を契機に、首都圏に加え関西圏とも交流が更に活発化し、開業効果が広く県内に波及するよう取り組んでまいりたいと考えております。

 次に、防災関連の動きについてです。
 まず、国による日本海側の津波断層モデルの公表と本県の対応についてです。
 先般、国が設置した「日本海における大規模地震に関する調査検討会」において、新たな津波断層モデルが示されたところであります。
 県では、昨年12月に津波浸水想定を公表したところですが、想定は一度決めたらそれで終わりという性質のものではなく、新たな知見やデータが出てくれば、それに応じ見直しを行っていく必要があると考えております。
 また、想定はあくまでも想定であり、一旦地震が発生すれば、少しでも早く安全な場所に避難することが重要であり、これらの理解が進むよう県民への普及啓発に努めてまいります。
 次に、原子力発電所を巡る動きと本県の対応についてです。先般、県では、万が一柏崎刈羽原子力発電所で原子力災害が発生した際の、避難時間推計シミュレーションの結果を公表いたしました。
 シミュレーションは、あくまで、一定の条件を想定した下での試算であり、実際には、避難だけでなく一時的な屋内退避をどのように行うのか、放射性物質が放出され高線量下となった際、誰がどうやって救出に行くのか、避難の際にヨウ素剤をどのように配布し、服用していただくのか等、様々な課題があります。
 県といたしましては、今回お示しした試算結果も踏まえ、実効性のある原子力防災対策を議論していくとともに、課題解決のため必要となる法改正等、引き続き国に対応を求めてまいります。
 原子力発電所の安全確保のためには、福島第一原子力発電所事故の検証・総括が不可欠です。それがなければ、同じことを繰り返すおそれもあり、原子力発電所の安全が確保できないものと考えております。
 事故の検証・総括がないまま策定された規制基準では安全確保はできません。原子力規制委員会には、地域の安全を如何に確保するかという組織の本来の目的を果たして、実効性のある対策を速やかに構築していただきたいと思います。

 次に地域医療体制の確保についてです。
 県央基幹病院については、整備に向けたアウトラインを8月末に公表し、整備や運営の主体、再編対象病院である燕労災病院の早期移譲、設置場所選定の考え方、概ねの開院時期を含めた今後の進め方等をお示ししたところです。
 病院の設置場所については、県外からの医師確保や病院間の患者搬送等も考慮し、JR燕三条駅、北陸自動車道三条・燕インターチェンジ周辺から、5万平方メートル程度を確保できる場所を候補地として選定してまいります。その上で、具体的な整備計画の策定などを進め、平成30年代のできるだけ早い時期の開院を目指してまいります。
 また、開院まで1年を切った新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院については、医師の確保にも目処がつきつつあり、スタッフの確保や診療体制の構築等、開院に向けた準備を着実に進めているところです。
 県内の医療体制を強化していく上で、最大の課題は、全国平均より大幅に少なく、地域や診療科による偏在も深刻な医師の確保です。
 先般、県の地域医療再生基金等を活用し、医療技術向上を目指す医療従事者に魅力的な研修環境を提供する新潟医療人育成センターが新潟大学医歯学総合病院に整備され、今月から運用が始まりました。これにより、研修環境の充実・高度化が図られ、県内に定着する医師の増加にもつながるものと期待しております。
 県としては、こうした取組に加え、修学資金の貸与や勤務環境の整備など、地方政府としてできうる限りの取組を行っておりますが、現行の制度、枠組みの下では限界があります。
 このたび、東日本大震災からの復興支援策として、東北地方に特例として新設される大学医学部の設置者に東北薬科大学が選ばれたところです。深刻な医師不足は被災地に限った問題ではありません。本県を含め、他の地域においても医師養成数増加のための具体的な対策や、臨床研修後に医師不足地域で診療を経験させることなどの改革が不可欠です。今後とも国に抜本的な制度改革を粘り強く働きかけてまいります。

 次に水俣病への対応についてです。
 先般、環境省から、2年前に締め切られたいわゆる水俣病特措法の救済申請に関し、熊本県及び鹿児島県における判定作業が完了したことを受け、結果が公表されました。本県においては、この判定に処分性を認め、現在92人の方々の異議申立てを受理し、審理を進めていることなどから、すべての判定の確定には至っておりません。今後とも、適切な判定がなされるよう、専門家から症候やメチル水銀の曝露についての意見を伺うなど丁寧な審理を進めてまいります。
 来年で新潟水俣病は発生確認から50年となります。高度経済成長のしわ寄せを受けた方々の救済が、これだけの時間を費やしてもなお最終決着に至らないのは誠に残念です。
 早急に水俣病の被害を受けたすべての方々が等しく患者と認められ救済を受けるための恒久的な制度の確立など、抜本的な問題解決が必要です。県といたしましては、このことを引き続き国に対し強く求めてまいります。

 次に、北朝鮮による拉致問題についてです。
 本年5月の日朝合意を受けて、北朝鮮は7月4日に特別調査委員会を設置し、現在、拉致被害者等の調査が行われています。7月に開催された全国知事会では、拉致問題の早期解決を求める緊急提言を全会一致で採択し、知事の会でも早期解決を政府に要望したところです。
 このような中、調査結果の報告に向け日朝間の接触・協議が継続しておりますが、北朝鮮からは「現在は未だ初期段階であり、これを超える説明はできない」という回答がなされるなど、報告時期が遅れる見込みが示されており、今後の協議の行方を懸念しております。北朝鮮には誠実に調査を進め、情報を速やかに提供するよう強く求めるとともに、政府においては、北朝鮮側のペースに乗ることなく、様々な外交手段を通じ、調査の確実な進展を図り、拉致被害者等の帰国を一刻も早く実現していただきたいと考えております。
 また、拉致問題の解決には、政府の取組を後押しする国民世論が重要です。今月13日に開催された国民大集会には、これまで以上に大勢の国民の皆様からご参加をいただき、安倍総理の力強い決意を改めてお聞きいたしました。
 21日のチャリティコンサートには、めぐみさんとの再会を願う、ご両親や同級生、大勢の県民の皆様が参加されました。皆さんの怒りや早期救出を訴える声に、一刻も早く帰国が実現するよう努めていくという気持ちを新たにいたしました。
 県といたしましても、再会を心待ちにしているご家族の思いをしっかりと受け止めながら、市町村や支援団体はもとより様々な団体にも呼びかけ、県民運動として多くの皆様の関心と理解が深まるよう引き続き取組を進めてまいります。

 次に、地方分権の推進についてです。
 去る7月24日、新潟州構想として、これまで進めてきた県と政令市との二重行政解消に向けた取組を踏まえ、それを総括するシンポジウムを開催したところです。この取組によって、感染症対策における司令塔の一元化など一定の具体的な成果をお示しできたところであり、今後も引き続き先導的な取組を進めてまいります。
 また、今後は、道州制などもにらみ、県全体の拠点性の向上に向けた取組が重要と考えております。そのためには、県と新潟市の関係だけではなく、県内の他の市町村とも連携しながら戦略的に検討していく必要があります。今後、新潟州構想とは異なる検討の枠組みで取り組んでいけるよう調整してまいります。

 次に、国際交流の推進についてです。
 去る8月7日から10日にかけ、モンゴルのフブスグル県を訪問してまいりました。経済や観光、教育等の分野において相互に交流を進めることとし、エルデネバータル知事と覚書を交わしたところです。
 今回の訪問では、アルタンホヤグ首相にもお会いでき、首相もフブスグル県について「モンゴルのスイス」といわれる自然の美しさや魅力を熱心に語られておりました。私としても、将来、観光面や特産であるカシミヤの活用等のビジネスが期待できると強く感じたところであり、子どもたちの相互訪問なども含め、相互にメリットのある形での交流が進められるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 また、先般、新潟市とともに、2016年主要国首脳会議「サミット」を誘致することとしたところです。
 本県は、日本一おいしい米と酒をはじめとした、今世界から注目を集める和食文化の素材の産地としての強みや、対岸からのエネルギーの供給拠点となれる大きな可能性があります。これらを強くアピールし、本県の知名度向上や今後の発展につなげる機会にしたいと考えており、過去の国際会議の開催実績も踏まえながら、積極的な誘致に努めてまいります。

 次に、スポーツの振興等についてです。
 この夏、第96回全国高等学校野球選手権大会において日本文理高等学校が準決勝まで進出しました。惜しくも決勝進出は逃したものの、準優勝した5年前に負けない粘り強さを見せてくれました。
 また、多くのオリンピックメダリストも足跡を刻む全国高等学校総合体育大会では、本県選手が4種目での個人優勝をはじめ、多くの競技で入賞を果たしました。
 県民に大いなる勇気と感動を与えてくれた選手たちをはじめ、監督、コーチ、関係者の皆さんに感謝を申し上げ、心からの拍手を送りたいと思います。
 近い将来、これらを刺激に地域全体の競技力が更に高まり、全国や世界の舞台で活躍する選手が出てくることを大いに期待しております。
 県といたしましては、現在、県内のスポーツの競技水準向上に力を注いでおり、来たる2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、世界に羽ばたく選手の発掘や育成にも取り組んでいくこととしております。
 また、先般、下村文部科学大臣に、聖火台デザインへの本県の「火焔型土器」の採用について要望したところであり、この世界的な大会の効果が本県の発展につながるよう、官民一体となった取組を進めてまいります。

 次に、新年度予算編成の方針についてです。
 先月末に、国の新年度予算の概算要求が締め切られました。地方の創生や人口減少の克服などへの重点化を目指すとしており、今後の予算編成作業の状況を注視しながら、県予算への適切な反映に努めてまいります。
 こうした国の動向等を見極めていく必要はありますが、予算編成過程の透明性を確保し、県民の皆様への説明責任を果たす観点から、先般、県の新年度予算編成方針を策定、公表しました。
 新年度予算の編成に当たっては、将来の人口増加や地域産業の育成、個を伸ばす人づくりの推進などに向けた取組を強化するなど、未来への投資を積極的に推進してまいります。加えて、安心・安全で、県民一人ひとりが希望を抱き、未来を描くことのできる地域社会の実現に向けた取組を着実に進めてまいります。
 今後、経済情勢や国の制度変更、地方財政対策等を見極めながら、適切に予算編成作業を進めてまいりたいと考えております。

 続いて、提案しております主な議案についてご説明申し上げます。
 第152号議案は、一般会計補正予算でありまして、総額155億930万7千円の増額補正についてお諮りいたしました。
 今回の補正は、現下の経済情勢を踏まえ、県内経済の下支え対策や県民の安全・安心の確保に要する経費を計上するほか、当初予算編成後の事由による重要性、緊急性のある経費を計上するとともに、国の補助事業等の内定又は内定見込みなどに伴う所要の措置を講じることとしたものであります。

 以下、補正予算の主な項目について、これまで述べたもの以外についてご説明を申し上げます。
 まず、今年度後半の県内経済の下支えと県民の安全・安心の確保を図るものとして、道路・河川等の整備・維持補修等に要する経費のほか、交通安全施設の整備・更新に要する経費等を計上いたしました。
 また、医療・福祉に係る県民電話相談窓口の充実を図るため、「小児救急医療電話相談」及び「こころの相談ダイヤル」の開設時間を拡充して実施するための経費を計上したところであります。

 その結果、補正後の予算規模は、
 1兆5,841億1,505万8千円となります。

 次に、その他の議案についてご説明申し上げます。
 第153号から第161号までの各議案は、特別会計及び企業会計に係る補正予算でありまして、事業実施上必要とするものについて、それぞれ補正するものであります。

 次に、その他の主な条例案件等についてご説明申し上げます。
 第163号議案は、薬事法の改正に伴い、再生医療等製品の製造・販売に係る許可申請手数料など関係手数料の新設・改定等を行うため、
 第166号議案は、都市再生特別措置法等の改正に伴い、市町村が都市機能を誘導する特定用途誘導地区における建築物の高さの緩和に係る許可申請手数料を新設するため、
 それぞれ、条例の制定及び所要の改正を行うものであります。

 次に、第167号議案は、財産の取得について、
 第168号議案及び第169号議案は、契約の締結について、
 第170号議案は、大気常時監視自動計測器の談合事件により県が受けた損害の負担等に関し、談合に関与した製造メーカーと和解することについて、
 それぞれお諮りするものです。
 また、第171号議案は、公立大学法人新潟県立大学が徴収する大学院に係る入学検定料及び授業料の料金の上限を設定したものであります。
 最後に、第172号から第180号までの各議案は、企業会計に係る決算の認定並びに利益剰余金及び資本剰余金の処分について、お諮りするものです。

 以上、主な議案の概要につきまして説明申し上げましたが、何とぞ慎重ご審議のうえ、各議案それぞれについて、ご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

(10月9日 知事説明要旨)

 ただいま上程されました第181号議案は、平成25年度一般会計及び特別会計の決算の認定について、お諮りするものであります。
 よろしくご審議のうえ認定を賜りますようお願い申し上げます。

(10月10日 知事説明要旨)

 ただいま上程されました議案2件は、いずれも人事に関する案件であります。
 第182号議案は、教育委員会委員を任命するため、
 第183号議案は、土地利用審査会委員を任命するため、

それぞれお諮りいたしました。

 よろしくご審議のうえ同意を賜りますようお願い申し上げます。

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