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平成25年9月定例会(陳情第14号)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0004620 更新日:2019年1月17日更新

第14号 平成25年9月17日受理 総務文教委員会 付託

平成24年7月31日に発生した新潟県立高田高等学校生徒の自死案件に係わる第三者調査委員会設置等に関する陳情

陳情者

(要旨)

 本年5月27日に文部科学省より「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書」が策定された。その中で「体罰等の許されない指導と考えられる指導」が明記されることとなったが、本事案については、まさに、この許されない指導を受けたことは前後の経緯や他の複数の生徒による証言により明らかである。また、平成23年6月1日付文部科学省通知の「児童生徒の自殺が起きたときの背景調査の在り方について」で策定されている内容については、本来、その策定された内容に従った対応が求められるものと解釈しているが、本事案の当該校及び新潟県教育委員会(以下「県教委」という。)の対応は、以下の通り、明らかにこの通知やガイドライン等を無視した不適切・不誠実・不公正な対応であり、「遺族に寄り添う」どころか、遺族の心情を踏みにじる対応にほかならない。

 平成24年7月31日、当時新潟県立高田高校3年であった息子が、教師の不適切と思われる指導、及び学校の対応に対する抗議の遺書を残し、自ら命を絶ってから既に1年2ヶ月が過ぎようとしている。
 この自殺の原因の一つとして考えられることとして、直前に起きた部員同士の行き違いや意識の違いを、教師が殊更過大な問題として取扱い、過剰なまでの不適切な指導によって起こったものであると、遺族は考えているが、学校側の遺族に対する説明と、対外的な部活動保護者会への説明及び県教委に提出された、学校事故報告書の内容とでは全く異なるものであった。
 遺族に対しての説明では、自殺の原因は「わからない」としたのに対し、対外的に示された報告書や説明では、調査段階であり、更には、息子の学校や教師の指導に対する抗議の遺書を読んでいるにもかかわらず、その遺書を取り上げることなく「自己の言動に起因する自責の念」とされており、その「自責の念」と決めつけるには疑念を持たれる事項、つまり、前述の遺書であったり、息子が自ら謝罪をし、今後の部活の在り方についての提案と決意をした言動についての一切の記述を削除したものが、報告書として提出されている。
 この学校の対応に納得できない遺族は、県教委へ学校の報告内容に対する疑義を投げかけ、調査及び見解を求めたが、遺族が催促するまで何の連絡もなく、結果2ヶ月半以上が経過した平成25年1月30日に提出された報告書の内容は驚くべきものであった。
 教師全員への聞き取り調査はおろか、本件に密接に関わる生徒たちへの聞き取り調査も行われておらず、関係した教師のみへの聞き取りと、学校が認定した一部生徒への不十分な聞き取り調査のみを「正」としたものであり、県教委もこれを追認し、「教師の指導に問題はなかった」と結論づけている。
 これに対し遺族は、事実の解明を求めて再度学校及び県教委に話し合いを申し入れたが、学校及び県教委は「調査結果は報告書の通り」と教師の指導に問題はなかったとの姿勢を崩さず、面会すら拒否した。
 そこで、これ以上学校、県教委の調査を望むべくもなく、遺族は、平成23年6月1日付、23文科初第329号「児童生徒の自殺が起きたときの背景調査の在り方について」の通知の「2.背景調査を行う際の留意事項(4)詳しい調査を行うに当たり、事実の分析評価等に高度な専門性を要する場合や、遺族が学校又は教育委員会が主体となる調査を望まない場合においては、具体的に調査を計画・実施する主体として、中立的な立場の医師や弁護士等の専門家を加えた調査委員会を早期に設置することが重要であること」の記載に則り、平成25年3月11日、県教委へ公正・中立な立場の第三者調査委員会の設置を求めた。
 しかし、委員会設置要求から2ヶ月の間、正式な回答はなく、また、遺族の問い合わせにも「現在検討中」と繰り返すばかりで、この県教委の対応に遺族は、平成25年5月2日、記者会見という形でこの事実を公表した。
 この記者会見直後に県教委は「早急に設置する」旨コメントを発表したが、実際は以前の対応と何ら変わることなく、更に2ヶ月の間、正式な回答もなく、遺族の間いかけにも答えることはなかった。
 同年6月27日、ようやく県教委から申し入れがあり、同7月5日、県教委の考える「学校の調査・報告書を検証する、調査検証委員会」なる案の説明を受けたが、それには遺族の要望は全く取り入れられず、真相究明と再発防止につながる調査委員会とはかけ離れたものであった。
 県教委の見解として、中立性・公正性とは、遺族側にとってではなく、県教委が中立・公正と認めたものに限り判断するもので、遺族側から見た中立性・公正性は判断基準にはならないとのことであり、県教委から内容については今後、遺族とすり合わせをしたいと口頭では体裁を取り繕う発言はあったが、詳細を伺ったところ、実情は前述の通り、遺族の要望に対しては、一切拒否という姿勢を崩すことはなかった。また、新潟県公式ホームページより、県議会の議事録を閲覧したところ、遺族になんら説明もなく、既に、6月19日に、県教委において予算が計上され「教育委員会において原因と背景に係る学校の調査結果を検証するため、学識経験者の第三者による委員会を設置することとしております」との承認がなされ、発表がされている。
 この後、同7月25日、公正性・中立性の担保できる、県教委から独立した第三者調査委員会の設置を新潟県知事に陳情したが、残念なことに知事部局では、「県知事部局では、調査権限、指導監督権がないため、教師に対する調査権、指導監督権のある県教委に設置されるのが妥当」との見解であり、この見解を現在も崩していない。
 この知事部局から要請があり、今後県教委との面会も予定しているが、事前に内容を伺うと、やはり遺族の望む第三者調査委員会の姿は、そこにはなかった。
 遺族は、公正・中立な立場の第三者調査委員会の設置を求めているのであって、既に他の自治体での前例もあり、決して特別な要望ではないと考えている。
 この現状に、遺族は非常に苦しい立場にあり、早期に真相究明と再発防止が図られるよう、本件発生から県教委の対応により1年以上経過している事実と、県教委も調査対象者であるにもかかわらず、その設置に深く関与しようとしている事実を踏まえ、貴議会において、文部科学省の通知、通達、ガイドライン等の精神に則り、遺族の心情に寄り添うことを基に、県教委から独立した公正・中立な立場の第三者調査委員会の早期設置に向け、ご尽力いただくよう、陳情に至った次第である。

 ついては、貴議会において、この現状をご理解の上で、事件発生後1年2ヶ月が過ぎようとしているにもかかわらず、未だ設置の目処すら立っていないことから、遺族の望む第三者調査委員会早期設置のため、次の事項に配慮されたい。

  1. 公正性・中立性の担保される、新潟県教育委員会から独立した第三者調査委員会を早期に設置すること。
  2. 委員選定の透明性・公正性を担保するために、委員の半数を遺族側の推薦する有識者とすること。
  3. 委員には、生徒の自殺の原因究明と再発防止に繋がるための、十分な調査権限等を付与すること。
  4. 第三者調査委員会の設置にあたり、遺族側と協議の上、設置要綱を定めること。
  5. 調査の経過及び結果が、遺族等関係者に公開されること。

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