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平成23年6月定例会(陳情第18号)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0003571 更新日:2019年1月17日更新

第18号 平成23年6月17日受理 厚生環境委員会 付託

柏崎刈羽原子力発電所の再開を認めたことに対する謝罪要求決議に関する陳情

陳情者

(要旨)

 原子力発電所の一般的な問題点には触れず、柏崎刈羽原子力発電所が新潟県中越沖地震によって壊れたことに直接関係することだけを述べる。
 柏崎刈羽原子力発電所は、そもそも地盤が弱いことが明らかな土地を選定したことが誤りであるが、その指摘を受けても真摯(しんし)に検討されることはなかった。
 その結果、地震の規模や現地での揺れが特別に巨大とは言えない程度(マグニチュード6.8、震度6強)の地震で壊れた。さらに、その揺れは、設計上の力を受けた材料が元に戻ることができる弾性限界を超えただけではなく、「安全に壊れる」限界をも超えていた。つまり、この程度の地震を「想定外」としていたわけである。
 敷地内の地面が波打ち、建物・設備が傾き、火災まで発生したことは、当初から指摘されたように不適切な土地であることを証明するものであった。
 これらを直視すれば、極めて高度な安全性を要求される原子力発電所を継続して使用することは許されないことであった。
 ところが、東京電力株式会社や国、関係機関はさまざまな理由を挙げて「修理すれば問題ない」と説明し、新潟県に対して再開を認めるように求めた。
 しかし、柏崎刈羽原子力発電所は国の安全審査を通って建設され、その後も国によって安全を検査されながら運用されてきたのであるから、壊れることはないはずであった。つまり、安全管理体制や、その根拠となっている科学知識に根本的な問題があることは明らかであるから、かりに再開するとすれば、その問題点の徹底的解明と安全管理体制の再構築が先決であることは言うまでもない。
 一般的には、技術の進歩は失敗から学ぶことが多いが、それを原子力発電所に適用するにはあまりにも危険が大きすぎる。
 新潟県がそのことを認識していれば安全を最優先としたはずである。
 例えば、安全を優先させるのであれば、事故を起こした中古車を買って大切な家族を乗せようとは思わないだろうし、ぎりぎりで車検が通ると言われても磨耗したブレーキを交換させるであろう。
 ところが新潟県は、安全より「安くつく」ことを優先させることに同意した。
 しかし、上記に述べたとおり、柏崎刈羽原子力発電所が安全であるとは考えられない。
 また、東日本大震災で被災した各原子力発電所の状況や運転停止を求められた浜岡原子力発電所の危険性を考えれば、いずれも安全対策が不十分なままであったことは明らかである。
 特に福島第一原子力発電所に関しては、より重大な影響を及ぼした。
 現時点までの東京電力、国、IAEA(国際原子力機関)の発表によれば、地震による損傷は比較的少なく、致命的な問題は津波によって電源設備がすべて使用できなくなったために生じたとされている。
 新潟県中越沖地震直後に東京電力の当時の勝俣社長(現会長)は「重要な(Sクラスの)設備は無事だった」と被害がささいなものであったかのように発言したが、この姿勢が、Sクラスではないタービン建屋に非常用発電機を設置したままにしておいたことにつながり、結果として甚大な放射能汚染事故を引き起こすことになった。
 さらに、冷却機能が失われて冷却水が不足することが予想された時点で直ちに海水を注入せず、また、米国からの冷却剤提供を断ったのは、廃炉になることを危惧(きぐ)したからだと言われている。もし柏崎刈羽原子力発電所の再開を新潟県が認めていなければ、ちゅうちょなく廃炉を決断して必要な措置を執った可能性が高いと思われる。
 ついては、貴議会において、新潟県に対して、次の事項を付して、柏崎刈羽原子力発電所の再開を認めたことを謝罪するように求めることを決議されたい。
 新潟県が柏崎刈羽原子力発電所の再開を認めたことによって

  1. 新潟県及び周辺地域の住民を危険にさらしていること。
  2. 全国の原子力発電所の安全性を徹底的に再検討する機会を逃したこと。
  3. 福島第一原子力発電所の事故に関する初動措置を誤らせる原因を作ったこと。

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