ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

平成22年2月定例会(陳情第2号)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0002436 更新日:2019年1月17日更新

第2号 平成22年2月5日受理 総務文教委員会 付託

沖縄県名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する意見書提出に関する陳情

陳情者 新潟県平和運動センター 議長 渡辺英明

(要旨)

 1996年、日米両政府は、宜野湾市の4分の1を占める普天間基地の全面返還を合意した。普天間基地は宜野湾市の中心部にあり、5年前には隣接する沖縄国際大学に米軍ヘリコプターが墜落した。基地周辺には保育園や小学校もあり、多くの住民が日々危険にさらされている。日本政府が2004年8月31日に加入した「ジュネーブ諸条約追加議定書」第58条によれば「人口の集中している地域又はその付近に軍事目標を設けることを避けること」と定められており、国際条約から見ても普天間基地は違法状態にあると言える。アメリカ国内には普天間基地のように住宅地に隣接した軍事施設はあるのだろうか。普天間基地の返還は歴史的経緯、国際条約という観点から見ても当然のことと言える。
 普天間基地の全面返還が合意されたものの、代替施設として名護市辺野古沿岸域へのV字型新基地建設が計画されている。しかし、辺野古海域は沖縄県の「自然環境の保全に関する指針」で「評価ランク1」に分類され、国の天然記念物であり国際保護獣のジュゴンをはじめとする希少生物も生息している。辺野古新基地建設に伴う大量の埋め立て工事による大規模な環境破壊が懸念され、また、希少生物への影響も量り知れない。環境を保全し、生物多様性を保護することは、今では世界の常識である。国の天然記念物であるトキを野生復帰させるため、環境保全の施策を推進する本県にとって、沖縄の希少生物が危機にひんすることは決して人ごとではない。
 1997年12月に名護市で行われた住民投票は、辺野古新基地建設反対派が勝利した。沖縄県議会では2008年7月18日、「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議」を採択し、今年の1月24日に行われた名護市長選挙では基地移設に反対する稲嶺進氏が勝利した。このように、直近の民意でも、辺野古への新基地建設を反対する住民が多数であることが明白になった。
 地域主権が叫ばれる昨今、地方自治体が自分たちの住む地域の決定に大きく関与することは21世紀における政治の潮流となっている。名護市の民意を尊重することが、ひいては地方主権の道を切り開くことになる。そしてこのことは、地域主権社会の実現を目指す新潟県の理念に通じるものである。先月29日、伊波洋一宜野湾市長をはじめとする265人の自治体の首長・議員が「普天間飛行場の閉鎖・返還と海兵隊の米国への移転を求める自治体首長・議員の共同声明」を出した。多くの自治体の首長・議員が名護市の民意を尊重し、普天間基地の撤去と辺野古沿岸域に新基地を建設しないよう国に求めている。
 1945年8月10日、当時の新潟県は、原爆の投下候補地になっているのではという懸念から、国の反対を押し切り全国で唯一の原爆疎開を実施した。幸いなことに原爆は投下されなかったが、もし投下されていたとしても犠牲は最小限に抑えられたことが想像できる。国防を国の専管事項としていたら、このような英断は下せなかっただろう。地域の住民の命を守る最後のとりでは地方自治体である。
 ついては、貴議会において、環境保全と生物多様性の保護、並びに名護市住民の民意の尊重と地域主権の推進という観点から、辺野古沿岸域への新基地建設に反対する意見書を国に提出されたい。

平成22年2月定例会(請願・陳情)へ戻る