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平成21年9月定例会(陳情第8号)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0001977 更新日:2019年1月17日更新

第8号 平成21年8月7日受理 総務文教委員会 付託

家族従業者の人権保障のため所得税法第56条の廃止を求める意見書提出に関する陳情

陳情者 新商連婦人部協議会 会長 中村恵美子

 (要旨)

 私たち中小業者は、地域経済の担い手として、日本経済の発展に貢献してきた。しかし、不況が長期化する中で、中小業者は廃業・倒産など、かつてない危機に直面している。
 そのような中で、業者婦人は自営中小業者の家族従業者として、また女性事業主として営業に携わりながら、家事・育児・介護と休む間もなく働いている。
 しかし、どんなに働いても、家族従業者の「働き分」(自家労賃)は、配偶者やその他の親族が事業に従事したとき、その対価の支払いは必要経費に算入しないとする所得税法第56条の規定により、必要経費として認められない。事業主の所得から控除される「働き分」は、配偶者の場合は年間86万円、その他の親族の場合は50万円である。
 配偶者もさることながら、息子や娘たち家族従業者は、わずか50万円の控除が所得とみなされるため、社会的にも経済的にも全く自立できない。家業を手伝いたくても手伝う気持ちにもなれないことが、後継者不足にも拍車をかけている。
 所得税法第56条は、日本国憲法の法の下の平等(憲法第14条)、両性の平等(憲法第24条)、財産権(憲法第29条)などを侵している。
 税法上では、青色申告にすれば給料を経費にすることができるが、同じ労働に対し、青色と白色で差をつける制度自体が矛盾しており、基本的人権を侵害している。
 明治時代の家父長制度そのままに、人格や労働を認めない人権侵害の法律が現在も業者婦人を苦しめており、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカなど世界の主要国では、家族従業者であるかどうかを問わず、正当な給与は事業の必要経費としている中で、日本だけが世界から取り残されている。
 私たちは税法上も、民法、労働法や社会保障上でも、「一人一人が人間として尊重される憲法に保障された」権利を要求する。
 農林水産業、商工業等自営業の多い新潟県では特に、家族従業者は事業の重要な担い手である。「新潟県男女平等社会の形成の推進に関する条例」でも、「本県においては、女性の就業率が高く、県内産業の重要な担い手となっている」、「男女平等社会の形成は、男女が個人として能力を発揮する機会が確保される」ことが大切で、そのためには「性別による固定的な役割分担等を反映した社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の自由な選択を妨げないように」県としても「積極的改善措置」を含め、施策を推進することを掲げている。
 ついては、貴議会において、所得税法第56条の廃止を求める意見書を国に提出されたい。

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