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平成18年陳情第7号

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0003797 更新日:2019年1月17日更新

第7号 平成18年6月23日受理 総務文教委員会 付託

中国における法輪功学習者の臓器摘出の実態調査を求める意見書提出に関する陳情

陳情者 特定非営利活動法人 日本法輪大法学会 代表 鶴薗雅章

(要旨)

 近年、中国において臓器移植件数が急増している。中華医学会臓器移植学会主任委員の発表によれば、同国における2005年の臓器移植例数は1万2,000件になって、中国はアメリカに次ぐ臓器移植大国となったと豪語している。従来より、中国における臓器移植は、死刑囚の臓器を使用しているという倫理上の問題が指摘されており、国際社会において非難されてきているが、ここ数年、取り分け法輪功に対する迫害が開始された1999年以降の中国における臓器移植件数の増加速度の異常さ(2005年の例数は1999年の33倍)、及び移植手術の申込みから1週間から2週間程度で適合するドナーが見つかるという、先進国の医学常識では考えられない臓器移植実務について、国際社会において疑問が投げかけられている。
 中国側の説明では、こうした短時間でのドナー発見は死刑囚がドナーとなっているためだとしているが、国際人権団体の調査によれば、中国における死刑執行件数は、確認されているもので年間3,000件から3,500件程度、未確認の件数を含めても推定8,000件から1万件で推移していると言われている。したがって、仮に死刑囚が100パーセントドナーとなったとしても、死刑囚が供給源であるという説明だけで中国の臓器移植実務を合理的に説明することはできない。また、親族でなければ、適合するドナーを見つけるには少なくとも50倍以上のドナーが必要であるという非常に難しい状況である。単純計算では、年間1万件の腎臓移植につき1週間から2週間という短期間でドナーを見つけ出すためには、膨大な数のドナー候補が常にスタンバイしている必要があるということになる。それに、適合するドナーが見つかったとしても、摘出された臓器は肝臓であれば12時間以内、腎臓であれば24時間以内という短い時間内で移植手術を行う必要があり、患者の手術に合わせたタイミングよい条件が必要である。年間4,000件に上る脳死か生体移植による肝臓移植について、患者の手術に合わせて臓器を取り出すことができるという状況は、自然死若しくは事故死等に依拠して作り出せるものではない。つまり、そうした膨大な数のドナー候補の生死が、臓器摘出を行っている者のコントロール下にある可能性が高いということになる。
 常識では考えられない中国の臓器移植実務の問題が指摘される中、今年3月、中国の臓器摘出手術にかかわる執刀医の元妻及びある中国人ジャーナリストが驚くべき事実を証言した。その証言によれば、中国瀋陽市にある蘇家屯という秘密収容所では2001年から拘禁中の健康な法輪功学習者から臓器を摘出し、その後死体を焼却しているというのである。彼らの証言によると、当該秘密収容所には約6,000人の法輪功学習者が収容されていたが、2001年から2004年までに4,000人は既に臓器を摘出され、遺体は焼却されたとのことである。また、こうした臓器移植に関与しているある軍医の告白によれば、中国全土でこのような秘密収容所は36か所あるとのことである。
 ドナーのネットワークが整った先進国においてさえ、適合するドナーが見つかるまで、腎臓の場合で数年かかると言われている。言うまでもなく中国では、先進国に見られるような洗練されたドナーバンク制度及び医療機関の間のネットワークというものは存在しない。年間1万件もの腎臓移植手術について、1週間から2週間程度で適合するドナーを見つけ出すには、証言にあるような恐ろしい方法でドナーを供給する以外に合理的説明がつかない。
 中国におけるこうした医学常識に反する臓器移植実務及び前述の証言から、7年に及ぶ迫害にさらされている法輪功学習者及びその他強制労働収容所等に収容されている人々がドナーとして犠牲になっているという主張は、少なくともその存在を疑うに足る相当の理由があると言うことができる。実際、アメリカ合衆国議会議員、アメリカ合衆国の地方議会、台湾の地方議会、カナダの著名人権弁護士が真相の調査を呼びかけている。
 強制労働収容所またはその他の秘密収容所に収容されている法輪功学習者やその他の被収容者からの臓器摘出及びその臓器の売買というナチスの行為をはるかにしのぐ人権侵害の発生が合理的に疑われている。現在日本では、中国との経済的利益への影響をおそれ、中国の不当・不合理な行為に目をつぶる傾向がある。しかしながら、ここで疑われている行為は単なる不当な行為ではない。歴史に類のない組織的、残虐、悪質かつ非人道的な行為である。さらに、中国の臓器移植はビジネス化されており、日本人はその主たる顧客と言われている。日本におけるビジネス展開のため、その一端を担うブローカーが日本で暗躍している可能性があり、その意味で、中国における臓器移植は直接日本に関係する問題でもある。
 60年余り前、ナチスによる残虐行為の嵐が吹き荒れる中、人として何をすべきかの判断を迫られた人々がいる。多くの人々が誤った選択をした中、シンドラー氏、杉原外交官のように正しい選択をした人もいる。
 この歴史の一場面に立ち会う我々は一つの判断を迫られている。国際社会における日本の責務として、また隣国の国民の責務として、そして人間として、我々は誤った道を歩んでいる隣国の行為に目をつむるのではなく、勇気をもってその誤りを指摘し、これを正すべきと考える。
 ついては、貴議会において、次の事項を内容とした意見書を国に提出されたい。

  1. 中国における法輪功学習者の臓器摘出疑惑の解明、及び医学常識に反する臓器移植のドナーの来源や死因、法輪功学習者の被害状況等の実態調査を、関連国際機関、国際人権団体等に要請すること。
  2. 日本国内において、中国臓器移植を仲介する機関の実態、業務内容の解明、法令抵触の有無を調査すること。

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