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平成16年請願第10号

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0002849 更新日:2019年1月17日更新

第10号 平成16年6月7日受理 総務文教委員会 付託

義務教育費国庫負担制度の取り扱いについて慎重審議を求める意見書提出に関する請願

請願者 教育をよくする新潟県民会議 代表 矢野 教

紹介議員 桝口敏行君

(要旨)

 2004年6月に経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004(骨太方針第4弾)が閣議決定された。内容は、三位一体改革の全体像を秋に明らかにし年内に決定する、税源移譲はおおむね3兆円規模を目指し、その前提として地方公共団体に対して、国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請し、これを踏まえ検討するというものである。今後、地方公共団体では、義務教育費国庫負担制度も含めて改革の具体案について検討することと思われる。しかし、義務教育費国庫負担金の取扱いをめぐっては、次のような問題点がある。
 第一に、同制度の教育的な意義についてである。同制度は、全国の教育の水準維持や機会均等を確保するためにこれまで大きな役割を果たしてきた。先月、中央教育審議会の教育条件整備に関する作業部会が義務教育費に係る経費負担の在り方についての中間報告をまとめた。この中で、義務教育は国の責務であり、義務教育費国庫負担制度は堅持すべき、学校事務職員・学校栄養職員も学校の基幹職員であり、引き続き国庫負担対象とすべきことが提言された。
 第二に、同制度の総額裁量制導入についてである。同制度は、今年度より教職員配置やその給与水準などの決定を都道府県の裁量に任せる総額裁量制となり、地方の自由度が増した。そのため、各都道府県で1学級の児童又は生徒の数の基準を引き下げ、少人数学級を行うことも可能となっている。新潟県民から大好評である小学校低学年における少人数学級も新潟県独自に実施しており、現行制度でも自治体の裁量権は十分保障されている。むしろ、財政的な下支えがあるからこそ、このような地方の独自性を発揮することができるのである。
 第三に、税源移譲の内容についてである。総務省の提案では、個人住民税を10パーセント比例税率化し、所得税から個人住民税へ税源移譲するとしている。しかし、これでも多くの地方では現在の国庫負担金額を確保することができなくなることは明らかとなっている。そこで、総務省は、偏在度の高さ等を勘案しつつ、他の地方税を国へ逆移譲することによって税収格差を更に縮小するとしているが、具体的な内容については不透明であり、現在の国庫負担金額を確保できるのかどうかという点も明確になっていない。義務的経費であるにもかかわらず、税源には偏在性があることから、新潟県では十分な財源が確保できず、県財政、市町村財政の圧迫を招くことが懸念される。
 ついては、貴議会において、一人一人の子供たちに豊かで行き届いた教育を実現するために、義務教育費国庫負担制度が慎重に審議されるよう、次の事項を内容とした意見書を国に提出されたい。

  1. 単なる財政的な議論だけではなく、国の責務と地方の役割を踏まえること。
  2. 学校事務職員・学校栄養職員が学校の基幹職員であるなど教育的視点を踏まえること。

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