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平成20年9月定例会(請願・陳情)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0003289 更新日:2019年1月17日更新

陳情 第14号

第14号 平成20年8月20日受理 建設公安委員会 付託

地域間格差を拡大する地方移譲に反対し、安全・安心な公共事業を国の責任で実施することを求める意見書提出に関する陳情

陳情者 国土交通省全建設労働組合北陸地方本部新潟県協議会 議長 武藤正広

(要旨)

 政府は、国民がゆとりと豊かさを実感し、安心して暮らすことのできる社会の実現を目指し、地方分権改革を総合的かつ計画的に推進するためとして、2006年12月に地方分権改革推進法を成立させ、翌年4月に地方分権改革推進委員会を設置した。
 地方分権改革推進委員会は、国の権限の地方移譲について、5月28日に第一次勧告を公表した。国土交通省の業務にかかわる課題では、直轄国道については、一つの都道府県内で完結、バイパスの旧道、県庁所在地など大都市間を結ぶ幹線道路以外等に該当する路線の整備・管理権限、直轄河川については、一つの都道府県内53水系と府県境をわずかに越える12水系の管理権限について、都道府県に移譲するよう勧告した。今後、2008年秋に第2次勧告、2009年春に第3次勧告を行い、2009年秋の臨時国会で新地方分権一括法案を提出するとしているが、これまでの勧告の中では地方移譲の財源については具体的な方策を示していない。
 7月1日に政府は、国土交通省北海道開発局の廃止の検討に入った。しかし、北海道内からは「税財源の伴わない押しつけ」、「権限だけ渡されて財源はそのままというのでは困る」、「北海道開発局と北海道庁とでは職員の雇用形態が異なり、職員をすぐには受け入れる体制は整わない」、「北海道開発局が無くなって北海道庁に移管されれば効率化や経費削減で工事の規模が縮小され、ますます厳しくなる」などと、早急な廃止論に不安視や警戒する声も出ている。
 このような地方分権を推進することは、国の責任を放棄し地方自治体へ押しつけることとなり、地方自治体の地域間格差を一層拡大させ、公平・公正な行政サービスを脅かすことになる。
 北陸地方は2004年の新潟・福島水害、新潟県中越大震災、2007年の能登半島地震、新潟県中越沖地震などにより大規模な被害が発生し、私たちの職場である国土交通省北陸地方整備局においても一丸で災害復旧に努めてきた。また、今年6月に発生した岩手・宮城内陸地震においては、北陸地方整備局からも74名の職員による緊急災害派遣隊(TEC-FORCE)を派遣し、他地域における広域災害支援を実施し、評価を得ている。
 地域住民はこれまでの大規模災害により、防災対策の充実など、安全で安心な生活を確保するための公共事業に大きな関心を持っている。このことは私たち国土交通省全建設労働組合が地域住民や自治体首長を対象に取り組んだアンケート(2000年から2006年までの7回実施)結果からも明らかである。
 これまで、重要な河川、道路の整備・維持管理は、国が行う中で一定の水準を保ってきた。
 私たちは、公共事業の実施により、すべての国民に安全・安心で平等・公平なサービスを提供するためには、これまでと同様に国の責任において防災・生活関連の整備・維持管理を行うことが必要と考えている。
 現在、新潟県内には信濃川、阿賀野川という日本を代表する河川があり、下越地方には過去に88名の死者を出したほどのはんらんである羽越水害を起こした荒川があり、上越地方には江戸時代から昭和40年まで4年に1度の割合で水害を起こした関川と、糸魚川静岡構造線を形成している姫川がある。
 これらの河川は国が管理することにより、水害の発生を最小限にとどめて地域住民への安全を図りながら、高水敷は広く住民が利用できる施設整備を行っている。また、河川上流部においては砂防事業やダム事業を行うことにより、自然を守りながら下流部への災害を防止し、生命や生活に必要な上水や農業用水に役立てて農業立県としての新潟県民の暮らしと産業を支えている。
 また、新潟市を起終点とする一般国道7号、8号、17号、18号、49号、113号は県境まで延びており、新潟市をはじめとする新潟県内外の都市間交通だけでなく、日本海夕日ラインの一部である親不知や府屋海岸から越後山脈、フォッサマグナに囲まれた急峻(きゅうしゅん)な山岳地帯に路線があり、国が直轄管理することにより、災害への早期対応や冬期の豪雪時の通行を確保している。特に一般国道7号、8号、116号で形成される新新バイパス、新潟バイパス、新潟西バイパスは全国一の交通量を誇り、永年にわたって新潟の交通の中心を担ってきた。一般国道116号は新潟市から柏崎市間において、日本海夕日ラインと一般国道8号の間の平野部にあり、バイパス機能だけではなく、交通渋滞の緩和、災害発生時の迂回(うかい)路など多くの役目を負っている。
 近年では、雨量規制により孤立する集落がある一般国道7号沿線の緊急輸送路の確保に向けて、高速道路の新直轄方式により、荒川インターチェンジから朝日インターチェンジまでの施工を北陸地方整備局羽越河川国道事務所並びに新潟国道事務所において行っている。
 長岡市にある国営越後丘陵公園は県民の憩いの場だけではなく、コンサートなどイベントにも使用され、新潟県内外から人が集まることにより、新潟県をよりよく知ってもらうなど地域活性化に役立てている。
 北陸地方の技術研究機関である北陸地方整備局北陸技術事務所は、無人作業機械を開発し新潟県中越大震災時に人が踏み入れることができない土地において尊い命を救い出すなどの活躍をし、最先端の高度な技術研究を行い、幾度となく訪れた新潟県の災害に大きく貢献をしてきた。
 そして北陸地方整備局は、地方都市の拠点として新潟県内や北陸地方のみならず各地方への影響や重要性を持ち、北陸地方の国土交通行政の中心を担って先進的な国土形成を行ってきた。
 このようなことから、県民の安全で安心な生活を確保し、日本及び新潟県の動脈である道路の高度な維持管理のため、新潟県内にある国土交通省北陸地方整備局及び管轄する羽越河川国道事務所、阿賀野川河川事務所、新潟国道事務所、信濃川下流河川事務所、北陸技術事務所、信濃川河川事務所、長岡国道事務所、国営越後丘陵公園事務所、三国川ダム管理所、湯沢砂防事務所、高田河川国道事務所及び各事務所に付随する出張所並びに新潟県内の荒川流域を土砂災害から守る山形県にある飯豊山系砂防事務所を存続し、現在国の直轄である業務を地方に移管せずに引き続き国の直轄管理で行うことが必要不可欠であると考える。
 ついては、貴議会において、次の事項を内容とした意見書を国に提出されたい。

  1. 住民の安全・安心な生活を脅かし、地域間格差を拡大することとなる直轄事業の地方移譲は行わないこと。
  2. 新潟県内の重要な河川である荒川、阿賀野川、信濃川、関川、姫川及び一般国道7号、8号、17号、18号、49号、113号、116号、国営越後丘陵公園を国の直轄管理とし、国土交通省北陸地方整備局及び管轄する羽越河川国道事務所、阿賀野川河川事務所、新潟国道事務所、信濃川下流事務所、北陸技術事務所、信濃川河川事務所、長岡国道事務所、国営越後丘陵公園事務所、三国川ダム管理所、湯沢砂防事務所、高田河川国道事務所及び各事務所に付随する出張所並びに飯豊山系砂防事務所を存続すること。

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