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貞心尼と魅せられた人びと

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0522270 更新日:2022年9月15日更新

開催日:8月11日(木・祝日)

会場:出雲崎町中央公民館講堂

講師:柏崎市立博物館 学芸員 池田孝博さん

 

この講演は、令和4年10月15日(土曜日)から柏崎市立博物館で開催される企画展「没後150周年 貞心尼と魅せられた人びと」の展示テーマと同じく、柏崎市と貞心尼を絡めた内容でした。

司会を出雲崎町教育委員会の職員が務め、「今回の講演でみなさんがインフルエンサーとなって、良寛と貞心尼について魅力を発信してもらいたい」とのことでした。

出雲崎町講演会会場の様子

左:会場の様子。スクリーンには、参考画像などが提示されました。

貞心尼について

講演前半は貞心尼の事績や略歴などについて説明がありました。

貞心尼の事績については、(1)良寛最初の歌集「はちすつゆ」を完成、(2)良寛最初の詩集『良寛道人遺稿』刊行に尽力、(3)良寛晩年の肖像を伝える、(4)江戸時代3大女流歌人の一人ということだそうです。

「蓮の露」冒頭良寛最初の詩集「良寛道人遺稿」

左):「はちすつゆ」冒頭。(柏崎市指定文化財) 

右):良寛最初の詩集『良寛道人遺稿』

釈迦堂良寛画像

左):「釈迦堂良寛画像」。(柏崎市指定文化財)

 

貞心尼は寛政10(1798)年に長岡藩士奥村五兵衛の娘として生まれ(幼名マス)、北魚沼郡小出島竜光村(旧堀之内町)の医師・関長温に嫁ぎ、別れたことや、文政3(1820)年に下宿村の閻王寺にて剃髪されたこと、福島(長岡)の閻魔堂へ移り住み庵主となられてから、良寛との親交が始まり、「焼野の一草」を記したことなど、貞心尼が没されるまでの事績や出来事について講義して頂きました。

「焼野の一草」冒頭

「焼野の一草」冒頭。

貞心尼晩年の様子を描いた肖像画 (1)貞心尼晩年の様子を描いた肖像画 (2)

貞心尼晩年の様子を描いた肖像画。

貞心尼を顕彰した柏崎の人びと

講演後半は貞心尼を顕彰した柏崎の人びとの紹介がありました。

 

【中村藤八】

中村藤八肖像

嘉永6(1853)年~大正9(1920)年、68歳。

郷土資料を収集し約3000点を大正7(1918)年、刈羽郡に建物ごと「中村文庫」として寄贈。中村文庫の中には「蓮の露」「焼野の一草」「智譲尼聞取(貞心尼略歴・盗人入リテ)」「浄業餘事じょうごよじ」などがあります。

中村藤八が智譲尼から聞き取って書いた貞心尼の略歴

明治44(1911)年5月11日、中村藤八が智譲尼(当時60歳)から聞き取って書いた貞心尼の略歴。

 

関甲子次郎せききねじろう

関甲子次郎肖像

元治元(1864)年~大正15(1926)年、61歳。

「刈羽郡案内 全」(明治38年)や「生田の旗風」(同年)、「柏崎文庫」(大正10年・全20巻、昭和17年に柏崎市寄贈)などを記した郷土史家。

柏崎文庫全20巻

柏崎文庫全20巻。 

大正10(1921)年3月8日「柏崎文庫 第11巻」の「新助町南片町の部」には「釈迦堂庵主貞心尼」について記述があります。

「焼野の一草」の裏表紙

「焼野の一草」の裏表紙には、「貞心尼の遺筆、釈迦堂焼失、不求庵への移住と焼失などと墨書しています。

 

【中村毎太】

明治24(1891)年~昭和43年(1968)年、76歳。

柏崎の新聞「越後タイムス」を編集し、大正4(1915)年に『貞心尼焼野の一草乃和歌』を編集発行。

 

堀桃坡ほりとうは

明治13年(1880)年~昭和47(1972年)、92歳。刈羽村名誉村民であり、柏崎の図書館に数年来勤務。

昭和37年『良寛と貞心尼の遺稿』では「蓮の露」「もしほぐさ」「貞心尼書簡」貞心尼の歌などに注釈をつけて解説。

貞心尼を顕彰した人びと

柏崎の人びと以外に、貞心尼に魅せられた人びとについての紹介がありました。

【上杉涓潤】

明治17(1884)年~昭和10(1935)年、52歳。柿崎出身、転輪寺(曹洞宗・旧吉川町)第36世であり、「貞心尼の研究」を執筆した(新潟県警察本部発行「護光」)。

 

【木村秋雨】

木村秋雨肖像

写真):木村秋雨肖像(糸魚川歴史民俗資料館蔵)

明治39(1906)年~昭和63(1988)年、81歳。俳諧研究家。相馬御風とは盟友で良寛研究を支えた人物。

昭和のはじめに極楽寺を訪問。

昭和13年(1938)年の相馬御風『良寛と貞心』に掲載される貞心尼の歌集「もしほぐさ」は、木村秋雨が極楽寺から「裳志本久散もしほぐさ」を一週間借用して写したものだと言われます。

 

【相馬御風】

明治16(1883)年~昭和25(1950)年、68歳。糸魚川出身で詩人、評論家。

大正6(1917)年「早稲田文学」3~6月号に「大愚良寛」を計4回連載し、大正7年5月には『大愚良寛』として出版。

昭和13年(1938)年の『良寛と貞心』では、貞心尼全集として既出の「貞心尼遺稿」に「もしほぐさ」を加えた。

 

10月に柏崎市立博物館で開催される「没後150年 貞心尼と魅せられた人びと」の企画展が楽しみになるような内容でした。柏崎市指定文化財となっている肖像画や歌集、また現在では拝見することが難しい物など、講演資料としてスクリーンの画像で拝見することができ、貴重な講演会でした。

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