本文
にいがた県議会だより第59号(本会議質問(3) 原発、福祉・医療、農林水産)
原発
柏崎刈羽原発の安全対策と防災対策は
問 知事選挙では、原子力防災の問題や再稼働問題など、本県の今後の原子力発電所に関する問題は大きな争点になると確信している。今後の柏崎刈羽原子力発電所に対する安全対策と防災対策についてどうあるべきか、所見を伺う。
答 原発の安全確保や防災対策のためには、既に明らかとなっている欠陥を是正することに加え、福島第一原発事故の検証・総括が不可欠である。
原子力防災については、国でなければ解決できない法制度等の課題が明らかとなっており、これまで、本県だけでなく全国知事会等からも国に対して繰り返し提案・要望を行っている。
こうした働き掛けにより、本年3月、原子力関係閣僚会議において「地域の声に耳を傾け、真摯(しんし)に向き合い、真正面から取り組む」と決定され、原子力防災の見直しが始まったところであり、これを頓挫(とんざ)させてはならないと考えている。
なお、原子力防災について既に明らかとなっている現行制度の欠陥について、
- 被ばく可能性がある中で誰が安定ヨウ素剤を配布するのか
- バス等の運転や、複合災害時の道路補修は誰か行うのか
- 防護対策実施時のSPEEDI等予測的手法の活用方法
- 自衛隊等実動組織の対応
などが知事会等から指摘され、閣僚会議で、政府として責任を持って取り組むと決定された。
県の技術委員会への評価と期待は
問 県の技術委員会の働きにより、福島第一原発事故から5年が経過した時点で、ようやくメルトダウンの判断基準が東電社内に存在し、社員に認識されていたことを突き止め、東電から謝罪の弁を引き出すなど、技術委員会は皮肉なことに事故当事者の東電からも信頼が示されているほどである。
こうした県の技術委員会の成果をどのように評価し、今後も継続させ検証作業を進めていく必要があると考えるが、どのような期待を持っているか伺う。
答 これまでの技術委員会の検証により、メルトダウンを隠ぺいした事実や、高線量下の作業の具体的な問題点などが明らかになった。
メルトダウンを隠ぺいした背景や地震動による重要機器の影響など、まだまだ検証すべき課題は多数あり、技術委員会では、引き続き、福島第一原子力発電所事故の検証・総括を進めてもらいたいと考えている。
福祉・医療
うおぬま・米ねっとの課題と今後の取組は
問 患者の診療情報をネットワークで共有する「うおぬま・米(まい)ねっと」が、運用開始から2年以上経過するが、利用登録者数が伸びていないと聞く。ネットワークが機能するためには、登録者数を増やすことが必要と考えるが、登録が進まない現状の課題と今後の取組を伺う。
答 昨年度末の利用登録者数は約1万3千人であり、病院再編時には大幅な増加が見られたものの、その後は伸び悩みもあり、住民や医師等に対して更に米(まい)ねっとの有用性を周知していくことが課題と考えている。
対策として、8月以降、加入強化キャンペーンとして、魚沼地域全世帯への住民広報や、新大センター・魚沼病院内に特設ブースを設け勧誘等を行い、1か月経過時点で約千人の新規登録者があるなど増加傾向にある。
引き続き普及啓発活動や、医師向け講習会等による利用促進の呼びかけなど、医療情報の共有化と医療連携を進めていく。
新大センター・魚沼病院の運営状況は
問 知事は、本年2月議会で「全国的にも注目を集める医療再編を進めることができた」と答弁しているが、これを泉田県政の成果と考えるのであれば、現在の病院運営の損失や看護職員不足の状況については、県の当初計画の見込みが甘かったのか、それとも県地域医療推進機構の病院運営に問題があったのか、原因はどこにあると考えているのか伺う。
答 病院の開院により、地域に不足していた高度医療の提供が始まり、周辺病院との機能分担・連携のもと救急医療の地域完結性も高まるなど、開院初年度にして一定の成果も見られると考えている。
運営財団からは、想定を超える手術や救急の件数に対応し、患者の安全や病院の体制整備を最優先とする観点から、計画に比べ病棟を慎重に稼働していることが主な要因と聞いており、県としても、病院運営が早期に安定するよう、引き続き運営財団の取組を支援していく。
訴訟困難なC型肝炎患者への対応は
問 フィブリノゲン製剤(※)等によるC型肝炎患者は、特別措置法により、訴訟によって製剤投与等の確認を受けた場合、給付金が支給されるが、カルテがすでに廃棄されているなど、訴えを提起することが困難な患者がいる。特別措置法は、平成30年1月まで延長されたが、これらの状況に対して県として取組が必要と考えるが、対応を伺う。
答 カルテが既に廃棄されている等の理由により、訴えを提起することが困難な患者が県内にも存在すると考えられる。
そのため、県としては、カルテなどが無く、また、当時の医師・看護師等の証言が得られない場合にあっても、患者本人・家族などの証言、現在の医師の診断等により幅広く認定が受けられるよう、製剤投与事実の認定要件の緩和等を国に対して要望している。
※フィブリノゲン製剤 人の血液の成分を原料とした医薬品の一種
農林水産
中山間地域農業に新たな支援策を
問 中山間地域は自然・社会条件が厳しく規模拡大が困難であるため、十分な農業所得が得られず、農業の担い手の確保が難しい現状があると考える。特に豪雪地の農業の維持、発展には、現行の中山間地域等直接支払制度等による支援に加え、積雪量などの地域条件をふまえた新たな支援策を講ずるべきと考えるが、所見を伺う。
答 中山間地域では、社会政策としての公的サポートを拡充し、農業を営むことで他産業と同程度の農業所得を実現できる仕組みを構築する必要がある。
このため、中山間地域の有する多面的機能の発揮という観点に加え、社会政策的観点も含め、十分な所得を確保するための新たな支援制度の構築について、国に働きかけている。
棚田の風景