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株式会社山口製作所と工業技術総合研究所の共同研究成果が 「日本塑性加工学会賞 技術開発賞(中小企業)」を受賞しました!

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0593473 更新日:2023年7月10日更新

 工業技術総合研究所では、株式会社山口製作所(本社小千谷市)が採択された経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)について、令和元年度から令和3年度にかけて日本工業大学、長岡技術科学大学と共同で研究開発を進めて参りました。

 この度、研究成果が日本塑性加工学会に高く評価され、2023年度(第58回)「日本塑性加工学会賞 技術開発賞(中小企業)」を受賞いたしました。この賞は、塑性加工の分野において、独創性のある特定の技術または材料・機械・製品を開発し、優れた業績を挙げた個人またはグループに授与されるものです。

受賞者と贈賞式の様子

【受賞した研究開発の概要】

1. 研究課題名

「高性能アモルファス箔積層モータコアのプレスせん断加工量産技術の開発」

2. 研究開発の背景

 国内電力使用量の約60%はモータで消費されており、モータを高効率化することは電気使用量の削減に大きく寄与するため、様々な取組がされています。既存の電磁鋼板に比べて低鉄損材料であるアモルファス金属を採用することで大きな効率化が期待できることが知られていましたが、アモルファス金属は、板厚が25µmと薄く、一般的な金型材料よりも硬いため、プレス加工でモータコア形状に加工することが難しい材料で量産化が困難でした。この研究では、アモルファス箔をモータコアに採用すべく、高精度せん断加工量産化、型内積層の技術確立を目指しました。

3. 開発技術の概要

 厚さ25µmアモルファス箔の打ち抜きには極小クリアランスが必要となります。また、積層方法に関しては、板材を塑性変形させるダボ積層では材料が割れてしまうため、変形させない接着積層が適しており、量産性も考慮すると型内積層工法が必要となります。そこで、次の3つの課題について取り組みました。工業技術総合研究所は、アモルファス箔のプレスせん断加工技術と接着積層技術の開発の一部を担当しています。

(1) 極小クリアランスのための高精度金型の開発

 アモルファス箔の打ち抜きにおける金型クリアランスと切り口面性状との関係から、クリアランスを2~3µmに超高精度化することが有効であることが分かりました。

 金型の超高精度化のためには、高精度な加工機や精密測定器の導入は勿論のこと、金型製作、精密測定の環境温度管理も重要となります。そこで、測定室と金型加工室のDX化を推進し、環境温度分布改善および恒温化などによってアモルファス箔打ち抜き加工の高度化を実現しました。

切り口面

(2) 型内コア接着積層法の開発

 モータ性能向上と量産性の観点から接着剤を選定し、独自のスタンピング式接着剤塗布方法を考案し特許出願をするとともに、この手法を組み込んだ接着積層工程を開発しました。

型内接着積層コア

(3) アモルファスコアSRM(スイッチトリラクタンスモータ)の試作と高効率化の評価

 アモルファスコアを組み込んだSRMの効率は、ケイ素鋼板コアSRMに対し、50%負荷において8.9p.t.向上しました。さらに負荷10%から100%までの領域で90%前後であり、最大効率は90.9%を達成しました。

試作モータと効率比較

4. 開発の成果

 プレス打ち抜きと型内接着積層によるアモルファスコアの優位性を実際のモータを用いて実証しましたが、現状では、金型の耐久性について課題が残りました。今後は、モータメーカ等と連携し、量産化・低コスト化を進め、カーボンニュートラルの実現に寄与する高効率モータの普及を目指します。

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