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試験研究課題は、林業・木材産業・きのこ産業の関係者や森林・林業行政の担当者等からの要望にもとづいて、県農林水産技術会議研究企画委員会等で必要性や緊急性等の観点から審査されて決定されます。令和5年度の試験研究課題は19課題(そのうち新規課題が2課題)です。
(1)「ブナ林の収穫予想表の作成」
本県の森林資源のうち過半を広葉樹が占めており、ブナは主要な広葉樹です(写真1)が、収穫量を予想するための現実林分材積(蓄積)表においては他の広葉樹とともに「ざつ」として扱われています。これまでの研究により、県内のブナ林の蓄積はこの表に示されている値よりも大きいことが確認されています。また、二酸化炭素吸収量を適切に評価してJクレジットの活用などにより整備を推進することも求められています。このため、現地調査に加えて、文献調査や航空レーザー測量データを解析し、ブナ林の収穫予想表を作成します。
写真1 間伐されたブナ林(魚沼市大白川地内)
(2)「松くい虫被害木における駆除処理すべき径級の把握」
松くい虫被害のまん延防止のためには被害木の適切な駆除処理が重要です。現在は被害木のほぼ全部をくん蒸処理しています(写真2)が、太い幹にはマツノマダラカミキリの寄生が少ないことが知られています。また、太い幹のくん蒸処理には多くの労力を要します。このため、労働強度や処理費用の低減に向けて、松くい虫被害木における径級別の寄生実態の調査を行います。
写真2 松くい虫被害木のくん蒸処理
(1)「次世代苗木を用いた新たな循環型林業体系の確立」
循環型林業の確立に向けて、コスト低減に有効とされるコンテナ苗等を用いた主伐・再造林一貫作業システム等の検証を行っています。また、下刈りの省力化に向けて、下刈り終了判定基準の検討を行っています。引き続き、坪刈り等の効果検証にも取り組みます。
(2)「大径材等A材丸太の新たな用途開発」
スギ人工林の長伐期化に伴い大径材の生産が増えています。太い丸太は心持ち平角材に加工されることが多いですが、周りの部分を板材等に加工して歩止まりを上げることが重要です。このため、大径材の外周部からとれる板材のうち強度性能が優れるものを集成材用ラミナとして、それ以外の板材を木塀等の外構材として利用する技術の開発を行っています。
(3)「こだわりきのこの安定生産技術の開発」
きのこの産地間競争が激化している中、付加価値の高いきのこの生産が求められています。このため、比較的高価格で取引される大粒ナメコの収量安定化や、有機栽培技術の確立に向けた研究を進めています。
きのこ・特産課 岩崎 昌一