ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > しごと・産業 > 農林水産業 > 新潟県森林研究所 > 森林研究所たより 高齢スギ人工林に対応した地位指数曲線について(林業にいがた2022年5月号記事)

本文

森林研究所たより 高齢スギ人工林に対応した地位指数曲線について(林業にいがた2022年5月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:1952202205 更新日:2022年5月2日更新

1 はじめに

県内のスギ人工林面積の約7割が標準伐期齢(45年生)を超えており、伐期が長期化する傾向にあります。しかし、本県における現行の地位指数曲線は適応範囲が80年生までであり、長伐期化に対応した地位指数曲線に基づく収穫予測による森林資源の適正な管理が必要と考えられます。

そこで当所では平成26~29年度にかけて、県内各地の主に80年生以上の林分27箇所を調査地(以下、固定調査地)として設定し、調査により得られた高齢林データを、現行の収穫予想表作成に用いたデータ等の既往データと併せて、林齢120年生までに対応した地位指数曲線(以下、改訂地位指数曲線)を作成しました。改訂地位指数曲線は現行の曲線と比較し、およそ50年生以降の樹高成長が上方修正されています(図)。

2 改訂地位指数曲線の検証

改訂地位指数曲線の予測精度がどれほど改善されたのかを、現行の曲線と比較することで検証してみました。検証は、固定調査地の4~5年後の反復調査データを用いて、それぞれの曲線による反復調査時の推定樹高と、調査した実測樹高の誤差を比較することで行いました。その結果、現行の曲線よりも改訂地位指数曲線の推定誤差が小さくなり、予測精度が改善されたことが確認されました。しかし、反復調査を実施した25箇所のうち18箇所で実測樹高が推定樹高を上回り、改訂地位指数曲線が高齢林の樹高成長を過小に評価する傾向がみられました。

各地位指数曲線と固定調査地の樹高推移

図 各地位指数曲線と固定調査地の樹高推移

※各地位指数曲線は上から地位級特Ⅰ、Ⅰ~Ⅵの7本で示される

※現行の地位指数曲線は林齢80年生以降を外挿した

3 おわりに

新たに作成した改訂地位指数曲線は、樹高推定精度が現行の曲線よりも改善しましたが、高齢林の樹高成長を過小に評価する傾向がありました。また、固定調査地における反復調査の結果、全ての調査地で樹高が伸長していた(図)ことから、高齢林においても成長が継続することが明らかになりました。今後、県内のスギ人工林の林齢のピークが上昇することが見込まれるため、固定調査地の継続調査等により高齢林のデータを収集し、地位指数曲線の精度を向上させて、長伐期化に対応した収穫予測の確立につなげたいと考えています。

最後に、固定調査地の提供を快諾していただいた森林所有者の皆さまにこの場を借りてお礼申し上げます。

 

森林・林業技術課 伊藤 幸介

 

<外部リンク> 県公式SNS一覧へ