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森林研究所たより トキの野生復帰とカーボンニュートラル(林業にいがた2022年1月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:1952202201 更新日:2022年1月4日更新

会員の皆様、あけましておめでとうございます。

森林研究所は昭和27年4月に開設され、今年70周年を迎えます。この間、雪国の造林技術の確立やきのこの新品種育成等時代の要請に対応した試験研究に取り組み、本県の森林・林業・木材産業の発展に貢献して参りました。

時代は令和となり森林への要請も大きく変化してきております。昨年6月閣議決定された「森林・林業基本計画」において、森林・林業・木材産業による「グリーン成長」を掲げ、森林を適正に管理し、林業・木材産業の持続性を高めながら成長発展させることで、2050カーボンニュートラルを見据えた豊かな社会経済を実現することとしています。また、新潟県としても温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すことを表明し各種取組を進めてきており、森林には二酸化炭素吸収等森林の有する多面的機能の発揮が一層求められています。

さて、私の前任地は佐渡トキ保護センターです。日本のトキは昭和56年佐渡市に生息する5羽の一斉捕獲により野生絶滅に至りました。その後人工増殖に取り組み、平成11年中国から「友友」「洋洋」のつがいが贈呈され、飼育下での繁殖も順調に進み、平成20年野生復帰のための放鳥を開始しました。令和3年11月現在、野生下トキの推定個体数は484羽となっています。

絶滅に至った主な要因には人間による乱獲、森林の伐採と湿地の農地化、農薬の使用等による生息環境の悪化などが考えられます。これらの理由を整理し、国、県、佐渡市、有識者、関係民間団体、地域住民等が一体となって協力しながら河川、湿地、水田、営巣木、ねぐら木等のトキ及び餌生物の生息環境の保全・再生を進めてきたことにより、野生復帰が実現しました。

話は飛躍しますが、カーボンニュートラル実現に向けてもトキ同様に、あらゆる産業・企業から個人に至るすべての主体が連携・協力して取り組むことが重要です。

所としましても、新潟県の豊かな森林の機能が最大限に発揮され、次世代に引き継がれるよう、既存の研究成果の普及・定着はもとより、目標達成に向けて必要とされる新たな研究にも積極的に取り組んで参ります。

最後に、会員の皆様のご健勝・ご多幸を心からご祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。

トキの親子

トキの親子(佐渡トキ保護センター提供)

コンテナ苗4年生

コンテナ苗4年生(村上市高根地内)

森林研究所長 木村公文

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