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森林研究所たより エノキタケの有機栽培(林業にいがた2021年7月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0408831 更新日:2021年7月2日更新

1 はじめに

皆様はきのこを買うとき、何を重視しますか?鮮度や産地?やっぱり価格が一番でしょうか。現在、食の安全や健康志向を背景に有機農産物の需要が高まっていて、きのこも例外ではありません。そこで、きのこの有機栽培技術について研究を行いましたので、簡単にご紹介します。

2 きのこ有機栽培の歴史と課題

きのこの有機栽培の歴史は浅く、平成18年の「有機農産物の日本農林規格(以下「有機JAS規格」)」改正に伴い、はじめて表示が認められるようになりました。しかし、この時点では、栽培を「土の上」もしくは「土の中」で行う必要があり、空調設備の使用も禁止されていたため、施設栽培の菌床きのこは認定が不可能でした。このような中、平成29年に有機JAS規格が改正され、ようやく菌床きのこにも有機栽培の道が開けました。


ただ、有機栽培は、単純に農薬や化学薬品を使用しなければ良いというわけではなく、使用する培地資材にも厳しい制限があります。そのため、今現在使われている様々な資材は、多くが使用不可能です。

そこで、使用可能な資材である「オガ粉(樹種は不問)」「米ぬか」「フスマ(小麦ぬか)」のみで、生産性(収量・生育日数)を上げるエノキタケの栽培技術を検討してみました。

3 試験内容と結果

エノキタケは、「スギオガ粉」と「米ぬか」だけ(基本培地)で栽培可能ですが、広葉樹オガ粉を混ぜることで増収することが分かっています。また、増収効果の高い市販培地にはフスマも入っているため、スギオガ粉の一部を広葉樹オガ粉(コナラ)に置き換えた培地と、さらに米ぬかの一部をフスマに換えた培地の二種類を作成し、基本培地と比較しました。また、培養日数の長さを変えて発生させ、その影響を合わせて調査しました。

その結果、収量性には培養日数の影響が大きいこと(図)、生育日数には資材の影響が大きいことが分かりました(表)。ただし、生育日数にも培養日数の影響がみられました。

図 培養日数及び資材と収量との関係

  図 培養日数及び資材と収量との関係

表 培養日数及び資材と生育日数との関係

培養日数 試験区 生育日数(日)
24日 対照 28.0
コナラ 27.5
コナラ&フスマ 27.1
26日 対照 27.3
コナラ 26.0
コナラ&フスマ 26.4
28日 対照 27.1
コナラ 26.4
コナラ&フスマ 26.2

注)培養日数:培地に種菌を接種してから、発生処理を行うまでの期間
  生育日数:発生処理をしてから収穫するまでの期間

4 おわりに

今回の試験から、培養日数が特に重要な要素であることが分かりました。栽培の回転数を上げるために培養日数を短くすると、逆効果になることもあるので十分注意してください。

また、栽培環境や栽培ビンの大きさ、使用品種等により適する培養日数は変わります。各々の栽培条件に合わせて、適正な培養日数を把握するようにしてください。

 

きのこ・特産課 武田綾子

 

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