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森林研究所たより 令和3年度の試験研究(林業にいがた2021年4月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:1952202104 更新日:2021年4月1日更新

試験研究課題は、林業関係者などからの要望や林業行政推進上の技術的課題について、必要性、緊急性等の観点から、普及・森林研究所連絡会議、試験研究事業連絡協議会(林業)、県農林水産技術会議研究企画委員会を経て決定されます。

令和3年度の試験研究課題は、16課題(そのうち新規課題が7)です。

1 主な新規課題

(1)「大径材等A材丸太の新たな用途開発」

スギ林の長伐期化によって増加しつつある大径材を積極的に活用するため、平成29年度~令和2年度に心去り構造材の強度特性や製材・乾燥時の曲がりの抑制と適切な乾燥方法の検討を行いました。令和3年度からは、さらに大径材の加工コストを低減するために、板材等の利用率を高め、製材歩止りを上げる研究を行います。また、一番玉は未成熟材が多く含まれるため、低ヤング係数材の出現割合が高くなります。そのため、強度性能などに応じた合理的な利用を検討します。

(2)「こだわりきのこの安定生産技術の開発」

きのこの低価格が定着し、産地間競争が激化している中、有利販売のためには付加価値のあるきのこの生産が求められています。大粒ナメコは比較的高価格で取引されていますが、作業に労力がかかる一方で、収量は安定しません。また、有機栽培は制度開始から日が浅いため、栽培技術がまだ確立されていません。そこで、大粒ナメコや有機栽培きのこなど高付加価値きのこについて、安定生産技術を開発します(写真1)。

写真1 商品価値の高い大粒ナメコ

写真1 商品価値の高い大粒ナメコ

(3)「ブナ苗木の長期安定供給技術の確立」

ブナは、4~5年周期で訪れる豊作以外は基本的に凶作となり、種子の発芽能力も当年限りで失われるため、同じサイズの苗木を安定供給のためには成長を抑制する技術が必要になります。これまでの研究で、成長抑制には被陰処理よりも肥培管理の効果が大きいこと、追肥の抑制により播種後2年間は被陰処理をしなくても苗長を従来方法の60%程度にすることがわかりました。さらにより長期間の安定供給のために、播種後2年目以降の成長抑制効果を明らかにするとともに、伸びすぎた苗木については剪定による作業法の検討と樹形への影響について試験を行います。

 

2 主な継続課題

(1)「長伐期に対応したスギ人工林施業体系の確立」

県内スギ人工林の伐期が延長傾向にある中で、長伐期化に対応した森林管理計画樹立のためには、収穫予想表や、その元となる地位指数曲線の高齢級林分への対応が必要になります。そのため、「長伐期化に対応した林分の将来予測手法の開発」で新たに作成した地位指数曲線の検証を行うために、高齢級スギ人工林の4~5年後の状況を再調査します(写真2)。

写真2 高齢級スギ林の調査

写真2 高齢級スギ林の調査

 

 

森林・林業技術課 武田 宏

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