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森林研究所たより スギ心去り構造材の乾燥について(林業にいがた2021年02月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0353256 更新日:2021年2月1日更新

1 はじめに

スギ人工林の成長により大径材の供給拡大が見込まれています。大径材は様々な木取りが可能ですので、今後は心持ち構造材に加えて心去り構造材の生産も拡大すると思われます。スギ心去り構造材のメリットや加工上の留意点について前回(2019年7月号)お知らせしました。今回はスギ心去り構造材の人工乾燥における留意点について詳しく説明します。

2 内部割れの防止

心去り構造材は心持ち構造材に比べて乾きやすく、表面割れが生じにくいため乾燥が比較的容易です。心去り正角については最高温度を摂氏90度程度とする中温乾燥の場合、2週間程度で乾燥できます。ただし、最高温度摂氏100度以上の高温乾燥を心去り正角に適用すると大きな内部割れが生じることがあります(写真1)。心去り構造材の内部割れは大きくなると貫通割れに近い状態になり強度性能の低下につながるので避けなければなりません。

 長辺が24cm程度の心去り平角の場合、2週間程度の中温乾燥では乾燥が不十分なことが多いため、高温乾燥も検討対象になります。この場合も内部割れが生じないように摂氏100度以上の高温処理は24時間以内にとどめるべきと思われます。

 

写真1 高温乾燥による内部割れ

   写真1 高温乾燥による内部割れ

 

3 曲がりの矯正

心去り構造材の製材では、成長応力の解放により製材品に曲がりが生じることが珍しくありません(写真2)。多くの場合は修正挽きをして形を整えるため製材時間が長くなったり歩止りが低下したりします。これらの問題を解決するため、曲がりの向きを上下交互にして桟積みし、おもしを載せて(図1)高温乾燥する方法が岐阜県で開発されました。この方法を本県でも試し、おもしが効く垂直方向の曲がりを半分以下に矯正できることを確認しました(図2)。しかし、高温乾燥には前述の通り内部割れの問題があるため、同様の桟積みで中温乾燥を行ったところ、この場合にも同様の曲がり矯正効果を確認することができました。

写真2 製材時の曲がり         

     写真2 製材時の曲がり

図1 曲がりを矯正する桟積み  図2 曲がりの矯正効果

 図1 曲がりを矯正する桟積み              図2 曲がりの矯正効果

 

4 おわりに

大径材の製材においては、構造材だけの生産では歩止まりが低く競争力が向上しません。板材なども生産し、歩止りを高めることが重要です。このため、スギ板材を内外装材などで積極的に利用することも求められています。

 

きのこ・特産課 岩崎 昌一

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