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森林研究所たより 年頭にあたり(研究所今昔)(林業にいがた2021年1月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0202101 更新日:2021年1月1日更新

会員の皆様、明けましておめでとうございます。

皆さんは、当森林研究所が以前は村上市街地にあったことをご存じでしょうか。

前身の林業試験場は、昭和27年(1952年)、村上城址のある通称「お城山」と呼ばれ村上市民に親しまれている臥牛山の麓に設置され、昭和46年の現在地への移転を経て創立68年と、令和4年に古希を迎えることとなります。これまでに発刊された記念誌「○○年のあゆみ」から設立当時の状況を拾ってみました。

当時、林業関係研究機関を有したのは十数都道府県に止まっており、本県は林業研究先進県の一つ?であったようです。

戦後の復興のための木材需要が増大する中、林力の培養が大きな喫緊の課題であり、しかも本県はまれに見る豪雪地帯であって、かつてヒノキや吉野杉を導入して手痛い失敗を見るなど、一般林業の教科書的施業をそのまま適用するには問題がある。そこで試験研究機関設置が叫ばれ、県北の優良林業地帯である岩船郡からいち早く誘致の声があり当地に設立した、とあります。

旧試験場は、敷地面積1.2ヘクタール、本館、農具舎、試験苗畑からなり、場長、主事1名、技師2名の計4名で業務をスタート。翌28年には、場長、事務系3名、技術系10名の計13名に増員し、研究体制が拡充整備されたようです。

当時、育林、防災に重点を置いた研究に取組み、育林部門では、ボイ山改善、階段造林、耐雪性品種の選抜と交雑育種を、防災部門では、地すべり、海岸砂防基礎研究を、そしてこの他に林業経営の実態分析やスギ材積表の調製等を手がけていました。その後国庫補助による現地適用試験として、ユーカリ、ストローブマツ、ポプラ等の造林試験に取り組んだ。29年から適地適木調査事業(55年頃まで)が全国的な規模で開始され、拡大造林予定地を対象とした科学的な土壌調査を実施したとあります。(当方は、61年入庁ですので、同調査の経験はありませんが、若い頃、縦穴を掘らされ土壌図と照らしながら土壌型を教わったことを思い出します。)

現在は、皆さんご承知のとおり、10ヘクタールの敷地内に本館他、研修館やきのこ栽培実験棟、苗畑、採種園・採穂園等を有し、研究員12名を含め総勢21名体制。研究課題も社会情勢等を踏まえ、森林資源の利用促進に資する資源情報把握、木材加工技術開発、素材生産・流通調査そしてきのこ関係の研究や、森林の有する公益的機能に関する機能維持技術、広葉樹等の新たな造成・管理技術、ニホンジカの影響調査、無花粉スギ・抵抗性クロマツ等の育種事業等多岐にわたっています。

お城山の麓には、当時の面影が残っていますので、村上を訪れる機会がありましたら、一度足を向けてみてはいかがでしょうか。

最後に、コロナ禍の早期収束と、会員の皆様のご健勝・ご多幸を祈念し、新年のご挨拶といたします。

当時を忍ばせる旧試験場跡地の巨木類

当時を忍ばせる旧試験場跡地の巨木類

 

旧林業試験場配置図

旧林業試験場配置図

森林研究所長 八子 剛

 

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