ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > しごと・産業 > 農林水産業 > 新潟県森林研究所 > 森林研究所たより 早生樹栽培実証事業(林業にいがた2020年7月号記事)

本文

森林研究所たより 早生樹栽培実証事業(林業にいがた2020年7月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:1952202007 更新日:2020年7月1日更新

1 はじめに

ヤナギは、萌芽再生能力が高く初期成長が速いことから繰り返し短伐期で生産・収穫できる発電用燃料などのエネルギー利用に適した樹種です。現在、木質バイオマス発電燃料の多くはスギ間伐材ですが、燃料の長期的・安定的確保のためにはヤナギなどの成長の速い早生樹の供給可能性についても検討が必要です。

そこで、新潟県内に自生するヤナギなどの早生樹の適応性、成長量、収穫量を確認するために、平成26~30年度に早生樹栽培実証事業を行いました。

2 試験地と試験方法

試験地は長岡林木育種園(以下、長岡)と森林研究所(以下、森林研)の2カ所で、試験樹種は長岡がオノエヤナギ、ドロノキ、コナラ、ケヤマハンノキの4樹種、森林研がオノエヤナギ、ドロノキの2樹種です。オノエヤナギは新潟県内に広く分布する高木性のヤナギで、森林総合研究所北海道支所でも栽培試験に用いられています。

森林総合研究所北海道支所では、ヤナギ栽培は三年サイクルで7回収穫する方法を提案しています。事業は5年間であることから、試験地造成後、1サイクル目の3年後の収穫量(絶乾重量)を測定することにしました。

オノエヤナギは村上市内の川原で採取した枝でさし木を行い、他の樹種については苗木を購入し、植栽を行いました。そして、試験地の造成から3年間は生残や成長量の調査を行い、3年経過後に伐採し収穫量を測定するとともに、その後、萌芽状況を確認しました。   

 

3 結果

早生樹栽培では、採算性の観点から収穫量はヘクタール当たり、年10トンを目標値にしています。この目標値を上回ったのは長岡のケヤマハンノキと森林研のオノエヤナギだけでした(図)。また、伐採収穫後の萌芽発生率はケヤマハンノキが10パーセント以下だったのに対し、オノエヤナギは2カ所とも90パーセント以上でした。したがって、新潟県でもオノエヤナギは収穫量が多く、萌芽再生によって繰り返し栽培する方法に適した樹種と考えられました。

しかし、長岡のオノエヤナギの収穫量が一トンに満たなかったことから、土壌環境によって収穫量が大きく異なることがわかりました。そのため、ヤナギの栽培を行う場合は、ヤナギに適した土壌環境の確認や整備が重要になります。

 

 

収穫量  試験地

    図 試験地別、樹種別収穫量         写真 造成2年目の森林研試験地

                                    (平成28年6月中旬)

 

4 おわりに

ヤナギはクローンによって樹高成長が大きく異なり、収穫量を上げるためには成長の良いクローンを選抜することが重要になります。そのため、安定的に10トン以上の収穫量を得るためには、まず成長の速いクローン選抜から始める必要があります。

森林・林業技術課 武田  宏

<外部リンク> 県公式SNS一覧へ