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森林研究所たより こんな樹種でも原木マイタケが出ます(林業にいがた2020年5月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:1952202005 更新日:2020年5月1日更新

こんな樹種でも原木マイタケが出ます

1 はじめに

  本県は、菌床ナメコ生産と同様に菌床マイタケ生産においても全国第1位の生産県です。しかし、生産に不可欠なオガ粉の多くを県外産に依存していることから、県内に分布する広葉樹資源の活用とオガ粉の安定供給を図るため、森林研究所では、平成25年度から28年度に渡り、単一樹種のオガ粉を用いて菌床ナメコ及びマイタケについて栽培適性の研究を進めてきました。

  そこで、菌床マイタケ栽培で成績の良かった樹種で原木栽培試験を行ってみたので報告します。

2 単一樹種による菌床マイタケ栽培試験

(1)試験した樹種 

  オニグルミ、ブナ、コナラ、クリ、ホオノキ、ウワミズザクラ、アオダモ、キハダ、カラスザンショウ、イタヤカエデ、ミズキ、ハクウンボク、オオバボダイジュ、シロヤナギ、ネムノキ、トチノキの16樹種について実施しました。

(2)栽培結果 

  広葉樹オガ粉試験区と比較し、収量が多いこと、栽培日数が同程度か短いこと、形質に問題がないことの3つの条件をクリアできたのは、ハクウンボク、シロヤナギでこの2種が菌床マイタケ栽培に適した樹種であることが判りました。 

3 原木マイタケでの樹種別の栽培試験 

(1)試験した樹種 

  菌床栽培試験で結果が良好だったハクウンボクと、一般的に用いられているコナラで比較試験を行いました。原木マイタケ栽培に適するとされる樹種は、クリ、コナラ、カキ等とされており、ハクウンボクを使った栽培例はあまりないようです。

(2)原木の調整と培養 

  両樹種とも、径12cm、長さ15cm程度に原木を調整し、広葉樹オガ粉に特フスマを混ぜ水分量を調整した培地で原木をサンドウィッチ状にして培養袋を作成しました。

その後、高圧殺菌釜で120℃、1時間殺菌し、1晩冷ました培養袋の上面にオガ種を接種(接種イメージ図参照)し、室温20度、無照明で100日間培養しました。

 接種イメージ図

 接種のイメージ

(3)原木の植込みとマイタケの発生 

  完熟したほだ木は、平成30年5月22日に、森林研究所構内スギ林の林床を深さ約20cm堀込み、袋を外したほだ木を設置(写真1)・埋戻しし、その上に落葉を敷き詰めました。

 写真1

 原木の埋設

  マイタケは、植込み1年目はほとんど発生しませんでしたが、2年目の10月上旬に発生しました(表)。

   表

収穫表
種別 発生日 株数(個) 1株重(g) 平均(g)
ハクウンボク R1年10月3日~17日 13 90~476 237.7
コナラ R1年10月3日~15日 12 97~1,100 380.3

   写真2

  マイタケの発生

  2年目の発生では、コナラに比べハクウンボクから発生したマイタケは全般的に小ぶりでした。

4 きのこ栽培用としての広葉樹オガ粉の利用拡大に向けて

これまでの栽培試験では、原木ナメコ栽培に適する樹種が必ずしも菌床栽培に適さないことがわかってきましたが、菌床マイタケ栽培で成績の良い樹種で原木マイタケ栽培がうまく行えるか、3年目も栽培試験を継続しますので、次の機会に報告します。

きのこ・特産課 倉島 郁 

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