ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > しごと・産業 > 農林水産業 > 新潟県森林研究所 > 森林研究所たより スギコンテナ苗の生育状況について(林業にいがた2020年3月号記事)

本文

森林研究所たより スギコンテナ苗の生育状況について(林業にいがた2020年3月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:1952202003 更新日:2020年3月1日更新

1 はじめに

近年、低コスト再造林の手法の一つとして「コンテナ苗」を活用した「伐採と造林の一貫作業システム」が導入されつつあります。新潟県森林研究所でも平成26年度から試験的に「コンテナ苗」を植栽し研究を進めてきました。以前にも「コンテナ苗」は効率的に植栽できること(2016年5月号)2成長期後の生育状況は緩傾斜地では裸苗と同等であること(2017年5月号)等を紹介してきました。

今回は、3成長期後のコンテナ苗の生育状況について調査結果をお知らせします。

2 コンテナ苗の生育状況

今回の調査地は、村上市高根地内の2箇所(村上1と村上2)でいずれも積雪量が1メートル以上の多雪地です。

コンテナ苗の生育状況の写真。樹高約2メートルに成長したスギ

コンテナ苗の生育状況(村上2中傾斜地・令和元年11月撮影)

 

生残率の結果は、緩・中・急いずれの傾斜地でも裸苗と同程度であり、幹折れ等の被害は裸苗より少なく、コンテナ苗が幹折れ等の雪害に弱い傾向は見られませんでした(表)。

 

表 各調査地の3冬期後の生残率と雪害状況

調査地

傾斜区分

植栽日 最終
調査日
総数(本) 枯死(本) 生残率(%) 幹折れ・梢端折れ(本)
裸苗 コンテナ苗 裸苗 コンテナ苗 裸苗 コンテナ苗 裸苗 コンテナ苗
村上市1 H27年6月 H30年6月 90 90 2 2 97.8% 97.8% 11 5
村上市2 H28年5月 R元年5月 58 59 1 3 98.3% 94.9% 2 1
村上市2 H28年5月 R元年5月 29 24 0 0 100.0% 100.0% 0 0

* 下刈りによる誤伐は総数から除外した
* 傾斜区分は、緩:約10°,中:約20°,急:約30°

形状比(樹木の形態を表す指数で「樹高/根元径」)は、植栽当初は数値が高く徒長気味であったコンテナ苗ですが、いずれの傾斜地でも植栽から年数が経つに従い、その数値は徐々に低くなり裸苗との差が小さくなりました(図)。

 

植栽後3成長期までの形状比の変化を示したグラフ。植栽直後はコンテナ苗の形状比が大きいが、3成長期後は裸苗と同等になる。
     図 植栽から3成長期後までの形状比の変化(エラーバーは標準偏差)

3 まとめ

今回の調査結果から、生残率や幹折れ等の被害については、コンテナ苗は裸苗と遜色はなく、形状比についても差が小さくなり裸苗と同じように生育していることが分かりました。

植栽作業を省力化できる「コンテナ苗」については、生育調査を継続していますので、今後も調査結果について随時報告していきたいと思います。

 

きのこ・特産課 涌井克彦

<外部リンク> 県公式SNS一覧へ