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森林研究所たより 年頭にあたり(林業にいがた2020年1月号記事)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0248846 更新日:2020年1月1日更新

会員の皆様、明けましておめでとうございます。

令和最初の正月、いかがお過ごしでしょうか。

さて、7月には待ちに待った東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されますが、私は同月に還暦、人生の節目を迎えることとなります。

昭和61年に入庁、当時はまだまだ拡大造林が盛んで、間伐も切り捨てが中心だったと記憶しています。研究もそうした時代を反映して、同年発行の『研究報告』では、「スギ採種園の種子生産技術(伊藤信治)」、「豪多雪地帯の造林技術(野表昌夫)」等が紹介されています。

現在はといいますと、スギの育種については、国民病とも言われている花粉症対策に主眼を置いた「無花粉スギ品種の開発」に取り組んでいます。新潟県内で発見された多数の無花粉スギを活用し、新潟大学等と連携しながら精英樹の形質を引き継ぎ、雪に強く成長・形質に優れる無花粉スギの開発を進めています。

無花粉スギ開発のイメージ。無花粉スギと精英樹を交配しています。

        無花粉スギ開発のイメージ

 

また、造林技術関係では近年広葉樹研究の要望が多く、東日本大震災の影響によるきのこ栽培用原木・オガ粉が不足する中、高齢化したコナラ林を再び短伐期施業林に誘導する技術の開発や、薪炭林としての適正伐期を超過したブナと周辺スギ人工林を一体的に収穫・更新する技術の開発等を進めています。

その他、きのこ関係では、これまでエノキタケやナメコ等の種菌開発主体に試験研究を推進してきましたが、現在は高温適応型のナメコ種菌の研究に取り組みつつも、低コスト、高品質・高収益、安全・安心をキーワードに、キクラゲとシイタケの複合栽培技術やエノキタケの有機栽培技術の確立に取り組んでいます。

また、入庁当時は取り組まれていなかった木材関係の試験研究については、スギ人工林の高齢林化が進み46年生以上が人工林全体の6割を超え、心持ち構造材に適した丸太が不足していることから、大径材から心去り構造材を効率よく製材する技術開発を推進しています。

この他にも森林保護や海岸林保全、森林計測等様々な課題に取り組んでいます。

そして、こうした研究の成果が皆様に広く活用されるよう、毎年度、発表会を開催するとともに、研究報告を公表しています。またそれらを活用してマニュアルや解説書、技術指針の形で整理している資料もございますので、森林研究所のホームページにアクセスしてご覧いただければ幸いです。

最後に、会員の皆様のご健勝・ご多幸を祈念し、新年のご挨拶といたします。

写真2 作成資料の例。アラゲキクラゲとシイタケの複合栽培技術指針の表紙です。

     作成資料の例

森林研究所長 八子 剛

 

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